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21 神の世界

1 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時33分08秒
「神の世界」
2 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時34分31秒

ここは、地球上の全てを統べる神の世界。
大神様つんくの命により、今まさに世紀の大審判が行われようとしていた。



「オイーッス。…って何や、まだ一人しかおらへんのか。全く何しとんねんアイツらは。」

意気揚揚と大聖堂の扉を開けたつんくは、深いため息をついた。

スタンドガラスに照らし出された室内には、真ん中に大きな椅子。
その周りに12の小さな椅子が用意されている。

「おうっ紺野。11月の調子はどうや?。」

つんくは、左から11番目の椅子に座る一人の少女に語りかけた。

「完璧です。」

「そうかそうか。やっぱ11月は文化の日が有るからな。
頭のエエお前に任せて正解やったでえ。」

満足気に微笑むつんく。
3 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時35分22秒

ドタドタドタドタドタドタドターーーッ!!。
その時、聖堂前の廊下から騒々しい足音が鳴り響いた。

バーンッ!!。

「ふーーう。……何とか間に合ったれすね。いいらさん。」

「そうね、のの。…ギリギリセーフ。まさに最後の最後、大晦日って感じかな。」

入り口からは、息を切らせた2人の少女が入ってくる。

「おっ、『7月神』の辻と『12月神』の飯田か。他のみんなは?。」

「さあ。…もうすぐ来ると思うんですけど。すみません、リーダーの私がしっかりして無いから…。」

飯田はバツが悪そうに席へ向かう。
4 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時35分56秒

「結局、時間通りに来たのは3人だけか。ホンマあいつら、神様の風上にも置けん…」

ジリジリジリジリジリ。
突然、大聖堂の片隅で目覚まし時計が鳴る。

「ん?。…もう、時間か?。……ふぁーあ、かったりーなぁ。」

大きな口で大きな欠伸。
『8月』の保田がダルそうに目を覚ます。

「おい、後藤起きなっ。始まるんだとよ。」

「………んあ?。」

保田にせかされて、隣で爆睡していた『6月』の後藤が起こされる。

「何やお前等、そんなトコにおったんか?。…っちゅうか、昼寝からフテ寝とはエエ身分やのう。
梅雨でダラダラの6月と、夏休みの8月か。全くうらやましいわ。」

つんくから、ため息が漏れる。
5 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時36分34秒

「その通りッ!!。」

いつの間にか、大聖堂には新たな少女が仁王立ち。

「やい8月っ!!。お前が夏休みに宿題とかやらないから、コッチが怒られんだぞっ!!。
おまけに、いきなり優等生がワルに変身してたりとか、可愛い子ちゃんが妊娠してたりとか
『うわっ、真っ黒。気持ち悪ぃーー。』とか。…もう嫌なんだよ、お前の後はっ!!。」

「おっ、『9月神』の吉澤か。気持ちは解かるけど、取り合えず落ち着け。喧嘩はアカンでえ。喧嘩は。」

大神様のつんくがたしなめる。

「そうよそうよ。みんなハッピーにすごしましょ。ルンルン。
せーのっ、ハッピーニューイヤーンこんな所でッ!!。キャハハーーッ!!。
おっ!!、つんくちゃん!!。あけおめ&ことよろっ。サンハイッ!!、もう幾つ寝るとーお正月ー♪。
っつー事で、……お年玉ッ!!、お年玉ッ!!。」(パジェロ、パジェロのリズムで)

吉澤の後ろから、能天気なハイトーンボイスがこだまする。

「こ、この声は、…『1月』の石川やな。…しかも、また酔うてる。
アイツを1月神に任命したのは、一生の不覚やったわ。」

耳を押さえ、悶絶するつんく。
6 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時37分09秒

更に、新な喧騒が。

「福は内ぃ、鬼は外ぉーーーーっ!!、オリャーーーーッ!!。
待てーー。逃げるなハンニャ顔っ!!。5期で一人だけ事務所に推されやがってーーっ!!。
おかげで全然目立てないじゃんっ!!。この恨み、2月神の新垣里沙様が晴らしてくれるわっ。」

「ひえーーーっ。」

逃げる少女に追う少女。
神聖なる大聖堂に、必死に追いかけっこする二つの影が飛び込んで来た。

「あっ、つんくさん。助けてくれだぁ。里沙ちゃんがオラを鬼と間違えて豆を投げ付けてくるだぁ。」

つんくの後ろでうずくまる『10月』の高橋。

「はははっ。元気エエのう。ヨシヨシ、新垣。色々恨みは有るやろうけど、もう止めい。
お前も、もう少し可愛いなったらピンで写真集出したるからな。それまで辛抱せい。
っちゅうか整形せいボケッ!!。特に鼻っ!!。特にオデコっ!!。
……それと紺野。何、ドサクサに紛れて、豆ぶつけに参加してんねん。
お前ら、そんなにコイツが憎いんか?。全く、女の嫉妬は恐ろしいのう。」

新垣が2番目、高橋が10番目の席に座る。
空席は、あと3つ。
7 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時37分45秒

「あと、来てへんの誰や?。遅刻魔の安倍は当然として…。」

「1年生になったーらーっ!!。1年生になったーらーっ!!♪。」

つんくの言葉を遮るように、また一人新たな少女の登場。

「加護っ!!。遅いやないかっ。何しとってん。」

「いや、『4月』は新しい門出の月やから。気分新たに新品のヅラ探してたんですわ。
それにしても、最近の技術は凄いでんなあ。コレ見て下さいよ。
まるで、モノホンの髪の毛みたいにフサフサしてるやろ?。
コレ付けとったら、ダーレもウチの事ヅラだとは気付かん……
ハッ!!。…し、しもたぁーーっ!!。言うてもうたーーーっ!!。
調子に乗ってUFAのトップシークレットを思いっきりバラしてもうたーーーーーーーーっ!!。
………って嘘嘘。エイプリルフールのあいぼんジョークやハハハッ!!。………笑えっ!!。」

ニッコリ微笑む『4月』の加護。
8 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時38分22秒

「……わ、笑われへん。……余りの痛々しさに、全然笑われへん。
っちゅうか、はよ席につけっ!!。もう、時間過ぎてんねんから。」

つんくにうながされ、自分の席に座る加護。
その表情は、まるで入学式の新入生のように光り輝いている。

と、その時。

『ウグッ!!。…く、苦しい。』

加護のお尻の下から、小さな叫び声が。

「ん?。ウチ、何か踏んだ?。………って、矢口はんっ?!!。矢口はんじゃないですかっ!!。
そんな所で何してますの?。……ブーブークッションのバイトですか?。」

加護の親指と人差し指でつまみ上げられた小さな物体は、『5月』の矢口。
9 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時38分59秒

「テメーいい加減にしろよッ!!。ココはオイラの席だろ?。間違えんなタコッ!!。
お前は4月。隣だ隣っ!!。サッサと行けっ!!、このロリコンハゲめッ!!。
こっちは五月病でムラムラしてんだからよッ!!。グズグスしてっと引きこもるぞコラ?。あぁ?。」

小さな物体が喚き散らす。

「何や、矢口。来とったんかいな。あんまり小さいから見えへんかったわ。
…っちゅうか、普通は『ムシャクシャ』か『モヤモヤ』やろ?。
年頃の神様が『ムラムラ』してどーすんねん。」

つんくの笑い声が当たりを包む。

「これで全員揃ったな。…『3月』の安倍以外は。
なら、そろそろ始めよか?。どうせアイツは、あと2時間くらいせな来いひんやろし。」

つんくは胸元からタバコを取リ出すと、おもむろに火を点けた。
10 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時39分31秒

「実はな、お前ら12人の『月神様』を呼んだのには訳が有んねん。」

フーッ。
つんくの口から、美味しそうに白い煙が吐き出される。

「知っての通り、世間は大不況や。その不景気の波は、この神様業界にも押し寄せとる。
経費節減の為に色々せなアカンねん。
そこで、………来年から1年を11ヶ月制に変更する事が決まった。
まあハッキリ言うと、こん中の誰か一人をリストラするっちゅう訳や。」

ガーーーン。
全員に衝撃が走る。

「で、どの月を無くしたらエエんか、ここでみんなの意見を聞きたいんや。」

含み笑いを浮かべながら、月の神達を見渡すつんく。
その表情は、まさに独裁者。
11 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時40分06秒

「…ご、5月は楽しい楽しいゴールデンウィークが有るし、私を切ったら旅行に行けませんよっ!!?。」
5月病から立ち直った矢口が叫ぶ。

「12月も絶対必要です。クリスマス、大掃除、天皇誕生日に年末ジャンボ。猪木祭りに紅白に…。」
飯田は12月のイベントの多さを強調。

「ヒコボシ様ぁー。」
「何らい?。オトヒメ。」
ロマンチックな七夕芝居で7月をアピールする辻。

「チャーンチャチャチャチャチャチャ♪。…ふぅーーっ、爽やかな朝だわ。」
いきなり笑顔でラジオ体操を始める8月の保田。

「一月は正月で酒が飲めるぞーっ!!。酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞーっ!!♪(ヒック)。」
踊り狂う石川。

「…………………………………それっ、それっ。」
何もする事が無いのか、取り合えず豆を撒き散らす新垣。

みんな思い思いの方法で、自分の月の重要性を訴える。
12 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時40分38秒

「…あのう。」
黙って事の成り行きを見守っていた10月の高橋が、恐る恐る口を開いた。

「みんな解かってる思うけど、オラも絶対必要だぁ。だって10月は収穫の季節だもん。もし無くなったら、米食えねーぞぉ。
それに、職を失った農家の人々が一揆起こすかもしんねーしなぁ。………百姓なめんなよっ!!。
…そこで、ここは一つオラからの提案をっ!!。
ズバリ、・・・2月って要らなくねーかぁ?。明らかに日数少ねーし、豆まき以外ヤル事ねーし…。」

「ななな、何だとーっ!!、この田舎モンがっ!!。また私の活躍の場を奪うつもりなのっ!!?。
ムキーーッ!!。もう許さない。食らえっ、鬼は外ぉーッ!!。オリャァァァーーッ!!。」

因縁の対決、再び。

「コラーーーッ!!。静かにせいーっ!!。オイお前等、新垣を押さえつけろっ!!。
あと、ポッキー片手に大暴れしてる紺野もとめてくれっ!!。
全く5期メンバーは、そんなに高橋が憎いんかいっ!!。」

修羅場となった大聖堂に、つんくの怒鳴り声が鳴り響く。
13 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時41分18秒

と、その時。

『あーあー、あああああーあ、ああー、あああああー。』

聞こえて来たのは、北の国からのテーマソング。

汚いジャンバーにヨレヨレの帽子、ボロボロの耳当てに大きな長靴。
どこからともなく、顔中にセロテープを張りまくった、一人のオッサンが現われた。

「……純。…おかしくないかい?。……5期メンバーを一人、……忘れてないかい?。
って言うか、……何で卒業した後藤さんが入ってて、……私がこんな扱いなんだい?。
現役の12人で、…キャスティングしようとは、………思わなかったのかい?。」

つんくにすがりつくオッサン。

「おっ、誰かと思えば小川やないか。……スマンッ!!。本気でお前の存在忘れとったわ。
おーい後藤、そういう訳で6月をコイツと変わっ…………っちゅうか、起きろゴルアーーっ!!。」

「…………んあ?。」



6月神変更。
14 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時42分43秒

「さてと、ほんならボチボチ決めよか?。もう時間も無いしな。
ヨシ。もう面倒くさいから、全員で一斉に要らん月を言え。
1番多かった月をリストラする。準備エエな?。行くで?。」

「ま、待つのれす。……要らない月なんて、急には決められねーのれす。」

動揺を隠しきれないメンバー達。

「もう、はよ決めいっ!!。要らん月っちゅうか、要らん奴の名前でOKや。
『コイツ、役に立ってへんがな』、『アイツ要なくてもエエんちゃう?」。
お前等が日頃思ってる心の不満を遠慮せんとぶつけてみいッ!!。
もうすぐ藤本達も入ってくるし、どうせ遅かれ早かれみんなリストラされる運命なんやからなっ!!。
何やったら、今ここで全員クビにしてもエエんやでえ?。代わりは幾らでも要んねん。」

ニヤリと笑う、への字眉毛。
15 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時43分14秒

メンバー達は、お互いの顔を見渡した。
ある者はジッと闘志を内に秘め、ある者はメラメラとファイティングポーズ。
それぞれの思惑が入り交じり、あっちこっちで火花が散っている。

「よーし、みんな決まったかー?。エエな?。誰が選ばれても恨みっこ無しやでえ。」

無言で頷くメンバー達。

「……ほんなら行くでえ。」

先ほどまでの喧騒が嘘のように、聖堂内は静まリ返っている。

ハラハラ、ドキドキ。
緊張の瞬間。

「よし、発表やっ!!。…せーのっ!!」。

『ちょっと待つだべさーーーッ!!。』

ギリギリの土壇場で、『3月神』の安倍登場。
16 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時43分49秒

「ちょっと、なっち。・・・遅いじゃない。何してたのよ?。」

リーダーの飯田が問いかける。

「ゴメンだべ。3月は締めの月だから、何かと忙しいべさ。・・・・・・それよりみんな
コイツの言う事なんて聞かなくていいべ。
このニセ上沼恵美子は、とんでもない秘密を隠してたべさ。」

右手にノート、左手に電卓。
胸ポケットに赤鉛筆をしまい込んだ安部の視線がつんくを捕らえる。

「秘密?。なに言うとんねん。俺に秘密なんて有る訳無いがな。
アホな事言うとったら、お前を真っ先にクビにするぞボケッ!!。」

再び、タバコに火をつけるつんく。

ジロッ!!。
その瞬間、安部の眼光が鋭く光った。
17 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時44分22秒

「はいストーーップ。・・・・・・つんくさん、そのライター見せて貰えるべか?。」

「ん?。・・・・・・・・・・・・な、・・・・・・なんでや?。」

何故か急に動揺したつんくは、ライターを素早くポケットにしまう。

「随分と高そうなライターをお持ちだべね?。パッと見たところ、数十万はするんでねえべか?。
それに、服もネクタイも靴も時計も、身に付けてるのは全部ブランドもんだべ。
家は一等地、車は高級外車、毎晩クラブで豪遊・・・。この不景気に随分と羽振りがいいべ?。」

「・・・べ、別にエエやないか。・・・・・・自分で稼いだ金を、どう使おうが俺の勝手・・・」

「ほほーう。・・・まだシラを切るべか?。
つんくさん。・・・アンタこの世界の金を横領してるべっ!!?。」

「エーーッ!!。・・・ま、まさか。」

呆然と立ち尽くす娘達。
18 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時45分09秒

「年度末の会計で帳簿を調べてたら、・・・残金が全然足りないべさ。
多分夜中にコッソリ忍び込んで金庫から・・・。そんな卑怯なマネする奴は、お前しかいないべっ!!。」

ジーーッ。
12人の軽蔑の眼差しがつんくに突き刺さる。

「・・・くっ、くそっ!!。バレてもうたかっ!!。」

ダーーーーーッ。
捨て台詞を残したつんくは、脱兎の如く勢いで大聖堂を飛び出した。
どうやら、このままどこかへ逃げるつもりらしい。

「待てーっ、泥棒めっ!!。」

必死につんくを追いかける娘達。

が、所詮は大人の男と、か弱い少女。
いくら追いかけても、両者の差は縮まるどころか逆に開くばかり。
既につんくは建物を飛び出し、広い公道の遥か前方を進んでいる。

「ハァハァ・・・こ、これじゃあ、逃げられるぞ。・・・・・・何かいい方法は・・・・・・。」

見失いそうな程小さくなったつんくの背中を追いかけながら、矢口がつぶやいた。
19 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時45分47秒

「よし。ここはなっち達に任せるだべ。行くべ吉澤っ!!。」

「はいっ、安部さんっ!!。」

3月神の安部と9月神の吉澤がアイコンタクト。
右手を高々と天に掲げ、何やら呪文を唱え始めた。

「食らえっ!!。3月の風物詩、春1番っ!!。」

「吹けっ!!。9月の吉澤タイフーンっ!!。」

ゴオーーーーッ!!。
突然、辺りには轟音と共に強風が吹き荒れる。

つんくの行く手を阻むように春1番の向かい風、娘達の背中を押すように追い風の暴風。
二人の見事な連携プレーにより、両者の差はどんどんと縮んでいった。

「よし、もう少し。・・・あとちょっとで捕まえられるわ。」

もう、つんくまでの距離は目と鼻の先。
あとは時間の問題か。
20 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時46分20秒

と、その時。
前方を逃げるつんくの足が、大きな木の木陰にさしかかった所でピタリと止まる。
ニヤリと振り返った彼の元には、新車のスポーツカーが・・・。

用心深いつんくは、こんな事もあろうかと周囲に脱出用の車を隠していたのだ。

「フン。詰めが甘かったようやな。あばよっ!!。」

ブォォォーーン。
つんくは勝ち誇ったように車へ乗り込むと、嵐の中を急加速で発信していった。

「あーーーっ。今度こそ逃げられちゃうっ!!。」

「フッ、心配入りません、私に任せて下さいっ!!。」

自信満々の新垣が胸を張る。

「みなさん。危険だから下がってて。・・・・・・いいですか?。いきますよ?。・・・・・・死ねええええっ!!。」

・・・・・・チョロ。
つんく目掛けて投げつけた筈の豆は、その何十メートルも手前に落下。

「・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・お前、やっぱクビだな。」

満場一致でリストラ候補決定。
21 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時47分07秒

「どきなさい新垣っ!!。それっ、カオリンブリザーーーードっ!!。」

目を点にして立ち尽くす2月神を押しのけ、飯田の絶叫がこだまする。
今度は、12月神の必殺技で一瞬にして辺りは雪景色。

「う、うわぁーーっ!!。」
キキキキーーーッ!!。・・・・・・・・・・・・ガッシャーーーーン。

窓ガラスは砕け散り、タイヤは音を立ててはじけ飛ぶ。
雪道でスリップしたつんくの車は、あっと言う間に大クラッシュに見舞われた。

「・・・ぐっ。」

大破した車の中から、ヨロヨロと這い出てくる血まみれのつんく。
千鳥足で1歩2歩と歩き出したが、もう逃げられないと観念したのか
力無くその場にうずくまると、呆然と空を見上げ唇を噛み締めた。
22 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時47分38秒

「・・・・・・スマン。ほんの出来心や。・・・盗んだ金は返す。・・・勿論リストラも無しにする。
だから、・・・だから頼むっ!!。・・・・・・許してくれっ、この通りやっ!!。」

つんくは、12人の娘に囲まれ土下座して平謝り。

「・・・しょうがないべ、許してやるべか。
じゃあ、つんくさん。・・・・・・明日までに、足りない1億円を用意するだべ。
家も土地も車も全部売り払えば、それくらいの金額にはなるべさ。」

「・・・・・・い、1億?。・・・俺は知らん間に、そんな大金を無駄使いしとったんか・・・。
クラブのお姉ちゃんへ、そんなに貢いどったんか・・・。
アホや。・・・俺は正真正銘の大馬鹿モンや・・・。
そんなバカな俺を許してくれるなんて、・・・・・・お前ら、ホンマにエエ奴やな。
このご恩は、一生忘れへんからな。・・・ウッ、・・・ウッ、・・・グスン。」

つんくの瞳から、大粒の涙が溢れ出す。

「人間、誰にでも間違いは有りますから。・・・大切なのは間違いを繰り返さない事ですよ。」

つんくの手を優しく握る娘達。

それは、12人の少女と大神様が硬い絆で結ばれた瞬間でもあった。
23 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時49分14秒

こうして、1年の12ヶ月制は守られた。
現在、我々が普通に暮らしている世界の裏側では、こんな騒動が繰り広げられていたのだ。


だが、この事件にはもう一つ重大な秘密が隠されている。


「フッ。上手くいったわね。」

「チョロイもんなのれす。」




つんくは気付かなかった。

実際に彼が盗み出した金額は5千万だけ。
残りの5千万は、娘達が使い込んでいた事実を・・・。


───完──
24 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時49分51秒
25 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時50分24秒
26 名前:21 神の世界 投稿日:2003年03月12日(水)21時51分12秒

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