24 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変
- 1 名前:24 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/10(金) 01:59
- 24 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変
- 2 名前:24 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/10(金) 23:46
- 腕を伸ばして襟元をつかむ。長い髪が空中に弧を描く。腰がぶっかった。顎が地平をしろしめす。永遠の終わり。終わりの始まり。遠心力。彼女の身体は鉛よりも重い。腕が……
「お願いやから死なんといてや!」
口のなか、錆びた鉄の味がする。酸味と塩味。顎が水のなかに沈む。少し遅れて、びっくりするほど飛沫があがった。真っ白に泡立ったお湯が、ウチの服にひっかかった。なんちゅう熱さや。温泉やからって許されることと許されへんことがあるっちゅうねん。カッとしたのも束の間、ウチの身体もお湯のなかに沈み込んでいた。人の心配をしてる場合やなかった。死ぬ。むしろうちが死ぬ。ていうか死ぬんやったら一人で死ね。
- 3 名前:24 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 10:55
- 気が付くと、もうまったく苦しくなかった。
湯煙の向こうに目を細めたら、ずぶぬれになったののがいた。
ののは苦しそうに咳き込みながら浴槽から這い出てくるところやった。
それから、ののの向こうの湯船に、誰かがうつぶせで浮かんでいた。
ぴくりとも動かへん。
あーあ、あれはあかん、死ぬやろって思った。
だってうつぶせやねんで? 水に。
そんだけ息止められへんやろっていう。
それからあの、髪とかのくくり方を見て、なんかどっかで見たことあるなって。
そう思ってよく見てなんか血の気が引いた。
あれ? なんかおかしくない?
あの、髪をまとめるゴムはウチが気に入ってて使っている蛍光ピンクのやつで。
ていうかあの死体、いや死体未満? なんていうんかわからんけど、あれウチなんちゃうか?
え? あれ? 今うちどこにおんねん?
立ち上がったののの、つむじを見下ろす場所にいるから……
えーっと……
空中?
んな、アホな?
ののは無感情にうちの、うちのっていうのはつまりうつぶせで浴槽に浮かんでいる人のことやけど、そいつの背中を見つめると、助けようとするでもなく、浴室から出ていった。
えー……ちょっ、ちょお待てちょお待ってちょっと待ってー。
- 4 名前:2424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 22:18
- ののはずぶぬれのまま浴室を出ていく。うちはひょろひょろとのののあとをついていく。これは楽や。手も足も動かさんでもええんやな。
ってかちょお待てや。放置すなや。うち、死んでまうやんか。
「のんちゃん! どうしたの? ずぶぬれじゃない?」
大浴場に行こうとしていたのか、こんこんとまこっちゃんと愛ちゃんとガキさんがわっとののを取り囲んだ。
こんこんがののの肩を抱き、ガキさんがののにバスタオルを渡し、まこっちゃんがわしゃわしゃとののの髪を拭う。
「お風呂で何かあったの?」
「なにもないよ。部屋帰ろ」
「いや、うちら今から風呂いくところだし」
「いいから帰ろ!」
怒ったようにののは叫んでスタスタと歩き始める。
横にいたこんこんも釣られて一緒に歩き出す。
バスタオルを拉致されたガキさんが後を追う。
のののあとに水滴が垂れるのを慌ててまこっちゃんが拭う。
「ちょお待っ!」
うちが叫んでも誰も振り返らへん。
否。
ポカンと間抜けな顔してうちを見上げてる愛ちゃんと目があった。
- 5 名前:242424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 22:28
- 「◎△□×$%&!?」
愛ちゃんは理解不能な言語で何かを口走った。
が、のの御一行様は誰も気にしないでどんどん遠ざかる。
いつもならうちも気にせえへん。
愛ちゃんがよくわからない言語で叫ぶのはいつものことやし。
よりにもよって…
「……」
言葉が続かなくなったのかあとはパクパクと口を動かすだけの愛ちゃん。
「うちの言葉聞こえる?」
愛ちゃんはぶんぶんと首を上下に大きく振った。
「ほな、うちについてきて」
再び大きく首を上下に振る愛ちゃん。
うちは愛ちゃんを浴室に……
……連れていけなかった。
うちはどうも自由意志では動けないらしい。
ののの後ろを付かず離れずでひっぱられるように移動する。
愛ちゃんは、うちをじぃっと見上げて黙ってついてくる。
「うちのことはええから!」
あわてて言ったうちに愛ちゃんは小首をかしげた。
「浴室! 風呂! 風呂に行って! 早く!」
愛ちゃんの首の傾き具合がますます深くなる。
「早よ! そんで、そんでうちを……」
愛ちゃんは不思議そうな顔で頷くと人の話を最後まで聞かないまま、立ち去った。
……大丈夫かなー……
- 6 名前:24242424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 22:43
- 「そういえばあいぼんはどうしたの?」
「知らない」
こんこんの問いに、部屋まで戻って、椅子に座ってまこっちゃんに髪をわしゃわしゃされるがままになってるののが、ぶっきらぼうに答えた。
いや知らないやないやろ。
「ん? 一緒にお風呂いってなかった」
「知らない」
バスタオルの替えを用意しながら、訊ねたガキさんに、ののはぶっきらぼうに答えた。
やから知らないやないやろ。
「そういえばうちらもお風呂いく途中だったねえ…」
「……」
まこっちゃんの呟きに、ののは黙りこんだ。
「じゃ、うちらひとっぷろ浴びてくるから」
「風邪ひくんじゃないよぉ」
「あったかくしててねー あがったらまたくるから」
そうや早く風呂に行け。
愛ちゃん一人やとめちゃめちゃ不安やねん。
この3人が頼もしいとは決していえないけど、いくらなんでも愛ちゃんよりマシなはずだ。
「あっ、ののも! ののもいく!」
なんでや! おまいはいったい何がしたいねん!
- 7 名前:2424242424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 22:58
- 浴室には誰もいなかった。
なんでやねん。愛ちゃんは? ていうかうちは?
「さむさむ。早くはいろ」
「うっわーひっろーい」
「やっばーい。泳いでいいかなあたし」
「……」
いや暢気に服を脱いでる場合ちゃうやろ。
「あれ? 愛ちゃんは?」
「ん? さっきまでいなかったっけ? そこに?」
「いたような、いないような…」
「……」
愛ちゃんが存在感薄いのは知ってたけど、そこまでとは思わなかったよ。
うちは愛ちゃんの代わりにそっと涙を拭った。
ていうかマジ愛ちゃんどこいってん?
愛ちゃんはともかくうちの死体、もとい、ナイスバディなボディは?
- 8 名前:242424242424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 23:20
- 「くー、あったまるねー」
「この一瞬のために生きてるってゆーかー」
「ここにビールとかあればなー、こー」
「飲めるんかいキミ」
「まー飲めないわけですけど。気分的によ。それ系のこう」
「勘弁してよー 最近酔っ払いの相手多いんだよねえ。みんなハタチ超えちゃってさぁ。酒癖悪いの何の」
「りかちゃんとかみきちゃんとか絡み酒だよね」
「そそそそそ」
「……」
いやそんな二時間ドラマのサービスシーンのようにのんびり会話している場合やないですから。
必要ないですから!
いまここに必要なのは……
「犯人はこの中にいる!」
「ええー?!」
唐突に響き渡った声に頭痛がした。
愛ちゃんの声やった。
浴室は怪訝な囁き声に包まれた。
「犯人って何の?」
「なんだろう…」
「愛ちゃんどこにいるわけ?」
ざっばーと浴槽のなかから愛ちゃんが仁王立ちになって現れた。
まっぱだ。
あまりのことに更にどよめきが大きくなるが、うちはもうそれっどこっじゃなかった。
犯人って……
やっぱうち、死んどったんかな……
- 9 名前:24242424242424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 23:32
- 「◎△□×$%&!」
愛ちゃんが早口に何かを言った。
みんなは一斉に驚いた。
っていうかわかるんかい、あの早口言葉が!
「◎△□×$%&!!!」
「え、ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って? じゃあ亜依ぼんはどこにいるの?」
ガキさんが両手で愛ちゃんをなだめるようにしながら、早口で訊ねた。
え、なに、どういう状況?
いったい愛ちゃんは何を言ったの今?
「◎△□×$%&!」
愛ちゃんの台詞に空気が凍った。
……反省します。
神様、愛ちゃんのことに今までまったく微塵も注意を払ってなくてごめんなさい。
理解する努力を放棄してごめんなさい。
1000回謝るから、今すぐうちが生きてるか死んでるのかそれだけでも教えてください…
- 10 名前:2424242424242424 …高橋愛殺人事件… 名探偵湯煙旅情変 投稿日:2006/03/12(日) 23:36
- -未完-
- 11 名前:2424242424242424 投稿日:2006/03/12(日) 23:37
- 加護「ちょお待! なんやこれどういう展開やねん! そんなんアリか?!」
- 12 名前:2424242424242424 投稿日:2006/03/12(日) 23:37
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- 13 名前:2424242424242424 投稿日:2006/03/12(日) 23:38
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- 14 名前:2424242424242424 投稿日:2006/03/12(日) 23:38
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