のっと・あろーん〜裏☆風紀委員会〜

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:03
ここは都内でも有名な私立女子高。
可愛い制服をまとった清楚なお嬢様たちは、男の子のあこがれ。
短すぎないチェックのスカートを揺らして歩くその姿は、まさに理想の女の子。


…なんてのは、学校の外からしか眺められない若き男子たちの妄想にも似た願望。
実際はまー、女が集まればかしましかしましってなもので。
お嬢さま学校と言われようが、中身は普通の女の子達の集合体。
髪つかみ合うようなケンカや、香水の匂いが混ざった異世界ももちろん存在する。

そんな中、最近の風紀の乱れに評判も落ち、私立お嬢様学校のブランドは下がる一方。
入学者の減少だけはなんとか食い止めたい理事長。
そしてもうひとつの、理事長のホンネ。

・……こんなはずやなかった…!あたしかて、可愛い可愛い女の子達を集めて夢の学校作りたかってん。
ここはあたしのハーレムやねん。むざむざ潰したりなんてさせへん!
昔のあの可愛い女の子が集まる学校を取り戻したる!!

「……というわけで、アンタらにはこの学校を表と裏で取り締まってもらおうと思ってる。
 表は清く正しく美しい風紀委員会。これで外側のイメージを作り直す。
 そして裏は…この辺うろつく悪い虫からうちの学校守ってもらって、
 内側からこの学校を変えてもらう。ええな?…悪いけど拒否権はないで」

「「……」」

理事長はベタなふっかふかの肘かけつき椅子を窓からくるりと二人の新入生へ回した。
そこに立つ二人の新入生は何とも言えない表情をしていた。
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:04
「……ウソでしょ…」
「あぁ…まああまりにも話が美味過ぎるとは思ってたけど…」
「まあそう言わんといて。アンタらを見込んでの頼みや。
 特に…非公式な裏の活動に関しては支障は出ないようバックアップはしていく。な?頼むわぁ、裕ちゃんの一生のお願い」

ネコ撫で声を出してかわいこぶる三十路越えの理事長を目の前にして、
二人の新入生は、全くしょうがないなぁ、と呆れたように互いを見て微笑み合い、
やがてきりっとした顔つきで、理事長に向き直った。

そして。
二人の声は、美しくハモったのだ。




「「断る!!!」」




校内中に響き渡りそうなほどの彼女達の怒りの声はいまだに伝説となって語り継がれているとかいないとか。

拒否権はないという言葉なんてアーアーキコエナーイな彼女達ではあったが、結局は理事長直々の数時間の説得の後、
ちらついた大量の金と女子高生には厳しいほどの権力に渋々屈したのであった。

その時の新入生の一人の口からポロリと零れた『クソババア』は、
学校内では現在も最も口に出してはいけない言葉だったりするとかしないとか。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:04

それが、2年前。

「新学期だねぇ」
「だね」
「まあ…頑張ってきたよね、私たち」
「これ以上どう頑張れっていうんだってくらい頑張ってきたと思うよ」

もう新入生ではなくなった二人は、溜め息まじりの笑顔を交わして、桜の木の下を、たらたらと学校に着くのを拒むかのように歩いた。
その距離は、友人にしては少し遠い。
でもそれは、彼女達なりに出した結論によるものである。


彼女たちは、頑張った。

実際、現在の学園はかつてのブランドを取り戻し、風紀の乱れも改善されてきた。
そして思いもよらず『変わった風紀委員会』というものの存在がいつしか有名になりつつあり、生徒の増加にも一役買っているらしい。
二人は満足げに三年目を迎えていた。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:04

「よっちゃんりかちゃんおはよー」

歩く二人の後ろから声が聞こえて、聞き慣れた声に二人は振り返る。

「あ、おはよー」
「おはよ、ひさしぶりぃ」
「てか、だりぃー。春休み短すぎてダメだわもう」
「美貴は年中だりーだりー言ってんじゃん」
「言ってねえよ」

「ねえねえちょっと聞いてくださいよぉ、吉澤せんぱぁーい!」
「はぁ、あのね、マコト。オメーは朝からキモい。自重しろ」
「ひどーい!!!いいもん!」

「あー…無理。お腹減って無理。あんこ!あんこ食べたい!買って!あんこ!」
「ちょっとぉうるさいのよあんたは!あんこなんて学校に売ってないでしょうが!」

「うははぁ、よしこたちは朝から元気だねぇー」
「元気っていうか、たん以外は常にエネルギー有り余ってるバカっていうか」

いつの間にか出来た仲間を連れて、学校へ。
紛れもなく彼女たち生徒がつくり上げた学校へ。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:05

そして。
その横を、緊張した表情で通り過ぎるひとつの小さな影。
緊張の余りかなりの早足になったその少女は、桜に出迎えられた、この年の新入生。


「…よぉし、今日から頑張るぞ!!」


ぐっと拳を握ったその少女と、二人の風紀委員会会長やその他が仲間になるのは、すぐ先の未来。

6 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:05
「表風紀委員長の名にかけてこの騒ぎ、収集させていただきますよ!誰ですかこんな悪戯したのは!名乗りなさい!!!」
「私は言うなればアイドルからアーティストに転身した歌手みたいなもんだから。あんたらとは違うの!」
「待って待って。昨日10時間しか寝てないから頭働かないんだよぅー」

「無理!たぁくんに会えないと死んじゃう!!!」
「…なんか…私の存在忘れられてません?」
「トイレットペーパー買えないことのどこが面白いんだゴルァ。あん?言ってみろや」


「やー、かぁーいいなぁ。おっぱい星人として名高いあたしだが…実はガキ臭い子はむしろ貧乳のほうがすき!!」


「れーなっ、ちょっとっ…」
「なに?さゆ」
「ねえ、この人たちっ」

「…………本、物…?」



「いかにも。あたしがこの学園の裏☆風紀委員会委員長の吉澤ひとみでぇすっ」


7 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:05


のっと・あろーん〜裏☆風紀委員会〜


8 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:06






「えぇえええええ…いやぁああああ…いや、いや、あの…うえぇええぇぇえ…」


9 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:07
始まる、かも。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/29(火) 17:08
おわり
11 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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