18 メタラブストーリー

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:27

18 メタラブストーリー
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:27
現実は真実より退屈だったりもする。

大学生の春休みは長い。
地方から上京している寮生のほとんどが田舎に帰省をする。
愛も帰省する予定で準備をしていた。

トントン ガチャ

「入るよ」
「もう入ってるじゃないですか」
真希はノックと同時にドアを開けて愛の部屋に入ってきた。

「愛ちゃん?ちょっといいかな?」
この先輩が愛ちゃんって呼ぶときはろくなことがないんだよね。
とりあえず用事があることを伝えておこう。
「明日から実家に帰ろうと思って」
振り返ったら負け。先輩の顔はきっと、とろけそうな笑顔。
そんな笑顔を見たら絶対断れない。
がんばれあっし。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:29
「まだ、何にも言ってないのに!愛ちゃん最近冷たいよ」
「だって、またしょうも無いことあっしに頼むつもりやし」
振り向くと目にはいっぱい涙をため、今にも泣きそうな先輩。
「でも、愛ちゃんにしか頼めないし」
今回は泣き落とし作戦らしい。笑顔の時よりたちが悪いんだよね。
「だから、明日から実家に・・」
「一週間、いや5日か、いや3日間でいい 愛ちゃんの時間を頂戴」
最後の抵抗も先輩の演技力の前に崩落寸前。
いつの間にかあっしの手をとり、その潤んだ目で無言の交渉。
あーあ、今回も断れそうにない。
「み、3日だけなら」
「ヒュー さすが高橋!!」

チュッ

唇にあたったのは何?まさかキスした?
「な、なんですか」
「成功報酬の先払いだよ」
「はぁ?」
「早速明日の朝から動いてもらうから寝坊しないように」
「いったい何やるんですか?もうスズメの赤ちゃんにはなりませんよ」
「それは明日のお・た・の・し・み おやすみ愛ちゅん」
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:29
「後藤さんのばっかやろー」

あっしは枕を壁に投げつて叫んだ。
もちろん真希の足跡が聞こえなくなるのを確認してからだが・・・・・
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:30
愛は真希から電話でいつもより1時間も早く起こされた。
目覚めは最悪。
昨日のことは夢だって思いたいけど唇の感触が夢であることを否定する。

「いったい、あっしに何させるつもりですか?」
「ヒュー、高橋やる気マンマンだね」
「違いますって、冷やかすなら帰りますよ」
「ま、待って愛ちゅん」
「愛ちゅん 言わないで下さい」
「高橋、ノリが悪いなぁ そこはママちゅんって答えなきゃ」
「寝起きでそこまでテンション上げられません」
「洒落が通じない子だね まったく」
「だってー」
「わかったわかった。今回はちゃんと人間役だから安心して」
「当たり前です。ススメのコスプレなんて2度としません」
「酷いなぁ あれって今では劇団の一番の人気演目なんだから」
「あっしが代打で出たときは、語尾にチュンをつけさせる意地悪したくせに!」
「だって高橋は演技の素人じゃん チュンをつけさせてかわいさでごまかしたんだよ」
「素人なのはわかってます。でもあれ以来チュンチュン言われて大変でしたよ」
「高橋って結構根に持つタイプだね。怖い怖い。でも今回は自然に演じていいから」
「で、何をやれば良いんですか?」
「あたしの彼女になってほしい」
「へっ」
「あ、顔赤くなってる。愛ちゅんかわいい」
「赤くなんかなってません」
手で触れると頬が少しあつくなってる。あっしは何照れてるんや。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:33
「ある女の子を勘違いさせちゃってさ、後藤に恋人がいることを証明してほしいんだよね」
「あー、そういう意味ですか」
「えー、どういう意味だと思ったのかなぁ」
後藤さんは意地悪な笑顔であっしに問いかけてくる。
「どういう意味でも無いです。」

「じゃあとりあえず部屋で待機してて」
「たぶん今夜にも動きがあると思うから」

そういうと真希は自分の部屋に帰っていった。
なんて自分勝手な人なんやろ。
愛はむかついて枕をドアに投げようとしたが、自分の頬の熱さに気が付いてやめた。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:34
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はい紺野です」
「もしもし紺野?」
「後藤さんうまくいきましたか?」
「こんなんであたしと高橋が本当にうまくいくのか?」
「私の計算はいつも完璧です」
「高橋の表情見てるとふつうに口説いても落とせそうなんだけど」
「後藤さんって結構自信家なんですね」
「誰が見てもあたしにベタ惚れなのがわかるじゃん」
「ゴフォゴフォ」
「紺野風邪か?」
「いや、大丈夫です」
「で、次はとうしたら良い?」
「今日はそれで良いです」
「それだけ?高橋ともっと遊んだりデートしたいよ〜」
「付き合えばそんなのいつでも出来ます」
「それはそうだけど」
「次は後藤さんが本当にしつこくつきまとわれてることを愛ちゃんに見せつけます」
「どういうこと?」
「ふつうに後藤さんと私が遊園地とかでデートすれば良いんです」
「デート?でもあたしは嫌がってる設定じゃなくて良いのか」
「本心は嫌がってます。でも後藤さんは優しいからデートに誘われたら断れない」
「なるほど」
「それに後藤さんは愛ちゃんが好きってだけでその子のことを嫌いなわけでもない」
「確かに」
「じゃああたしはこれからしたくしますんで、後藤さんも遅れないで着てくださいね」

プープープー

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8 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:34
トントン ガチャ

「入るよ」
「もう入ってるじゃないですか?」
いつもの光景だ。
「今電話でデートに誘われたよ。」
「それで断れなかったんですか?」
「断ろうとしたんだけど一方的でさ」
「あっしが電話で断りましょうか?悪人になるのはなれてるし」
「それじゃ計画が・・」
「計画?」
「こ、こっちの話。で、高橋にデートに付いてきてもらいたいんだよね」
「そこであっしを紹介するんですか?」
「いや。今日のところはあたしが指示を出すまで見守ってくれたらいい」
「あっしはふたりのデート見てれば良いんですね?」
愛は少し寂しそうに答えた。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:34
「そう」
「後藤さんは何にもわかってないんですね。
 あっしにこれを頼むことがどんなに酷いことか」
「何言ってるの?」
「あっし気づいたんです。昨日キスされた時に。いやずっと自分の気持ち我慢してた」
「高橋、ちょっ ちょっと待って」
「でも後藤さんはあっしを便利な道具にしか思ってない」
「え?違うよ高橋。違う。違う。」
「もう、我慢するのはいやや。嫌われても良い。あっし後藤さんのことが好きや」
「・・・・・」
愛は真希の胸に飛び込んだ。
一瞬で突き放されるかもしれない。
でもその一瞬はきっと永遠。その思い出があれば生きていける。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:35
1秒、2秒、3秒、4秒、5秒

時間が止まる。
愛の背中にも真希の手が届く。
愛は顔をあげ真希の顔を見つめる。

「後藤さん?」
「高橋?先に告白させてごめん。あたしも大好きだよ」
「え?」
「実は全部高橋に振り向いてもらうために考えた脚本なんだ」
「脚本?」
「紺野知ってるだろ?あいつに相談したら全部書いてくれた」
「こんこんが?何でこんなめんどくさいこと・・・」
「何でだろうね?あたしにも天才の考えることはわからないよ」
「後藤さんでもわからないんですか?」
「恋に方程式は無いからね」
「寒いです。後藤さん」
「じゃあ今夜はあたしが暖めてあげるよ」
「・・・・」

真希の唇は昨日よりも柔らかくそして優しく愛の唇を包んだ。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:35
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「ハイ紺野です。ただいま電話に出ることが出来ません。
 ピーという発信音の後にお名前と用件をお願いします。」

「午後10時32分 1件です」

「もしもし後藤だけど、ビッグニュースだよ。紺野。
 なんと高橋から告白されちゃった。
 後藤さんが好きだって。あの高橋からだよ〜。
 もう愛ちゃんかわいすぎ。たから計画はもう終了で良いよ。
 いろいろ考えてくれて本当ありがとう。
 どれにしても紺野の脚本はすごいよ。
 計画の3分の1進めただけなのに希望が叶うなんて
 では明日は高橋とデート行ってきま〜す。」

プープープープー。
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12 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:36
「後藤さんのばっかやろー」
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:36
お・わ・り
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 06:36
 

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