15 卒業後
- 1 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:47
- 15 卒業後
- 2 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:47
- 今、目の前で亜弥ちゃんが怒っている。
向こうが怒ってるんだからもちろん悪いのはミキだ。
- 3 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:48
- 今年高校を卒業をしたミキは、卒業式のあったその日に携帯を買い替えた。
理由はなんとなくそんな気分になったから。
そして卒業式の二日後には一人暮らしを始めた。
大学は通おうと思えば通えない距離ではなかったし、まだ入学式は先なので早いのだが、せっかく卒業したのにいつまでも地元に居たくなかった。
亜弥ちゃんが怒っているのはこの二つについてだ。
- 4 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:48
- 亜弥ちゃんとミキは同級生だった。
結構、いやかなり仲が良かったはずだ。
ハグや挨拶代わりの頬へのキスはいつものこと、時には口になんてこともあった。
亜弥ちゃんはよく泣く子で、友達とケンカしたり親に怒られた時などしょっちゅう涙を流していた。
もちろんミキが泣かしたこともある。
そして、それを慰めるのはミキの役目になっていた。
…それが例え自分のせいだったとしても
一度亜弥ちゃんに切れたことがある。
亜弥ちゃんは一時期情緒不安定なのか、毎日の様に泣いてる時があった。
そのときも慰めるのはミキなわけで、いい加減疲れてたんだと思う。
いつまでも泣いている亜弥ちゃんに『勝手に泣いてれば』といって突き放してしまったのだ。
ミキは亜弥ちゃんを置いて家に帰った。いや正確には帰ろうとした。
…しかし心配になって、結局10分ほどで亜弥ちゃんのところに戻ってしまった。
そして戻ると亜弥ちゃんはさらに泣いていた、今度はミキに嫌われたかもしれないという理由で…
ミキはそのことがあってからは亜弥ちゃんに頭が上がらなくなってしまった。
亜弥ちゃんを傷つけたという負い目もあったし、なによりもう泣いて欲しくないと思ったからだ。
きっとミキはこの時から亜弥ちゃんが好きだった。
- 5 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:48
- 今の亜弥ちゃんはあの頃より強くなった。
もう泣くことも無い。甘えてくることも少なくなった。
ミキには飽きたんだろう、そりゃ女同士でいちゃいちゃするなんておかしいことだもんね。
…彼氏が出来たんだから。
ミキはもう用済みだろう。
これ以上亜弥ちゃんの相手するのはごめんだ。
わがままで、いつだってミキを振り回して…もう疲れた。
卒業した時、これで亜弥ちゃんから開放されると思った。
だから携帯を替えた。
住む場所を替えた。
…そして教えなかった。
仲の良い友達が連絡先を教えてくれなかったらそれは怒るだろう。
…それが明らかに故意であったら。
- 6 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:49
- 「なんでここの場所分かったの?」
「…おばさんに聞いた。」
怒りながらも答えてくれる。
「携帯と家、いつ気付いた?卒業式から三日、予想通りだね。」
「!!何でそんな普通に聞いてくるの?!卒業式に携帯壊れたって言うから家の電話で話してたじゃん。
新しいの買ったら教えてくれるって言ったじゃん!
なのに昨日電話したらおばさんに美貴たんはもう一人暮らし始めてるから家にはいないとか言われて…
何で言ってくれなかったの?!いつでも言えたでしょ?私凄い傷付いたんだから!!」
凄い剣幕で言い立てる。
「そんなに怒んないでよ。何でミキが亜弥ちゃんに教えなかったか教えてあげるからさ。」
「なによ!!納得のいく理由があるって言うの?!」
「あるよ。納得いかなかったら亜弥ちゃんの言うことなんでも聞いてあげる。
殴りたかったらいくらでも殴ってくれて良いし、亜弥ちゃんがしたいって言うなら絶交してくれても良いよ?」
意地悪そうにクククッっと笑う。まるで亜弥ちゃんをバカにしてるように。
「……」
亜弥ちゃんはフルフルと肩を震わせて聞いている。
- 7 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:49
- 「亜弥ちゃん今日彼氏とデートじゃなかったっけ?」
「その予定だったよ。美貴たんがこんな事しなかったらね。それが何?そんなことより早く理由を聞かせてよ。」
もう怒鳴るのはやめて冷戦に持ち込むようだ。
「『そんなこと』って、ミキにとっては重要なことなんだけどな。
亜弥ちゃんが彼氏を選ぶか。ミキを選ぶか。」
「どういうこと?」
訝しげに尋ねてくる。
「つまり亜弥ちゃんの中でどっちのランクが上か知りたかったの。
それでもしミキが勝ったら伝えたい事があった。」
「…何?」
「ミキが亜弥ちゃんとの縁を切ろうとした理由。それは亜弥ちゃんのことが好きだからだよ。
いつも彼氏の話とかされると凄い苦しかった、胸が痛くて、聞いてるのがつらかった。
だからミキはこんな気持ちになるくらいならいっそ亜弥ちゃんの前から消えようと思ったんだ。
自分がこんなに嫉妬深いと思わなかった…」
- 8 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:50
- 「…うそ」
「嘘じゃないよ。
ミキは亜弥ちゃんが今日来てくれなかったら本当に二度と連絡をとらないつもりだった。
これは賭けだったんだ。
でも亜弥ちゃんは来てくれた。例え友達としてでも凄く嬉しかった。だから返事を聞かせて欲しい。
もちろん振られても亜弥ちゃんが望むなら今までどおり友達でいるよ。」
言い終わると亜弥ちゃんは泣きながらミキに抱きついてきた。
「あ、亜弥ちゃん?!」
しばらくたってもなかなか泣き止まない。
「亜弥ちゃん。大丈夫?」
言いながら頭や背中をなでてあげる。
「…ふぇーん!良かったよー。美貴たんに嫌われたかと思って凄く怖かったんだから―」
なんか昔もこんなことがあったような。
「ごめんね。大好きだよ?こんなに人を好きになったの初めてなんだ。こんな方法しか思い浮かばなくてごめん。」
どうしても亜弥ちゃんに泣かれると弱いんだよな…
こんな作戦考えても結局亜弥ちゃんから離れられないんだなミキ。
- 9 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:50
- 「…やだ。許さない。」
「じゃ、じゃあどうしたら良い?」
「勝手にいなくなるなんて許さない。…一生、私の傍にいて」
「え?…それって。」
「分からない?」
「うん。…ミキまだ亜弥ちゃんに返事聞いてないよ。」
亜弥ちゃんは寝転がって窓の外を見た。
ちょうど太陽が沈んでいくところで空は真っ赤に染まっていた。
「昔こんな空のときに一緒に帰ったよね。」
不意に亜弥ちゃんが喋りだした。
「部活で遅くなった時?」
ミキも亜弥ちゃんの横に寝転がりながら答えた。
「うん。あの時美貴たんが空見上げて『きれー』とかいっててさ。
その後私がなんていったか覚えてる?」
亜弥ちゃんがこっちを向いたのでミキも亜弥ちゃんのほうを向いた
夕日のせいか顔が真っ赤だ。
…きっとミキもだろうな。
- 10 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:50
- 「えーと、ミキが好きーみたいなことだっけ?しょっちゅう言ってたじゃん冗談で。」
「冗談じゃないよ。あの時美貴たんが空見上げてるの見て、気付いたらそう言ってた。無意識のうちにだよ。それって凄くない?
自分でも気付かないうちに好きっていう気持ちが膨らんでたんだよ。
でも気持ち気付かれるの怖くて冗談で誤魔化してた。いままでずっと。
ごめんね。みきたんのこと傷つけてたね。
好き。本当に。美貴たんが大好き!」
手を握りながら言ってくれた。
「亜弥ちゃん、ミキも亜弥ちゃんが大好きだよ。むしろ愛してる!」
- 11 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:51
- …
- 12 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:52
- 「ところで亜弥ちゃん彼氏は?」
「ああ、とっくに別れてるよ。」
「え?ずっとミキにのろけてたじゃん。」
「あれは美貴たんがヤキモチやかないかなーと思って言ってただけ。作り話だよ。」
「なっ?!ミキがどれだけつらい思いしたか分かってるの?」
「まあまあ、そのおかげで素直になれたんだし。いいじゃない。」
「全然よくなーい!!」
「もう分かったよ。じゃあ私が傷付いた心と体を癒してあ・げ・る♪」
「ちょっ?!何するの?体は関係ないし!」
「まあまあ。一心同体っていうじゃん?」
「いや、一心同体の使い道違うし!ちょっ!脱がさないでよ」
「…そんなに嫌がると泣いちゃうよ?」
「そ、そんな涙目にならないでよ。……どうぞ好きにしてください。」
…女の涙は怖いです。
ガクガクブルブル
- 13 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:54
- ミキは一生亜弥ちゃんの涙を拭い続けるからね…
- 14 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:54
- おう!
- 15 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:55
- わあ!
- 16 名前:卒業後 投稿日:2004/03/15(月) 05:55
- リメンバー!
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