26 斜陽戦隊サンライズ
- 1 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:09
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26 斜陽戦隊サンライズ
- 2 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:17
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国家の秘密組織として20年前に作られ、
運に陰りの見えはじめた人を救うため、全力で駆けずり回る、斜陽戦隊サンライズ。
いまいち業績上がってないものの、戦隊ものファンが上層部に多いためか、
予算もばっちり降りてきてて、解散の気配はまったくない。
- 3 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:19
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「おはようございます。ライズレッド」
そう呼ばれた、ライズレッド、こと藤本美貴は、
心底いやそうな顔をして、呼んだ相手をにらむ。
相手は藤本より先に来て、すでに所定の席に座り、戦闘態勢。
「その呼び方やめてくれるかいライズネイビー」
「規則ですから」
「そうかいライズネイビー」
「藤本さ、ライズレッド、会議で怒られてたじゃないですか。ちゃんとネームで呼べって」
「だよねライズネイビー」
「……ネイビー連呼しないでください」
ライズネイビーこと紺野あさ美は、小声で藤本に言い返した。
藤本は笑う。
「紺野だっていやなんじゃないの?」
「本音言えば、そうです」
「だよねー」
- 4 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:23
- 不謹慎な会話をするサンライズの二人。
ライズレッド藤本とライズネイビーこと紺野は、ほんとは今日は非番だったのだが、
ボスである太陽総司令の、
「む、いやな予感がする! 全員で任務にかかるのじゃ!」
という一言で、急遽呼び出されたのだ。
「あーあ、ダルネ・レイス3、進めようと思ったのに」
「それって、またRPGですか?」
「そうだよ。名作の3だからね。期待通り面白い! 忙しくて、進んでねーんだよなー」
「そうですか」
「紺野は? なんか予定あった」
「はい。一人で温泉行こうと思ってたんですけど、キャンセルです」
「うぜーなあ。仕事」
「まあ、アンラッキーな人のためですから」
「総司令の予感もあてになんないからなあ」
「今回は相当なレベルの『低運圧』が来てるらしいですよ」
「そうなの?」
「はい。『運気予報』でいってました」
「そっかー。じゃ忙しいかもなー」
そう言って背伸びした藤本の頭上で、
ビーーーウーーービーーーーウーーーー!
- 5 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:24
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赤いランプのアンラッキーシグナルが光った!
「うわ、出動だ」
「行きますか」
二人が席を立ちあがると、後ろのドアがぴしゅーーんと開いて、
サンライズのメカニック担当、ライズピンク、こと石川梨華が姿を現した。
天然まじりの石川が、なぜミスの許されないメカ担当なのかは謎なのだが、
上司であるボルトメカ部長が石川を気に入ってるからだ、
という噂が隊内に流れている。
「ごめんごめん! いまのなし!」
石川はそういうと、はしごを使って天井のアンラッキーベルを止める。
- 6 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:25
- 「は? なに、どういうこと?」
キレかかっている藤本の前で、石川が申し訳なさそうに縮こまる。
「あのね、さっき点検してて鳴らしちゃったの……」
「おいおい」
「きょうすっごい低運圧来てるって言ってたから、ちゃんと動くかどうか気になって」
「このバカ!」
そう言って、藤本は石川のケツを蹴る。クリーンヒット。
「いた! 仕方ないじゃん! 仕事してたんだもん!」
「うっさい! だいたいピンクきもいんだよ! 目にうるさいんだよその格好!」
藤本が指さしたライズピンクの戦闘服は、石川の特注でほとんど真ピンクな使用。
藤本や紺野の、銀ベースにカラーの線が入ってるのとは全然違う。
「いいじゃん! 好きな格好したって! あーあ、今日はアンラッキーだなあ……」
「おまえのミスだろ!」
- 7 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:27
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「なにケンカしてんですかーもー」
そこへまた、プシューーーとドアが開いて、ライズブラウン、こと小川麻琴が、
基地に入ってきた。小川は決して望んでこの色になったわけではない。
斜陽戦隊サンライズを組織するときの委員会で、委員長が悪ふざけ好きな人だった。
そして一色だけおかしな色として、ブラウンカラーをごりおして採用した。
そしてサンライズメンバーのカラーチョイスの際に、
小川は一人、風邪を引いて欠席してしまったため、
残っていたこのブラウンになってしまったのだ。
アンラッキーを救うはずの斜陽戦隊サンライズにおいて、
はなっからアンラッキーだった小川麻琴。
彼女の資質は大丈夫なのかな……、と藤本が心配してると、
プシューーー
- 8 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:28
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サンライズメンバー5人のうちの最後の一人、ライズブラックこと亀井絵里が、
あせあせと黒髪をまとめながら入ってきた。
「あれ、皆さん出動してないんですか? アンラッキーベル鳴ったのに」
「ピンクが間違えて鳴らしたんだよ! ライズピンクが」
藤本が大きめの声で、石川をあえてピンク呼ばわりしたのだが、
石川はカラーで呼ばれることがむしろ嬉しいらしく、ごめんなさーい、とカワイコぶってる。
「なんだ、そうだったんですかー」
亀井はくすぐったそうに笑った。
- 9 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:29
- と、そこへ基地の大型パネルに太陽総司令の顔が大うつしになった。
「ばかもーーーーーん!!」
あまりの大きな声(というかスピーカーボリュームがでっかかった)、に、
耳を押さえる、サンライズの5人。
「運圧が500ラックを下回る時は、各自判断して行動する非常自体、
『超低運圧期』じゃろうが!
500ラック以下じゃと、基地の低運圧防護壁もその意味をなさんのじゃ!
そんな状態じゃから、今までわしの通信もアンラッキーで途絶えとったんじゃー!
さっさと出動して、街の不運をすくってこーーーい!」
5人は急かされて、あたふたと出動した。
と、紺野と小川がサンライズ七つ道具をうっかり忘れてしまったようで、
また基地に戻ってきた。そして再びあたふたと出動する。
おそるべし、超低運圧。
- 10 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:30
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とりあえず街に出てきたはいいものの、事件らしい事件に遭遇しない5人。
仕方ないので五人でぶらぶらと繁華街を歩く。
一般人の目を欺くため、戦闘服の屈折率変更機能で普通の服に見せている。
「ないねー、事件」
と、石川があたりをきょろきょろしながら言った。
「でくわさねーんじゃねーの? だってそのほうがうちらにとってアンラッキーだもん」
藤本があくびしながら答える。
「でも、どうっすかねー。このまま仕事なかったらラッキーじゃないですかあ?」
小川が間延びしたように、言った。
「あ、それはそうかも」
「でしょー!」
小川が陽気にそういう横で、亀井が一人考え込んでいる。
その様子に気づいた藤本が話しかけた。
- 11 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:30
- 「どしたよ。亀井」
「あ、えっとですね。仕事がなかったら、私達、まあラッキーですよね」
「だね」
「でも、ちょっとした仕事があったら、それはサンライズにとってラッキーですよね」
「そうだね」
「って考えると、厄介ででっかい仕事があったりすると、アンラッキーじゃないかなと」
亀井はさらに考えに沈む。先頭を歩いていた紺野がぴたっと足を止めて、言った。
「……当たりだね」
「はい?」
「亀井、正解」
紺野はそう言うと、繁華街の通りの先にあるファッションビルのほうを指さす。
なんとそこには、超低運圧によって発生した不運の具現、
赤や緑の派手な色した怪獣が大きな姿を晒していたのだ!
- 12 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:31
- 「な、なんじゃありゃーーー!!」
と、藤本が叫ぶ。
「うっそーーーーーーーーー!!」
と、石川がたっかい声を出した。
「どっひゃーーー!!」
と、小川が腰を抜かした。亀井がその小川を支えながら、
目にうるさいカラフルな怪獣の姿に驚いて、ぽかんとしている。
「アンラッキーモンスターですね。私も見るのは初めてです」
紺野がえらく冷静に受け答えた。
「あ、あさ美ちゃん、落ちついてるね……」
と、小川が言った。
「過去の報告書で見た。ちょうど10年前、超低運圧期があったときの」
「ど、どどうすればいいんだよ!」
焦る藤本の目の前で、アンラッキーモンスターは、若者に人気のファッションビルの
外壁をちぎっては食べちぎっては食べ、ときどき足を踏み鳴らし、
その揺れが5人のところまで伝わってきている。
- 13 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:32
- 「10年前の報告によると……」
と紺野は言いながら胸元に手をやり、サンライズ七つ道具の一つである、
『強運のペンダント』を握ると、額に持ってきて祈るポーズ。
「祈り、です」
「え、まじで?」
藤本は祈る紺野を見て、驚いている。紺野が返事もなく真剣に祈っているので、
仕方なく自分も、両耳につけている『烈運のピアス』を握って、祈る。
二人に習って、石川も自分のつけている『激運ブレスレット』を外して両手で握り、
小川も『発運の指輪』を外して両手で包み、
亀井も『覇運のチョーカー』に両手をかざして、それぞれ祈った。
するとどうだろうか。
あれほど元気に暴れていたアンラッキーモンスターの姿が、
みるみるしぼんでゆくではないか!
- 14 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:33
- 「「おおーーーーーーーーーー!!」」
それを見て歓声を上げる5人。ファッションビルの近くへ駆け寄ると、
すでに人だかりができていた。この! とか おりゃ! とか、
氏ねこら氏ねこら! とか品のよろしくない声が聞こえてくる。
5人は人だかりの中をのぞいた。
そこには、タヌキぐらいの大きさになったアンラッキーモンスターが、
街のみんなに足蹴にされている光景があった。
「……自業自得だな」
藤本の漏らした言葉に、他のサンライズ4人も、深くうなずいた。
- 15 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:35
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後日。
亀井と紺野が基地の休憩室で、ココアとお茶片手に話している。
「紺野さん」
「ん?」
「こないだの事件、わたしなりに考えてみたんですけど」
「うん」
「アンラッキーモンスターがちぢんだのって、わたし達の祈りもあったろうけど、
結局は『超低運圧』でアンラッキーモンスターもアンラッキーだった、
ってことになるんじゃないでしょうか?」
「なかなかいい考察だねー」
「えへへ」
「私もだいたい同じようなこと考えてたんだ。
今度の報告書一緒に書こうか」
「はい!」
ビーーーーウーーーービーーーーウーーー!
- 16 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:35
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休憩室の警報が鳴り、青いランプのハイラッキーシグナルが光った!
赤いランプのアンラッキーとは違い、今度は青いランプのハイラッキー。
高運圧によるラッキーすぎも国民にとっては良くないため、
それを抑える役目もサンライズの仕事なのだ。
紺野は、お茶を飲み干すと、紙コップをくしゃっとしてから、
遠くのゴミ箱目がけて投げた。吸い寄せられるように、紙コップはゴミ箱にIN。
紺野は微笑む。
「さすが高運圧だね」
「ですね」
「じゃ、行くよ」
「はい!」
ゆけ! 斜陽戦隊サンライズ! ――――おわり
- 17 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:37
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斜陽戦隊サンライズ テーマ曲 〜GO! サンライズ〜
チャリカギ側溝に落としてしまった
買い物行ったら財布にゃ金ねえ
こんなとき どうしよう? 誰も助けてくれないの
お星様 女神様 どうか私に救いを
(お待ちなさい!)
われらの出番だサンライズ
太陽パワーで全て解決
ゆーけーゆけゆけサンライズ
鬱にしーずむ 国民(ひと)のたーめー
テストのやまかけ外してしまった
デートに行ったら相手ブサイク
こんなとき どうしたら? どぅにもならない泣けてくる
お父さん お母さん だめな娘でごめんね
(何を言う!)
どんとまかせてサンライズ
太陽パワーで幸せ補給
どーだーどだどだサンライズ
闇をくーずす 日のひかーりー
- 18 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:38
- (−人−)
- 19 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:38
- (−人−)
- 20 名前:26 斜陽戦隊サンライズ 投稿日:2004/03/17(水) 06:38
- (−人−)
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