21 Sugaya To Knight

1 名前:21 Sugaya To Knight 投稿日:2005/03/20(日) 00:38
21 Sugaya To Knight
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:39
僕は天使に出逢った。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:39
誰が何と言おうとあれは、天使だ。地上に舞い降りた天使なんてフレーズがあるけれど、彼女を喩えるのならまさにそれだと思う。
天使でなくてもいい。そう、彼女はプリンセス。まさに人類に生まれ落ちた希望の星。彼女こそが世界の中心になれる存在。
そもそも彼女が、ゴミ捨て場から産まれたみたいに醜い僕と同じ人間であるはずがない。人類の規格からは外れたところにいるんだ。
まだ熟し切れない果実の瑞々しさが、より一層彼女の魅力を引き立てた。それは同時に、僕にこの感情をもたらしたんだ。

恋。

僕は恋してしまった。キモイ、キタナイと言われ続けて生きてきた妖怪みたいなこの僕が、光り輝く流星のようにこの地に舞い降りた彼女に、恋をした。
ロミオとジュリエット。いや、オペラ座の怪人?もしかしたら、それよりも、もっとずっと……隔たりはあったのかも知れないけれど。僕は彼女を愛している。

「梨沙子」

愛しい人の名を呼ぶ。彼女はいつものように僕に微笑んでくれた。天使の笑み、なんて表現が陳腐すぎる程にそれは美しい。

「梨沙子は、僕が守るから」
「嬉しい……っ。ずっと、ずっと私のことを護ってね?」
「大丈夫。僕がずっと、そばにいる。梨沙子は、安心していいんだよ」

梨沙子がこっくり頷く。お姫様には白馬のナイトが付き物と昔から決まっている。そして白馬に乗ったこの僕が、世界一醜くて汚いこの僕が、彼女を攫うんだ。
梨沙子はそれを解っていて、頷いてくれているんだ。堪らない愛しさが僕の心を包んだ。梨沙子、大好きだよ。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:40
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5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:40
梨沙子のご両親は僕の事を認めてはくれないようで、僕がいつも梨沙子の家の前まで行くと、決まって追い返された。「梨沙子に近寄るのはやめて下さい」って言われた。僕は梨沙子のナイトなんだよ?
梨沙子から一分一秒たりとも離れたりできないんだよ?いくらこの人が梨沙子を生んだ神の母ではあるけれど、僕に与えられた使命がある。
それも、梨沙子本人から与えられた「梨沙子を護る」という使命。僕はもう頭にきて、梨沙子の母親を殴った。梨沙子の家の前で、梨沙子のお母さんを、力任せに、ぶん殴った。逆ギレした母親が警察を呼んだので、怖くなって逃げた。
警察が来た様子を、僕は陰からこっそり見てた。警察がこちらに気づくより前に、梨沙子が家から出て来た。
そして、僕の方を向いて、目配らせをしたんだ。ああ、梨沙子!キミだけは僕の事を解ってくれている!そう思うと僕はもう、天にも昇った気分になって、梨沙子の家からは離れた。梨沙子はやっぱり天使だ。
他の誰も僕の事なんて解ってくれやしないのに、キミだけは、どうして何でも解ってくれるんだろう。梨沙子、梨沙子、ああ、梨沙子……梨沙子、梨沙子!!
でも、梨沙子が悲しがるから、もう梨沙子の家まで行くのはやめた。僕と逢った事が両親に知れたら、きっと梨沙子と僕は引き離される……。梨沙子と離されるくらいなら、我慢しよう。
梨沙子、家ではご両親に護って貰うんだよ。僕は、他の時にキミを護るからね。僕はコートのポケットから携帯電話を取り出して、すぐに梨沙子に電話を掛けた。梨沙子が出る。可愛い声で、「うちの親がごめんね」って言ってくれる。僕はもう、それだけで癒された。
「大丈夫、僕は梨沙子を愛しているから。これくらいの困難くらい、乗り越えてみせる」僕がそう言うと、梨沙子は電話の向こうで「ありがとう」と言った。そしてすぐに、「もう切らないと怒られる」と言って、電話を切った。
梨沙子の可愛い声、天使の言葉。僕はもう梨沙子なしでは生きてゆけない。梨沙子、梨沙子、僕の梨沙子……。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:41



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7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:41
梨沙子がテレビに出ていた。天使の身分を隠して芸能界に身を潜めているんだ。梨沙子くらいに美しいと、どうしても際立っちゃうんだよね、魅力が。おかげで、梨沙子の所属するBerryz工房は梨沙子以外は大根が並んでるようなものだ。
梨沙子が中心で、梨沙子が一番歌って、梨沙子が目立つのが当たり前なんだ。大根どもはせいぜい梨沙子の引き立て役に徹して頂きたい。
だけどその日、歌番組に出たBerryz工房を観て、僕は憤慨した。こんな、こんな事があっていいのか?梨沙子のグループなのに、こんな、こんな……。
その曲で中心に立っていたのは梨沙子じゃなくて、あの汚い……見るだけでおぞましい夏焼雅だったんだ!!こんな、こんな事があってたまるか!!

「なんで、なんで梨沙子が真ん中じゃないんだよぉぉぉっっ!!!」

握り締めたグラスが、掌の中でカシャンと音を立てて割れる。僕の掌には割れたガラスの破片が無数に刺さり、赤い血で染まって行く。だけどこんなの関係ない。梨沙子の苦しみに比べたら……。
僕は携帯電話を取り出すと、梨沙子に掛けた。梨沙子がすぐ出た。梨沙子は泣いていた。「私、真ん中取られちゃった」。




       梨 沙 子 が 泣 い て い た 。





「こいつが、こいつがいなくなればいいんだね、梨沙子?」

僕はニヤリと笑った。梨沙子は電話の向こうで何も言わない。そっか、そうだよね。こいつがいなくなれば、梨沙子は真ん中に立てるんだね。僕、頑張るからね、梨沙子。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:41



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9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:42
『人気アイドルグループBerryz工房・夏焼雅(12) 殺人!?』
『"モー娘。妹分"Berryz工房・夏焼雅(12)さん、焼身死体で発見される』
『ハロプロ解散!殺された少女はBerryz工房の夏焼雅さん(12)犯人はファンとのうわさも』

ふん。僕はテレビ画面に映る夏焼雅の映像を観て、思わずニヤける。梨沙子の邪魔をする奴は、こういうことになるんだって教えてやったのさ。そう、きっと梨沙子だって
殺したい程あいつを嫌いだったはずだ。だから僕が殺ってやった。梨沙子は僕が護るって決めたんだ。ナイトは僕なんだ。だから、梨沙子は安心して、また真ん中に立てばいい。良かったね、梨沙子。

でも、ちょっとだけ、梨沙子が心配になったから、外へ出た。電車の中でも、夏焼が死んだというニュースで持ちきりだった。まさか僕が梨沙子を護るためにそうしただなんて、庶民のこいつらには一生知る縁もないだろう。
梨沙子の家まで向かう。両親がいたら厄介だけど、今すぐにでも梨沙子と話がしたい。そういえば、全然打ち合わせもなかったから、梨沙子は驚いてるかも知れないからだ。まぁ、梨沙子は夏焼が邪魔だったんだから、あいつは
死んで当然の女なんだけれどね。だけど、ほら、万が一っていうこともあるじゃないか。
梨沙子の家はガランとしていて、梨沙子も勿論いないようだった。僕は待った。かなり待った。夜になった。梨沙子の両親が帰ってきた。僕は勇気を出して、梨沙子と話をさせてもらおうと、ヤツらに近づく。

「すいま……」

話し掛けようとした時、突然後ろから羽交い絞めにされた。しまった。警察だ。夏焼の件がバレた。もしかして、梨沙子が、梨沙子が裏切ったのか?僕を裏切って通報したのか?梨沙子、そうなのか?梨沙子!!

「目撃者が出ている。殺人及びストーカー容疑で逮捕する」

ストー……カー……?こいつら、何を言ってるんだ?僕はもうおかしくって、思わず笑ってしまった。こいつら、僕の事をストーカーだと思ってやがる。バカバカしい。僕は梨沙子のナイトだぞ?ストーカーと一緒にされたんじゃ困る。
り、梨沙子だ。梨沙子が僕をハメやがった。あ、ああああいつ、あああああああああいつつつ、ぼ、ぼぼぼぼぼ、ぼぼぼぼぼぼくの事をハ、ハメハメハメ……ハメやがった!!!!

「そうだ、梨沙子だ。あいつ、僕の事を裏切りやがった。全部あいつがやれって命令したんだよ?そ、そうだよ、ぼ、ぼぼ、僕は悪くな、なんかないんだから。あいつが、す、す、菅谷梨沙子が、ぼぼぼぼぼくをハメて……」
「うちの子はあんたなんか知りません!勝手な事言わないで下さい!」
「う、ううううそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ」
「署で詳しく聴かせてもらおうか」
「うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ!!!!梨沙子が、梨沙子が僕を護ってって言ったんだ!」
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:42
梨沙子が他の警察に連れられて出て来た。口をへの字に曲げて僕を睨んでる。り、梨沙子、なんでそんな顔するんだよ?ぼ、僕はキミのために全部───

「梨沙子ちゃん、このオジサンと知り合いかい?」
「こんな人知りません!みやを、みやを殺したのはこの人なんですか?早く捕まえて下さい!!!」

「うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだこいつが全部悪いんだ。と、ととととととぼけたって無駄だぞ!!」
「連行する」

僕はその言葉に反応したように駆け出していた。警察をだし抜いて走った。捕まったら戻れない。走りながら携帯電話を取り出す。梨沙子が出た。梨沙子!梨沙子ぉぉぉぉ!!
「ど、どうしてこんな事に?僕は梨沙子のナイトだろ?ナイトは、梨沙子を護らなきゃいけないんだろ?梨沙子、ななな、何で嘘なんかつくんだよ?僕らは恋人同士で白馬の王子で天使で真ん中でプリンセスで天使で真ん中で白馬の王子で───」

「あそこだーっ!追えーっ!!」
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:42


『おかけになった番号は現在使われておりません。お客様のおかけになった番号は……』



12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:42
ツー

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13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:43
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゜
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:43
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15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 00:43
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16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 01:01
 

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