15 隙間スイッチ

1 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:12

 ある日目が覚めると、あたしは地べたで寝ていた。

 何故自分がそこで寝ていたのかは分からない。とりあえず思い出せることといえば、
 さくらコン打ち上げで先輩達に半ば強引にお酒を飲まされて、潰れたと言う事くらいだ。
 アイドルがこんな地べたで寝ているのが見つかったら一大事。
 きっとスポーツ紙の一面を飾るほどの不祥事に違いない。
 
 でも慌てて起き上がったあたしは、もっと重大な事件に直面してしまった。
 『亀井絵里 地べたで泥酔爆睡事件』なんかよりももっと恥ずかしい、事件に。
2 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:13




              隙間スイッチ




3 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:14
 
 「吉澤さん?」

 吉澤さんはショウウィンドウの中にいた。
 まるでマネキンのように、ショウウィンドウの中平然と突っ立っている。
 
 コンコンッ。

 あたしはガラスを叩き、なんとかしてその事に気づいてもらうように努めた。
 いくらなんでも先輩の暴走行為を平然と見過ごすわけにはいかない。
 でもそんなあたしの気持ちも知らず、相変わらずボーっとした顔で横を向いている吉澤さん。
 そのバックには町をイメージした写真が張られていて、ビルやたくさんの人達を止める赤信号が描かれている。
4 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:14

 コンコンコンッ。

 あたしは何度も何度もガラスを叩いた。
 その甲斐あってか吉澤さんは、漸くこっちを振り向いてくれた。
 でも吉澤さんはこっちを見た瞬間高橋さんみたいに目を大きく開けて、

 「―――?!」

 なにやら口を動した。

 ガラス越しなので何を言っているのかよく分からなかったけど、
 亀井?!
 って言っているように見える。
5 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:15

 「吉澤さん、そこから出てきてください!恥ずかしいですよ。」


 あたしは極めて理性的な言葉を投げかけたはずだった。
 なのに吉澤さんの反応はなんだかおかしい。強くガラスを叩き、何故か笑っている。

 別に読唇術を心得ているわけでもないあたしに吉澤さんの真意が分かるはずもなく、
 あたしはただただ首を傾げた。

6 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:16
 
 「・・・・・・ひょっとしたら。」
 
 あたしの脳内に一つの可能性がよぎる。
 この人もしかして、出して欲しい、と言っているのではないか?
 もう発狂しかけて笑っているけど、本当は出たくて仕方がないのかもしれない。 
 でもどこから入ったかも分からない吉澤さんを出す方法なんて、あたしに思いつくはずがなかった。
 でも見捨てる事は出来ない。

 もう一度吉澤さんに視線を移す。吉澤さんはつられる様に後ろを向くと、突然焦り出した。

 やっと気づいてくれたか。

 とりあえずあたし左右に動いて、ショウウィンドウを出入りする隙間でもないかと探した。



 ・・・・・・?
     隙間?
7 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:16
 
 コツンッ。

 「痛っ。」

 余計な煩悩がこもるとすぐこれだ。
 あたしは接触した人に謝ろうと、振り向いた。

 「(・・・・・・・え?)すみません。」

 どういう事だろう。近頃また美白ブームでも始まったのか?
 とりあえず頭の片隅に『美白』を置きつつ、右の方へと移動する。
 するとあたしは見つけた。
 泥棒でも侵入したのだろうか。その隙間は綺麗に四角形に切り取られていた。
 吉澤さんではとても通れそうにない、小さな隙間・・・。

8 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:17




                 ◇




9 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:17
 
 「かめちゃんもほら飲め飲め〜。」
 「あ、はい。頂きま〜す。」
 「お、いい飲みっぷり!もっと行けーガンガン行けー。」
 「亀ちゃんすごーい!あたしも行っちゃおー。」





 「うぅ・・・・・気持ち悪い・・・・。あれ?なんだろここ。
  入れそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・入りたい。」 



10 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:18




                 ◇



11 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:18


 写真の信号が突然赤から青に変わる。すると写真は急に動き出した。
 車が左右に流れてゆき、人達はだんだんと大きくなったり小さくなったり。
 写真の背景は老若男女、たくさんの人達に姿を変える。
 やがて背景のほぼ全域が人となってしまった。

 コンコンッ。

 吉澤さんがまたガラスを叩く。
 吉澤さんは多くの人に取り囲まれ、その人達はみんながみんなこっちを見ている気がした。
 あたしは暑くなった首裏を抑えながらマネキンを弾き飛ばし、吉澤さんの前まで移動すると、
 吉澤さんは哀れみいっぱいの表情で、口を少しだけ動かした。

12 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:19




           「ちゃいてーです。」




13 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:19
   お
14 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:19
    わ
15 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:19
     り
16 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:19
スキマスイッチ
17 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:20
関係ねぇー
18 名前:15 隙間スイッチ 投稿日:2004/06/21(月) 23:20
ノノ*^ー^)<ちゃいこーです!

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