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06変身!
- 1 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時30分18秒
- 06変身!
- 2 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時30分47秒
- □
これであなたもセーラー戦士
なんてありがちなキャッチコピーで売り出されていたソレ。
定価はちょっと高めの5800円。
これは史上初の画期的発明品であって、おもちゃの域を超えているって白髪のおじさんがテレビで言っていたっけ。
なんでも特許もの、らしい。
- 3 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時31分24秒
- テレビのCMでよく見かけるけど、実物を見たのはこれが初めてだった。
「…で、なんでそんなもの持ってるの?」
「えー、なんでって。
だってさ、見てみたくない?」
「そうだよー。
だってほんとになれるんだよ?セーラー戦士に」
「…ほんとにって。
なれないって。だって、テレビのCM、明らかに衣装だったよ。
イメージ映像って右下にも書いてたし」
「もぉ、あさ美ちゃんは分かってないなぁ。
なれるんだって。それが」
「…」
それで、何故、わたしにソレが差し出されているんだろう。
- 4 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時32分00秒
- 「…だから、変身して?あさ美ちゃん」
「へ?」
自分でもびっくりするくらい素っ頓狂な声が出た。
「なんでわたしが?」
「似てるから」
「なにと?」
「水星を守護に持つセーラーメルクリウスをやってる子に」
「…」
「ねぇー」
「ねぇー」
まこっちゃんと愛ちゃんは楽しそうに顔を見合わせる。
- 5 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時32分37秒
- 「だからわざわざメルクリウスにしたんだよ?」
「…セレネのもあったんだけど、わざわざ?」
「うん」
こんな風に無邪気に笑われると困る。
「…一回だけだよ」
「やった」
「さすがあさ美ちゃん、好きやで」
「どうすればいいの?」
「あ、えっとね、そこのぽっちを押しながら、変身、て言うだけでいいんだよ」
まこっちゃんの言葉に促されるままスティックを手に持って呟いてみた。
「変身」
- 6 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時33分06秒
- 一瞬、きらっとなにかが光ったように見えたけど、自分を見下ろして見てもなにも変わっていなかった。
「だから変身なんてできないって言――」
「うわぁ、あさ美ちゃんすごいっ。
ほんとにメルクリウスになったー」
「ほんまやー」
「なに言ってるの?
からかってるんでしょ?」
壁に張り巡らされている大きな鏡に自分の姿を映してみてもやっぱりいつもの紺野あさ美がそこにいる。
「からかってないよぉ。
それね、本人には分からないんだよ。
確か半径10メートル以内とかにいる周りの人にだけそう見えるイリュージョンみたいなものだって言ってた」
周りにしか見えないって…なんかそれって裸の王様みたい。
- 7 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時33分57秒
- ■
「これ持って変身って言ってみてよーねぇ、たんー」
「やだよ、そんなの。
美貴もう18だよ?そんなことしてられないって」
「ちょっと言うだけでいいから、お願い」
「やだ」
「お願いぃー」
「…もうやんないからね」
「うんうん」
「じゃあ…変身。
これでいいでしょ?
美貴、これからダンスレッスンあるから行くよ」
「う、うん。
ありがと、たん」
「じゃあね」
「うん…」
- 8 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時34分48秒
- □■
「おはようございまーす…」
あ、藤本さんだ。
よし。まこっちゃんたちに騙されてるかもしれないし、ここは藤本さんに訊いて…きいて…。
「キャーッ」
「うわ、え?なに?なんなの?」
「お、おおばけだーっ」
「妖怪、妖怪やって…ようか…い…」
「…はぁ?
わけわかんないんですけど。
なに言ってるの?」
ここ、こっちにくる―
- 9 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時35分29秒
- 「うわ、どーしたのこれ。
っていうか誰?
なに?なんかのコスプレしてるの?
水色のカツラなんてよくあったねー。
って、あれ?カツラじゃないんだ?まさか染めたの?
ええー誰?誰がやってるの?」
声は藤本さんなのに…姿は、紛れもなく…。
「触らないでっ。
ふ、藤本さんに乗り移って、ど、どうするつもり…」
やだ。怖い。
ほんとになんなの?!これっ。
「だからわけわかんないから、それ」
キャーッ。
やだやだやだ。
触らないでこないで見ないであっち行ってーっ。
- 10 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時36分21秒
- 「…」
「…」
また、光った…?
「…ああー紺ちゃんだったんだ」
「…え?」
戻っ…。
「ふ、藤本さんっ」
「ん。なに?」
「え、だって、今、藤本さん、なにかに取り付かれて…。
……だって…声だけ藤本さんで、姿、妖怪みたいになってて…」
「さっきからさぁなに言ってるの?それ。
みんなしてわけわかんないこと言うから美貴、鏡で自分の姿確認しちゃったし。
けど全然なに見ておばけだの妖怪だの言われてるかわかんなかったんだよねー。
ねぇ、新手のいやがらせ?紺ちゃん」
「そ、そんなわけないじゃないですかっ。
藤本さんにそんなこと…あ」
「ん?」
- 11 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時37分08秒
- 「…まこっちゃん」
「な、なに?」
「この変身アイテム、悪役のも、ある?」
「え…あったっけ…?」
「…えぇー…どうやろ」
「えっと、確か、もう一個キャッチコピーみたいなのがあって…」
「ああ。
さぁ君も敵と味方に分かれてバトルしよう、じゃなかった?」
「それだ!さすが愛ちゃんっ」
という事は。
「…藤本さん。
まさか、今から10分くらい前に変なスティックとか握らされて、変身、て言ったりしませんでしたか?」
「あれー?よく知ってるねぇ。
そうなんだよね。さっき亜弥ちゃんがさぁしつこく変身って言わそうとしててさー。
あんまりしつこいから言ってあげたんだけどさ、ありえないよね。変身だよ?変身」
- 12 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時37分56秒
- 「そ、そうですよねぇ…」
松浦さん、すごい。
藤本さんを妖怪に変身させるだなんて。
「もしかして紺ちゃんの今のコスプレみたいなのもそうなの?」
「あ…たぶん、そうです…」
「ふーん。
じゃあさ、もっかいやってよ」
「な、なんでですか?」
「白いパンツがちらちら見えてたから」
「…」
「ね?もっかい」
「…」
- 13 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時38分30秒
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- 14 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時39分01秒
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- 15 名前:06変身! 投稿日:2003年11月03日(月)01時39分37秒
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