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小さな反乱
- 1 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時49分28秒
今日も朝から雨や。
天気予報によると、夜まで続くらしい。
全くシャレにならんで。
1日中、雨、雨、雨…。
お前は間寛平か?。
…スマン、あれはアメマやった。
あいぼん流の関西コテコテギャグや。
サラッと流してくれて構わんでえ。
……いや、むしろ忘れてくれ。
そんな事はどーでもエエねん。
ウチは雨が大っ嫌いなんや。
座右の銘は、『いつも心にてるてる坊主』。
いつか総理大臣になって日本列島全体に屋根付けるんが目標や。
何?、理由?。
みなまで言わすなやボケ。
頭が濡れるからに決まっとるやろ。
雨に濡れたら髪の毛がペタンてなって、薄いのバレてしまうやんか。
そんな姿を写真誌にでも撮られてみい。
それこそ小さい女の子から変態ロリコン親父まで、全国のあいぼんファンが
ガックリ肩を落としながらスキンヘッドで抗議の引きこもりや。
辛気臭い松山千春を大量生産してどーすんねん。
っちゅう訳で、本日のお仕事は全部キャンセル。
今日1日、ウチは一歩も外には出えへんからな。
ほな、お休み。
- 2 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時53分59秒
ってズル休み出来たら嬉しいんやけど、…多分、無理やな。
そんなワガママ通るんはタモさんぐらいやし…。
しゃーないのぉ。
全身タイツの上にカッパ着こんで、ヘルメット被って逆立ちしながら移動するか。
もちろん、タクシーん中で傘さすのも忘れへんでぇ。
ほな、行ってくるわ。
楽屋には一番乗りやった。
別にみんなが遅刻してる訳やない。
ウチが早う来過ぎただけやねん。
っちゅうか、この完全武装の重装備を誰かに見られたくないだけやけど…。
しばらくすると、メンバーが続々と集まり始めた。
最初に入って来たんは飯田さんや。
「雨々降れ降れ母さんが、じゃのめでお迎え♪…。
あっ、あいぼんおはよう。……あのさ、…カオね、…ずっと
不思議だったんだけど、…『じゃのめ』って何?。」
「…ミシンや。」
「ありがとっ!!。…ピチピチチャプチャプ…♪。」
ホンマにこの人がリーダーでエエんやろか?。
ウちは時々モーニングの将来が不安になる。
- 3 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時55分17秒
まあ、不安のタネは飯田さんだけや無いねんけど…。
窓の外では、浮き袋片手に高橋がキャーキャー走り回っとるし
ののはデッカイ口開けてボーッと空を見上げてニッコニコや。
梨華ちゃんは必死にシャンプーしとるし、よっしーは洗濯で大忙し。
どんな貧乏グループやねん。
このまま富士の樹海へ放り込んだっても、普通に生活出来るぐらいのたくましさや。
みっともないから止めい。
…っちゅうか、……………エエなあ。……『有る』って。
羨ましいなあ。……『濃い』って。
アカン。
さっきから、脳裏にフサフサブックがチラついとる。
乙葉が両手広げて手招きしとるわ。
…今度、コッソリ相談してみよかな。
- 4 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時56分10秒
そうこうしてる間に、やっと全員揃った。
勿論、一番最後に現われたんは安倍さんや。
「ふうー、危なかったべ。うっかり遅刻するトコだったべさ。」
……いや、十分してるんやけど。
この人の遅刻グセにも困ったもんや。
ウチがモーニング入ってから随分たつけど、1度たりとも安倍さんが先に来とった試しは無い。
っちゅうか、集合時間に間に合う方が珍しいくらいや。
しかも、絶対自分のせいで遅れたとは言わへんねん。
家を出たらキリンが道をふさいどったとか、UFOにさらわれたとか
ルーラで見知らぬ町へ飛ばされたとか……。
毎回、幼稚園児並みの言い訳で笑わしよる。
今日は、『向かい風が強すぎてなかなか前へ進めんかった。』らしい。
…フン。
オモロイから許したるわ。
- 5 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時56分58秒
「はい、では今日のCM撮影の内容をお知らせします。」
スタッフさんの説明が始まった。
よう知らんけど、ウチらが新しい洋服のCMキャラクターに選ばれたみたいや。
何やら、水をはじく服や言うてみんな騒いどった。
普段着用のレインコートみたいなモンやな。
まあ、ウチにはどーでもエエ話や。
サクッと終わらせて、はよ帰ってフサフサコール…。
ん?。ちょい待て。……水をはじく洋服のCM?。
何かイヤーなヨカンがビンビンするんやけど…。
「…と言う訳で、みなさんには雨の中を傘無しで歩いてもらいます。
頭は濡れますが、少しの辛抱ですから笑顔で頑張って下さいね。」
…な、何言うとんねん、このオッサン。
そんなんはダチョウか出川に服着せて、上から水ぶっ掛ければ済む話や。
いや、あいつらなら手足縛って目隠ししたままピラニア混じりの水槽に突き落としても
最高の笑顔を見せてくれる筈や。
何でウチがニコニコ笑いながら、お茶の間に衝撃映像を垂れ流さなアカンねん。
止め、止め。
こんな仕事やってられるかっちゅうねん。
- 6 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時57分34秒
「嫌っ!!。水に濡れるの絶対反対っ。
どうしても撮るんなら、オイラ抜きでやってよねっ!!。」
意外にも、先頭きって不満を口にしたのは矢口さんやった。
よっぽど気に入らんのか、既に帰り仕度を始めている。
理由はよう解からんけど、めっちゃ怒ってる感じや。
「ちょっと、どうした…。」
「ウッサーーイっ!!。嫌なモンは嫌なのっ!!。」
矢口さんはみんなの静止の声も聞かず、そのまま部屋を飛び出して行った。
「バタンッ!!。」
強く閉められたドアに怒りが込められてる。
こんなん初めてや。
メンバーもみんなキョトンとして、お互いの顔を見合わせてた。
- 7 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時58分04秒
これは大チャンスや。
正直、ウチ一人が嫌がったところでどうにかなるもんや無い。
保田さん辺りに、『コラッ。ワガママ言うなっ!!』って睨まれてお終いや。
……オェーッ。
スマン、奴のドアップを想像してもうた。
と、とにかく、願ってもない展開になりよった。
ゴネてるのがウチやののならともかく、矢口さんなら話が全然違ってくる。
あの人は大人やし、メンバーの中でもかなりの発言力を持ってる。……リーダーよりずっとな。
最強の同志の出現や。
鬼に金棒、タンスにゴン。アッコファミリーにボブ・サップや。
これほど心強いモンは無いわ。
「加護も矢口さんの意見に賛成やっ!!。」
矢口さん、これからは師匠と呼ばせて貰うでえ。
ウチも同じように部屋を出て、師匠の小さい背中を追いかけた。
- 8 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時58分37秒
師匠は廊下の角を曲がったところでスタッフさんに捕まってた。
両腕をガッチリ押さえられ、必死に説得されてる途中やった。
…捕まるの早すぎるがな。
もっと大暴れしてくれんと。
ウチは捕われた救世主を助け出す為に、スタッフさんの膝小僧を思い切り蹴りあげた。
スタッフさんは声も出せずにうずくまってた。
「矢口さんっ!!。ウチもボイコットに強力するでえ。一緒に逃げようやないか。」
「おうっ、サンキュー!!。」
二人の逃亡劇が始まった。
後ろからは、関係者やマネージャー、それにモーニングのメンバーまで
凄い形相で追いかけて来よる。
しかも、みんな頭上にタモや虫かごを掲げて大騒ぎや。
…何や。わしらは昆虫か?。
夏休みが来る度にビクビクせなあかんカブトムシか?。
いくら何でも、そこまで小っちゃないっちゅうねん。アホか。
ウチらは廊下に設置された自動販売機のお釣り取り出し口の中に身を隠し
みんなが通り過ぎるのを待った。
- 9 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時59分07秒
嘘や。
最後のは思いっきり作り話や。
調子に乗ってもうたわ、許してくれ。
ホンマはそのままビルの出口まで突っ走ったんや。
けど、…そこで師匠の足がピタッと止まった。
延々と降り注ぐ雨をみて、外へ出るのをためらってるみたいや。
振り返ると、メスやピンセット片手に白衣着たアホ共が迫って来てる。
…何や。昆虫採集から解剖実験にシフトチェンジか?。
カブトムシからモルモットへ転職ってか?。
ふざけんなや、ボケ。
…っちゅうか、あいつら当初の目的を忘れとるやんけ。
何で捕まるの通り越して殺されなアカンねん。
特に梨華ちゃんや。
ホラー好きかなんか知らんけど、笑顔でチェーンソー振り回すの止めい。
ついでにジェイソンとジョンソン間違えたオソロ発言もどうかと思うで…。
…ゴメン。
気付いてる思うけど、これも嘘や。
話を盛り上げる為の演出や。
ウチ、ホラーよりもホラ好きやねん。
上手いっ!!。
おーい山田君、こん平さんの座布団を全部あいぼんに持って来いやっ!!。
- 10 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)10時59分37秒
「ちっ、しょうがない。トイレへ立て篭もるぞっ!!。」
師匠はウチの手を引っ張って、女子トイレへ駆け込んだ。
個室の中で二人っきり…(ポッ)。
って照れてる場合や無くて、今後の戦術を考えなアカン。
このままでは袋のモルモット。……いや、ネズミや。
でも、何で師匠はこんなに雨を嫌がってんのやろ。
ひょっとして、ウチと同じ悩みを持ってんのか?。
TVにさだまさしの痛々しい姿が映る度に、思わず目頭が熱くなるんか?。
抜け落ちた髪の毛を集めて、泣きながらボンドでくっつけた御茶目な思い出持ってるんやろか?。
「なあ、矢口さ…。」
「オイラ、雨だけは絶対嫌なんだ。…まあ、お前とは別の理由だけど…。」
この人、超能力者や。
ウチの考えてる事、全部お見通しやんか。
それでこそ師匠やで。
思う存分、新垣に点々したれ。
何?。意味が解からん?。
…コホン。
コネにテンテンでゴネたれっちゅう意味や。
よう、覚えとけっ。
ウチのボケはまだまだ続くでえ。
- 11 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時00分14秒
『犯人に告ぐ、犯人に告ぐ。すみやかに人質を解放し大人しく自首しなさい。
繰り返します。犯人に告ぐ…。』
ドアの向こうでは、勘違いした飯田さんが大声で恥をさらしとる。
あの人の頭ん中では、ウチはいつの間にか人質になってるみたいや。
ドンドンドン。
『は、早く出てよー。…も、漏れちゃう…から。』
次は梨華ちゃんの猿芝居や。
その演技力では誰も騙せへんわ。……飯田さん以外はな。
…ちゅうか梨華ちゃんはせえへんのと違うか?。
『あいぼーん。出て来たら美味しいケーキをご馳走して…。ってコラ、紺野。何でお前が食ってるべさ。』
『矢口さーん。外に格好いいイケメンが勢揃いしてるのれす。みんなフリチンれ待ってるれすよー。』
……。
みんな頭悪くて助かったわ。
この分やと、あと30年くらい篭城出来そうや。
楽勝楽勝。
- 12 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時01分54秒
『どけっ、ボンクラ共めっ!!。』
突然、怒声がトイレ内に鳴り響いた。
この声は保田さんや。
『そんな生っチョロいやり方じゃ駄目なんだよ。いいか?、見てろよ。』
何やら企んでるのか、扉を通して荒い鼻息が聞こえてくる。
『おい、矢口と加護。10秒だけ時間やるよ。
10からカウントダウンして、ゼロになっても出て来なかったら
……上から思いっきり水ぶっ掛けるてやる。………覚悟しとけよっ!!。
はい、3っ!!。』
おい、……半分以上フライングしとるやんけ。
ってツッコんどる場合や無くて。……ヤバイがな、水はアカンで水は。
それこそ、ウチの苦労が水の泡や。
上手いっ!!。
おーい山田君、歌さんに座布団300枚っ!!。
乗れるモンなら乗ってみさらせっちゅうねん。
- 13 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時03分13秒
『…2。』
ウチの脳内笑点を無視して、オバハンの楽しげな声がこだまする。
「や、矢口さん、どうすんねんっ?!!。」
「…そんな事言われても、……どうすんだよっ!!。」
ウチらは完全にパニックや。
オロオロするだけで、どうする事も出来へん。
これはもう、ハッキリ言うてイジメや。
児童虐待、幼女暴行。
いや、正義の名を借りたゲーハー狩りや。
『…1。』
「ちょ、ちょっと圭ちゃん待ってっ!!。何とか話し合いで…。」
「こらっ、くそババァ。フザケんのもええ加減に…。」
『…ゼローッ!!。』
「「うわぁぁぁーーっ…。」」
ウチらは慌てて外へ飛び出した。
- 14 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時03分48秒
「なっ。最初からこうすれば良かったんだよ。」
個室の外では、保田さんが満面の笑みを浮かべとった。
手の平をヒラヒラさせながら。
どうやら、ウチらは騙されたらしい。
ケメコマジックに見事ハメられたんや。
「ようし、そろそろ撮影始めるぞー。」
監督さんの指示が飛ぶ。
これは大変な事になってもうた。
このままやと、本当に雨の中を歩かされる。
頼みの綱の師匠は、顔面蒼白の放心状態。
ウチもさっきから、飯田さんにガッシリ押さえつけられて身動きがとれへん。
「…ちょ、…ちょう飯田さん。もう逃げへんから、力抜いてえなあ。…苦しいわ。」
「良かった(グスン)。…本当に無事で良かったわ。……お母さん、すっごく心配したのよ。
…もし、…もし亜依の身に何か有ったら、………ウワァーン。」
…おい、誰かコイツを病院へ連れてけや。
何ならウチがこのまま連れてってもエエでぇ。
- 15 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時04分22秒
遂にCM撮りが始まってしもうた。
けど、安心してくれ。
結局、ウチらの熱意が伝わったのか、大幅に脚本が書き換えられたんや。
新しい台本はこうや。
まず、雨の中に子犬が2匹戯れとる。
全身ぬいぐるみを被ったウチと矢口さんや。
ナイスアイデア。
これなら濡れる心配は無いもんな。
で、そこへ電車が通りかかる。
それを見ていた他のメンバーが、傘もささずにウチらを救出し屋根の下へ。
雨に濡れた体をブルブル震わせる子犬の横で、例の服を着たメンバー達は涼しい顔。
最後は、全員そろってVサインでチャンチャンや。
あっ、もちろん最後はぬいぐるみ取って顔出すでえ。
何やかんや言うても、ウチの笑顔が無かったらファンは納得せえへんもん。
人気モンはツライわな。
ほな、はりきって仕事しよか。
今日もあいぼんスマイルは絶好調やでえ。
- 16 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時04分57秒
…イライラ、イライラ。
いつまでぬいぐるみ着せ続ける気やねん。
さっきからアイツらのNGで、一向に先へ進めへん。
仏のあいぼんも起こるでホンマに。
…まあ、『アイツら』っちゅうか、…ほとんどののなんやけど。
『あっ、ワンちゃんだっ!!。うふふ。』
この一言の為に2時間待ちぼうけや。
何の言語障害に陥ったら、『あっ、ワンちゃんなのれすっ!!。テヘテヘ。』になんねん。
そこらの野良猫連れて来て、一から言葉覚えさせたほうが早いんちゃうか?。
撮影は押しに押しまくってた。
ウチらの騒動も有ったけど、みんなのNG連発で遂に時間が無くなってしまった。
多分、次がラストチャンスや。
「よし、もう次はカメラ止めんなよ。NGでも何でも回し続けろっ!!。
どんなデキでも本番用にすっからな。……チクショウめっ。」
監督さん、…泣いてた。
- 17 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時05分28秒
けど…。
最後の最後に奇跡が起こった。
神様は本当に居たんやな。
ののの、…ののの知能が小学校高学年レベルまで上昇した!!。
飯田さんの、…交信が止まった!!。
棒読みクイーンの梨華ちゃんまで…。
完璧やった。
アカデミー賞ばりの完璧な演技やった。
スマン。
ウチ、みんなの事を誤解してたわ。
みんな、やれば出来る子やねんな。
感動や。
あいぼんハートは感動でビンビンや。
ありがとな。お前ら最高やで。
さあ、あとは全員でニッコリ微笑むだけや。
ウチもぬいぐるみの下に、とびっきりの笑顔を用意しとくでえ。
テレビの前のヲタ共に、モーニングの素晴らしさを見せつけようやないか。
いくでえ。せーのっ、ガバッ。
「「「「「「「「「「「「イエェーイッ!!。」」」」」」」」」」」」
…き、決まった。
エエ仕事した後は気持ちええわ。
たまらんなあ。
これでしばらくは、モーニング人気も安泰やでぇ。
- 18 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時06分20秒
「はい、オッケーーーイッ!!。…………で、……いい……の?。」
首を捻る監督さんの元へ、血相変えたマネージャーさんが走り寄って何やらヒソヒソ話や。
二人は渋い顔しながら、腕組みしてモニターを眺めとる。
何や?。
何が不満やねん?。
どっかおかしいトコでも有ったんか?。
ウチは隣の矢口さんの顔を覗き込んだ。
「………ヒ、…ヒ、…ヒエェェェーーーーっ!!。」
その瞬間、全ての謎が解けた。
師匠が雨を嫌がってた理由が………。
長時間ぬいぐるみを被らされて汗ダラダラの矢口さんは、……まるで別人やった。
化粧の下の素顔は、…オエェーッ。
とても、形容出来へん。
……ケ、ケメコを超えとった。
- 19 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時06分56秒
…ちゅうか、矢口さんも可愛いモンやのう。
分厚く塗りたくった化粧が雨で落ちるのを嫌がって、あんな行動に出るとはな…。
大人のくせに大人気ないわ。
さすが、大人のくせにミニモニや。
まあエエわい。哀れなんは矢口さんだけや。
取り合えずこっちは何事も無く……ん?、……ちょい待て。
…同じようにぬいぐるみ被って、…同じように汗あせかいてるっちゅう事は
……もしか…し…て。
ウチは黙って周りのメンバーを見渡した。
…みんな、こっちを見つめてた。
正確には、ウチの目線より10センチ上を凝視しながら必死に笑いを堪えとった。
「や、矢口さんっ!!。」
「おうっ!!。」
ウチらは阿吽の呼吸で走りだした。
- 20 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時07分28秒
それはまさに、稲妻のような速さやった。
ウチら二人の完璧なコンビネーションの前に、みんなバッタバッタと倒れていく。
そう。
目撃者の口封じの為に、この場に居る全員を一人残らず叩き潰したんや。
記憶が無くなるくらいに、思いっきり鉄パイプで殴ったったわ。
ウチらの正体を知られた以上、こいつらを黙って帰す訳にはいかへんもんな。
あっ、飯田さんは別やでぇ。
どーせ何にも覚えてへんし、あの人の言う事は誰も聞いてへんもん。
無駄な労力は使わんに限るわ。
とにかく、ウチらは何とか秘密を守る事に成功した。
- 21 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時08分13秒
「ハァハァハァ、…加護。…これでOKだな。
これだけやっとけば、……ハァハァ…、目を覚ましても、誰も何にも覚えてねえだろ。」
「…はい師匠。…ハァハァ、……あとは収録テープを……処分しとけば
ウチの顔みたいに……全て丸うく収ま…」
『ガツーン。』
「えっ?。………し、師匠?。
何か……今、…頭に…凄い衝撃が…走ったん…やけど。
ま、まさか、…………裏切っ…たん?。」
ドサッ。
ウチはその場に崩れ落ちた。
「フッ。わりーな。……お前も一応、……目撃者だから。」
かすむ視界の中で、ケダモノの笑顔が揺れとった。
─── ジ・エンド。
- 22 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時08分48秒
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- 23 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時09分19秒
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- 24 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時09分50秒
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- 25 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時10分34秒
ハハハっ。
嘘じゃボケッ!!。
引っかかったやろ?。終わりや思たやろ?。
お前、何回騙されとんねんっちゅう話や。
逆や逆。
倒れてるのは矢口さんやがな。
ウチがそんなミスするわけ無いやろ?。
会心の一撃でモンスターをKOしたったわ。
ウィナー、あいぼんや。
例え師匠と言えど、ウチの恥ずかしい姿見た奴を放っとく訳には…
『ガツーン。』
「ん?………何や、今の音は。
あれっ?。……おかしい。……頭が…ホンマに痛い。
……アカン。…クラクラしてきた。
今度は…嘘や無いでえ。…ホンマや、……信じてく…れ。」
ドサッ。
ウチはその場に倒れ込んだ。
「許さない(グスッ)。……カオの、カオの可愛い一人娘の真里に何て事をっ!!。」
…しもた。…こいつ真っ先に病院連れてくべきやった。
─── 完。
- 26 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時11分08秒
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- 27 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時11分40秒
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- 28 名前:02.小さな反乱 投稿日:2002年12月02日(月)11時12分15秒
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