33 さいごの太陽
- 1 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:35
- 33 さいごの太陽
- 2 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:35
- 「メグ。ほら、何か食べないと……」
「いらない。何も食べたくない」
「メグ!」
「ごめんさない。ヨシザワさん……」
やれやれといった表情で、金髪の女性がうでを組みました。
ベッドの女の子は、ふとんを頭までかぶっています。
白いかべ、白い天井、白いベッド。
せいけつ感あふれるその部屋に、オレンジ色の光がさしこみました。
金髪の女性がカーテンをあけたのでした。
- 3 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:36
- 「夕陽がきれいだね」
「……あのお日さまが沈んだら、メグの命もなくなっちゃうの」
女性はためいきをつきました。
女の子は、命にかかわる病気にかかっているのではありません。
かぜをひいて熱をちょっと出しただけです。
ところが、お医者さまがとなりの病室の、今にも天に召されそうなおばあさんの家族にした話を耳にしたのでしょう。
それを自分のことだと勘ちがいしているようです。
- 4 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:37
- 女性はとほうにくれてしまいました。
このまま太陽がしずんでしまうと、もしかしたら本当に女の子が死んでしまうかもしれないと思ったのです。
それくらい女の子は元気をなくしていました。
しかし、病室から見えるあのかべに、太陽の絵を描くわけにもいきません。
「よーし」
- 5 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:38
- 金髪の女性は窓をあけました。
かすかにあたたかい風が部屋にしのびこんできます。
女性は黒光りするバズーカ砲をかたにかかえました。
砲だんを太陽の下のぶぶんに当てて、上のほうに動かしてやろうというわけです。
「いっけー!」
ズドンと、重くひびく音がしました。
女性の計算では、太陽は逆回転しながら上にはねるはずでした。
ところが、しょう準がわずかにずれていたのでしょう。
砲だんは太陽のまん中に命中してしまいました。
いたみにこらえきれなかった太陽は、力なくしゅるしゅると落ちてしまいました。
- 6 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:38
- 窓の外はまっくらです。
金髪の女性はゆっくりとふりむきました。
「えっと、その。ほら、お日さまは、あしたになったら、元気なすがたを見せてくれるよ、きっと……」
女の子はふとんをかぶったまま、すすり泣いていました。
- 7 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:39
- よく朝、金髪の女性が病室に入ると、そこはまっくらでした。
でん灯のスイッチを押そうとして、やまめした。
「メグ。起きようよ」
ふとんをはぎ取ると、女の子はうつぶせになり、マクラに顔をうずめました。
「今日もいい天気みたいだよ」
- 8 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:40
- 女性が窓をあけると、ぎん色の光が入ってきました。
ところが、ちょっと様子がおかしいようです。
「あれ?……ね、メグ」
「ん?」
女性が天をゆびさしました。
太陽のまん中に、あながあいていました。
きのうの、砲だんのいきおいがちょっと強すぎたようです。
なんだかこちらのほうをにらんでいるように見えます。
- 9 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:40
- 「ごめん、ほんとごめん。今度やるときは手かげんするから」
女性は両手でおがむようにして、頭をぺこぺこ下げていました。
それをじっと見ていた女の子は、にっこりほほえんで、窓辺によってきました。
「メグ?」
「ヨシザワさん。ほら、あのお日さま。ベーグルみたいだね」
ぐーう、と、おなかのなる音が部屋にひびきわたりました。
- 10 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:41
- おわり
- 11 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:41
- (0^〜^)<ことわっておくと
- 12 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:41
- (0^〜^)<…… ( ‐ Δ‐)
- 13 名前:33 さいごの太陽 投稿日:2004/03/18(木) 19:42
- (0^〜^)<この人ではない
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