37 スーパーロボット大戦
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 23:14
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37 スーパーロボット大戦
- 2 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:15
- 父さんは少し青ざめた顔をしていたけれど陽気に振舞って家から出て行った。
弟は何とか泣かないようにと下唇を強く噛んで堪えながら家から出て行った。
母さんは心配そうに私のほうを何度も振り帰ってみながら家から出て行った。
それから誰一人として家には帰ってこなかった。
- 3 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:18
- 5年前までは私は普通に学校に通ってちょっと不良の真似して
遊んでいた、世界はとても平和だった。
戦争していた国もあったけどとりあえず日本はとりあえず平和だった。
なのにそれは一瞬の出来事で私の普通は非日常へと変わった。
最初の頃は戸惑ったけど今は銃を背負って所定の集合場所に向かう、
非日常だったそれがいつの間にか当たり前の事になっていた。
世界がこんな風になったのは今まで人間に使われていた機械達が
突如反乱を起こし人間に向かって宣戦布告をした。
勿論反撃に出たけれどその戦争は2ケ月くらいで呆気無く終った。
それでも死者や負傷者はかなりの数だった、結局自衛隊だけでは
人出が足りずに最後の方は一般市民も参加しての戦争だった。
勿論他の国だって援護してくれたけどそれは最初だけで、これが完全な
負け戦だと悟ると引くのも早かったらしい。
詳しいことは世の中の動きに興味がないしデマなどもあったから
何が本当かは分からないけど見捨てられたのは確かだと思う。
そして勝てないと思った日本の偉い人達が降参して、私達人間は
あっという間に機械達の支配下に置かれることになった。
でも世の中の殆どが機械、っていうかコンピューター化が進んでいる
から速効で戦争が終わったのは理解できる。
だけどどうして突然機械達が人間に対して戦争を仕掛けてきたのかは
今でも分からない。
原因は頭の狂った奴が仕組んだとか、テロリストが仕組んだとか、
どっかの国が仕組んだとか当時は色んな噂が飛び交っていた。
そういえば前に仲間の誰かが言っていた、「きっと機械達は自分達より
劣っている人間に使われるのが嫌になったんだよ」って。
その言葉を私は今でも時々思い出す。
それが色々聞いた噂の中でもなぜか自分の中で1番納得がいった。
- 4 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:22
- 私はその短い戦争の期間で家族を全員失い途方に暮れていた、
そんなところを今所属している仲間の一人に誘われた。
そこは暴走した機械達と戦っている女だけの戦闘集団で、行くところも
別に得にないので私は断る理由もないのでそこに入った。
その集団は誰が決めたのか知らないけれどモーニング娘。という。
この希望のない闇のように閉ざされた暗い世の中にいつかの日か
明るい朝を運んでくる、というのが一応名前の由来だと入ったときに
一応教えて貰った。
ちなみに最後に。がついているのはキリがいいからってだけらしい。
でもモーニング娘。なんてアホぽっい名前だけど腕は確かだった。
女だって甘く見る人もたまにいるけど本当に皆の戦闘能力は高い、
でもそれは各自の得意分野が合わさって発揮されていると思う。
そして私達は日本各地を宛もなく軽トラックで回っていた、
そして色んな町や村に短い期間滞在してそこに現われる暴走した
機械達と戦いながら毎日を過ごしていた。
最初はさすがに銃を持って戦うことに戸惑ったし上手くできなかった。
それでも慣れというのは怖いもので今は戦うことが自然なことに
なっている、でも未だに慣れないのは睡眠時間が短いときすぐには
起きれないことだった。
- 5 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:24
- 「うあぁぁぁ・・・・・。」
私はまだ半分くらい寝ぼけながら上半身を起こすと、大きく伸びを
しながら意味もなく呻いた。
「おそよう、れいな。」
と皮肉たっぷりの柔らかな声がしたほうに嫌な予感がしながら首を
向けると、そこには呆れきった顔をしている絵里が立っていた。
「しょうがないか・・・・昨日夜の見張りだったから寝とらんし。」
私は欠伸を噛み殺しながら何度か瞬きを繰り返すとまだはっきりと
しない頭で何とか言葉を返した。
「とにかく早く起きなよ、みんな先に現地に行っちゃってるよ?」
「んー、そんなことは分かっとー。」
「もうっ!寝ぼけていでシャキっとしなきゃダメでしょ?」
絵里に嗜められて急かされるけれど体も頭もまだ眠ったままで
生返事をしながら鈍い動きで腰を上げる。
するとあまり説得力のない少し上擦った声で母親みたいな言い方で
注意された。
「はいはい、起きればいいんでしょ?起きますよ。」
私は溜め息を吐き出すと面倒くさそうな口調で答えてからベッドから
抜け出る、そして頬を両手で軽く張って眠気を吹き飛ばした。
- 6 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:29
- 顔を洗ってから戦闘用に防弾チョッキと動きやすい服に素早く着替える。
そして両手に二の腕まであるガントレットをはめるてから、愛用の
マシンガンを最後に肩に担ぐ。
これが戦いのときいつもする定番の格好と武器だった。
ちなみに絵里は戦いに行くようには見えない軽装でベルトにつけられた
ホルスターにニ丁の拳銃が収まっている。
私の準備が整うと背中を押されるようにして現在寝泊まりしている
持ち主のいない民家を出た。
そして出る前に腹ごしらえにテーブルに容易してあった冷めたトーストを
一つ取って、それを食べながら歩きやすいとは言えない道路を歩く。
ここの街が特別というわけでもなく大抵のところが民家の塀が
崩れていて所々に瓦礫が道にまで転がり、おまけに電柱や木が倒れて
いるような状態だった。
そんな道を絵里と一緒にパンをかじりながら結構呑気に現場へ向う。
「こんらいってらばそうらの?」
「何言ってるのか全然分からないから。」
瓦礫を避けながらパンが口の中に入ったまま普通に話したら、
速効で顔を軽く顰めた絵里に溜め息混じりの口調で言い返された。
私はパンをしっかり呑み込んでから改めて同じ言葉を繰り返す。
「今回のってヤバそう?」
この街での戦闘は初めてなので状況を知っておくのは基本だと思った。
「さぁ?いつもと同じような感じじゃないの?」
けれど絵里は小首を傾げて少し考え込んでから曖昧な感じで答えを
返してくる。
いつもというのは作業用ロボットのことで単純な行動しかできないので
戦いは大して大変ではない、でも幹部クラスみたいな上の奴らは
見た目も知能も人間並みらしいなので戦うとなると手強いらしい。
でも私はまだそういうのと戦ったことがないので詳しいことは
よく分からない。
- 7 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:35
- 「あっ・・・・・あれ、ってそうだよね?」
ちょうどパンを食べ終わった頃に不意に絵里が空を見ながら何かに
気がついたのか声を上げる。
その言葉に釣られて視線を向けると、雲一つない綺麗に澄んだ青い空に
薄黒い煙が不釣り合いに一本立ち昇っていた。
「ん?うん、多分そうじゃないの?」
と軽く溜め息を吐いてから少し沈んだ低い声で素っ気なく答えた。
私はこの光景を色んな街や村で見かける光景なので一体何なのか
疑問に思って先輩に聞いてみた。
すると先輩は頬掻きながら額に眉を寄せて苦笑いしながら言葉に
詰まっていたけれど少ししてから、「あれはね、死んだ人を燃やして
いるんだよ。」と教えてくれた。
それを聞いたとき言い表せない衝撃を受けた。
当たり前だけど人って死ぬんだなって改めて思った、それまでは
あまり意識して考えたことがなかった。
でも結局はどんな人も燃やされて最後は骨と灰だけになる、そして
黒い煙になって高い空へと静かに昇っていく。
私の家族もきっとそうだったのかと思ったとき、胸が熱くなったのを
今でもはっきりと覚えている。
だから私はあまりこの光景をみるのが好きではなかった。
嫌でも人の死について意識してしまうというのもあるけど、見る度に
目頭が熱くなってよく分からないけどとても泣きたくなるから。
- 8 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:40
- 「泣いても良いよ?」
絵里は急に立ち止まると私の服の裾を掴んで少し強引に引き止めると
笑顔で突然そんなことを言い出した。
目を細めて柔らかく微笑んでいるその姿はいつもの寒くて引かれてる
子ではなく、錯覚かもしれないけど普通に優しいお姉さんに見える。
「ち、違う!別に泣きたくなんて・・・・・・。」
変な誤解をしているので私は慌てて否定しようとしたけれど、
喉が閉まって声が最後まで続かなかった
「いいから、今は泣いときなって。」
「・・・だ、だって・・・ち・・こく・・しとー・・・・。」
絵里は少し呆れたように笑いながら自分から抱き背中に手を回して
抱き寄せる。
すると心地良い温もりが伝わってきて思わず涙腺が緩みそうになった、
でも何とか堪えて声を震わせながら体を捻って手から抜けようとする。
「そんなこと気にしないの、もう十分遅刻してるんだから。」
と絵里は脇を絞めて手に力を込めると私を強く抱きしめる、それから
耳元で子どもを諭すような口調で囁く。
その言葉に涙腺も言葉も緩んでしまい涙が一度頬を伝うとそれは
止めどなく溢れてきて、止める術を知らない私は絵里の胸で泣いた。
でもさすがに声を上げては泣けなくて必死で声を押し殺していた。
- 9 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:49
- それからどれだけ時間が経ったのか、絵里の胸に顔を埋めて頭を
撫でられながら、ようやく落ち着いて話せるくらいになったので
ゆっくりと顔を上げる。
すると絵里が撫でるのを止めて手を離して体を解放してくれた。
でもすぐに人前で泣いてしまった気恥ずかしさが込み上げてきて、
耳たぶが熱を持つのを感じて思わず顔を俯けた。
「あの黒い煙ってきっと魂の塊だと思うんだよね。」
「はぁ?」
けれど唐突に絵里が訳が分からないことを言い出すので私は顔を
露骨に顰めると素頓狂な声を上げた。
「えっ、いや・・・・なんて言ったらいいのかなぁ?あっ、もし仮に
そうだとしたられいなの家族も空の上で見守ってるかなって。」
絵里は口に手を当てて視線を泳がせて言い及びながら、不意に言葉を
思いついたらしく手を叩いてから自信ありげに言った。
後になってからそれがどうやら励ましてくれていることに気づいた。
分かりにくい言葉はともかくとしてそういう気持ちは嬉しかった。
「じゃ、そうことにしくよ。」
でも私は素直に喜ぶのはどうも照れくさいので先に歩き出すと、
顔を向けずにちょっとぶっきらぼうに言って冷めた態度をとった。
「あのね、あのぉ・・・・れいなに明日会えなかったら嫌だよ?」
すると絵里が後ろから追い掛けてきて横に並ぶと私と地面を交互に
見ながら、急に意を決した顔をしてこちらを見ると少し緊張した声で
言った。
でも私は一体何が言いたいのか全く意味が分からなくて戸惑った。
「ん?えっ?それどういう意味?」
少し考えたけれどやっぱり意味が分からなかったので問い返した。
「いや結構そのまんまなんだけどなぁ。まぁ、気づかないなら
別にそれでもいいんだけどね。」
と絵里は頬を掻きながら諦めたように笑って呑気な口調で言った、
そして言い終わってから深い溜め息を吐き出す。
でもそれから急に歩調が早足になって私に背を向けて現場へと
一人で行ってしまった。
「えっ?何?ちょっと絵里?!待ってよ!」
なぜか少し怒っている様子の後ろ姿に私は心当たりがなくて、
頭を掻きながらとりあえず後を追い掛けることにした。
途中振り返るとまだあの黒い煙が立ち昇っていた、でも今まで
悲しく空に吸い上げられていくように見えたそれが何だか自分の意志で
上に昇っているように見えた。
私は再び前を向くと自然に笑いが込み上げてきて、道路の瓦礫を
軽々と飛び越えながら少し遠くに見える絵里に向かって走った。
END
- 10 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:50
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- 11 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:50
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- 12 名前:スーパーロボット大戦 投稿日:2005/06/19(日) 23:51
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