04 いしよしごっこ

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:53
04 いしよしごっこ
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:54
コンサート会場の出演者控え室には一つも窓がなかった。

熱心なファンやマスコミの目を避けるためにも、当然のことなのかもしれない。
そんな控え室にも、換気設備はきっちりと整っているはずなのだが、部屋の中は妙に暑い。
閉ざされた部屋の中には、10月という季節とは無関係の澱んだ空気が漂っていた。

部屋の中にいる人間の放つ熱が、汗が、体臭が、
化粧品の匂いと混ざって独特のむさ苦しさを醸し出している。

同性の人間が数人固まると、なぜこんなにも甘酸っぱい匂いになるのだろうか。
そこに一人でも異性がいれば、また違った、ごく普通の空間になるのかもしれないが。
女だけの空間では、女が女の触媒となり、女の匂いをよりすえたものにしていく。

モーニング娘。2007年秋のコンサート。
ステージの幕が上がるまであと一時間ほどの時間があった。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:54
「おはよー。・・・・・あれ?みんな揃ってるじゃん。今日はみんな早いね」

「開演までまだ一時間もあるみたいですね」

「衣装に着替えるまで・・・・・・・まだかなり時間あるよねー」

「あんなのギリギリに着替えればいいじゃん。衣装重いし。この部屋暑いし」

「んじゃあと一時間も暇なの?なにそれ」

「知らないですよー。マネージャーさんに言ってくださいよ」

「ひまひまひまひまひまひま」

「雑誌ありますよ」

「それ趣味じゃない」

「ゲームない?ゲーム」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「じゃあさ。またあれやろうよ。あれ」

「あれ?」

「いしよしごっこ」
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:54
「いしよしごっこ」という言葉が出てきたその瞬間、
誰に語りかけるでもなく、思い思いに喋っていた各メンバーの言葉がピタリと止まる。

あるメンバーは「またか」とやや倦んだ表情を顔に出し、
あるメンバーは「本当に?」と期待感に目を輝かせる。
だが「やめよう」と表立って言うメンバーは一人もいなかった。
当事者になろうが。傍観者でいようが。
このゲームが始まれば退屈な時間など吹っ飛んでしまうことはわかっていた。

最初はちょっとした罰ゲームから始まったこの遊びは、
いつしか彼女らにとって欠かせない娯楽となりつつあった。

一人のメンバーが異常な速さでどこからともなく一枚のコインを取り出す。
他のメンバーの同意を待っている時間すらも惜しいと言わんばかりに。
「じゃ、順番からいって今日の番は誰だかわかってますよね?」
と言いながら親指の爪でコインを弾く。

コインはチーンと金属音を立てながら宙を舞い、
左手の甲と右手の掌の間に吸い込まれる。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:54
コインが両手の間に吸い込まれるのとほぼ同時に、
コインを挟んだ手を指差しながら、二人のメンバーが叫ぶ。


「表!」

「裏!」


コインを挟んだメンバーはすぐにコインを見せることはしなかった。
ニヤリと笑いながら二人の参加者の顔を見比べる。
時間にすればきっと1秒か2秒。
だがその時間は二人のメンバーにはとてつもなく長い時間に感じられた。

室内の体感温度が、湿度が、不快指数が、じわりと上がる。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:54
ゆっくりと両手が開かれ、銀色のコインが姿を現す。
そこにはくっきりと100という数字が刻まれていた。
コインを覗き込んでいたメンバー全員がどっと沸く。

「はい、裏でした」

「あああああああ」

「マジー!」

「マジだねこりゃ」

「じゃ、あたしが石川役で」

「ええええー」

「ふふふ。まさかそっちが石川役とはね・・・・・」

「ぶーぶー」

「はいはいそこ、文句言わないでください」

「裏か表かを当てた方が石川役って決まってるんですから」

「わかってるけどー」

「そんなことより早く始めよう!」

「うわー。やる気まんまん」
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:55
二人のメンバーは部屋の中央に持ってこられたソファの上に並んで座る。
『吉澤』役となったメンバーは『石川』役となったメンバーの髪をゆっくりと撫でる。

「梨華・・・・・・・愛してるよ」

そう言った瞬間、部屋の中に爆笑が流れる。

「わー、愛してるだってー。きゃははははは」

見ているメンバーはそう言いながらわいわいとはやし立てる。
別に黙って見ている必要はなかった。思ったことを次々と口に出していく。

「ほらほら!もっと甘えて!もっとひっついて!」

何を言おうが自由。どれだけ冷やかしを入れようが自由。
どこで見ようが自由。二人の目の前で見ようが自由。
二人に触るのはNG。撮影もNG。あとは好き勝手にしていいというルールだった。

「もう時間ないからさー、さっさと指入れてくんない?」

下品な野次と無遠慮な視線を浴びながら、
『石川』役となったメンバーが『吉澤』役となったメンバーにゆっくりとよりかかる。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:55
「ねえ、よっすぃー・・・・・あ、いやん」

『石川』が『吉澤』にしなだれかかろうとしたとき、
『吉澤』は『石川』の手をゆっくりと払いのけて『石川』の胸元に手を入れる。
『石川』はいやいやと軽く首を振りながら弱々しく抵抗する。

「だーめ。梨華ちゃん。暴れちゃダメ」

そう言いながら『吉澤』は『石川』の服に手をかける。
チューブトップのシャツが乱暴に下着ごとずり下げられ、乳房が露出する。
うおおーっと歓声が上がる。
好奇。侮蔑。嘲笑。歓喜。失笑。期待。興奮。嫉妬。
あらゆる感情が鋭い視線に乗せられて『石川』の乳房に集まる。

『石川』の頬が赤く染まる。だが胸を隠すことは許されなかった。
見ているメンバーは二人の行為を好き放題見てもよかったが、
演じる『石川』と『吉澤』は周囲の視線を無視しなければならない。

あくまで二人きりの雰囲気を保ったまま演じるのがルールだった。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:55
『吉澤』は胸を愛撫しながら『石川』の太ももを持ち上げる。
ミニスカートがはだけて下着が露になる。

「あ、いや。ダメだって。ダメよよっすぃー」

「ダメじゃないよ梨華ちゃん。なんでそんなに嫌がるの?」

「なんでって・・・・・・」

「あたしのこと嫌いなんだ?」

「・・・・・・・嫌いじゃない」

「好き?」

「・・・・・・・うん」

「あたしのこと好き?」

「好き」

「昔からずっと?」

「うん。オーディションで会ったときから・・・・・好きだったよ」
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:55
二人のチープな小芝居に、見ているメンバーから失笑が漏れる。
えーなにその演技ー嘘臭ーいとあからさまに文句を言ったりもする。
だがこれも毎回のお約束だった。
毎回それらしい芝居を入れ、見てるメンバーがそれを冷やかす。
冷やかしながら二人の羞恥心を煽っていく。

他のメンバーの視線を意識しつつ二人は愛撫を重ねる。
羞恥心が二人の体を内側から焦がす。
体を火照らせながらも、二人は徐々に『石川』と『吉澤』の世界に入っていく。

「よっすぃー大好き」「梨華ちゃん綺麗だよ」「よっすぃーそこ触って」「このすけべ」「いやん」
「梨華ちゃんもちゃんと触って」「どこを?」「梨華ちゃんの一番好きなところ」「全部好きだよ」
二人は甘えた口調で次々と台詞を生み出していく。
もはやそれが台詞なのかどうかも二人にはわからなくなっていた。

やがて『吉澤』の指が『石川』の太ももを何度か往復しながら滑り落ちていき、
下着の脇から中央部へと滑り込んでいく。
『石川』の形を確かめるように愛撫しながら『吉澤』は下着を脱がせていく。

『石川』はもう抵抗はしなかった。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:55
「梨華ちゃん。広げて」

「え?」

「自分で広げてよ」

「バカ」

「あれ?逆らうんだ。あたしの言うこと聞いてくれないんだ」

「バカ」

『石川』は自らの指で中央部を広げていく。
見ている人間にも『石川』の内部がはっきりと見えるほどに。

「うわー、垂れてるよ。なんか垂れてるよ」

見ているメンバーはここぞとばかりにはやし立てる。
至近距離で放たれた言葉は吐息とともに『石川』の中央部を撫でる。

「ふふふ。ちょっとこれ、濡れ過ぎじゃない?」

メンバーの嘲笑に『石川』は思わず奥歯を噛む。
見られているのはわかっているが、広げる指を動かすことはできない。
奥から奥から。溢れ出てくる衝動が『石川』の肉体を小刻みに突き上げる。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:55
『吉澤』の指がその隙間を無遠慮に前後する。二人の指が交差する。
お互いの指が絡み合い、協力するようにして『石川』の中央部を愛撫する。

冷やかしながら見ていたメンバーもいつしか黙り込み、
ギラギラとした視線だけを二人の体に浴びせる。
部屋の中は無言の空間となっていた。

「う・・・・くっ・・・・・ああ・・・・・・・・」

『石川』の吐息だけが静まり返った部屋に響く。
『吉澤』は唇で『石川』の耳を優しく挟むようにして愛撫する。
唇は『石川』の顎をつたい、首筋を這い、胸元へと伸びていく。ゆっくりと。しっとりと。

「あっ・・・・・ああん!!あぁ!ダメ!それ・・・・・・う!」

『石川』の声は徐々に獣じみた大きさになっていく。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
「ちょっとこれ、隣の部屋まで聞こえちゃうんじゃない?」

『石川』の声のあまりの大きさに、見ているメンバーが思わずつぶやく。
今回のツアーはモーニング娘。と美勇伝が一緒になって行なっている。
二つのグループの控え室は分けられていたが、壁一枚隔てただけの隣の部屋だった。

「本当に聞こえるかも!壁薄いし!」

そう言いながらそのメンバーはいきなり壁をドンドンドン!と激しく叩く。

「聞こえちゃいますよー!!聞いてますかー石川さーん!!」

二人だけの世界に入っていた『石川』と『吉澤』は思わず振り返る。
隣の部屋に聞かれたら。そう思うと気が気ではない。
だがまだ終わることは許されなかった。

「はいはい、気にせず続けて続けて」と促されて二人は再び『石川』と『吉澤』の世界に戻る。
見ているメンバーが満足するまで続けなければならないというのも、
「いしよしごっこ」のルールの一つだった。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
二人は再び愛撫を始めるが、どうしても隣の部屋を意識してしまう。

もし隣の部屋に聞かれたら。
もし「よっすぃー」「梨華ちゃん」なんていう会話を隣に聞かれたら。
その瞬間に自分はもうハロプロにいられなくなるのではと思う。
二人はそんな不安をかき消すかのように激しく指を絡ませあう。

「あっ・・・・・やっ・・・・・ちょっと待って」

「どうしたの梨華ちゃん?」

「もっと優しくして。ね。よっすぃー。お願い」

「こんな感じ?」

「あん!・・・・・・・ちょ・・・・ヤダ!」

声を出してはいけないと意識すればするほど二人の声は大きくなる。
感じてはいけないと意識すればするほど二人の体は敏感なっていく。
自分の体が自分の体ではないようだった。

もうどうにでもなればいい。聞こえるなら聞こえればいい。聞かせてあげる。思う存分。

「ああ!・・・・・・・・・ん!ん!」

「くふ!うううう!・・・・・あぁ!」

そんな開き直りにも似た心境に二人が達した時―――
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
こんこんこん。



扉がノックされる。

「そろそろ時間でーす。準備お願いしまーす」

はーい。とそこにいたメンバー全員が声を揃えて返事する。
『石川』や『吉澤』も含めて全員が。
見事に事務的な口調で。

『石川』と『吉澤』の二人は衣服の乱れを素早く直して素の二人に戻る。
扉を開けてメンバー達は控え室を出る。
衣装に着替えるには別の部屋に移動する必要があった。





 
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
美勇伝さん入りまーす。というスタッフの声と共に三人は衣装が用意してある部屋に入る。
部屋の中には誰もいなかった。
どうやらモーニング娘。のメンバーは既に着替え終わったらしい。


「あーあ。またあたしがよっすぃーの役だったかー」

「ホンマ運が悪いですよね。これで4回連続ですもん」

「ていうか石川さんって、まだ一回もコイン当てたことないですよ」

「コインの投げ方が悪いんだよ!」

「そんなメチャクチャ言われても」

「このルール決めたの石川さんじゃないですか」

「うるさい!次は!次こそは絶対あたしが石川役をやるからね!!」

「はいはい」

「はいはい」
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
 
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
 
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/26(金) 22:56
 

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