15 二人のバランス
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:15
- 15 二人のバランス
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:16
- 脳裏に浮かぶのは別の人。
自分でするより。
自分でするよりも。
自分以外の手にされた方が気持ちが良い。
――叶わぬ思いを少しでも現実に近づける簡単な方法だ。
今日だって。
梨沙子と二人になって期待した。
◇◇◇
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:17
- いくら考えても。
覆せないところまで来てしまっているのかもしれない。
それでも考えずにはいられなかった。
飽きる程繰り返した作業を今日もまた繰り返す。
菅谷梨沙子という人物を自分の中に描いていく。
彼女は誰よりも可愛くて、少し、いやかなりの馬鹿だと思う。
他にも彼女についてならいくらでも話せる。
すぐに拗ねるし、我が儘で甘えん坊だ。
そして、さらに彼女を表す上で重要なことが一つある。
忘れてはならない。
そしてそれは出来れば忘れたいこと。
誰も知らないことだが、彼女は恋人だった。
夏焼雅の年下の恋人。
それが菅谷梨沙子だ。
雅と梨沙子以外は誰も知らない関係。
誰も知らないなら、知らないうちにそんな関係消えてなくなってしまえばいいのに。
雅はそんなことを何度も願って、何度も後悔をした。
それでもそんなことを願わずにはいられなかった。
その思いを消し去るために、雅は幾度も梨沙子のことを考えた。
それなのに。
気がつけば雅の中の梨沙子がいた場所に、梨沙子ではない人物が入り込む。
いつの間にか傾いてしまった天秤をもとに戻すことは出来そうになかった。
「みや。ねえ、みやってばっ!」
聞き慣れた声に引っ張られて、雅が内に向かっていた気持ちを外へと向けた途端、視界に入ったのは斜めになった世界。
雅は一瞬くらっとする。
突然、梨沙子に引き戻された現実に自分がいる場所がどこか理解出来ず、雅は落としたボールがどこまでも転がりそうな世界を見回す。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:17
- 聞き慣れた声がするのは当たり前だった。
乾いた空気に油絵の具の匂い。
長い間使われた教室独特のグレーに染まった壁。
無造作に置かれた彫刻。
そう、ここは梨沙子が所属する美術部が使っている教室だ。
と言っても、梨沙子以外に部員などいなかったが。
梨沙子の絵のモデルとして、小さな台の上に足を投げ出して座っていたことを雅は思い出す。
そして今いる場所を理解すると同時に、雅は世界が斜めになっている理由を知った。
それは自分の身体が傾いているから。
何故傾いているのかと言えば、雅の真正面にいたはずの梨沙子がいつの間にか自分の隣に座っていて、雅の腕を引っ張っているからだ。
「あ、梨沙子」
「梨沙子、じゃなくて。もう、ちゃんとあたしの話聞いてた?」
「あ、うん。……聞いてなかった」
「それじゃ、うん、じゃないよ!ちゃんと話聞いてないじゃん」
「いや、聞いてたんだけど……」
「もー!みやさー、最近、いっつもそんなんじゃん。全然、あたしの話聞いてくれないし。放課後だって、ももとばっか話してる」
どくん。
雅の心臓が一回だけ大きく鳴った。
原因はわかっている。
――嗣永桃子。
もも、と呼ばれる人物は雅と梨沙子が通う学校の先輩だ。
雅より一つ年が上で、雅と同じ学校の高等部に通っている。
傾斜した部屋がもっと斜めになる。
梨沙子の方へと身体は傾いているはずのなのに別の方へと心が傾く。
最近、梨沙子が言っているように雅は桃子と一緒にいることが多かった。
五月蠅くて、鬱陶しい。
一言で表せば桃子はいかにも「女の子」というタイプの人間で、どちらかと言えば雅の苦手とするタイプ。
だが、人というのは面白いもので、いつしか雅は遠ざけたい相手であるはずの桃子を頼り、甘えるようになっていた。
そして、気がつけば桃子に対して友情以上の感情を持っていた。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:18
- 「それは、ほら。ももとは委員会で一緒だし」
教師に押しつけられた風紀委員。
最近、雅が所属する中等部風紀委員は、高等部と打ち合わせをすることが多かった。
その高等部風紀委員、そこに桃子がいた。だから、言い訳になってしまった言葉は、とりあえず間違いのない事実だ。
そのせいか、慌てて返した台詞にも関わらず、声がひっくり返ることもなくいつも通りの口調。
普段なら、心臓が暴れるような出来事が起これば、頭が真っ白になって何も言葉が思い浮かばない。
それなのに今は何食わぬ顔をして言葉を紡ぎ出せる。
大したことのない出来事が起こっただけで、緊張で引きつった笑いしか浮かべられない自分と、今の自分が同一人物だとは雅自身思えなかった。
「あたしもそれ一緒にやりたかったもん!」
「そんなこと言ったって、うちが決めたんじゃないんだから」
「だから、我慢してるもん。……だから、だからさっ。せっかく一緒にいられる放課後ぐらい、ちゃんとあたしの話聞いてよ」
「ごめん」
「みやはいつもあたしに冷たい」
「そんなことないって。ちゃんと優しくしてるよ?」
「そんなことある。いつもあたしを置いてく」
「そうかなあ?」
「そうだよ。あたし、こんなにみやのこと好きなのに」
「……梨沙子」
腕を掴んでいた梨沙子の手が離れ、無愛想な彫刻が雅の視界から消えた。
傾いていた世界が正常に戻り、視界に映ったのは梨沙子の瞳。
「みや、好き」
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:19
- 返す言葉を考える前に。
そして目を閉じる前に。
梨沙子の唇が雅の唇に触れる。
柔らかな感触に少しの罪悪感と心地良さを感じる。
罪悪感の方が大きくなる前に唇が離された。
「みやがあたしを好きじゃなくても。……あたしはみやが好き」
今までならこんな台詞を言わせなかった。
それなのに今はその言葉を否定することすら出来ない。
真っ直ぐな目に見つめられて、やましい思いを気取られないように雅は目を閉じた。
もう一度、今度はさっきよりも深いキスをする。
どこで覚えてきたのか。
この年下の恋人は初めてしたキスの時からやけに上手だった。
今も、唇を割って入ってきた舌がまるでそれ自体が意志を持っているかのように、雅の舌に絡みついてきている。
「みや」
離れた唇から名前を呼ばれると同時に、梨沙子に緩く締めてあったネクタイをしゅるりと外された。
制服の上着を脱がされ、ブラウスのボタンに手をかけられる。
一つめのボタンが外され、まるで感触を確かめるようにキスをされた。
雅のいる小さな台の上に梨沙子が上がる。
雅の太ももの上に座り込むと、梨沙子がボタンを外していく。
ブラウスのボタンを一つ外すたびに梨沙子がキスをする。
雅の頭の中で目の前にいる梨沙子が別の人物にすり替わる。
桃子の姿へと。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:20
- いつの日からこんなことになってしまったのか。
雅が求めているのは梨沙子ではないはずなのに、彼女にキスされることを拒めない。
それどころか、身体は梨沙子に触れられることを求めている。
最低だ。雅はこんな自分をいやらしいと思う。
でも、そんな自分を止めることが出来ない。
いけないことだとわかっていても、そうする自分を許し続けてしまうのは、梨沙子に触れられながら別のことを考えたいからだ。
「んっ」
首筋をぺろりと舐められて声が出た。
いつの間にかボタンは全て外されていた。
はだけたブラウスの中に入った梨沙子の手が雅のブラジャーを押し上げる。
「みやって、最近すごくエッチだよね。もう立ってるもん、ココ」
梨沙子が指し示した場所。
雅は胸の先端を指先で突かれる。
その指先から逃れるように雅が身体を捻ると、尖ったそこに唇を寄せてきた梨沙子に歯を立てられた。
「いたっ」
思ったよりも強い力でそこを噛まれて雅は顔を顰めるが、梨沙子は止まらない。
歯を立てたその場所に舌を絡みつけ、指先でさすり上げてくる。
その刺激に雅の吐く息が震える。
「痛いの、気持ちいい?さっきより、硬くなってる」
「良く…ない。梨沙子、力…入りすぎ」
「でも、みや。気持ちいい時に出す声出してる」
動き続ける指先に雅の声が濡れていた。
雅の胸の先を指先で押し潰しながら、梨沙子は少し身体を離す。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:20
- 「なんか、全部脱いでるのより……。こういうカッコの方がやらしく見える」
雅の身体に頼りなくかかっているブラウスと、胸の上まで押し上げられた下着。
全体を見ることが出来なくても雅は自分が今、人を誘うような格好をしているとわかる。
その証拠に梨沙子の頬が薄く染まり、その口からは濡れた吐息が吐き出されていた。
急ぎ足になった梨沙子の手が雅の身体のラインを辿って下へと降りていく。
「り、さこ、電気」
「消すの?」
「消し…て」
「消した方が、大胆になれるとか?」
「……いいから、消してよ」
梨沙子が黙って立ち上がり、照明のスイッチを押す。
ぱちり、と音がして明るかった教室が薄闇に変わる。
確かに恥ずかしいから、というのも理由の一つだった。
けれどもっと大事な理由が一つ。消した方が想像しやすいからだ。
桃子のことを。
「みや、大好き」
照明を落として雅の元へと戻ってきた梨沙子が囁く。
好きだとか。
雅はそんな言葉を出来れば聞きたくない。
梨沙子に抱かれながら考えているのは桃子のことだから良心が痛む。
梨沙子のことは確かに好きだったが、だがもっと好きな人が出来た。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:21
- 桃子に好きだと言う勇気はない。
梨沙子に別れてくれと言う勇気もない。
別れてくれだなんて言えば、絶対に梨沙子は泣くだろう。
子供の頃から梨沙子が泣くのは嫌だった。だから別れを切り出すことも出来ない。
それが言い訳にしかすぎないことを知っていても、動き出せなかった。
だから、雅は想像の中に桃子を見つけ出す。
薄暗い部屋の中、触れてくる手や唇を桃子のものに変換する。
胸を柔らかく揉んでくる手。
ついばむようにキスを落とす唇。
それらを全て変換していく。
上半身を滑り落ちていく唇が、所々で止まって甘く噛みついて舌を這わせる。
快感に耐えられなくなった雅の身体がびくんと大きく震えた。
「大丈夫?みや、平気?」
耳元で囁かれた梨沙子の声が桃子の声にすり替わった。
何処かで聞いたことのある台詞に雅の記憶が昨日の放課後へ繋がる。
『大丈夫?みーやん、平気?』
昨日、桃子に同じ言葉をかけられた。
躓いて転びそうになった雅の腕を桃子が引っ張り、そして手を握られた。
心配げな声と触れてくる温かな桃子の手が心地良かった。
その時にかけられた台詞が梨沙子の声と重なって聞こえる。
桃子の声が耳の奥で響く。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:21
- 「みや?」
雅の飛びかけた意識は甘えたような梨沙子の声に呼び戻される。
熱くなった雅の身体に触れてくる梨沙子の手は、昨日触れた桃子の手の何十倍も熱かった。
昨日とは違う。
それなのに。
昨日とは確かに違う手のはずなのに、頭の中で念じると本当に桃子に触れられている気がしてくる。
「んぁっ、ああっん」
汗ばんだ手が身体中に触れてくる。
腰を撫でて戻ってきた手に胸の先端を摘まれると、大きな声が出た。
身体がびくっと震えるたびに、雅の太ももの上に座っている梨沙子にその振動が伝わってクスクスと笑われた。
そのたびに現実へと引き戻される。
「もっと気持ち良くしてあげるね」
太ももの上から降りた梨沙子の手が雅の膝を掴む。
梨沙子が膝の裏に手を差し入れ、雅の足を軽く立たせた。
雅の足をぐいっと開いた梨沙子が、足の間に入り込む。
手がスカートを捲り上げながら、するすると足の付け根に向かって這っていく。
太ももを撫で上げた手が下着に辿り着き、布越しに触れられた。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:22
- 「みや、すごいよ?ココからでもわかるぐらい濡れてる。下着、もう穿けないぐらい汚れてるよ。……帰り、どうするの?」
悪戯っぽく笑われたが、それに反論する余裕はなかった。
押しつけられるように触られて、雅の腰が思わず浮いた。
湿りきった下着が肌に張り付いて気持ちが悪い。
確かめるように触れてくる梨沙子の指がそこを圧迫する。
「みや、いつもより濡れてる」
「そんなの、どう…でもいい。……気持ち、悪い」
「脱がせて欲しい?」
雅は言葉ではなく、コクンと頷いて返事をした。
梨沙子の手が下着にかけられて、腰を浮かせるようにと瞳で促される。
黙ってそれに従うと、くちゅりと音がして肌から下着が離れた。
その音に雅は、自分のそこがどんなことになっているのか気づかされる。
濡れきっているであろうそこを指先で探られる。
ゆるゆると上下に動いていた指先はすぐに雅が触れて欲しい部分を探し出す。
「あっ。やあ、んっ」
くるりと硬くなったそこをさすられる。
何度か指の腹で擦ってから、指先がもう少し下へと降りていく。
どの指かはわからないが、ぬるりとした液体が溢れ出す部分に指を押し当てられる。
閉じられていた身体を指先が開いていく。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:22
- 昨日触れた桃子の指が、自分の身体の中へ押し込まれていく。
直接触れられているわけでもない。
少し頭の中に思い浮かべただけ。
それだけで雅の身体がおかしくなる。
桃子にされている、そう考えただけで体温が上がる。
根元まで飲み込んでいる指をぎゅっと締め付けていく。
「あたしまだ動かしてないのに。ねえ、なんで?」
言葉を句切って、梨沙子が胸元にキスを落とした。
掠れた声が雅の耳に届く。
「みやの中に挿れてるだけなのに、どんどん溢れてくる」
こんなの駄目だってわかっている。
――今、うちの中にももの指が入ってる。
そんなことを思っただけで雅の身体の奥からどろりとした何かが溢れ出してくる。
熱を持った身体はさらに温度を増す。
指を包み込む液体の粘度が増す。
中に入ったまま動かない指に身体が焦れる。
快感を求めて、無意識のうちに雅の腰が揺れる。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:23
- 「自分で腰動かしたりして。……みや、やらしいよ」
「だって、指」
急に身体の中にあった指が動き出して、続く言葉は口に出来なかった。
やんわりとした動きで、指を半ばまで引き抜かれてまた奥まで押し込まれる。
指を抜き差しされるたびに濡れた音が響いた。
桃子ならどんな風に指を動かすんだろう。
ふと考えたそんなことのせいで指は緩慢な動きにもかかわらず、雅の内壁が軽く伸縮を繰り返す。
中に入っている指を締め付けながら、雅の想像はその先へと進んでいく。
「今、何考えてるの?」
梨沙子の声が遠くで聞こえた。
――ももはどんな風に抱くんだろう。
そんなことを考えていたとは言えなかった。
いや、抱くとか抱かれるとか。
桃子がどちらを好むかすら知らない。
梨沙子に雅が何を考えているかなどわかるはずがない。
雅はそう信じ込む。
そして誤魔化すように梨沙子への要求を口にする。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:24
- 「梨沙子。指、もっと、動か…して…よ」
「やだ」
「なん、で」
「なんかみや、違うこと考えてる」
「考えて…なんか、ない」
「みやは。……みやはあたしのだもん」
何かを敏感に感じ取った梨沙子に甘く囁かれる。
それと同時に雅の中から指が抜き取られる。
変わりに張り付く生暖かい何か。
「んっ、ちょっ……。あ、あぁっ」
カタンという音と共に、雅の視界から梨沙子の身体が消えた。
雅が乗っている台から降りた梨沙子が床に膝をつき、濡れたそこに舌を這わせていた。
ぬるりと生ぬるい舌が溢れ出す液体を掬い取っていく。
「ね、ココ。他の人に見られたことある?」
「あっ、んぁ」
ぐりっと指先で硬くなった部分を押されて声が出る。
指の腹でぐいぐいと押されて思わず腰を引くと、梨沙子の腕に引き戻された。
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:25
- 「答えて」
「ない…よ。ある…わけ、ない」
想像の中で。
何度も見られた。
桃子の視線が濡れたそこに絡みつくのを感じた。
「みやがココこんなに濡らして、奥まで挿れられて喜んでるって知ってるの、あたしだけ?」
尖らせた舌先に強く舐め上げられて雅がびくっと身体を震わせると、一気に身体の奥まで指が押し込まれた。
「はぁっ、ん!……べつに、はあっ、喜…で、なん、か」
「喜んでるじゃん。聞こえる?ほら、やらしい音出してる」
指を出し入れされると、溢れ出した粘液が立てる音が響く。
その音に誘われるように、どろどろとした液体がもっと溢れ出る。
たくし上げられたスカートが太ももにまとわりついて足を擦る。
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:26
- ほとんど服を着たまま。
乱れている自分を。
――ももが見てる。
想像がエスカレートしていく。
直接身体に触れている梨沙子と、想像の中の桃子。
二人に抱かれているような気がする。
溢れ出す液体を舐め取る舌と。
やましい想像ごと貫く指。
梨沙子の甘えた声に縛り付けられる。
想像の中の桃子に押さえつけられる。
『みーやん、梨沙子に舐められてそんな声出して』
くすり、と笑った桃子が耳元で囁いた気がした。
『ももだって見てるのに。……ごめん、違うね。ももが見てるからだ。だから、そんなになってるんだ』
視線を感じる。
足を閉じようとすると、舌に硬くなった部分を弾かれて腰が跳ねた。
身体の中に埋まっている指が小刻みに動き出す。
『暗くて見えないって思ってるでしょ?あのね、ももに全部見えてるよ。みーやんの中に梨沙子の指が入ってるの、ももにちゃんと見えてる』
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:26
- 「や、見な…で…」
内壁を擦る指にではなく、頭の中に聞こえた声に身体が反応して声が出た。
快感に揺れて倒れかけた身体を、雅は自分の足の間にある身体に爪を立てて耐える。
「みや、明かり付けるよ」
「なん…で?」
「よく見えるようにするの。あたしのみやがよく見えるように」
ぬるっとした感触とともに指が引き抜かれて明かりが灯る。
急に明るくなった視界に目が慣れると、当たり前のことだが周りがよく見えるようになった。
闇の中にいた桃子の輪郭が蛍光灯の光に溶けていく。
無粋な光の中、変わりに見えたものは白い肌の梨沙子。
「見てるから」
雅の膝に梨沙子の唇が触れる。
場所を変えて触れてくる唇は、確実に太ももの奥へと向かっていた。
指先が太ももの裏を撫でさする。
雅は梨沙子から隠すように足を閉じる。
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:27
- 「足、閉じちゃうの?あたしに見せてよ、みや」
梨沙子にじっと見つめられる。
拘束されているわけじゃない。逃げようと思えば逃げられる。
けれどその目から逃げ出せない。
縋るようなその瞳から。
罪悪感と、それ以上の快感から逃げられない。
「みや、どうして欲しい?」
膝の裏を爪で引っかかれる。
「お願い、さわ…って」
「……これから、もっとあたしと話してくれる?」
「う、ん」
「遊びに行ってくれる?」
「行く、から」
「他の誰にもそんな声、聞かせない?」
「聞か、せな…い。だから……」
「じゃあ。足、開いて?」
梨沙子の手が膝に添えられ、雅の足を開こうとした。
だが、反射的に雅は足に力を入れてそれを阻止する。
「挿れて欲しくないの?」
首を横に振る。
雅の髪がばさばさと揺れる。
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:28
- 『みーやん、自分で足開いてお願いしなよ。ももの指、挿れてくださいって』
どこからか聞こえた声に頬が熱くなった。
少し躊躇ってから、雅はおずおずと自ら足を開く。
「挿れて、欲…しい」
熱っぽい声が出た。
自分が口にした言葉に開いたそこが熱くなるのを感じる。
『こんなエッチなカッコでももを欲しがったりするなんて思わなかったな。みーやんがこんなにやらしいなんて、知らなかった』
指先が足の根元から撫でるように濡れたそこに触れた。
『挿れるよ、みーやんの中に』
溢れた液体でぬるりとした入り口に二本の指を押し当てられた。
ゆっくりとそこを押し広げるように指が雅の身体の中へと入り込むと、くちゅりと水音が聞こえる。
二本の指に内壁を探るようにさすられて、掠れた声が出る。
ゆるゆると指を抜き差しされると雅の腰が揺れて、台の上にあった右足が床へと落ちた。
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:29
- 「みや、そうやってるとよく見えるよ。ほら、見て。みやの中にあたしの指が入ってる」
台の上から落ちた右足のせいで、雅の足の間が大きく開かれた。
するすると中に入っていた指が半分程出される。
空いている梨沙子の手が、雅の頭を掴んで無理矢理下を向かせる。
視界の端に、自分の身体の中に入り込んでいる指が見えた。
雅はぎゅっと目を閉じる。
闇の向こうから、絶えることなく梨沙子が雅の名前を呼ぶ。
それでも。
雅は瞼の裏に桃子の姿を描く。
『そんなに足開いて、ももにもっと見て欲しい?』
想像の中の桃子が艶めかしく雅の耳元に唇を寄せて囁く。
身体の中で暴れる指にあわせて雅の腰が動き出す。
指が奥まで届くたびに声が出た。
「あぁ、んっ」
何も考えられなくなる。
身体の中で蠢く指以外。
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:29
- 『ね、梨沙子以外にはそんな声、聞かせないんじゃなかったの?』
抑えようとしたはずが大きな声になる。
痙攣する。
身体の中で指をぎゅっと締め付ける。
『みーやん。約束守らない悪い子はお仕置きだよ?』
「みや、ちゃんと見ないと……」
身体を開き擦る指先がペースを落とす。
声が重なる。
――イカせてなんてあげない。
- 22 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:30
- 雅にはそれが誰の声かもうわからなかった。
罪の意識は薄れて、快感と混ざり合う。
声は掠れて、声にならない。
この苦痛にも近い快楽から救い出して欲しいだけ。
これが人の指を使った自慰だなんてことぐらい自分でも気がついている。
梨沙子を使って、想像の中で桃子に抱かれる。
自分の手を使わないだけだ。
身体を突く感覚に崩れかけて、天秤が傾くように世界は傾いて。
傾斜した世界の中で雅は願う。
梨沙子の指に。
桃子の指に。
最後まで連れて行って欲しい、と。
- 23 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:30
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- 24 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:31
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- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/03(土) 22:31
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