30 痣は掟

1 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:16
「ふわぁ〜〜」
カーテンから漏れた朝の光が私を現実へと戻した。朝の目覚め特有の気だるさが私を包み込む。
伸びをしようと思ったがなんだか首が痛い。
寝違えたのかと思ったが、どうもその痛み方とは違うような気がした。
2 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:17
 でもそんな事はあまり気にせず、私はそのまま学校へ行く用意を済ませた。

 外へ出ると、何だか空の色が薄暗い。
天気予報では晴れと言っていたような気がする。
 怪訝に思いながら、一歩外へ足を踏み出した。

ずきん

また首に痛みが走る。
さっきからどうしたんだろう。

 そのまま歩くと、前方にさゆが見えた。

「あ、おはよー絵里ちゃん」

私が横に並ぶと眠そうな顔を向けてきた。

「なんかさぁ、朝から首が痛いんだよね」
「へぇー」

さゆは私の話なんかどうでもいいって言った風に、話題を変えた。
 そんな時、
「あ」
私はまた首に大きな痛みを感じた。
3 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:17
○ ○ ○


 絵里がいなくなってから、1日が過ぎた。
昨日の夜、絵里の家から電話がかかってきて、うちに来てないかって聞かれた。
私は知らないって言った。

 毎朝絵里が後ろから背中をたたいてくれるのに、今日はいくら歩いてもやってこない。
天気予報は曇りだって言ってたのに、空は晴れてるし。
やっぱり絵里がいないなんてちょっと寂しい。

 次の日、絵里の家が警察に通報したっていうのを聞いた。

 それから3日経った。
朝、先生が暗い顔で教卓に立った。
「みんな、驚かないでね。実は、昨夜、亀井さんが…」
教室に、みんなの驚いてる声がこだました。


○ ○ ○
4 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:17
 「ひどいよね…誰が、誰があんな事…」

 上級生のクラスにも、絵里の話は伝わってるらしい。
部活が始まると、石川さんが泣き出した。
確かに、いつも絵里が使ってたロッカーが空いてるのを見ると、ちょっと寂しくなった。


 「私、許せないな」
途中まで帰り道が一緒な藤本さんが言った。
また絵里の話みたいだ。
「まだ犯人は捕まってないんでしょ?私、そういう事するやつ一回殴ってみたいんだよね」
「そんな事したら、藤本さんも絵里みたいに…」
「え?大丈夫だって〜。これでも私、強いし」
そう言っておどけながら拳をつくった。

 その時だった。
「痛ッ…」
「どうしたんですか?」
「あ、何かさぁ〜、朝から首が痛くってー。でも大丈夫大丈夫。こんなの平気平気!」

 その時、風がふいて藤本さんの髪が揺れた。
模様の入った首筋が見えた。
5 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:18
○ ○ ○


 三日後、藤本美貴という女性の死体が発見されたそうだ。
手口は前回の亀井絵里の時と同様、撲殺された後、川に流されたらしい。


○ ○ ○
6 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:18
 道重さゆみは、今日も当たらない天気予報を思いながら空を見上げて少し寂しげに微笑んだ。
大好きな人たちがいなくなっちゃったのはやっぱりちょっと寂しい。

でも、昔からの掟だもん、しょうがないよね。
悪いのはあんなのくっつけてきた絵里や藤本さんなんだし。

そう心で呟いてから、大きく息を吸い、

「うん!言い伝え守って、さゆは今日もいい子っ!」

と、笑った。


7 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:18
●お わ り●
8 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:19
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9 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:19
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10 名前:30 痣は掟 投稿日:2004/11/23(火) 23:19
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