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12 トリビアの泉

1 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時13分26秒
12 トリビアの泉
2 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時14分21秒

雨が降り出した・・・・
雨は半年間絶えず降り続けた。南極だか北極だかに隕石が落下して、蒸発した氷が雲になって世界中に降り注いだのだった。
隕石を落としたのは・・・正体不明のエーリアンだった。
エーリアンの正体は・・・・
それは全くどうでもいいことだ。断じて物語の本質に関わりない存在だ。
とにかく雨がふることが必要だった。それがテーマである以上は。

残念だ。雨がテーマなのは大分前の話だ。
3 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時15分15秒

紺野あさ美と小川麻琴は二人で部屋の中にいた。
二人は雨が上がるのを待っていた。
プッ つまりはふたりきりにする口実が必要だったわけだ。

「雨、やんだ?」小川が言った。
「やんだよ」と、紺野は言わなかった。
「うっそー。まいったなあー」口を◇くして小川が言った。
「傘持ってないもんね。レインコートとかないもんね。帰れないよね」
「傘持ってきたけど」そう、小川は折り畳みの傘を持ってきていたのだった・・・
4 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時15分50秒
「濡れて帰れよ」紺野は言わなかった。と作者は希望した。
カーテンを開けて、表を見た。空は晴れていた。窓の外は、見渡す限りの大海原が。

家はぷかぷかと海上を漂っていた。
5 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時16分05秒

 第一章

6 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時16分34秒
大洪水の死者は40億人以上と発表された・・・
この件に関するリアリティの追求は作者の関知しないものとする。
                         (荒れるし)

麻琴は傘を差したまま屋根に出た。雲が晴れてカンカンでりの太陽が姿を見せていた。
飛び魚のアーチが落とす水滴が傘にパラパラと当たっている風景。

7 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時17分01秒
「エーゲ海だ」
麻琴は苛立たしげに、海に向かって釣り糸をたれた。
傍らのバケツの中にはサカナとか蟹とか海老とか蛸とか鯨とかがが溢れていた。
入れ食い状態ってやつだ。
これを異常気象のせいにしてはいけないような気がするが、誰も気にしないかもしれない。

8 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時17分24秒
和室にくすんだ色のちゃぶ台。
障子の扉。桐製の重たそうな箪笥。箪笥の上には小さな花瓶。
蓄音機と首を傾げた犬。地球儀。パソコンに戦車。シンセサイザー・・・・
カイゼル髭に燕尾服の男。

「ごはんですよー」
割烹着を着た紺野あさ美がつぎつぎと小皿を食卓に運び込んでいく。
鯛のお頭つきに鮭の切り身に舌平目のムニエルに伊勢海老の活け作りが並んだ。
入れ食い状態ってやつだ。

9 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時17分53秒
「「「「わーい!」」」」」」
子供たちが騒ぎながら障子をやぶって乱入してくる。
子供の名前は以下の通り。

なつみ
かおり
まり
ひとみ
りか
あい(1)
のぞみ
りさ
あい(2)
れいな
えり
さゆみ
ゆうこ

10 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時18分10秒

 (2)

11 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時18分38秒
それから十余年が過ぎていった。
成長した子供たちは、みな家を持ち、北へ南へ東へ西へと旅立っていった。
家の部屋がそれぞれの船になった。文字通りの船出ってやつだ。
それぞれの物語は外伝として書かれる予定である。読者の嫌いなメンバーは途中で沈没してしまったことにしてしまっても構わない。
プッ まあ要するにふたりきりに戻す口実が必要だったわけだ。

12 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時19分05秒
「今日はとても大切な話をしなければいけない」
麻琴は病床にあった。腕に繋がれた点滴に、青い液体が満ちていた。
枕元には悲しみの表情を浮かべたあさ美。あい(2)がいた。
(2)「なんやの?」
「まこっちゃん、無理しないで・・・」
あさ美は麻琴の手を握りしめて、目に涙を浮かべていた。
麻琴は窓の外へ目を向けた。アカシアの木が風に揺られ、さらさらと音を立てていた。

「もう・・・春が来たんだね」
柔らかな日差しが、キャビネットの上に飾られた花に注がれている。
暖かだが、力のない麻琴の手を握ったまま、あさ美はシーツの上に、一滴の涙をこぼした。
花は、造花だったのだ。

というわけで、(2)は歌い始めた。
13 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時19分29秒

 手を繋いで あの川をわたろう
 跳ねた水が足に絡んで 流されてないように
 濡れたページを 二人でめくろう
 にじんでもきっと 愛の言葉は暖かいから
 わたしは歌う 君はただ微笑むだけで
 目を閉じたら 言葉は風にさらわれて
 Rainy さみしくないよ
 君に プレゼントする言葉を探しているから
 Baby 雨が冷たくても
 傘をたたんで 君の笑顔をもう一度見せて

14 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時19分52秒
午後の微睡みの時間が過ぎ、辺りは水を打ったようにしんとしている。・・・・
15 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時20分15秒

 3話「僕らとブレーメンへ行かないか?」

16 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時20分42秒
希美「フォーク! フォーク! フォーク!」
正餐室の長いテーブルは、優に500メートルもの長さがあった。
食卓にはジューシーな肉汁を滲ませた分厚いステーキと、彩りを添える温野菜の数々。
傍らにはたっぷりと煮込まれたスープが湯気を立てている。

けれども 問題は
今日の雨
フォークがない

希美は思案した。各国の「正統な」食文化について。目の前に並ぶ料理をいただくのに、フォークは果たして必要なのだろうか? 絶対的に、神の名の下に、マナー部名誉部員の誇りにおいて、善悪の彼岸において、リアリティを重んじる読者にとって、自衛隊の派兵は必要なものなのだろうか??

腹が三度鳴った。もはや猶予は残っていない。
17 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時21分06秒

 最終章(クライマックス)

18 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時21分40秒
「ダメだ、通信機も通じない・・・」
あさ美はブロープを諦めると、コフインから流れ出て、ジェドし、回避し、脱皮の過程をシーラーでフィンクした。
潜入したクラールがスロムして、転送器のあちこちに穿孔しはじめたのが598セカンド前。始めに高橋愛がセグエの犠牲になり、希美を助けようとした圭織がクラールのジグでサイファされた。

「もう時間がない・・・」
あさ美は光線銃(ジレット)を握りしめると、床を蹴ってジェドした。
窓からは、ヘット航法時に特有の、赤く波打つ光が数条うねっていた。

 +  +  +

麻琴はブロープ失敗の信号をナートで受け取った。成功の確率は低いとヤイールの結果は伝えていた。
「だったら、私たちでクラールをツォーフェーするしかない・・・!」
麻琴の高分子スーツのあちこちには傷が出来ていた。
カラダの節々が痛む。アキュウナー空間特有の歪みが、肉体への物理的な影響となって現れているのだった。

19 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時22分10秒

 +  +  +

「あさ美ちゃん!」
第三コントロールルームの隣の隣のステップに面した踊り場の天井付近で、里沙が悲鳴を上げていた。
彼女の右腕は半ばカツァツしかかっており、あさ美は目をそむけた。
下手になんとかしようとしても、むしろグラゲアを誘発してさらに事態を悪化させる可能性がある。
「助けて・・・!」
あさ美は目を伏せてかぶりを振ると、ヘルハから肺いっぱいにラヴァヤーを吸い込んだ。
「ごめん・・・すぐに、なんとかするから!」

 +  +  +

麻琴は正確に4.8マイクロセカンドの照射を加え、そのままティクリムして固着化させた。
クラールは金切り声を発して壁際まで飛び下がると、触手の先端部に剥き出しにされた水晶体を波打たせた。
喚き続けているクラールとの距離を保ったまま、麻琴はツァラを使って甲高い音でサーハしようと試みた。

応答はない。クラールは喚き続けている。

20 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時22分28秒
反対側、壁際の扉が開いた。「あっ」あさ美が声をあげる。
クラールは痙攣し、旋毛と粘液に覆われた車輪をケデラした。
あさ美は悲鳴を上げながら回避しようとした。
「あさ美ちゃん!」
麻琴が声をあげる。光線銃(ジレット)の曳光が扇状に広がった。

21 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時22分47秒

 エピローグ

22 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時23分15秒

雨は止んだが、あさ美はカーテンの隙間から外を見ながら、それを言い出せずにいた。
プッ つまりは(ry

「ねえあさ美ちゃん」麻琴が言った。
「なに?」
「あたしたちってさあ」

ヘリコプターの音が聞こえてきた。爆音で、会話はかき消された。

23 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時23分38秒

「ねえあさ美ちゃん」麻琴が言った。
「なに?」
「小説でも書こっか」

水が蒸発し、海上に浮かんでいた家や船が世界中に降り注いだ。


                ☆フィン☆

24 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時23分59秒

ちなみに

めざにゅーのアナウンサーは亀井にちょっと似てる



25 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時24分13秒
ヘェー
26 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時24分23秒
ヘェー
27 名前:12 トリビアの泉 投稿日:2004年02月03日(火)04時24分48秒
ヘェー

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