Destiny×Destiny

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:02
1 Destiny×Destiny
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:03

 ☆今日のあなたの運勢☆
 今日あなたはモーニング娘。と会えるでしょう!

3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:04

 「いやに具体的だな……」

 最初っから信じてないけれど。

 携帯に届いた謎のメールを眺めながら、頭をかき回す。
 寝ぼけた視界を冷たい水でこじ開けると、歯ブラシに歯磨き粉をつけて歯を磨いた。
 磨きながら差出人不明、というか何故かアドレスが空欄になっているメールの続きを見る。

 『でもちょっと気をつけると思わず落とし穴が待ってます!』
 「お前に言われたかねぇよ」
 『歯磨き粉だと思ったら洗顔剤だったり』
 「ぶっ!」

 思わず噴出す。
 握り締めていたニキビ薬がチューブから飛び出して鏡にかかる。

 「気味悪ぃー……」

 メールはまだ続いていた。
 悩んだ挙句、俺はボタンを押した。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:04

 『朝ごはんは洋食より和食がオススメ!』

 パンを用意してるのに、そんなことを聞けてたまるか。
 虫歯菌とクレアラシルが依然激しいせめぎ合いを繰り広げる中、
 綺麗になったかは定かではない歯磨きを終え、居間に向かう。
 舌の上がおかしいことになってる。

 ビニールのパックからパンを取り出して頬張った。
 うん、美味しい。

 「なんもねぇじゃねぇかよ……」

 半分は信じている自分がバカみたいだ。
 牛乳をコップに注ぎ、一気に飲み干す。パンの日はこれだ。

 『牛乳はまずいよ!』
 「う゛……」
 『発酵してるから!』

 流し場まで駆けて、一気に吐き出した。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:06

 「なんなんだ一体…」

 誰から来たのかも分からない、差出人すらない奇妙なメール。
 ことごとく俺の行動を先読みされると、気味悪いと言う感覚も通り越した。
 とりあえず書いてある通りに行動するのが無難らしい。

 お茶とパンという妙な取り合わせで朝食を済ませると、トイレに向かう。
 その途中携帯でメールの続きを見る。どこまで続いてんだよこれ。

 『トイレ入る時は気もつけて!』
 「はいはい」
 『紙がないよ!』
 「ええ?!」

 本当にない。危うくトイレから出られなくなる所だった。
 メールに感謝すると、紙が入っている棚から紙を取り出す。

 「……紙がねぇ」
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:07


 『出逢いは表参道で☆
  長かった髪を切ったばかりのあの娘が前を歩いていたら話しかけちゃえ!
  きっとすぐ打ち解けるよ!これは運命です!』

7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:08

 バカ正直に表参道に来ちゃってる俺って、一体。

 適当に見てみても、人、人、人だらけな休日。
 たとえ本当にいたとしても探しようがない。ただ、いることは確か。
 完全にあのメールの信者と化していた俺は、理由なき確信に満ち溢れていた。
 絶対にいる。なんせ運命。しかも俺の、

 「前を歩いて…!」

 いたー!!
 俺より少しだけ小さいくらいの身長。
 長かった髪を切ったばかりのあの娘なら、彼女が当てはまる。
 飯田圭織。後ろ姿からして間違いなかった。

 嗚呼、神様。
 俺たいして飯田好きじゃないけどありがとう。
 ていうか矢口が好きだから正反対な気がするけどありがとう。
 きっとこのメールは神様からのメールだ。
 彼女と別れたばかりの俺になんてgood job略してgjなチャンスをくれるんだ。マンセー。
 でも……。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:09

 「どうやって声かけよう…」

 結構な問題だった。
 後ろ姿に惹かれながら彼女の3m以内を歩き、
 なるべくストーカーにならないようにしながらその方法を考える。
 飯田さんですよね?なんて言ったらそれこそサインで終わりだぞ。
 出逢いだなんてご大層な言葉を使っているんだから必ず何かしらの発展を見せれるはずだ。
 慎重に、慎重に言葉を選べ。がんばれ俺。

 こんなに緊張したのは高校のときの文化祭で友人T♂(イケメン)が
 ライブで放り投げたピックを誤ってキャッチをしてしまったとき以来だ。
 あのときの周りの視線は痛かった……って今はそんなことどうでもいい。

 そこら辺の腕っ節強そうな外人雇って絡んでもらうか?無理だ。
 簿記3級の俺じゃヤラセでも勝てるはずがない。
 わざとぶつかって「すみません」とかするか?それこそバカみたいだな。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:10

 ドンッ

 蛇行していたのか、そう言っている傍から横を歩く人にぶつかった。

 「痛ぁい」

 シカト。
 キレる女の声が聞こえたけど更にシカト。
 とりあえず今は飯田にどう声をかけるかで頭がいっぱいだった。
 彼女の足を止めるような、口説き文句は……。
 ええい、考えるのなんてやめだ!一瞬のひらめきにかけろ!
 ナンパは爆発だ!当たって砕ける!なんか色々違うけど行くぞ!

 「すげーきれいな髪だねー。後ろ姿だけで惚れちゃったよ。ちょっと遊ばない?」

 なに言うてんねん、お前。

 「えーうれしい」

 低い声、そして振り向いたのは、

 「……………………………誰」

 鍛錬され、鍛え抜かれた黒光りの肉体。ダンディズム。♂。渋すぎるぜ。ハァーン。

 「誰って、話しかけといてそれはないんじゃないのぉ(はーと)ワタシ飯田じゃなくてテ・ラ・ダ♪」

 オ、オ、オカオカ、オカ、オカパイ、じゃなくてオカマ?!
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:11

 「ちょっとイイコトしようね」
 「え゛ーーー!!?全然よくないから!よろしくないから!」

 ズルズルと裏路地に引きずられていく。ちょっと待て、話が違う。
 モー娘。と出会えるんじゃなかったのか?!
 おい俺の筋肉!じゃなくておいメール!おいメール!どういうことだよ!

 「キャハハハハハ!」

 少し離れた位置から聞いた事のあるようなないような、笑い声。
 振り向くと、さっきぶつかった女、っていうか……

 「矢口?!」
 「ザマーミロ!キャハハ!!ぶつかっといて謝らねーからだぞ!バチが当たったんだー!」

 そっちかーーーー!!!!

 強靭な筋肉を腕に潜ませたマッチョメンにワンダーフォーゲル部の俺がかなうはずもなく、
 俺は大事な所をまさぐられながら、人のいない路地の方へと連れて行かれた。
 その間、矢口はずっと笑いっぱなしだった。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:12

 「あー笑った。あ、メールだ。…なにこれ?」

12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:12
☆明日のあなたの運勢☆
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:12
☆明日のあなたの運勢☆
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 00:12
☆明日のあなたの運勢☆

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