27 ロボット工学三原則

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:35
27 ロボット工学三原則
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:36




もう我慢の限界だった。
オーディションに合格したまでは良かったが、レッスン期間、という体のいい放置時期を経て、
それで今度こそようやくユニット結成、と思ったら音痴色黒と巨乳馬鹿とくっつけられたのだ。
いや、今までのことなどどうでもいい。
それより、目の前にいるこいつを何とかしてくれ!
絵梨香は心の底から、そう思った。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:39



「あーあ。肩こった肩こった」
美勇伝の握手会の当日のこと。
ここは私たちの楽屋。わざとらしく肩をぐりんぐりんと回すこの女。女の発するオーラに気づ
いたのか、それまでぶるぶると乳を震わせて萎縮していた唯やんが、電光石火の速さで女の背
後に回り肩を揉み始めた。
「気が利くじゃない」
満足そうに瞳を閉じる女。次は私の番だ。予めポケットの中に用意していたそれを取り出そう
と、今か今かと待ち構えていたその時だった。
「三好ちゃん、酢だこさん太郎」
私のげんこつ顔から、血の気がさあっと引くのがわかった。
「い、石川さん。だって昨日は蒲焼さん太郎だって」
口答えをする間もなく、石川さんの平手うちが飛んだ。
「疲れてる時はすっぱいもんが欲しいのよ!!」
「そんな!」
まるで安定期に入った妊婦のような発言をする石川さん。
「リーダーが今何を欲しがってるのか、常に把握しておきなさいよこの役立たずが!」
あまりの暴言、まあいつものことだけど、に泣きそうになる私に追い討ちをかけるように、
「今からコンビニでダッシュして酢だこさん太郎100枚買ってきなさいよ! 一枚でも欠け
てたら許さないんだから!」
と叱り飛ばされた。
私は、泣きながら楽屋を飛び出した。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:39

ひどい、あんまりだ。矢口真里は小栗と逃避行だ。
美勇伝というユニットが組まれてから、右も左もわからない私と唯やんは、すぐに芸能界の恐
ろしさを味わうことになる。
暗黒魔王石川梨華。某大の大人が音源からもわかるように、彼女は裏では西武王国ばりの独裁
ぶりをみせていた。ユニット加入から3日目にして、私たちは彼女の犬になる。
彼女が「私って美白だよね?」と言えば頷き、「私の歌声ってエンジェルボイスだよね?」と
言えば頷く日々。ストレスが限界近くまでたまってしまっても、仕方の無いことだった。
目的のコンビニへとたどり着くと、酢だこさん太郎を101枚購入。余った一枚は楽屋外の廊
下を歩いていた田中れいなの額に助走をつけて貼り付けてやった。廊下を100m近く滑り飛
んだれいなは「みーよ姉にも嫌われたっちゃ!」と言ってぴいぴい泣いていた。
ところが、楽屋に戻ると同じようにぴいぴいと泣く声が。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:40

楽屋の中に入ると、そこには乳を寄せて泣いている唯やんと、勝ち誇ったような顔をしている
石川さんがいた。
「な、何があったんですか!」
私はついに石川さんが岡πに惑わされて食っちまったのかと思い、これ以上のことなんてここ
で書けやしない、とひどく心配した。しかし、どうやらそうではないらしい。
「みーよ…いしかわさんが、えぐっ、いしかわさんが」
「何よ、ちょっとこれからの予定を教えてあげただけなのに」
嗚咽で上手く言葉に出来ない唯やんを尻目に、石川さんは腹黒な笑みを見せる。
「今後の予定?」
「ええ。美勇伝のラジオを『ちゃんちゃかチャーミー2 炎の約束』に改題しようかと思って」
目のくらむような思いだった。要するに暁!男塾とかキルオアラブとか2期メンが入ったばっか
の娘。とか、そんなポジションじゃないか!それだけは、我慢ならなかった。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:40

ガスッ!
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:41

気が付いた時には、何故か楽屋においてあったモアイ像の置物で石川さんをやっちまっていた。
唯やんは動転のあまり、自分の乳でパンチングマシーン状態に。
石川さんは頭から血を流したまま、ぴくりとも動かない。まさか、死?
何ともいえない沈黙が、楽屋を流れた。
「みーよ、石川さん死んでもうたんやろか…」
しばらくして落ち着きを取り戻した唯やんが、不安げにそんなことを聞いてきた。
もしかしてハロプロ初の犯罪者?いや、安倍さんに比べたら可愛いもの。私は私の目の上のた
んこぶを排除しただけなのだから。それに、予感があったのだろう。この前完成させたばかり
の「あれ」をお披露目する絶好のチャンス、それが今だった。
「あたし、家に戻って忘れ物取りに行ってくる。唯やんはそこに転がってるのを適当にどこか
に捨ててきて!」
駆け出す私の心は、人一人をポアしてしまったにもかかわらず、喜びに満ちていた。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:42



数時間後。
何とか私は美勇伝の握手会に間に合うことが出来た。
「ハッピー! これからも美勇伝を応援してね!」
酢コンブのような臭いを発するヲタどもに、梨華ちゃんは満面の笑みで握手する。
「チャーオー、チャーミー石川でーす」
ヲタは憧れの梨華ちゃんと握手できた喜びで天にも昇る思いだろう。その後に手袋をつけて私
と握手するのは少し気になったが、ここで騒いでも仕方が無い。
「ねえ唯やん、しっかりやってよね」
「ハッピー、よろしくね!」
「う、うん。次は、これ、やったっけ」
唯やんは二つの動作を同時にこなさないといけないので、少し戸惑っている様子だ。
「それよりさ、あれはどこに捨てたの?」
「チャーオー!」
「トイレ」
私はぎょっとする。
「どうしてそんなとこに」
「ハッピー」
「一番似合っとるやんか。遺書も書いたわ。『しないよ、なんて嘘言ってごめんなさい、ひと
足先に窪塚洋介に会ってきます アイキャンフラーイ』って」
どこから突っ込んでいいのかわからなかったけれど、この子意外とやるわね、そう思った。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:43

ヲタの流れは尽きることがない。
それでも梨華ちゃんは疲れも見せずに握手を続けている。
それに引き換え、私の隣のホルスタインは。
「ええと、このボタンやろ。で、次はこっち。え、あ、よろしくおねがいします!」
握手と機器の操作を交互にやっていた唯やんは、明らかにいっぱいいっぱいだった。
さっき一瞬警戒しかけて損した。所詮乳人間は乳人間。脳の栄養が全てその馬鹿でかい乳にいっ
てしまったようだ。だいたいそんな厚顔無恥な岡πより控えめな日本女性のようなみよ乳のほう
がどっちかと言うと男受けするんだから。
と暗い情念に耽っていると、何やら唯やんの様子がおかしい。
「あーもーめんどいねん!!!!」
彼女は大声でそう叫んだかと思うと、手に持った遠隔装置のボタンを出鱈目に押し始めた。
だめ、そんなことしたら!!
制止する間もなく、効果は如実に現れる。
「ぼいんぼいんぼいーん、梨華ですっ梨華ですっウッヒョーウッヒョー!」
ほぼ完璧に自分の仕事をこなしていた梨華ちゃん、いやもう正体を明かしてしまおう、私の作っ
た石川さんそっくりのロボットは、唯やんの誤操作によって暴走しはじめた。
「だってさあ、大の大人がだよ? 握手会とかでハァーンとかもうpgr」
石川さんに苛められる苦しい日々が作り上げた、ストレス解消のロボット、それがこの梨華ちゃ
んだった。私は彼女を使ってストレスを発散していたのだが、今回のことでこれ幸いと、石川さ
んの身代わりをさせることにした。もちろん最終学歴がつぼ八な私が完璧なロボットなど作れる
はずがなく、唯やんの遠隔操作によりはじめて一人前に動作する代物だったけど。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:43

暴走した梨華ちゃんの罵詈雑言によって、ヲタの人たちは顔面蒼白。
このままでは今日の夕方辺りに「握手会の音源スレ」が狼に立ってしまう。
つまり美勇伝の人気急落、そしてイトーヨーカドーの屋上でコンサート、バンドメンバーとでき
ちゃった結婚。転落の絵が目に浮かぶようだった。
「お前らの大好きないしよし、あれは全部幻だ! いしまこなら腐るほどあるがなあ!」
私は唯やんのほうを見る。唯やんは自分の引き起こしてしまった未曾有の災害に、もう誰もが忘
れてしまった「だっちゅーのポーズ」を繰り返すことで現実逃避していた。
私がやらなきゃ、誰がやる。
スパナでこのお喋り地黒ロボを解体しようと決意した、その時だった。
会場が暗転し、周囲が暗闇に包まれた。そして数秒の時間が経過し、再び明かりが点された時に
は、どういうわけか梨華ちゃんは元通りに戻っていた。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:48

「どーもー、お騒がせしましたー! ぐっちゃー!!」
一歩前に出て、いつものきしょいポーズをとる石川…いや、梨華ちゃん。
一瞬目が点になったヲタの人たちだったけど、チャーミー節が復活したと知ると歓喜の声を次々
にあげた。あれ。あんな動きはプログラミングされてないはずだけど。自動学習したのかしら。
そういった些細なことを疑問に思うには、私はちょっと疲れすぎていた。
緊張から解放され、ゆっくりと崩れ落ちる。そんな私を抱きかかえてくれたのは、ロボット
の梨華ちゃん。あれ、心なしか顎が前の3割増しにしゃくれてる気がするけど。
「梨華ちゃんありがと。もう私のこと、下ろしてくれていいわよ」
いつまでもこんな格好をしているといし(み)よしファンが増えてしまうので、ロボットにそう
命じる。しかし梨華ちゃんは私を抱えて楽屋のほうに歩いてゆく。
「ちょっと、握手会の途中なのに」
「ぐっちゃー。はっぴー。トメコ止めません」
そうか、唯やんね。私は唯やんのほうを見たけれど、彼女はぷるんぷるんと両乳を震わせて否定
した。だったら、自動的に学習したのかしら。
しかし瓢箪から駒とはこのことだ。自分の意思で動くようになった梨華ちゃん。これはもう石川
さんと言ってもいい。でも、ロボットだから何だって私の言うことを聞く。それはつまり、長年
の私の夢だった。
梨華ちゃんは私をお姫様だっこしたまま、ずんずんと先に進む。
さっきからかちゃかちゃと金属の音がする。何かと思って音のするほうに目を向けると、音の元
は梨華ちゃんが左手に持つ工具箱だった。
「♪でっきるっかな、でっきるっかな、さてさてふむぅ〜」
ボエーッと人類の出すのことの出来ない音を出す梨華ちゃん。まるでオリジナルを聞いているか
のような心地の悪さ。でも、悪くない気分だった。

私は空の向こうのアイザック・アシモフに感謝した。

12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:51
从,,^ ロ ^) ♪びゆうでん、びゆうでん
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:51
 川 ´^`)从,,^ ロ ^)♪びゆうでんでんででんでんっ
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/19(日) 00:52
( ^▽^)れつごー!
川 ´^`)从,,^ ロ ^)

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