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 25 ファーストタイム

1 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時36分07秒

 25 ファーストタイム
2 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時41分52秒
  
    「愛の種」

 長女の裕子の結婚がようやく決まった。

次女の彩はすでに結婚して子供がいる。

3女のなつみと4女の圭織はOL。

5女の圭は短大生。

6女の紗耶香と7女の真里は女子高生。

末娘。の明日香は中学生。


彩 「ホント、姉さんの結婚が決まって良かったわ」

圭 「だよね〜、36回もお見合いしたかいがあったよね〜」

紗耶香 「三十路を目前にして、あせりまくってたもんね〜」

圭織 「あの人、杉本さんって優しそうじゃない」

なつみ 「だよね〜、それに面白そう」

明日香 「あたし、あんまり好きじゃない!なんか
     スケベそうじゃない〜」

真里 「おいらもあんまり好きくない、目がいやらしい!」

裕子 「てめーら!勝手なことを言うんじゃない!!
    たかふみさんは、圭織やなっちが言うように、
    優しい人なんよ〜!」
3 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時45分26秒
 
    「夢の中」

彩 「姉さん、うちの人浮気してるんじゃないかと
   思うの・・・この頃帰りも遅いし」

裕子 「そんなことあらへんって!旦那は優しい
    人じゃないの・・・」

彩 「結婚した頃は優しかったけど、最近は仕事も
   しないでプラプラしてばっかりよ・・・。
   私、また働こうと思うの。
   結婚なんてするもんじゃないわ、
   夢なんて、すぐさめてしまうのよ・・・」

裕子 「・・・・」

彩 「あら、ごめんなさい。これから結婚する人が
  いたわね。でも、男なんてどれも同じよ。」

裕子 「違います!たかふみさんはれっきとした
    証券会社の社員で、優しい人です!」
4 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時48分01秒

     「未来の扉」


「あ〜、なつみさん、後で私の部屋に来るように」

「はい、部長・・・」

なつみは、部長の前に神妙に座った。

「・・・悪い噂を聴いてるよ。何でも君の課の
課長と不倫してるそうじゃないか!」

「してません!」

「ウソをつくんじゃない!社内でも評判だよ、
妻子持ちの上司と関係を持つなんて、なんたる
不祥事だ!すぐ別れなさい!」

なつみは、きっと顔を上げて部長を睨んだ。

「いくら部長だからって、プライベートに口を
出さないでください!」
5 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時52分15秒
「生意気言うんじゃない!普段おとなしいふりをして
実は男を咥え込むなんて、とんでもない女だ!
このまま不倫を続けるなら会社を辞めてもらうよ!」

なつみは、部長に近づくとその襟を締め上げた。

「お〜、上等じゃね〜か!いつも女子社員のケツや
胸を触りまくっている、セクハラ部長の言うことか!」

「ヒェ〜!苦しい!君はあの何を言われてもニコニコで
笑顔のなつみさんじゃないのかー!」

「違うさー!もう、てめ〜らに指図されるのは飽き飽き
したんだべさー! こんな会社辞めてやるー!!」

なつみは、部長の股間を思い切り蹴り上げると、
部屋を飛び出した。

「これからは、私ひとりで生きて行くんだ。」
6 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時54分22秒
     「どうにかして土曜日」


 課長が圭織を呼んだ。

「君ね〜、何度言ったらわかるんだ、子供でも
わかる間違いばっかりじゃないか。」

圭織は黙って頭を下げるばかりだった。

圭織は分厚いレンズのメガネをかけて、髪の毛も
無造作に後ろでくくっただけだった。

「また課長が圭織さんが何も言えないのをいいことに
ねちねちといじめてるわよ。」

と、女子社員が言った。

「こんなこっちゃ仕事にならん、今日も残業してもらうよ」
と、課長。

「すみません、今日は残業出来ないんです。来週なら
いくらでも残業します・・・」

圭織は言った。

「圭織さん、土曜日だけはさっと帰るわね。」
7 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時56分57秒
 とある繁華街のキャバクラ。週末だけに
にぎわっている。

「あら〜、寺田さんいらっしゃい、久しぶりね〜、
いい子が入って来てるのよ〜、うちのNO・1よ。」

その娘。がその年配の客の隣に座る。

その娘。は髪の長い、超ミニのスカートから伸びた
脚がセクシーな美人だった。

「名前は何ていうの?」

「・・・ジョンソンです」

「ジョンソン!?それにしても綺麗な脚だね」

と言って、男は彼女の太腿を触る。

なぜか、彼女は顔をそむける。

男は、彼女の肩を抱き寄せてなおも触ろうとする。

「ダメ・・・もう止めて、お父さん。」

圭織はメガネをかけて見せた。

「エエッー!!、お前は圭織なのかー!!」

父は、驚いてソファーから転げ落ちる。

8 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)19時58分41秒
      「サマーナイトタウン」


 いつものように、圭は夜になると居酒屋へ
足を運ぶ。

圭が1人で酒を呑んでいると、男が声をかけて
くる。

「お1人ですか。」

「ひとりだよ。」

「1人なら僕と一緒に話しませんか。」

「うるさいから、あっち行って!」

それから、次々に男が声をかけて来る。

「お1人なら、これから僕と海を見に行きませんか」

圭は、ぐいっと酒を呑むと言った。

「うるさ〜い!私はお酒を呑みに来たの!」
9 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時01分31秒
       「モーニングコーヒー」


 紗耶香は朝の日差しに眼を覚ました。

隣には男が寝ていた。

「お早よう〜」

男が眼を覚まして起き上がって、煙草を咥えたので、
紗耶香はライターを手に取って火をつけて上げる。

男がポツリと呟いた。

「なあ、もうやめないか。こんな事・・・」

「どうして?怖くなったの、意気地なし」

「学校にバレたら俺は確実に首だよ・・・」

紗耶香はベッドから降りると、湯を沸かし、
コーヒーを入れる。

カップをふたつ用意して、コーヒーを注ぐ。

そして、制服を身につけ出す。

着終わって、コーヒーをひと口飲むと、
陽気に言う。

「先に行くわね。遅れないで来るのよ、先生!」
10 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時03分11秒
       「ワガママ」


 日曜日、真里は友達と都心に遊びに出かけて、
散々遊びまわった末、遅くなったので帰りはタクシーを
つかまえることにした。

友達と別れた真里は、一台のタクシーを止めた。

「すいません、横浜まで。」

40歳ぐらいの運転手は、ジロリと真里を見た。

タクシーを発車させながら言う。

「お嬢ちゃん、ちゃんとお金は持ってるのかい」

「お金ぐらい持ってます!いったい私をいくつだと
思ってるんですか!」

「ヘッ、小学生じゃないの」

真里は体が小さい上、服はヒラヒラがついた
子供っぽいのを着ていた。

「おいらはこれでも高校生です!!」
11 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時04分58秒
「へえ〜、見えないね〜、でも女の子が夜遅く
どこをほっつき歩いてたのかね。親が心配するよ」

「よけいなお世話です!もういいです!降ろして
ください!」

「そりゃあ、降ろせと言うのなら降ろすけど、
しかし、近頃の女子高生は生意気な口を聞く
もんだな、親の顔が見て〜や。どんな
教育をしてんだかわかりゃしね〜や」

「ちょっとォ〜!てめェーに親の悪口を言われる
筋合いはないんだよ!ふざけるんじゃないよ!」

「おー!怖えーなァ!脅かす気かい、警察を
呼ぶぞー!」

「上等じゃない!呼んでもらおうじゃないの!!」

真里は、完全に頭に来て後ろから運転手の首を
締める。

「ギャアッー!!、タクシー強盗だァー!!」

タクシーの上の警告灯が赤く点滅し、折りよく
近くにいたパトカーが運転手の悲鳴を聞きつけて
タクシーの前に止まり、バラバラと警官が降りてくる。
12 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時07分22秒
       「ウソつきあんた」


 姉妹の母親が受話器に向かって、ペコペコと頭を
下げた。 

「はい、娘。には、きつく言っておきます」

警察からの電話だった。

「ホント、真里の気が強いのには困ったものね〜」

父親もあきれて言う。

「警察も、タクシーの運転手と大ゲンカして強盗と
間違われたのが、可愛い女の子だったと知って
驚いただろうな・・・」

「今日は、裕子の婚約者の杉本さんが来る日なのに
まったく縁起でもないわね」
13 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時08分51秒
 その日の夕刻、フィアンセの杉本が裕子と共に
寺田家にやって来た。

「今日、たかふみさんとウェディングドレスを見てきたの」

裕子は幸せそうな笑顔で言った。

「そうなの〜、良いのがあったの」

「はい、裕子さんが気に入ったのを注文しました」

杉本も笑顔で言った。笑うと、歯がこぼれる。

2人の幸せそうな姿に両親は目を細めた。

その時、末娘。の明日香が帰って来た。

明日香は、杉本の隣にペタンと座った。
14 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時10分44秒
「裕子姉さんと結婚したら、杉本さんは私の
お兄さんになるんだね、私の上はお姉ちゃん
ばっかりだからお兄さんが欲しかったの〜」

と、明日香は杉本に甘えてみせる。

「いや〜、僕も明日香ちゃんみたいな可愛い
妹が欲しかったんです」

杉本は頭をかきながら言う。歯が白く光る。

「妹なら、裕子の下には明日香を入れて
7人も居ますよ、ハハハハ」

と、父が笑って言った。

「いや〜、嬉しいです〜」

「まっ、たかふみさんは妹達が目当てで私と
結婚するつもりなんですか!」
と、裕子。
15 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時12分42秒
 いや!めっそうもうないですよ!」

あわてて杉本は言った。

明日香が杉本の腕に寄りかかる。

「杉本さんは、もてるだろうから過去に恋人が
いっぱい居たでしょ。」

と、明日香が聞く。

「いや〜、それは・・・」

それを聴いた裕子の目がキラリと光る。

「どうなんですか!たかふみさん・・・」

「とんでもない!裕子さんが初めての恋人です!
一緒にモーニングコーヒーを飲んだのは、
裕子さんだけです!!」

「ウソだ〜!、きっといっぱい居たはずだよ〜〜!
そして、一緒にモーニングコーヒーを飲もうって
誘ったんだ〜!このスケベ〜〜〜!」

16 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時14分28秒
 明日香はそう言うと、後ろから杉本の首を締める。

よく、後ろから首を締める姉妹である。

「グゲッーーー!明日香さん!苦しい!」

思わず杉本は、明日香ともつれ合って倒れこむ。

上になった明日香は自分のスカートを杉本の顔に
かぶせかける。

「明日香―ー!!なんて事をするのーー!!」

仰天して裕子が言った。

17 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時17分01秒
 杉本が明日香のスカートの中でもがく。

「ほら、こいつ私のパンツ見て喜んでるよ〜!」

「喜んでんのと、ちゃうー!!」

裕子が叫ぶ。

明日香を離そうとした、杉本の手がお尻に
触れる。


「アッ〜!、お尻もさわった!やっぱ、こいつはスケベ
だよ〜〜〜!」

やっと、明日香が立ち上がったので、髪を振り乱して
杉本は起き上がる。
裕子や両親の顔を見ると、

「いや〜、面白い妹さんですな〜ハハハハハ!」

と、バカ笑いで、ごまかす。

「こいつ、アホやで〜〜!」

明日香は呆れて言った。
18 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時19分25秒
    「Good Morning」


「日曜日というのに、朝から、裕子は何をやってるんだ?」

「今日、杉本さんに釣りに連れてって貰うんで、
はりきって暗いうちからお弁当を作ってるのよ」

杉本と裕子は車で、とある湖にやって来た。

周りに人がいない場所で釣りを始めることにする。

「たかふみさん、釣りってどこが面白いんですか」

裕子は静かにただよう、浮子を見ながら言った。

「実は、僕はめっちゃ、短気なんです。
だから、人を待つのも一秒たりとも待てないんです。
あっ、裕子さんは別ですよ!」

「まっ、たかふみさん・・・」


19 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時21分21秒
「それで、人から釣りをやってみてはどうかと
進められたんです。それがやってみたら意外に
面白かったんです。
静かに流れる水と浮子を見ていると、
不思議に心が落ち着くんです。」

「そうなんですか・・・」

「それに、獲物の魚がかかった時の、竿から
手に伝わってくる感覚と、大きな獲物を釣り上げた
興奮は、やめられないです。
これまで、数々の大物を釣り上げましたが、」

杉本はコホンと咳きをすると、裕子をチラッと見た。

「裕子さんという獲物は、僕の人生最大の大物
になりました・・・」

そう言うと杉本は照れて笑った、真っ白い歯が
朝日に光る。

「まっ!たかふみさんったら」
20 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時24分51秒
「アッ!裕子さん、引いてますよ!」

「あっ!あれっ!どうすればいいの!」

「早く、リールを巻くんですよ!」

やがて、バチャバチャと水音を立てて、魚の姿が
見えて来た。

「早く、竿を立てて!アッ!リールを巻き過ぎですよ!」

空中で釣り上げられた獲物が暴れると、針から
外れて、湖に落ちてしまう。

「あー!、惜しいなァ〜、大きな獲物だったのに〜」

と、杉本が口惜しがると、

「いえ、私はもっと大きな獲物を釣り上げ
ましたから・・・」

「ヘッ?」

裕子は、いかにも恥ずかしそうに、杉本の腕に
顔をうずめた。
21 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時26分45秒
      「さみしい日」


 裕子の結婚式の当日。

控え室で、純白のウェンディングドレスを着た
裕子のまわりに姉妹全員が集まっていた。

紗耶香 「裕子姉さん、とっても綺麗・・・」

なつみ 「そうだね本当に綺麗だね」

突然、真里が大泣きしながら裕子にしがみついた。

真里 「裕ちゃんーー!行っちゃヤダッー!!
    おいらさみしいよ〜〜!!!」

裕子 「真里・・・」

裕子は、思わず目頭が熱くなる。

つられて、圭織や圭も泣きながら裕子にすがっていく。

子供を抱いていた彩もハンカチで目頭を拭う。

姉妹のほとんどは、裕子のまわりで泣き出した。

22 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時29分58秒
 最後に明日香が裕子にしがみつく。

すると、裕子は、

裕子 「明日香!ウソ泣きするんやない!」

明日香 「ウソ泣きじゃないもん!」

裕子 「ウソやん!今、唾を眼の下につけてたやろ!」

なつみ 「お姉ちゃん!何てこと言うの、明日香が一番
     裕子姉さんがお嫁に行くのをさみしがっていた
     じゃない!」

裕子 「・・・そうやったかしら、明日香、かんにんしてや」


「では、寺田家、杉本家の結婚式をとり行います」

結婚式が始まった。

23 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時31分20秒
なつみ 「圭織、さっきお父さんは何を言ったの」

圭織 「例の事は内緒にしてくれって」

なつみ 「例の事って?」

圭織は、内緒でバイトしてたキャバクラに父が来て、
娘。とは気づかずに太腿を触りまくったことを話した。

なつみ 「お父さんったら・・」

圭織 「ま、どっちもどっちだけどね」

圭織は笑いながら言った。


真里は、不審な女に気づいた。

真里 「明日香、あの柱の陰にいる女の人、変じゃない」

明日香 「そうだね、気をつけたほうがいいみたい」
24 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時35分45秒
 やがて、新郎の杉本が挨拶を始めた。
その時、あの不審な女が飛び出して来た。

「たかふみー!よくも私を捨てて、その女と一緒になる
なんて!!あなたを殺して、私も死ぬわーーー!!!」

女は杉本めがけて突進して来る。手にはギラリッと
光るナイフが握られている。

客は総立ちとなり、式場は騒然となる。

杉本は仰天して口走る!

「ヒェエエエッーー!!お前は別れたはずの、しのぶーー!!」

それを聴いた、新婦の裕子の目もギラリッと光る。

その時、真っ先に明日香が飛び出すと、危険も
かえりみずに女に体当たりして、転がす。
25 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時37分13秒
 そして、すかさずナイフを奪うと遠くに放る。

すると、真里を先頭に姉妹全員が女の上に
乗りかかって行った。

一番上になった紗耶香が大きな声で言った。

「みなさ〜ん!、これで余興は終わりで〜す!
いかがですか!面白かったでしょ〜〜!」

式場内に笑い声が上がった。

杉本も落ち着きを取り戻し、裕子も手で口元を
抑えながら、杉本の腕をしっかりとつかまえた・・・。

姉達の下敷きになった明日香は苦しそうに、
側の真里に言った。

「良かったね、こんな事で裕子姉さんの結婚が
パアになって、また姉さんが家に居座ることに
なったら大変だからね〜」

「そうだよね〜」

真里も笑いながら言った。


「裕子姉さん〜、結婚、本当におめでとう!」



       終わり。
26 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時38分01秒
27 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時38分24秒
28 名前:ファーストタイム 投稿日:2004年02月07日(土)20時38分51秒

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