20 メイド・エリリン

1 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:35
20 メイド・エリリン
2 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:51
―――ガシャンッ

その音を聞き、血の気が一気に引いた。有明の干潟よりも早く。
振り返ると、ある筈のところに、ある筈の花瓶が無い。
「花瓶さん、かくれんぼなんかしてないで早く出てきてよ」
絵里の願い虚しく、恐る恐る机の陰を覗くと、重力に引かれた花瓶は床の上で粉々になっていた。
それは、御主人様が大事にしていた花瓶。ガロとかなんとかいう人の作品で、
高価なものだから花瓶としてはもちろん使っていない。
御主人様の目を満足させるため、書斎の机の上に無造作に飾られていた。
3 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:51
「何の音だ?」
ドアが開き、聞こえてくる声。
(あぁ、これは御主人様の声・・・)
振り向くことができず、ぞうきん片手にアワアワと慌てる絵里。
御主人様はつかつかと歩み寄り、絵里の足元の花瓶の成れの果てに気がついた。
「・・・・・・」
言葉を失う御主人様。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
絵里はただただ謝ることしかできない。
このお屋敷をクビになったら、明日からどうやって生きていけばいいか分からない。
4 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:52
「・・・・・・」
「・・・・・・」
窓の外から蝉時雨れが聞こえてくる。
絵里には非現実的な音だった。

机の上に寝かされ、御主人様のされるがまま、メイド服のボタンを外される。

御主人様は床の上の一欠けらを手にすると、それを、絵里の僅かな二つの膨らみの、間の柔肌に当てた。
絵里の顔が苦痛に歪む。
傷口から緋色が滲み出た。

御主人様は顔を近づけ、傷口にそっと舌を這わせた。
ヒリヒリとした痛みは、唾液とザラついた舌の感触により次第に治まり、いつしかそれは、快感へと変わっていた。
そう感じてしまう自分が恥ずかしくて、絵里は頬を紅く染めた。
5 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:54
廊下に誰かの声がした。
御主人様は絵里をクローゼットに押し込み、自身も中に入ると扉を閉じた。
「―――亀井、―――亀井」
自分を呼ぶ声がする。書斎に入ってきて、
「あの子、どこにいっちゃったのかしら。掃除をいいつけたのに。ほんとに困った子ね。
―――亀井、―――亀井」
また出ていく。



暗く、狭い空間。
聞こえるのは互いの息遣いだけ。
クローゼットと御主人様の間に挟まれ、絵里は身動きがとれない。


絵里の口から思わず漏れる。
「ちゃ、・・・ちゃ、・・・ちゃいこーで(以下自粛)
6 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:55
お屋敷の屋根裏に与えられた絵里の小さな小さな部屋。
ベッドの上、絵里はスヤスヤ寝息を立てている。


夢を見た。へんてこな夢だった。


絵里はガラスの筒の中にいた。筒は液体で満たされていて、その中にプカプカ浮いていた。
隣にも、絵里と同じように筒に入った子がいる。
隣の子はその狭い空間が嫌いみたいで、ガラスの壁をガンガン蹴り飛ばしていた。
その隣の子は、なんだかポカ〜ンとした表情で浮かんでいる。
絵里はこの狭い場所が嫌いではなかった。何故か不思議と安心感を覚えるのだった。

ガラスの揺りかごは、夢の中、いつまでも絵里を優しく包んでいた。
7 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:55
「亀井、起きなさい。朝食の支度をしますよ」
「ムニャムニャムニャ」
いつものように叩き起こされ、いつもの一日が始まった。
昨日見た夢のことはすっかり忘れている。
「さてと、今日は失敗しないようにしなきゃ」
だって、このお屋敷をクビになったら、明日からどうやって生きていけばいいか分からない。
8 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:56
エリリン
9 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:57
オブ
10 名前:20 メイド・エリリン 投稿日:2004/08/02(月) 00:57
ジョイトイ

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