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01 ふたりではいる夏のいりぐち。
- 1 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時47分02秒
- ふたりではいる夏のいりぐち。
- 2 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時47分58秒
- 二人をのせた自転車はカシャン、カシャンとチェーンの音を立てて
信号がきいろく点滅する夜の道路を走っていく。
- 3 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時48分44秒
- 不安と期待を抱えてざわめく新しい教室。
席についてあたりを見まわしてみると、左の席の男子のその奥の女の子が目に飛び込んできた。
きれいな人…
クラス名簿によるときれいな、でも強気な表情を浮かべるその人は
おがわまことというらしい───────────────────────────────
- 4 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時49分13秒
- ────────────ちゃん、あさ美ちゃん」
「うわぁあ」
びくんという体の動きは椅子に伝わりガタンと音をたてる。
「もう授業終わっちゃったよ」
「あれ、あたし…」
「あさ美ちゃんが寝ちゃうなんて珍しいねー」
「…入学式の日の夢を見ちゃって」
- 5 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時49分54秒
───────────────────────────────────────────
友達と別れ一人で歩く道をまぶしいほどに照らしていた五月晴れが日に日に翳り出していく。
「雨、降らないといいなぁ…」
はすむかいの家の垣根の奥から甚兵衛姿のおじいさんが縁側にいるのが見えた。
「ただいまぁ」
部屋に入って窓をあけ、しばらくすると
重たくゆっくりとした空気にのって風鈴の音が聞こえてきた。
「あー、おじいさん、風鈴出してたのかぁ…」
- 6 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時50分23秒
- 夢を見た。
内容はさぁっと風が塵を蹴散らすように消えていってしまったが、
小川さんの夢だった。
- 7 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時51分00秒
- あたりを見まわすと、カーテンを閉めてない窓の外がもう夜遅いことを教えてくれた。
「寝ちゃってたのか…」
また耳元に風鈴の音が届く。
そんなゆったりとした世界を電子音が破る。
「もしもし、小川さん?」
「ごめん、夜遅くって電車が終点まで行かなくて…紺野さんの家、この駅の近くだよね??」
「あー、うん、じゃぁ駅でて右側に───────────────────────────
- 8 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時51分39秒
- 「お待たせ。場所わかったかな」
自転車から降りて視線を下に向けている小川さんの顔を覗き込むと、いつも白い顔が
赤くなっていることに気づいた。
「ありがとぉー」
「小川さん、酔ってる?」
「そんなことないよぉー」
そう言いながら私にしなだれてくる。
「まぁ…いいや、乗って」
- 9 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時52分07秒
- 「しっかりつかまってよ。落ちるのと吐かれるのは困るからねっ」
「あさ美ちゃん」
「な、何?」
「よかったー」
「なんかさ、あさ美ちゃんっておとなしくてまじめなイメージがあったからさ、
こんな時間に頼んでも来てくれないって思ってた。」
「そんなこと…そんなこと、ないよ」
「私そんな良い子なんかじゃないよーっ!!」
- 10 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時52分54秒
- 「…はっはっはっはっ」
小川さんがいきなり笑い出した。
「な、どうしたの?」
「いや、あさ美ちゃんっておもしろいねー。いきなりそんなこと言うんだもん。
マジおかしいよー、ふふ」
「そんなに笑うことじゃないと思うんだけど…」
そのとき、道路脇の児童公園から花火が打ち上げられた。
黄色。
赤。
黄色。
思わず自転車をこぐ足の力を緩めた。
「うわー!!」
「花火だねーっ!」
- 11 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時53分34秒
- 「今度さぁ…一緒に花火しない??」
「しよう、しようよ。そうだ、合唱コンの打ち上げでみんなでどーんと花火しよう!!」
「麻琴ちゃん酔っぱらわないでよ」
「あ、今『麻琴ちゃん』って呼んでくれた」
「呼ぶよー、ガンガン呼ぶよー」
そういって自転車を力一杯こぎ始める。
「わかった、実はあさ美ちゃんも酔っぱらってるんじゃないの?」
「そんなわけないでしょっ、一緒にしないで」
「つれない態度とらないでよぉ」
「うわっ、ほらそんなに足ばたばたさせないでよー、倒れちゃうってばー!!」
「あっ!!また花火が見えるよー」
- 12 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時53分59秒
黄色。
黄色。
「信号が夜遅いから黄色く点滅しているだけですー。こんな夜遅くに不良娘が電話なんか
してくるから」
「進め!不良娘ふたりぐみー!!」
「ヤバ、ほんとにこけるーっ!!」
- 13 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時54分19秒
- 二人をのせた自転車はカシャン、カシャンとチェーンの音を立てて
夏の入り口へと足を踏み入れていく。
- 14 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時54分38秒
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- 15 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時55分10秒
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- 16 名前:01 ふたりではいる夏のいりぐち。 投稿日:2003年06月23日(月)00時55分26秒
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