44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会
- 1 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/27(日) 23:56
- 44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会
- 2 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/27(日) 23:59
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四角い畳の上で、向き合う二人。
東に、辻希美。
西に、紺野あさ美。
紺野は頬を、辻は鼻の穴を膨らませその時を待っていた。
- 3 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:01
- 「はじめっ!」
審判の掛け声を合図に、二人が歌いだす。
「「せーの、叩いて叩いてじゃんけんポン!」」
辻、手元の硝子の灰皿に手を伸ばすが、それよりも先に紺野の
硝子の花瓶が脳天に炸裂した。
ガッシャアアアアン!!
破片と少量の血を撒き散らしながら、辻、頭を振る。
「やるじゃない」
「次で決めます、のんちゃん」
- 4 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:06
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にらみ合い、再び二人は口を開く。
「「せーの、叩いて叩いてじゃんけんポン!」」
紺野、勝利を確信するかのように、硝子でできた掛け時計を辻に
振り下ろす。対する辻はまったく反応がない。
勝った。
そう思った瞬間、紺野の顔が大きく後ろに反れた。
「てへてへ。血で手が滑っちゃったよ」
辻は故意に、ボーリングの球大の硝子玉を紺野に投げつけていた。
- 5 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:09
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審判、辻に近寄り、何やら神妙な顔つきで説明している。
辻、不貞腐れた顔をして、
「あーい」
と返事。用は次ぎやったら反則負け、という趣旨の説明がなされた
ようだ。しかしこれで勝負は一対一。
「この勝負だけは……」
「負けられません!」
二人は命を賭けていた。
優勝商品である、ほかほかハンバーグをゲットするだけのために。
- 6 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:11
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たった1秒かもしれないし、数時間の時が過ぎたかもしれない。
二人は待っていた。
その時を。
空気が震えるほど大きく息を吸い込み、そして叫んだ。
「「せーの」」
- 7 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:14
- 「「叩いて叩いてじゃんけんポン!!!!」」
辻、背後に置いてあった硝子の天使像の首を引っつかみ、空気を
切り裂く勢いで紺野に振り下ろす。
紺野、傍らの硝子の白熊の彫刻を横にスイングさせる。
二つの硝子が砕け散るのは、ほぼ同時だった。
- 8 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:16
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最後まで倒れなかったのは、足の付け根でぽきりと折れた白熊
の彫刻を握り締めている、紺野だった。
辻はと言うと、紺野のフルスイングをまともに受けてひくひくと
体を痙攣させていた。
審判、厳しい顔をしていたが、やがて天を仰ぐと。
- 9 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:20
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「紺野選手、硝子ではなく正拳突きを辻選手の顔面に食らわせた
ので反則負けになります!」
審判の非情な裁定に、紺野はふぐっ面を赤くさせ、そして青ざめ
させる。
だが、倒れたままの辻の顔を覗き込むや否や、にっこりと微笑ん
で言うのだった。
「のんちゃん、歯がぼろぼろですよ? これじゃあ、ハンバーグ
は食べられないですよねえ?」
- 10 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:20
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- 11 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:21
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- 12 名前:44 第一回・チキチキ硝子で叩いてじゃんけんポン大会 投稿日:2004/06/28(月) 00:21
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