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柴ちゃんのチョコレート

1 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時04分22秒
柴ちゃんのチョコレート
2 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時07分06秒
トントン・・・
楽屋のドアをノックする音がする。
「どうぞ〜」

「あ!柴ちゃん!」
「あれ、梨華ちゃんひとり?」
「うん、もうすぐみんなリハーサルから戻ってくると思うけど・・・。
 それより、お帰り!どうだった?パリ?」
「うーん、すっごく良かった。あ、それより・・・」
石川梨華の大親友でもある柴田あゆみは、「赤いフリージア」ヒットのご褒美として
パリへ旅行していたのだった。

「じゃ〜ん、おみやげだよ」
「え〜、私に〜?柴ちゃん、ありがとう!!」
そういうと、石川は柴田から箱を受け取った。
「これチョコレート?」
「そ、おフランス製の高級チョコレートだぞぉ」
「本当?うれしいなぁ」
「値段を聞いて驚くなかれ。1箱1万円!」
「え!いちまんえん!」
「そうよ。だから、一粒800円はするね」
「うわぁ、ありがとう!じっくり味わって食べるね!」
「うん、それじゃ私たちもリハだから、行ってくる」
「がんばってねぇ〜」
そう言うと、柴田は石川に見送られ楽屋を出て行った。
3 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時08分11秒
「1箱1万円って、相当美味しいんだろうなぁ・・・」
そう思うと、石川は少しお腹が空いていたせいもあって、どうしても食べたい衝動に駆られた。
箱を開けてみると、そこには金・銀などの紙で綺麗に包まれた12個のチョコレートが。
とりあえず、石川は金色のコインの形をしたチョコレートを手に取った。
じぃーっとコインを見つめる石川。

「・・・食べちゃえ!」
金紙をはがし口の中へ入れた。そして、5秒後・・・
「!!!・・・なんて美味しいの!これは、今までに食べた事のないチョコだわ!
 グ○コには悪いけど、ポ○キーとは比べ物にならない・・・!」
しかし、すぐに脳裏を駆け巡る思いが。
「まずい・・・って言ってもチョコは美味しいんだけど。もうすぐみんなが戻ってきてしまうわ・・・
 残りのチョコは11個。あーん、みんなにあげたらもう食べれないよぉ・・・・・・よし」
とりあえず、箱をカバンに入れようとするが、12粒しか入っていない割に箱がデカすぎて入らない。
「どうしよう・・・」
その時。
ガチャ。楽屋のドアが開く。
4 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時11分21秒
「あー、はらへったのれす」
「辻さん、私もです」
楽屋に戻ってきたのは、よりによってモーニング娘。内の大食いコンビ辻と紺野だった。
石川はとっさに畳の上にあったスポーツ新聞の下に、チョコの箱をもぐりこませた。

「あさ美ちゃん、なにか食べるものはないれすか?」
「辻さん、私たちがコマーシャルをやっている・・・」
「あぁ、ポ○キーれすね、もういいかげんあきたのれす」
「そうですか・・・愛社精神旺盛な私はポ○キーとき○りは完璧に常備してます」
「あ、りかちゃんなんか食べ物ちょーらい」
「な、なんで?」
「お腹が空いたからに決まってるからじゃないですか」
(う、紺野はラジオのせいかツッコミが鋭くなってきた気がする・・・)
「さ、さっき、お弁当食べたばっかりじゃないの」
「あれじゃ、たりねーのれす」
5 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時13分16秒
「あれ?石川さん、新聞を読んでいたんですか?」
(ギクッ!なぜ紺野は食べ物には異常な嗅覚を発揮するのだろうか・・・)
「い、いやね、松井がメ、メジャジャリーガーとしてさぁ、どれくらいやれるかとかをね」
「石川さんは、熱狂的阪神ファンだったはずですが」
「え?!は、阪神ファンでも気になるのよ、オホホホホホ・・・」
(チッ、デイリースポーツなら阪神一面なのに!松井一面じゃごまかせないじゃない!)

「あ、石川さん、その新聞見せてください」
(えっ!何を言うのよ、あなたは?)
「な、なんで?」
「テレビ欄を見たいんです。探偵ナイトスクープが何時からやるか」
「そ、それなら、こ、これを見なさい」
そう言うと石川はカバンの中から「TVガイド」を取り出して紺野に渡した。
「・・・ザテレビジョンじゃないんですね。石川さんにはモーニング娘。を愛する気持ちはないんですか?」
「え?あ、あぁ、モーニングチャンネルのこと?ま、間違って買っちゃったのよ、そう」
「そうですか、以後気をつけてください」
(な、なんで私が紺野に注意されなきゃいけないわけ?!)
(・・・ったく、金銭感覚だけはマイケル・ジャクソン並だわ)
6 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時14分20秒
「で、りかちゃん、食べ物は?」
(え、もう私が用意することが前提なの?
 でも、このままじゃ楽屋中をあさってチョコが見つかるのも時間の問題だわ・・・)
「わ、わかった。じゃ、私が売店で買ってくるからさ。なにがいい?」
「とりあえず、焼きそばを買ってきて欲しいのれす。トイレくさくないやつを」
(う・・・ひとこと多いんだから)
「こ、紺野は?」
「私は持参のお菓子を食べます。ちなみに500円以内でまとめてあります」
(小学生の遠足かよ!)
「・・・そう、じゃ、のの、おとなしくちょっと待っててね」
「あ〜い」
そして、ダッシュで石川は楽屋を出て売店へと向かった。

「はぁ、はぁ、急いで買いに行かなくちゃ・・・」
7 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時16分39秒



「ふぅ・・・、なんとか買ってこれたわ。
 のの、おまたせ!おまたせ!」
ガチャ。楽屋のドアを開ける。

「・・・・・・あっ!!」
「いやぁ、うまいのれす」
「絶品ですね。・・・あ、石川さんおかえりなさい」
「ちょっと!そのチョコ!」
「りかちゃんもたべるのれす」
「それ、私の!!」
「そうでしたか」
「そうでしたか、ってあんた達、なに勝手に食べてんのよ!」
「だいじょうぶれすよ。りかちゃんにも残してあるれす」
8 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時17分43秒
辻はそう言うと、箱を差し出した。
「・・・!!一個しか残ってないじゃない!!」
石川は怒鳴りつけた。が、次の瞬間。
「・・・・・・・ふぇ〜ん!!」
突然へたり込み泣き出してしまった。
「ヒック・・・柴ちゃんのチョコ〜!1万円なのに〜。え〜ん!」
「ちょっと石川さん。何も泣かなくても」
「五月蝿い!ばかぁ〜!」

「どうしましょう。辻さん」
「まぁ、ののにまかせるのれす」
辻は自分のカバンから財布を取り出した。
「はい、梨華ちゃん。いちまんえん」
と、1万円札を石川に手に渡す。
「・・・・・・・・・・・ヒック」
泣いている石川はそれを手に取った。
「なにごともカネで解決れすね」


しかし、石川は辻からもらった1万円札を2つに破ってしまった!
「みのもんたかよ!」
また強烈に紺野が突っ込む。
9 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時19分21秒
「わぁ〜〜ん!!」
さらに大声で石川は泣き出してしまった。
辻はともかく紺野はさすがに困った。そのうち他のメンバーも戻ってくるだろう。
あきらかに非は自分達にある。オーバー20の先輩達にこっぴどく叱られる事は目に見えていた。
「辻と紺野のバカッ!!」
石川は箱を2人めがけて力いっぱい投げると、また楽屋を出て行ってしまった。
「あっ!石川さん・・・って辻さん、なにしてるんですか?」
「もったいないれすねぇ」
辻は箱から飛び出したチョコを食べていた・・・。

その時、楽屋のドアが開いた。
「石川さん・・・あ、柴田さんでしたか」
「あ、紺野ちゃん、辻ちゃん。これあげるね」
そう言うと柴田は、さっきとまったくチョコレートを2箱渡した。
「あれ、これ・・・」
「これね、フランスのおみやげ。2人とも甘いもの好きでしょ。
 ま、千円の安物だから気にしないで食べて・・・・あ、そうだ。
 梨華ちゃんには内緒にしておいてね。じゃ、私戻るから」
柴田は言いたいことだけを言うと、すぐに出て行ってしまった。
畳の上には全く同じ箱がカラの状態であるのも気づかずに。
10 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時20分28秒



「ちょっと大人気なかったかな・・・。あんなに泣いちゃって。
 みんなにあげたと思えばいいんだもんね」
石川は、そう反省すると楽屋へ戻っていった。

「辻、紺野、さっきはゴメンね・・・って、あれ?」
「梨華ちゃん、どうしたんだべ。その顔は」
どうやら号泣でメイクがボロボロになったようだ。
「え、あぁ・・・すいません。ちょっと・・・。
 ところで安倍さん、ののと紺野は・・・?」
「2人ともなっち達が戻ってきた時はいなかったべ」
「え・・・?」
11 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時21分38秒
「逆に悪い事しちゃったかな?」
石川は楽屋の鏡の前に座った。
ふと下を見ると、さっきのスポーツ新聞があった。
「・・・ん?」
だがよく見ると、新聞が膨らんでいた。
「まったくあの子達、箱だけは律儀に戻しとくんだから」
石川が新聞を取り上げてみると、そこにはさっきのチョコレートの箱がおいてあった。
それも2箱。
(なんで、2つ?それに両方ともちゃんと中身が入ってる・・・)
チョコ2箱を手にとって見ると、紙切れが落ちてきた。
(・・・なにかしら?)
石川は紙を開いてみた。するとそこには

『ごめんなさい』

と書かれていた。

「ふふっ、あの子達ったら・・・」
12 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時22分46秒
その頃、辻と紺野は・・・。
「いやぁ、さすがあさ美ちゃんれすね」
と、帽子を深く被った辻が言う。
同じく帽子を被った紺野。
「それほどでもないですよ。あ、辻さん、148番。私達ですよ。カウンターへ行きましょう」
「お待たせいたしました。はい、1万円札。
 だめだよ、君たち。お札を破いたりしたら」
「は〜い!」


おしまい
13 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時23分23秒
 
14 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時23分53秒

15 名前:11 柴ちゃんのチョコレート 投稿日:2003年03月10日(月)22時24分32秒
  

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