鏡の国の小春さん
- 1 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:41
-
鏡の国の小春さん
- 2 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:42
- 1.鏡の国の女王様?
それはお休みの日の昼下がりのことです。さゆみお姉さんが鏡の前で
髪のセットをしています。小春さんとお姉さんは2人でこれからお出かけ
するはずなのに お姉さんと来たらもう長いこと鏡の前ですわっているの
です。
「さゆお姉ちゃん、早く行こうよ。」
「だめなの。本当のさゆはもっと美しくなくてはいけないの。」
小春さんはなんだかお出かけする前なのにぐったりと疲れて来てしまい
ました。
「小春も大きくなったらどれだけこれが大事なことかわかるはずなの。」
お姉さんはそういいました。鏡を見ながら髪の毛を整えることがそんなに
大事なのかしら、そんなことより早くお出かけしたいのに。あぁあ、お姉さんは
鏡の国にお出かけできるんだわ。わたしももっとオトナになればお出かけ
できるのかしら。そうだ、ちょっと試してみましょう。小春さんはそう思って、
ふざけて鏡に手をさしのばしてみました。すると・・・
- 3 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:43
- 2.
ドスン!!
という音がしました。そうです。小春さんは鏡の向こうの世界に行くことが
できたのです。ただ本当にいけるとは思わなかったのでバランスをくずして
転んでしまったのです。
「さゆお姉ちゃん!」
と小春さんは叫びました。「私もついにオトナになったの。もうお姉ちゃんには
負けないの。」って報告したかったからです。ところが辺りを見回しても
お姉さんはいません。小春さんはとても不安になってきました。そこへ、
グー。
という音が小春さんの足元からしました。そこをみてみるとなんとお姉さんが
寝ているではないですか。これからお出かけするっていうのに寝てしまうなんて!
小春さんはお姉さんのことを起こそうとしました。
肩に手をかけてゆすろうとすると・・・
- 4 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:44
- 3.ダブルユーボンとダブルユーノン
「「だめ!」」
と、止める声がしました。そこには2人ともそっくりの格好をした女性デュオが
いるではありませんか。
「「女王様を起こすと私たちは消えてなくなっちゃうよ。」」
と声をそろえて2人は言いました。
「え?女王様?」
「「そう!その人はこの国の女王様!」」
またまた2人は声をそろえて答えます。
「「ここは女王様の夢の国!だから女王様が目覚めたら全てが終わり!」」
「でもわたしたちこれからお出かけするんです。」
小春さんがそういうと2人は顔を見合わせました。
「「わたしたちまだ消えたくないよ〜」」
- 5 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:46
- 4.
「あなたたちはだれ?」
小春さんは聞きました。
「「双子のようで双子じゃない!双子じゃないけど双子みたい!!」」
「わたしはダブルユーボン!」
「わたしはダブルユーノン!」
そういうと2人はかわいらしいポーズを取りました。だけどその声があんまり
やかましかったので小春さんはお姉さんが起きてしまわないかひやりとしました。
「「お願い、女王様を起こさないで!」」
「わかったわ。」
小春さんは言いました。すると2人はまた顔を見合わせたかとおもうと、ハイ
タッチしたり、腕を組んでくるくる踊ったりしてはしゃぎだしました。
- 6 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:47
- 5.
「ねぇねぇ、ダブルユーボン?」
「なぁに?ダブルユーノン。」
「この子にお礼しようよ。ダブルユーボン。」
「それはいい考えだね、ダブルユーノン。」
「そんなお礼なんて。」
「ねぇねぇ、ダブルユーボン?」
「なぁに?ダブルユーノン。」
「わたしこの子の名前知らないよ?知ってる?ダブルユーボン?」
「わたしこの子の名前知らないよ。聞こうよ。ダブルユーノン。」
「あの、わたしの名前は小春っていいます。」
「「え?小春ちゃん?」」
2人はまた顔を見合わせます。
- 7 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:47
- 6.
「「ねぇ?もしかして同じこと考えてる?」」
2人は声をそろえていいました。すると2人はまたポーズをとりました、
小春さんもなんだかそのポーズが好きになってきました。「お家にもどったら
お姉ちゃんと一緒にやってみようかしら。そういえばおそろいのかわいい
ピンク色の衣装もあるわ。」そんな風に思いました。
「「ジャジャーン!発表します!小春ちゃんに詩をプレゼントします!」」
「え、なんですって?」
「ダブルユーボンと考えた詩をあなたに聞かせてあげる!」
「ダブルユーノンと一緒に考えたんだよ!」
「あら。きっと素敵な詩なんでしょうね。」
小春さんは胸の前で手を組みながら言いました。
- 8 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:47
- 7.
ところが2人はそろって首を振ります。
「「素敵のようで素敵じゃない!素敵じゃないけど素敵みたい!」」
2人の首の動きがそろっていて大げさなので小春さんはなんだか可笑しな
気持ちになります。
「素敵じゃない?ってどういうことですか?」
「素敵のようで素敵じゃないんだよ。ね?ダブルユーボン。」
「素敵じゃないけど素敵みたいなんだよ。ね?ダブルユーノン。」
「じゃあ題名はなんていうんですか?」
「題名はね、えっとね、なんだっけ。ダブルユーボン?」
「題名はね、えっとね、そうだ『大工とセイウチそれからつぼ貝』だよ。ダブルユーノン。」
そういうと2人は深呼吸して詩を暗誦しはじめたのです。
- 9 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:48
- 8.大工とセイウチそれからつぼ貝
”海の上には ミラクルな
おひさまピカピカ 光ってて
大波小波も なんのその
ツルツルピカピカ 照らしてる
だけどそれって おかしな話
光れど光れど 娘。は暗め ”
- 10 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:48
- 9.
”月はむっつり 怒ってる
娘。が暗めは 仕方がないが
私の出番を 奪ってまでも
のこのこわざわざ 出てくるなんて!
だけどそれって おかしな話
月はきらりと 光っているよ ”
- 11 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:48
- 10.
”なにがきらりだ 海の中
ありえないほど ぐしょぐしょに
ぬれにぬれてる その横で
砂浜たちは ドライにドライ
ヲタの汗すら にじまない
だってヲタなど いないのだから ”
- 12 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:48
- 11.
”大工とセイウチ そこに来て
くだらぬはなしで もりあがる
「この前やってた イベントの
客の整理が 大変だった
モップではいて 捨てられたなら
なんともすっきり 壮観なのに!」 ”
- 13 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:48
- 12.
”「メイド八人 モップが八つ
半年間も 雇ったならば
それですっきり 片付くのかな?」
首をふりふり 大工は言った
「それじゃ全く 逆効果!
メイド目当ての ヲタがくる!」 ”
- 14 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:49
- 13.
”「おおつぼ貝くん! つぼ貝くん!
小春日和に 誘われて
散歩に来たとは 優雅だね!」
セイウチ思わず 叫んでみると
慌てにあわてて つぼ貝たちは
我が先にと 逃げ帰る ”
- 15 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:49
- 14.
”ところがひとつ 例外的に
残っているのは 最年長
貝の世界じゃ 名の知れた
種類はつぼ貝 名はサザエ
小春日和の この浜を
離れる気なんて ありません ”
- 16 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:49
- 15.
”サザエは言った 「時は来た
多くのことを 今語ろう」
つぼ貝たちの 飼育場の
むかしばなしを 話し出す。
だけどそれって おかしな話
だってそれって セイウチの台詞 ”
- 17 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:49
- 16.
”「ちょっと待って」 と大工が言った
「みんなで話す その前に
僕らはとても お腹がすいた」
「なんだそれなら この僕を
食べておくれ」と サザエは言った
彼らはそれで 驚いた! ”
- 18 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:49
-
17.
”「コンロがひとつ」 サザエは言った
「それがもっとも 重要だ
それにくわえて 焼き網と
醤油があれば なお結構
さぁさぁ準備を しておくれ
楽しい会を 始めよう」 ”
- 19 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:50
- 18.
”「まさか僕らが 君のこと?!」
大工とセイウチ ぞっとする
だけどサザエは きっぱり言った
「ずっと前から 思ってた
こんな小春に 燃え死ぬならば
それは全く 本望だ!」 ”
- 20 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:50
- 19.
”結局サザエは 食べられもせず
焼かれもせずに 生きている
だけどこれって おかしな話?
いいえ全然 変じゃない
だって本当の モーヲタは
煮ても焼いても 食べられない! ”
- 21 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:50
- 20.鏡の国の王様
「「おわり!」」
2人はとても得意そうにいいました。そしてやっぱりポーズを決めています。
「ねぇねぇ、感想が聞きたいよね、ダブルユーボン?」
「うんうん。感想が聞きたいよね、ダブルユーノン。」
「そうね。サザエさんが1番好き。小春のこと大好きなんでしょう?」
「ダブルユーノンだって小春ちゃんのこと大好き!」
「ダブルユーボンだって小春ちゃんのこと大好き!」
「「鏡の国の王様も小春ちゃんのことが大好き!」」
「あら。」小春さんは言いました。「この国には王様もいるの?」
- 22 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:50
- 21.
” はやく あいたいの ”
- 23 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:50
- 22.
「ほら。今王様の声がしたよね。ダブルユーボン。」
「うん。今王様の声だったよね。ダブルユーノン。」
「え?じゃあ近くに王様はいるんですか?」
「音なしの森を抜けて!」
「響きの山にいけば!」
「「そこに王様はいるよ!」」
「ずいぶん遠そう。でもせっかくだから会いに行こうかしら。『あいたい』って
王様もおっしゃってることだし。ねぇどっちに行ったらいいんですか?」
「「あっち!」」
ダブルユーボンとダブルユーノンは同じ目線同じ顔の角度そして同じ手の角度
で一方向をさしました。
「あっちね。本当にありがとう。詩とってもステ・・素晴しかったわ!」
そういうと2人はとっても喜びました。そして手を振って小春さんは別れたのです。
- 24 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:51
- 23.音なしの森
- 25 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:51
- 24.
- 26 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:51
- 25.響きの山
このようにして小春さんはなんとか音なしの森を抜けることができました。
さて王様はどこでしょう?辺りを見回してみると人はいないみたいでした。でもなぜか
大きな鏡があるのに小春さんは気が付きました。
「まぁ。大きな鏡。」
「だけどそれっておかしな話。」小春さんは思いました。「鏡の国の中に鏡があったら」
”それじゃあ合わせ鏡になっちゃう!”
小春さんはそれはもうびっくりしました。なぜって?だって鏡の中の人が勝手に
喋りだすんですもの。それだけじゃありません。枠のなかから飛び出してさえ来たのです。
- 27 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:51
- 26.
でもよく見るとそれは不思議じゃありませんでした。それは鏡じゃなくて鏡のない
ただの枠だったのです。
でもやっぱり不思議です。さっきはどこにもいなかったはずの人たちが枠の中から
どんどんとやってくるではありませんか。その人たちはみんな王様の家来のようです。
では王様は一体だれなのでしょう?
そのときです。みんなから遅れて枠の中から背が低くて胸に勲章を付けた人が
出てきました。小春さんはその人が王様に違いないと思いました。
- 28 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:52
- 27.
「あなたが王様ですか?」
「きゃはは。冗談はよしてください。」
その背の低い人は言いました。じゃあ一体誰が王様なの?すると1番最初に鏡から
出てきた小春さんそっくりの人がいいました。
”あら。王様はわたしよ。”
「え、あなたが?」小春さんは言いました。「じゃあこの人は?」
”この国のナイト。私の家来。それから後ろにたくさんいるのはポーン。”
「ポーン?」
”兵隊さんのことよ。”
小春さんには兵隊さんはちっとも強そうには見えません。でも槍をもっていたので
なんだか怖くなってしまいました。
- 29 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:52
- 28.
”あら。怖ろしい気持ちにさせちゃったかしら。”王様はいいます。
”ごめんなさいね。これからお茶会にしましょ。”
”ナイト、準備を。”
「はーい。」そういうとナイトはポーンを引き連れて枠の中に戻っていきます。
「あら。帰っちゃったわ。」
”机を取りに帰ってるのですわ。おいしい紅茶にお菓子も持ってきますよ。”
本当にそうでした。ナイトとポーンは力をあわせて紅茶とお菓子ののった机を
運んできたのです。ポーンたちの槍が邪魔そうでした。
- 30 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:52
- 29.
”あら椅子がないわ。”王様はいいました。
「すみません。今すぐとりにいきます。」と、ナイトが言います。そしてポーンたちと
また枠の中に入っていきました。
「あの槍は置いていったほうがいいんじゃないですか?」と小春さんはいいました。
”だめなの。槍はポーンの命なんですって。”
やれやれと言う顔で王様がいいます。
「でもナイトさんは持ってませんね。」
”そう。ナイトは昔ポーンだったんだけど、槍よりも馬のほうが好きでちっともポーン
らしくないからナイトにしてあげたの。”
「でもナイトさんの馬はどこ?」
”しっ。そのことは気づかないふりをしてあげて。”王様は言いました。
”馬は逃げちゃったの。”
「あらかわいそう。」
”でしょう。でもいい事もあるみたい。身軽になったからいろいろなところに飛び
まわれるのよ。”
- 31 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:52
- 30.お姉ちゃんが大変!
机の前にみんなで座って、さぁやっとお茶会です。
「さぁさぁお茶をどうぞ」とナイトがすすめてくれます。「色っぽいビスケットもありますよ。」
「色っぽいビスケットってなんですか?」
「さぁ私もなにがなんだか。」
「でもあるんでしょ?」
「なにが?」
「色っぽいビスケットが。」
「色っぽいビスケットですって!それは何ですか?初耳ですね。」
「でもあなたが今あるって。私、聞き間違いをしたのかしら。」
”ナイトはからかっているんですよ。ごめんなさいね。でも本当は仲良くなりたいだけなの。
仲良くしたいなら仲良くしたいっていえばいいのにね。じれったいわ。”
と王様が言います。
- 32 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:52
- 31.
「あぁ、ダブルユーボンとダブルユーノンがいれば詩をよんでもらうのに。」ナイトは
無理やり話題を変えようとしました。
「あらその2人にはさっきあったんですよ。」
「なんですって?」
「2人にあったんです。ダブルユーボンとダブルユーノン。詩も読んでくれたんです
『大工とセイウチそれからつぼ貝』。」
「あの詩を?ということはあなたはあの女王の妹の…?」
「小春です。」
「そう…なんだ。」
そういうとナイトはちょっとうつむいたかと思うと王様の方をみました。
「私たちこれから女王を倒しにいくんです。」
「え!」
「だって女王が目覚めたら私たち消えちゃうんだよ!」
- 33 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:53
- 32.
「そんな!何とかしてやめにしてもらえませんか?」
「だめだよ!ポーンたちもほら。」
ナイトが指をさしたところではたしかにポーンたちがやりをヤスリで磨いて尖らせています。
あんなので刺されたらお姉さんは大変です!小春さんは王様にも言いました。
「何とかしてやめにしてもらえませんか?!」
”私たちはみんな消えたくないんですの”王様はいいました
”でも全てが解決するミラクルな方法はありますわ とにかくここはお逃げなさい”
さぁもううかうかはしていられません。小春さんは今来た道を引き返してお姉さんを
起こすことにしました。椅子を飛び降りると一目散に走り出します。
「あ、こら待てどこへ行く!そうか!女王の居場所を知っているんだな?
おい、みんな戦争だ!」
そういってナイトは大慌てで小春さんを追いかけます。このままでは追いつかれて
しまいます。そこで小春さんは叫びました。
「あぁ!!あそこにナイトさんから逃げていった馬がいる!」
「なんだって!」ナイトはまんまとだまされました。
「ようし!馬を捕まえてから追いかけるぞみんな!」
- 34 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:53
- 33.
- 35 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:53
- 34.
小春さんはとにかく逃げて逃げて逃げました。自分でもあんまり速く走れたので
驚いています。どれくらい速く走れたかと言うと、さっきは数字2つかかった
音なしの森を、数字1つで通り抜けて来たのです。でものんびりはしていられません。
ナイトたちは途中でだまされたことに気づいて追いかけてきています。さぁ女王様を、
いえ、お姉さんを探さなくては!
ところがさっきまでいたはずの所にお姉さんはいません。
「さゆお姉ちゃん!」
小春さんは力のかぎり叫びました。すると、
グー。
という音が小春さんの足元からしました。そこをみてみるとなんとお姉さんが
寝ているではないですか。さっそく小春さんはお姉さんのことを起こそうとしました。
お姉さんの肩に手をかけて体全体を思いっきりゆさぶります。それでもなかなか起きて
くれません。ナイトとポーンたちの足音が近くまで来ています。
「さゆお姉ちゃん!」
そう叫びながらこれまで以上につよくつよくお姉さんの体をゆさぶると…
- 36 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:53
- 35.鏡の国とはあべこべに
ドスン!!
小春さんは頭をうってしまいました。ポーンにやられた?いいえ違います。小春さんは
鏡の国から帰ってきたのです。目の前には目がぱっちり開いたお姉さんがいます。
「あ。強くゆさぶりすぎて頭あたっちゃったの。小春、大丈夫?」
「さゆお姉ちゃん!」
小春さんはお姉さんに抱きつきました。お姉ちゃんが生きていて本当にうれしかった
からです。
「わたしね、お姉ちゃんの夢の世界にいってたんだよ!」
すると、お姉さんは小春さんの額を指で軽くつきました。
「夢の世界にいってたのは小春なの。もう出発しないと間に合わないの。」
そうです。鏡の国とはあべこべだったのです。小春さんがお姉さんをゆさぶっていたんじゃ
ありません。お姉さんが小春さんをゆさぶっていたのです。
- 37 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:53
- 36.
「あら少し寝癖ついてるの。」
「え?」
小春さんは鏡をみました。本当です。
「でももう行くの。それくらい大丈夫なの。」
「うん。」
小春さんは立ち上がりました。その時ふと「私のせいであの人たち消えちゃったのかな。」と
鏡の国の人たちのことを考えました。
「ねぇ、お姉ちゃん。本当にダブルユーボンもダブルユーノンもナイトもポーンも知らないの?」
「なにそれ?そんな呪文は聞いたことないの。」
やっぱり消えちゃったのか。小春さんはそう思ってもう一度鏡をみました。すると小春さんは
なんにもしていないのに、鏡の中の小春さんはウインクをして手を振っているようにみえました。
「あ!王様!」
「え?!」
小春さんが鏡を指差した時にはもう、それはただの鏡に映った小春さんでした。
「ううん、なんでもない。」
- 38 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:54
- 37.
そしてようやく小春さんはお姉さんと手をつないでお出かけにいくことができました。
- 39 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:54
- 38.くすみこはる
”「く」らいきもちを あかるくさせる
「す」てきなせかいは きえません
「み」らくると おうがいってた ほうほうは
「こ」はるのこころに のこること
「は」っときづくと みていたゆめで
「る」んるんきぶんで またあえる!”
「「おわり!」」
- 40 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:54
- ◇
- 41 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:54
- ◇
- 42 名前:鏡の国の小春さん 投稿日:2006/10/29(日) 15:55
- ◇
Converted by dat2html.pl v0.2