19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている
- 1 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:51
- 19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている
- 2 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:54
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まず、リテイク元である『初夏の夕暮れぼんそわーる』を読まれることをお勧めします。
なぜなら、完全にリテイク元におんぶしている作品だからです。
- 3 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:55
- 彼女、藤本美貴に時間移動能力が在るということはこの際おいといて・・・
『チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている』
- 4 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:55
- 突然だが、私、藤本美貴には超能力がある。
聞いて驚くな、それは時間移動能力だ!(エッヘンと無い胸を張る)
一度の能力の発動で最大24時間、時を戻すことができる。だが、一日に3回が限度だ。
ややこしくなるが、絶対時間での24時間に3回であって、時間を戻してからの24時間ではない。わかる? また、能力を3回続けて発動して72時間前に戻ることもできない。どうやっても24時間まで。時間を戻すことにより起こる歴史の変化だとかタイムパラドクスだとか並行(平行)宇宙だとかの難しい話は勘弁してね。だって、ミキってそんなに頭よくないから。
この能力の過去における有意義な使用法を紹介すると・・・
オーディションに落ちたとき、時間を戻してできうる限りの悪あがきをした。目についたライバルに挨拶したり、事務所の人間に意味ありげな視線を送ったり。結局4期メンバーには選ばれなかったけど。
PKを二度も外した高橋にムカついたので、「こうやって蹴るんだよッ!」とおもいっきりケツを蹴飛ばして時間を戻した。
石川が本気でムカついたので殴って時間を戻した。
飯田が以下同文。
安倍が以下同文。
つんく♂を数え切れないくらい以下同文。
最近、欲求不満気味だったからよっちゃんさんに本気でトキめいてしまい、唇をムリヤリ奪い、ついでに乳を揉んで時間を戻した。
亜弥ちゃんにビンタをして本気で泣かせ、時間を戻した後にほっぺにキスして、再び時間を戻した。(乙女心は複雑なのだ)
紺野が本気でムカついたのでほっぺをおもいっきりツネって泣かせた。そのときは時間を戻さなかった。だから今でも紺野はミキにビビってる。(乙女心は複雑なんです)
・・・とまあ、そのほとんどが悪行なわけだが。
- 5 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:56
- でだ。辻ちゃんのチョーカーである。どうだ見てみろあの輝きを。
誰にふさわしい?
決まってるだろう美貴帝様だ。
おつむが弱いことに定評のある辻ちゃん。言葉巧みにダマくらかしてチョーカーを我が手中にするのは、レバ刺し3人前を平らげるよりもたやすいことだ。
れいなと戯れている辻ちゃんを手招きして呼ぶ。
「なあに?」
疑うことを知らない純粋無垢な顔。罪悪感が僅かばかり起こるが、胸元のそれがミキを誘うようにキラリと光ったのですぐに忘れた。
「行きつけのエステで頭が良くなるツボっていうのを教えてもらったんだけど、良かったら辻ちゃんに試してあげようか?」
「ホント!?」
辻ちゃんは瞳を輝かせた。
普通の人なら「バカにするな!」と怒るだろうが、「馬鹿」という言葉に強迫観念的な怯えを持つ辻ちゃんは、頭が良くなると聞いて素直に嬉しいらしい。
- 6 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:57
- 辻ちゃんをイスに座らせて後ろに立つ。
「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」
ミキは辻ちゃんの米噛(こめかみ)に親指を当て、力一杯押した。
「ギャー」
悲鳴を上げる辻ちゃん。黒ヒゲみたいにイスから飛び上がる。
目に涙を浮かべながらミキを睨んだ。
「美貴ちゃん、痛いよ」
「ごめんごめん。でも、強く押さないと効果が無いって―――あ、しまった」
「どうしたの?」
「間違えた。さっき押したのは頭が良くなるツボじゃなくて、バカになるツボだった」
「えぇー!!」
「馬鹿」と聞き、お馴染みの泣きそうな、怯えた顔になった。
「辻ちゃん、ミキがさっき言った言葉を憶えてる?」
「えッ? さっきって?」
「さっきだよ。頭が良くなるツボの名前を教えてあげたでしょ。憶えてる?」
「えッ? えッ? そんなこと言った?」
「憶えてないの? じゃあ、太陽がどっちから昇ってどっちに沈むか分かる?」
「・・・東から西?」
「えッ、マジなの!? 違うよ、西から東だよ。東から西に動くのは月だよ。辻ちゃん大丈夫?」
「え? うそ? あれ?」
辻ちゃんの頭の中にたくさんの?が浮かんでいる。パニックを起こしていて正常な判断ができないようだ。
「じゃあ、モーニング娘。のメンバー全員の名前を言ってみて」
「えっと・・・、美貴ちゃん、あいぼん、梨華ちゃん、よっちゃん、まこと、・・・飯田さん、矢口さん、愛ちゃん、紺ちゃん、・・・ガキさん、シゲさん、亀井ちゃん、れいな・・・あと・・・のの?」
「それじゃあ13人だよ。一人足りないよ」
「ええ!?」
「どうやらバカになるツボが効いちゃったみたいだね。ごめん、ミキがミスったせいだ・・・」
「そんなぁ〜、元に戻してよー」
- 7 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:58
- 辻ちゃんはすっかり泣き出している。その泣き顔に、ミキのサディスティックな心がくすぐられた。体がウズウズしてくる。もっと虐めたい。
そんな変態性欲を悟られないよう笑顔の裏に隠し、ミキは言った。
「もう一度、頭が良くなるツボを正しく押せば、もしかしたら治るかもしれないよ」
「ホント? ホント?」
すがりついてくる辻ちゃんを再びイスに座らせる。
「痛いかもしれないけど我慢してね」
「うん」
「じゃあまず、目をつむって」
「うん」
辻ちゃんは素直に目を閉じる。
(しめしめ、これで準備は整った)
「まずは心臓のツボ。ここを刺激して、血液の流れを安定させるの」
思いつくままのデタラメを口にしながら、辻ちゃんの胸元に右手を当てる。
(むッ、こやつ意外と侮れないぞ)
予想外のふくらみに驚きつつ、右手で心臓のツボを押す。
そして、左手はお目当てのチョーカーに。
「次は頭頂部のツボ。脳を刺激して、脳内伝達物質の流れを良くするの」
つむじの辺りを指で押さえながら、チョーカーをゆっくり頭の後ろにまわす。
「続いて首のツボ。コリをほぐして体をリラックスさせる」
首の後ろを揉みほぐす。チョーカーは完全に首から外れた。
「最後は米噛のツボ。頭全体にショックを与える」
米噛に親指を当てて力一杯押す。
「ギャー」
悲鳴を上げる辻ちゃん。黒ヒゲみたいにイスから飛び上がる。
その隙に、チョーカーをポケットにねじ込んだ。
- 8 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:58
- 「これで大丈夫なハズだよ」
「ホント?」
「太陽はどっちから昇ってどっちに沈む?」
「え〜と、西から東?」
「正解! じゃあ、モーニング娘。のメンバーの名前は?」
「え〜と、え〜と、のんでしょ。美貴ちゃん、飯田さん、あいぼん、よっすぃー、梨華ちゃん、・・・矢口さん、愛ちゃん、マコト、紺ちゃん、・・・ガキさん、シゲさん、れいな、・・・亀井ちゃん?」
「正解! 良かった、元に戻ったみたいだね」
辻ちゃんはようやく笑顔をみせた。
「これでもう、バカ女なんて言われなくなる?」
「もちろんだよ。だって辻ちゃんはバカじゃないもん。よっ、天才のの」
「てへへ」
辻ちゃんは照れ笑い。八重歯を覗かせている。ミキはなんだかいいことをしたような気になった。
- 9 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 22:59
- 辻ちゃんの喜びも束の間、胸元のチョーカーが無くなっていることに気がついた。
「あれれ? チョーカーが無い」
「チョーカー? そんなものしてたっけ?」
「うん。さっきまで首にかけてたのに、どこにいっちゃったんだろう?」
「本当に今日してきたの? 家に忘れているとか」
「してきたよ。さっきまであったんだから。あれ? あれ?」
オロオロしている辻ちゃん。
「まだ記憶が混乱しているのかもしれない」
「そうなのかなぁ?」
辻ちゃんは楽屋の中をクルクル見回し、大事なチョーカーを懸命に探している。
ミキには微塵も疑いを持っていないようだ。
(しめしめ)
すると突然、後ろから何者かにチョップをされた。
「いってぇな、誰だよッ!」
振り返ると、妖怪セイタカノッポがものすごい形相でミキを見下ろしていた。目を見開いている。はっきりいってコワイ。
「い、飯田さん、どうかしました?」
「藤本、辻をイジメるなッ!!」
どうやら一部始終を見られていたようだ。狭い楽屋だから当然といえば当然か。
「辻のチョーカーを返しなさい」
「なんのことです?」
「とぼけるな、ポケットのチョーカーだよ」
「あッ、・・・ちょっと、スケベ、どこ触ってんですか。・・・あッ」
飯田さんがミキのポケットからチョーカーを引っ張りだす。
(あっちゃー)
辻ちゃんはまるでゴミを見るかのような、蔑んだ眼をミキに向けてくる。
しまった。ミキに対して警戒心を持たれてしまった。これでは、再び騙すのは困難だろう。
- 10 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:00
- ・・・しょうがない、アレをやるしかないようだ。
いつもポケットに忍ばせている秘密の小瓶を取り出す。中に入っているのは深緑のシダ植物。蓋がキュポッと可愛い音を立てて開く。
瓶に鼻を近づけ、シダの作り出す新鮮な酸素を吸った。これがミキの精神集中法。そして、能力発動のきっかけ。
シダが持つ、太古から受け継がれてきた何かが、ミキの時間を遡るという能力に呼応しているのかもしれない。
そういえば、ラベンダーの香りを嗅ぐとトリップ、もといスリップしてしまうドラマがあったなぁ。あれを観ていて思ったことがある。もしもトイレの芳香剤がラベンダーの香りだったら?
トイレに行く度に、タイムスリップしてしまうヒロイン。しかも、大きい方をしているときに。
下らないことを考えていると、いつもの感覚が襲ってきた。頭の中がすうっと空っぽになる。五感全てが研ぎ澄まされる。
―――ゴゴゴゴゴゴッ。
背後から、巨大な何かが迫ってくる。
次の瞬間―――
にゅるん
- 11 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:01
- ミキの身体は暗く大きな穴の中に吸い込まれた。
どこまでも続く巨大なトンネル。ミキはその中を移動している。不思議な空間で、上下左右の認識ができない。自分が落ちているのか、それとも昇っているのか、はたまた移動しているのはトンネル自身なのかもしれない。
ダリの「記憶の固執」に描かれているような、フニャフニャした無数の時計がトンネル内を行ったり来たりしている。おそらくここは、時の抜け道なのだと思う。過去から未来、未来から過去へと、永遠に続くトンネル。
しばらくすると、トンネルの壁が白く輝き始めた。これもいつもの兆候だ。なぜかしら、ミキは24時間に相当する距離だけトンネルを移動できるらしい。それ以上進むことはできず、トンネルは光に包まれ、やがて消え去ってしまう。気づくと、時間を遡った元の世界にいるのだ。
- 12 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:02
- トンネルを抜けると、そこは楽屋だった。
時計の針が1時間前を指している。
(辻ちゃんはどこだ?)
楽屋を見回すと、隅の方で加護ちゃんとマナカナシンクロトークの練習をしていた。
「まるで一卵性双生児みたい」がW(ダブルユー)のコンセプトなので、マナカナのようにトーク中にハモれるように、事前にいくつかの言葉とサインを打ち合わせしている。やはり、アイコンタクトだけでは限界がある。
「「ダブルユーでぇ〜す!」」
基本の自己紹介。サインはどちらか一方がもう一方の手に触れる。ダブルピースと共に発動。
「「そうですね」」
肯定の意。サインは加護が目を細める。Mステでタモさん相手に使用する予定。
「「ちがいますよー」」
否定の意。サインは辻が鼻の穴を膨らませる。お笑い芸人のツッコミを即座に一蹴。
「「松浦亜弥で〜す」」
あややのモノマネ。サインは加護がまばたき2回。振り付きだと尚良し。
他にも、鼻を触ったらミキティー、頬を膨らませたらコンコン、唇を尖らせたら亀ちゃん、鼻の下を伸ばしたら愛ちゃんなどなど、色々なバリエーションを身につけている。ゆくゆくは長文に挑戦し、平家物語の序文がハモれるぐらいを目指している。(使用する機会があるかどうかは分からない)
- 13 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:03
- そんな二人の様子を遠目に観察しながら、次の作戦を練った。
飯田さんが楽屋にいないときを見計らい、前回と同じ「辻のツボ」作戦を決行してもよいのだが、面白味に欠けるのも正直なところ。それに、飯田さんが楽屋を出て行く気配も無い。さっきからずっと、鏡に映る自分と睨めっこをしている。
壁に掛けてある衣装が目に入った。本番前に各々の衣装に着替えることになっている。
(・・・着替える、・・・・・・そうだッ!)
さすがはミキ、新たな作戦を思いついた。
「ダブルユーのお二人さん、ADさんが呼んでたよ。コメントを別撮りするんだって」
ミキの嘘にまんまと騙され、二人は楽屋を出ていった。ミキも楽屋を抜け出す。
トイレからバケツを持ち出し、水を一杯に溜める。そこに飲みかけのジュースを注ぎ入れる。これで準備完了。あとは階段の陰に身を隠し、辻ちゃんが戻ってくるのを待つ。
数分後、辻ちゃん加護ちゃんの話し声が聞こえてきた。手摺りから覗くと、二人が階段を上がってくる。
「おかしいね、なんだったんだろう?」
「美貴ちゃんが聞き間違えたのかな?」
10秒後、テレビ局内に二人の悲鳴が響き渡った。それを聞きつけ、メンバーもやって来る。みんなが見たのはズブ濡れの二人の姿。
「何があったの?」
遅れてやって来た振りをして、よっちゃんさんに訊ねる。
「誰かに上から水をかけられたらしいよ」
「うわぁ、酷いことをする奴がいるもんだね。誰だよ」
プンプン怒ってみせる。うん、演技も完璧。
- 14 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:04
- 辺りを窺いながらシャワー室に忍び込んだ。奥の方からシャワーの流れる音がする。
ロッカーに濡れた衣装が置かれている。ミキはこっそり近づき、辻ちゃんのチョーカーを探した。
(・・・おかしいなぁ、見つからないぞ)
いくら探しても見つからない。早くしないと辻ちゃんがシャワーを終えてしまう。
(あれ? このブラ・・・)
手に持ってみて異変に気づく。辻ちゃんのものにしてはサイズが大きい。自分の胸に当ててみる。余裕がたっぷりある。
(もしかして、これって・・・)
「美貴ちゃん、こんな所で何をやってるの?」
振り返ると、そこには梨華ちゃんが。その後ろには辻ちゃんの姿。
二人は、加護ちゃんのブラを胸に当てているミキを見て言葉を失った。
「・・・な、なにをやってるのかな、ミキティー?」
辻ちゃんはまるでヘンタイを見るかのような、蔑んだ眼をミキに向けてくる。
その視線に堪えられなくなり、ミキはその場から逃げ出した。
(ちくしょうちくしょうちくしょう)
こうなったらまた、アレをやるしかないようだ。
ポケットから小瓶を取り出す。
にゅるん
- 15 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:04
- 時計の針は更に1時間前を指している。
(辻ちゃんはどこだ?)
楽屋を見回すと、辻ちゃんはコンコン達と一緒に弁当を食べていた。いつものほのぼのとした風景だ。
ミキ、ちょっとだけ反省。「辻ちゃんズブ濡れ」作戦は、さすがに卑怯すぎた。バチが当たったのだろう。今度は正々堂々と勝負するつもりだ。嘘だけど。
「賭け? 何をするの?」
「あれを見て、あそこに変な銅像が立っているでしょ」
窓の外、庭園の外れを指差す。そこには、このテレビ局の初代社長の銅像が建てられている。
「あの銅像の所まで、どちらが先に着くか勝負するの。負けた方は相手の言うことをなんでもきく。どう?」
辻ちゃんは迷っている。足の速さは断然辻ちゃんなんだから食いつけよ。
仕方ないからさらに餌を撒く。
「楽屋を出たらミキは左、辻ちゃんは右に走る。これならどう?」
廊下を右に進むとエレベーターがある。それを使えばすぐ玄関に下りられる。しかし左にエレベーターは無い。階段だけ。どっちが有利かは小学生にも分かる。
「それならいいよ」
辻ちゃんはやっと乗ってくれた。
- 16 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:05
- 「よーい、ドン」
辻ちゃんのスタートダッシュ。廊下を右に走る。あっという間に彼方に姿を消した。
ミキも走る。廊下を左に。こちら側にはスタジオや倉庫が並んでいる。廊下を往く人を巧みに避け、懸命に走る。階段を通り過ぎたがそれでも止まらない。ミキは第三倉庫の中に入っていった。
確かにこちら側にエレベーターは無い。人用の普通のエレベーターはね。
倉庫の奥には資材用の大きなエレベーターがある。前に亜弥ちゃんと局内を探検していて見つけた。これを使えば、1階の裏口の近くに下りることができる。更に、銅像へは表玄関より裏口の方が近い。辻ちゃんは、まんまとミキの策略にはまったわけだ。
一方その頃の辻ちゃん。
天もミキに味方するのだろうか。エレベーターにあっという間にたどり着いたのだが、待てど暮らせどエレベーターが来ない。1分待っても来ない。仕方なく階段を使うことにした。不運にも、エレベーターの扉が開いたのはその10秒後だった。
- 17 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:07
- エレベーターで1階に下りたミキ。裏口を走り抜け、庭園に向かう。
反対側に辻ちゃんの姿は見えない。勝利を確信する。
銅像が目に入る。その距離30メートル。
・・・20メートル。
・・・10メートル。
あと少しでゴールだ。
ミキは満面の笑みで銅像に駆け寄る。
その時だ。
突然目の前の空間が光り輝いた。激しい光を放っている。眩しくて目が開けられない。
どこかで見覚えのある光景だった。そう、時のトンネルを抜けるときの光に似ている。
光は次第に衰え、中から一人の少女が現れた。
「つ、辻ちゃん!?」
光の中から現れたのは、なんと辻ちゃんだった。てとてと銅像に駆け寄ると、初代社長の禿げた頭にタッチした。
「やったー、のんが一番!」
呆然と立ち尽くすミキを見て辻ちゃんは一言。
「言い忘れてたけど、ののには空間移動能力があるのれす」
「ぎゃふん」
辻ちゃんはエッヘンと、ミキと同程度の無い胸を張った。
つられ、胸元のそれがキラリと光った。ミキの目から溢れ出た悔し涙も、負けじとキラリと光った。
- 18 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:08
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『チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている』
- 19 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:57
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- 20 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:58
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- 21 名前:19 チョーカーの行方 こんにちは、お嬢さんが掻き混ぜている 投稿日:2004/08/01(日) 23:58
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