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28 出逢いと別れ
- 1 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時13分43秒
- 出逢いと別れ
- 2 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時20分41秒
- 2003年3月。
「出逢いと別れ」というモーニング娘。を題材とする小説サイトが閉鎖しました。
http://members.tripod.co.jp/nurikolan/top.htm
管理人であること初名たん(顔文字→(*´д`*))は6期オーディションに応募し、4次選考にまで進みましたが惜しくも落選。しかし、その後事務所に見初められ7期メンバーとして採用されることが決まりました。
そして、現在モーニング娘。(さくら組)の中心人物として活躍しているのは皆さんもご存知のことかと思います。
- 3 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時22分05秒
- 僕と彼女との出逢いはチャットでして、つまりはネット上のものでした。
当時はただの小説ヲタとして顔も名前も性別さえもわからぬまま、ただモーニング娘。の小説が好きという共通点だけで楽しくお喋りしていました。
そんなある時、彼女はチャットで告白しました。
「私モーニング娘。七期メンバーに選ばれました」
チャット上にいた誰もが嘘だと思ったでしょう。僕も半信半疑でした。
しかし、話を聞くにつれそれは紛れも無い事実なのだとわかりました。
僕はパソコンに向かって「すげぇよ!」と叫びました。
僕の友達がモーニング娘。になる。考えただけでオラワクワクすっぞでした。
- 4 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時22分54秒
- それから1ヶ月ほど経ってからです。
僕と彼女は実際に会うことになりました。
当時、彼女は海外にお住みだったのですが、どうしても会ってお話がしたいとのことで、わざわざ帰ってきてくれたのです。
彼女はとても聡明な方でした。
そして安倍さんに負けないくらいかわいらしい方でした。
僕は彼女を一目見て感動に近いものを感じました。
彼女が横浜アリーナで踊っている姿が浮かんできたのです。
その想像は容易でした。なぜなら彼女はすでにモーニング娘。のメンバーというオーラを放っていましたから。
彼女はモーニング娘。とは自分にとって何かを熱く語ってくれました。
サイトの跡地を見ていただければわかりますが、安倍さんと吉澤さんがお気に入りでして、特にこの二人のことについて熱く語ってくれました。
「なっちはなぁ…」と突然男口調で話された時は安倍さんへの深い愛情を感じ、背筋がゾッとしました。
- 5 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時25分20秒
- たったの3時間足らずのお喋りでしたが僕にとっては一生の思い出となりました。
終わりにサインを一枚書いてもらいました。
まだデビュー前ということでサインを書いたことはなかったそうです。
つまり僕が第一号ということです。
「まだ下手っぴだけど」
と申し訳なさそうにする彼女に対し、僕は思い切り首をブンブン横に振って、
「一生宝物にするよ!」
と言いました。
彼女は少し照れたような微笑みを見せてくれました。
別れ際の空港。
僕は「またチャットで!」と手を振りました。
すると彼女はふっと寂しい顔を見せました。
それは本当に一瞬で、すぐに彼女はアイドルらしい明るい笑顔を見せ「うん!」と言いました。
そのとびっきりの笑顔に惑わされたのか僕はその一瞬の寂しい表情をすぐに忘れてしまいました。
憧れの人とお話ができたという満足感で一杯でした。
しかし、この時すでに彼女がサイトの閉鎖を、そして悲しい別れを決めていたとは思いもよりませんでした。
- 6 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時27分38秒
- 2003年3月初旬のことです。
新着メールの中に彼女からのメールがありました。
今日は何かな♪と心ときめかせる僕の目に飛び込んできたのは「閉鎖」という言葉、そして、
「もうあなたとはメールができない。電話番号もメールアドレスも変える予定」
という淡々とした文章でした。
この時のショックの大きさは、例えるならば、彼女が「なっち、よっすぃーはなちよしじゃなくてトントン」と言うくらいのものです。
もう一つ例えるならば、管理人がサザエから顎に名前を変え、石川ヲタだったのかよと思ったときくらいのものです。
しばらくの動揺のあと、「なんでだよ!」とパソコンに向かって怒鳴りました。
手の震えはこの動揺と怒りという二つの気持ちが入り混じったものでした。
何て返信しようか考えながら、メールを読んでいくと、最後に閉鎖理由が書かれていました。
- 7 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時29分01秒
- 「もう私はモーニング娘。の一員なんだって自覚しないといけないから」
僕は絶句しました。
それ以上のことを彼女は何も書いていませんでした。
しかし、このたった一行で僕は彼女の苦しみの全てを知りました。
おそらく、事務所のほうから「閉鎖しろ」という通達があったのだと思います。
事務所としてはモーニング娘。のメンバーがサイトを開いているのは気にくわないことだったのでしょう。
それと僕らのような下民と付き合うことも許しがたいことだったのでしょう。
決して彼女が高飛車になっているわけではないことがわかり、怒りの感情は消えていきました。
突発的な動揺も落ち着きました。
そして残ったのは彼女への喪失感でした。
目の前に飾っておいた彼女のサインが入った色紙を見つめました。
油性サインペンで書かれたぎこちないサインがどんどんとぼやけていきました。
- 8 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時30分23秒
- その時ようやく彼女に対する本当の思いに気がついたのです。
僕は彼女に憧れを抱いていただけではなかったのだと。
溢れてくる涙は止まりません。
今ごろ気づくなんてバカだと思いました。
もっと彼女とお話がしたい…もっと色んな思い出を作りたい…だけど…もう彼女はモーニング娘。なんだ…だから…
結局、メールの返信はしませんでした。
僕が「頑張れ」って返信したとしても、その返事は来ないとわかっていたからです。
わかっていても返事を期待してしまうものです。そんな未練を残してしまうのは僕にとって非常につらいものになると思いました。
それと、何か書こうとすると絶対僕の決して許されない彼女に対する思いが込められてしまうと思ったからというのもあります。
もし届いたらきっと彼女は困ってしまう。それだけは避けたかったのです。
- 9 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時31分30秒
- その後、彼女との連絡に使っていたメールアドレスを使えないようにしました。
実際に会う時に使った携帯の電話番号も解約しました。
これも彼女からかかってくるかもという淡い期待をしないようにするためです。
もちろん、彼女側も同じことをやったと思いますが。
そして、彼女の開いていたサイトも「閉鎖」の文字を確認してからは一切見ないようにしました。
お気に入りからもリンクからも履歴からも削除しました。
こうして僕たちは一切の関係が途切れました。
- 10 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時35分12秒
- 伝説のサイト「出逢いと別れ」を見なくなってから一年。
僕は初めてモーニング娘。(さくら組)のコンサートに行きました。
特攻服を着た怖いおっさんたちに囲まれて一人狼狽している中、コンサートが始まりました。
ステージ上に立つ大勢の少女たちの中に彼女はいました。
初めて会ったときに想像した以上の輝きを放っていました。
僕はあいぼんにもえりりんにも目を向けず、ただ彼女だけを見つめ続けました。
しかし、彼女は僕を一度たりとも見てくれませんでした。
きっと彼女の記憶に僕はいないのでしょう。
そう思うと寂しさで胸が締め付けられそうになりました。
しかし、それは自分で選んだ結果なのだと諦めました。
- 11 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時38分55秒
- コンサートも終わり、ファンたちが会場から離れていきます。
人の波に乗るように僕は会場を後にします。
その時です。
他の人の声が一瞬聞こえなくなりました。
そして、その静まり返った中をやってきたのは彼女の声でした。
思わず振り返りました。
しかしそこには彼女はいません。
流れに逆らったことで顔をしかめるミニモニ。の衣装を着たおじさん(大阪のあいちゃん)が代わりにいました。
僕はまた涙をこぼしました。
彼女はここにいたじゃないか。
僕も同じ場所にいたじゃないか。
それで十分じゃないか。
- 12 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時41分30秒
- 彼女の作ったサイトの名前を思い出しました。
「出逢いと別れ」です。
僕たちは平凡に出逢い、そして、平凡に別れました。
閉鎖するというメール以来、僕たちの関係は変わっていません。
もうお互い、決して交わることのない存在です。
それでも…いや、だからこそ信じていたいんです。
彼女にもまた僕に言えない秘密があったのだと。
そう思うことで僕は自分の秘密を作ったことに僕としての意味を持てるのです。
- 13 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時43分57秒
- 家に帰って、彼女のサイトを見てみました。
「出逢いと別れ」という名前が変わらず残っていました。
もうNot Foundだと思っていたので大変驚きました。
http://members.tripod.co.jp/nurikolan/top.htm
しかし日記は閉鎖宣言した日から止まったままです。
掲示板は元からありません。
ただ大きく「閉鎖」と書かれた文字だけが美しいレイアウトからはみ出すように存在感を出していました。
- 14 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時44分38秒
- 僕は二度と変わることないトップページを見つづけました。
あの時を思い、目を細めます。
そして、何気なくスクロールを繰り返したあとに、僕は思わず「あっ」と言ってしまいました。
これで、僕も秘密を作ったことに意味を持てる…。
「ははは…」とつれなく笑いました。
- 15 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時46分25秒
- テレビをつけると、彼女が映っていました。
初めて会ったときよりずっと輝いていました。
今が人気のピークといったところでしょうか。
「君のことずっと応援してるよ」
テレビに向かって呟くと、大事に持っていたサインをヤフオクに出品しました。
どんどん大きくなる数字に目を潤し、天井を見上げ初名たん(*´д`*)のことを思い出し、呟きました。
「もっと、レアものいっぱいもらっときゃよかった」
そして今はメールのログをプリントアウトしてブブカに電話中です。
- 16 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時48分25秒
- おわり
- 17 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時49分10秒
- (*´д`)
- 18 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時49分54秒
- (*´д`*)
- 19 名前:28 出逢いと別れ 投稿日:2003年03月14日(金)18時51分09秒
- ((((( *;゚Д゚*)))ハツタンブルブル
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