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14 Knockin' On Heaven's Door
- 1 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時08分40秒
- 14 Knockin' On Heaven's Door
- 2 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時10分23秒
- 僕は、かの有名なモーニング娘の高橋愛ちゃんの家に住んでいる。
愛ちゃんはそのことに気付いていないみたいだけど、とにかくそうなんだ。
たまにだけど、愛ちゃんが出かける時について行くこともある。
僕は彼女の寝顔や御飯やテレビは何を見てるのかとか誰とよく電話するとか飼ってる猫のこととか、とにかくなんでも知ってるんだ。
でも僕は愛ちゃんに見つかってはいけない。なぜかって?
僕が醜いからさ。
愛ちゃんみたいな綺麗な人と僕とでは、誰がどうひいき目に見たって釣り合いは取れない。
だからまあ、あんなことをされても仕方ないんだ。
- 3 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時11分03秒
- 昔一度、僕はへまをした。
本当に昔の話だけど、愛ちゃんが寝てるとき、僕はたまらなくなって愛ちゃんの布団にもぐり込もうとしたことがある。
別に特別な理由があったわけではない。ただの好奇心だ。
でも、運悪く愛ちゃんは目を覚ましてしまった。
愛ちゃんは僕に気づいたとたん「キャッ」と悲鳴を上げて、いろんなもので僕を叩いた。
それからおかしなスプレーを浴びせられ、僕はあえなく退散したんだ。
そのとき僕は、かなりの傷を負ってしまった。
それがトラウマになって、僕は愛ちゃんには見つからないようにしている。
- 4 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時11分42秒
- 今日も愛ちゃんの携帯のアラームで、愛ちゃんと一緒に起きた。
僕は愛ちゃんの様子をテレビ台の下の隙間から窺った。
いつも通り、愛ちゃんはトイレへ行き、猫のミーコに餌をやり、朝食をとり、シャワーをする。
僕はその一挙一動を、眺める。
愛ちゃんがシャワーをしている間、いつも僕はなんとなく部屋を動き回っていた。
シャーペンなんかが落っこちてたりすると、机に戻したりすることもある。
だけど、今日は違った。
自分でもよくわからない感情だった。
そもそも僕は、外見が醜いからせめて心は清く美しくありたいといつも思っている。
それなのに今日は、それすらどうでも良かった。
とにかく憎かった。愛ちゃんの愛を受けているミーコが。
確かに、ミーコは可愛かった。
愛ちゃんがあんなに気に入るのも無理はない。
まだ一歳にも満たず、毛は茶色で、目が大きくてクリクリしてる。
だけど、僕だってなにも選んでゴキブリに生まれてきたわけじゃない。
できればもっと人間に、愛ちゃんに愛されるものに生まれたかった。
- 5 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時12分19秒
- 僕は、昔僕がかけられたスプレーを、ミーコが水を飲むトレイに吹き付けた。
それから押入れの奥にある隙間から外へ飛び立った。
- 6 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時12分58秒
- 久々に飛んだ屋外は、陽の光があちこちで反射していて、健康的だった。
大海原を優雅に飛ぶ自分の姿を、僕はイメージした。
しかし、気をつけなくてはいけない。鳥の餌にはなりたくはない。
人間にとってはただの醜い生き物でも、カラスや鳩なんかには僕は食料だ。
ひとまわり街を飛んで、愛ちゃんのマンションへ戻った。
- 7 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時13分40秒
- 部屋に入ると、愛ちゃんはもうすでに出ていていなかった。
そうとわかれば遠慮はいらない。我が物顔で部屋を歩き回れる。
ということで、とりあえずミーコを探した。
探しながら外へ行ったせいか嫌に冷静になっている自分に気づいた。
ミーコはトイレの前で倒れていた。触ってみると冷たかった。
僕は心臓が歪んでいくのを感じていた。
―――
- 8 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時14分29秒
- 愛ちゃんが帰ってきた音で僕は我に帰った。
とっさに僕はトイレの前にある洗濯機の下に身を隠した。
「ミーコぉ どこいったんやー」
愛ちゃんは不安そうにミーコを呼んだ。
そしてすぐに、見つけた。
「きゃ、ミーコ!!ミーコぉ!!」
愛ちゃんは子供みたいに泣いた。わんわん声をあげて泣いた。
冷たくなったミーコを抱いて、狂ったように泣いた。
僕はまた、ミーコに嫉妬を感じた。
- 9 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時15分20秒
- いかに僕が醜くとも、僕が死んだら愛ちゃんは泣いてくれるだろうか。
ミーコの時と同じくらいなんて言わない。
せめて涙一滴でも垂らして悲しんでくれるだろうか。
答えはわからない。
僕は愛ちゃんを信じることにした。
僕にへんなスプレーをかけたのも、殺そうとしたわけじゃないと思うことにした。
愛ちゃんはやさしいから命は平等だと思っていると、信じることにした。
僕は自分の体にスプレーを浴びせた。
これでもかというくらい大量に。
視界が黒くなった。すぐに白くなった。赤くなった。鉄の味がした。黒く………
- 10 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時16分22秒
- fin.
- 11 名前:14 Knockin' On Heaven's Door 投稿日:2003年07月21日(月)03時17分33秒
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- 12 名前:14 Knockin' 投稿日:2003年07月21日(月)03時18分03秒
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