26 . 。o O ら む ね O o 。.
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:23
- 26 . 。o O ら む ね O o 。.
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:24
-
子供のときさ、中に入ってる綺麗な玉が欲しくてさ
うん
投げてビンを砕いたんだ
うん
でもさ、中に入ってるのはただのビー玉でさ
うん
ただなんとなく、戻らないんだって知ったんだ
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:26
-
とりあえず、お外に出たはいいもの日差しが強いのでした。
「さっきまで雨ふってたんだってよ」
「ほんと。そんな空気だね」
そう言われれば、風はそんな感じで温く、雨の匂いを吸い込んでいました。
「日差し強いねぇ」
「日傘差せばよかったかな」
「似合わないよ」
「そっかなぁ」
色黒だけど日傘は似合うんじゃないかな、口にはしないけども。
「で、どうなの」
「なにが」
「なにがってさぁ。あれよ」
久しぶりに二人きりで遊んでみても、こんな調子で、どこか空回り中。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:28
-
ねぇ。コンドの休みどっか行く
──ん。それ私に言ってるの
そうだよ。どっか行く
別に……家で寝て過すかな
ちげぇーよ。どっか行くかって
だから───え、一緒にってこと
うーん。そうかも
うーん。じゃあ行こっかな
突然のお誘いに私は驚き、彼女の頬は優しく色づきました。
だけど、突然過ぎたので彼女のリズムが落ち着きません。
「そっちはどうなのよ」
だから私から。
「どうって言われてもなぁ」
「なにさ」
「なぁーんかな。なんかだよ」
そんな風に言われたら、私だってなんかだよ。
このまま二人で何処までも黙り込んだまま歩いてしまいそうで、必死で言葉を探しても見つからなくて。
彼女はポッケに手を、私はお口に手を。
「あくびすんなよ」
「だって寝て過ごす予定だったんだもん」
柔らかな午後。近くの空を走る電線。目の前を点々と広がる水たまり。
それを跳ねる日差し。雨上がりの透んだ空。そして、彼女と私。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:29
- 彼女は静か過ぎる世界に耐えられなくなったのか、地面を蹴って、片足で水たまりに着地しました。ポチャン、と水たまりは砕けて、水玉が跳ね飛びました。すぐさま、その水たまりを蹴って次の水たまりに飛び込みます。そして次の水たまりへ、へ、へ、へ。
その度に水玉が宙に浮かんで、落ちて、割れて、浮かんで、落ちて、割れて、ビンの中の泡沫のように空へ消えてゆきました。水玉に映った私たちも消えてゆきました。
先をゆく彼女の背中に言いました。
「子供じゃないんだからさ」
「まだハタチじゃないもん」
「そういう問題じゃないでしょ」
「どんな問題だよ」
「しらないよ、そんなの」
「なんだよ」
カラカラ、カラカラ。
言葉と生ぬるい風が空回り。
空は痛いくらいに青く、その中で私たちはカラカラ鳴きます。
眩しくて目を閉じます。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:31
-
夏ってさ、アチーよね
そりゃ暑いよ。夏だもん
炭酸飲みたくなんない
あぁー飲みたくなるかも
空のせいだと、みた
なんで
青いからだね、青いから
わけわかんない
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:33
-
目を開ければ、
そういえば今日も空は青いのです。
「ねぇ」
「ん」
彼女はこちらを向かずに応えます。
「炭酸飲みたくない」
「はぁあ───あ」
彼女は上を見上げて立ち止まり、何かに気づいたように手を打ちました。
「飲みたいね、こりゃ」
彼女の背中が、うん、と応えた気がしたとき、
「うわぁっ、見て」
彼女の指の先には虹。
曖昧で、すぐに消えて、ぼやけてて、でもキラキラしていて、
それは虹。
「なんか懐かしい」
「懐かしいって。でも……私も」
彼女と私は立ち止まって、それを見つめていました。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:34
- 時間は過ぎます。
何かが消えて、何かが現れます。
私たちはその中で生きるのです。
カラカラ、カラカラ音を立てて踊るのです。
青い空の中で私たちは息を吸うのです。
「私って意外とナイーブよ」
「知ってる。泣かないでね」
「泣くかも」
「やだ。やめてよ」
それでも空が壊れちゃわないように、ゆっくりゆっくり私たちは回るのです。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:36
-
ただなんとなく、戻らないんだって知ったんだ
私もやったことあるよ
ほんと
でもさ、そのビー玉って空に照らすと綺麗なんだよね
うん
空と同じ色なんだよ
うん
だから大丈夫
なんで
青いから、空が青いから。でしょ
───うん
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:37
-
まぶたを閉じて、耳を澄ませば、また夏の声がするのです。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:38
- げ
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:38
- っ
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 19:38
- ぷ
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