50 すかいめろでぃー
- 1 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:40
- 50 すかいめろでぃー
- 2 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:46
- 目を覚ましたとき、外は既に薄暗くなっていた。
「おはよ」
声がした方を振り向くとのんちゃんがベランダから顔を出して微笑んでいた。
そっか……、昨日はのんちゃんのウチに泊まったんだっけ。
そんなことを思い出しながら、起きあがり少し背伸びをして、ベッドに腰掛けた。
「他のみんなは?」
「花火買ってくるって張り切って出て行った」
花火かあ…。そう言えばもうそんな季節かもね……。
「ジュース貰っていいかな?」
「いいよ、冷蔵庫から適当にとって」
冷蔵庫の中にあったコーラを取り出し、少しだけ口に流し込む。
ぴりぴりとした痛みがのどから頭の方へと伝わる。
何となくコーラを飲んでみたものの、この感触だけはどうにも慣れない。
ほとんど減ってないコーラを冷蔵庫に戻し、またベッドのあった部屋へと戻る。
- 3 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:47
- 「おかえり」
ドアを開ける音で私が戻ってきたことに気が付いたのか、のんちゃんは私に背中を向けたままそう言った。
のんちゃんの顔は、ずっと外に向けられたまま。
「何やってるの?」
つっかけのスリッパをちょっと乱暴めに穿き、ベランダへと出る。
「ん……ちょっとね」
いつもの明るすぎるほどの声とは違う感じのトーンで、のんちゃんが返事をする。
近くで見た彼女の目は、どこか切なげだった。その目は、ずっと一点を見つめたまま。
「夕日?」
のんちゃんの目線の先は真っ赤に燃える太陽へと向けられていた。
「……うん」
「綺麗だね〜」
私が見たままの感想を口にする。
「もう、卒業まで一ヶ月もないんだね」
全てが朱色に染まっていく世界の中、のんちゃんが言う。
「…早かったね」
「うん」
太陽は少しずつ沈んでいく。
- 4 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:48
- 「太陽ってさ、すっごくのんに似てると思うんだ」
「似てる?のんちゃんに?」
「うん、のんに似てるって」
少し意味を考えたけど、私自信が納得するような答えは見つからない。
「どういうところが?」
静かなベランダで、聞こえてくるのはのんちゃんの声と、扇風機が首を振る音だけ。
「太陽はさ……、一日の始まりに大きくなって、頑張って光を振りまいて、
昼になれば少し小さくなるけど、その小さな体ですっごい眩しな光を降らして、
夕方になったら、最後の大仕事にまた頑張って真っ赤に燃えるんだよ」
「うん」
「のんとそっくりなんだ、今は……最後の時に向けて必死で頑張ってる」
のんちゃんの目には、涙がたまってるように見えた。
「まあ、最後には沈んじゃうんだけどね」
そう言った後、のんちゃんは私の方に初めて顔を向けて、八重歯を見せて悲しそうに笑った。
彼女の下ろした髪に赤い光が反射する。
部屋の中においてあった花瓶はキラキラと輝く……
- 5 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:48
- 「でも……」
その沈黙を破ったのは、私の声だった。
「確かに、日は沈んで夜になるけど、光を残していくんだよ」
「……え?」
のんちゃんは少し不思議そうな顔で再び私の方を向いた。
その頬には、既に涙の後が一筋出来ていた。
「のんちゃんが太陽なら私は月だと思う。太陽よりも目立たないけど、ふわふわって動いて、時々頑張ったりするの」
「つき……?」
「月って何で綺麗に光るか知ってるよね?沈んだ太陽が後ろから照らしてあげてるからなんだよ」
「うん………」
「のんちゃんには安心して卒業していって欲しい。でもね……沈んじゃった後も、私に光を当てて欲しいよ。『モーニング娘。の辻希美』って言う太陽として」
「光を……?」
「うん」
その私の言葉に、のんちゃんは戸惑っていたのか、それとも受け入れようとしてくれていたのか。
それは分からなかったけど、のんちゃんはまた静かに夕日の方へと顔を向けた。
「モーニング娘。の辻希美……か………」
- 6 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:49
- 私……何言ってるんだろう?
これはのんちゃんを慰めるために出た言葉?それとも、私の本心だったんだろうか?
自分でも、分からなかった。
「分かった」
のんちゃんは手すりに手をかけて、グッと身体を伸ばした。
「のんが『Wの辻希美』としてまた顔を出すまで、あさ美ちゃんのために頑張ってあげる♪」
「のんちゃん……」
その顔は、またいつもの明るい笑顔に戻っていた。
「でも〜、私がまた新しい太陽として顔出したその後は、自分で頑張って光るんだよ!ねっ!約束!指切り!」
私の前に可愛らしい小指が差し出される。
「う、うん!」
私はその指に、強く…強く私の指を絡ませた。
「あ!あさ美ちゃん起きてた〜!」
その声にベランダの下を覗くと、加護ちゃんがビニール袋を手にして手を振っていた。
「のの〜、降りてこ〜い!花火げっとしてきた〜!」
「うん!今行く!」
スリッパを乱暴に脱ぎ捨てた彼女は、私の手を強引に引っ張った。
「行こっ!あさ美ちゃん!」
「うん!」
もう、のんちゃんの目から涙は消えていた。
- 7 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:49
- まだまだ弱い私ですけど、いつかあなたのように自分の力で光ることが出来るようになれる日が来るまで……。
よろしくお願いしますね?のんちゃん♪
- 8 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:49
- のの
- 9 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:50
- ののの
- 10 名前:50 すかいめろでぃー 投稿日:2004/03/21(日) 23:50
- のののの
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