22 名探偵吉澤の事件簿

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:44
22 名探偵吉澤の事件簿
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:45
まさかこんな事になるなんて。
年に一度のクリスマスを楽しむ家族や恋人たちで
溢れ返っていたファッションセンターから笑顔が消えてしまった。
ひとりの女の死をきっかけに。
死んだのは光井愛佳。しまむらの更衣室で遺体となって発見された。

「被害者について何かわかったのかね?」
名探偵の吉澤は光井の亡骸に手を合わせ終わると助手の石川に訊ねた。
石川は待ってましたとばかりにメモを取り出した。
「光井は現在、足の骨折により休業して自宅休養中だったようです。
死因はまだはっきりしていませんが外傷は特にありません」
「外傷がない?顔面がひどい事になっているじゃないか」
「それは事件前からだそうです」
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:45
クリスマスのファッションセンターに自宅休養中の女が来て
更衣室で遺体となって発見か。何かおかしい気がする。
「あ、ところで休業中というのは?光井は何かやっているのかね?」
「あ、言い忘れてました。光井見た目は中年女性に見えなくもないですけど
18歳だそうです。職業は…タレントです」
「タレント?アテントの間違いじゃないのか?」
「いえ、大人用紙おむつでは無くて芸能人のようです」
「そうか。もしかすると所属している芸能事務所が何か
知っているかも知れない。当たってくれ」
「わかりました」

「うむむ。アテントじゃないのか」
光井を見てアテントではないかと思ったのも無理はなかった。
というのも光井は股間をむき出しにして糞尿を漏らしていたからだ。
これだけ離れているというのに匂いがしてくる。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:45
「吉澤探偵!事務所の話が聞けました」
「どうだった?」
「光井愛佳はうちの事務所とは一切関係ない、との事でした」
「なんてこった。トカゲのしっぽ切りか。じゃあ第一発見者は?」
「保田という女性です。更衣室のカーテンを開けたら死んでいたそうです」
「なるほど。すぐに呼んでくれ」

保田はすぐに吉澤の元に来た。
見たところ30過ぎの女性でその獰猛な目つきはまるでケダモノのようだった。
今流行している肉食系女子と言っても良さそうだ。
「あなたが保田さんですか初めまして」
「刑事さん。握手は結構よ。今日はクリスマスで忙しいのですけど」
そう。今日はクリスマス。明日はケーキが半額の日だ。
なにもこんな日にしまむらで事件を起こしてくれなくてもいいのに。
「保田さんお忙しいところ本当に申し訳ない。
で、どうしてこんな忙しい日にわざわざしまむらに来て
見ず知らずの人が入っている更衣室のカーテンを開けたのでしょう?」
「え?」
保田の顔には明らかに動揺が見えた。
吉澤は確信していた。この女は何か事件と関係があるはずだと。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:46
「こ、混んでいたからよ!だから空いてそうな更衣室を探した!
それしかないじゃない!」
混んでいたからいつまでも動きの無い更衣室のカーテンを開く。
ありえそうな話だが更衣室の前には光井が脱いだ臭そうな靴が置いてある。
店員が不審に思って開くならともかく客がそうするだろうか?

「た、大変です!新情報が入りました!」
石川が慌てた様子で走ってきた。
これはかなり重要な情報に違いない。
「どうした石川君?店内では走っちゃ駄目だろう」
「すいません。実は…光井と保田が連れ添って歩いていたという
目撃情報がありました」
「な、なんだと!」
被害者と第一発見者の保田が一緒に居た。
これで無関係というのはさすがに考えられない。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:46
「連れ添っていたというのは?」
「光井が保田の腕にしがみついていたそうです。
随分仲がいいカップルだなと思って顔を見に行ったら
光井の顔があれだったのでがっかりしたそうです」
「よしわかった。これだけ状況証拠が揃っています。
犯人は保田さんあなたですよね?」
吉澤は保田にそう言ってみたが保田は首を縦には振らない。
現場になんとも言えない重い空気が流れる。
「あ、あのー」
その沈黙を破る女性の声。
見ると現場のまわりを囲っている柵を乗り越えて女性がやってきた。
本当は駄目なのだがそこそこ美人なので話を聞くことにした。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:46
「わたし、三好と言いますけど、もしかしてあの女性と私を
見間違えたのではないでしょうか?」
あの女性と言うのは保田の事のようだ。
なるほど。保田と三好の髪型は非常に似ている。
これなら後ろから見ただけでは間違えてもおかしくはない。
目撃者は光井の顔を見た時点でがっかりしてそれ以上は見ていない。
光井と一緒に居たのは三好だったのかも知れない。
「光井さんとはお知り合いですか?」
「はい。お店で知り合って同伴出勤してました」
お店というのは三好が務めているキャバレーの事らしい。
それでは保田は無関係という事か。しかし何か腑に落ちない。
吉澤の刑事としての本能はまだ何かあるのではないかと感じていた。

事件を整理してみよう。
まず光井が更衣室で死んでいてそれを保田が見つけた。
保田が光井と一緒に歩いていたという情報があったので
関係があるのではないかと思ったらそうではなくて
光井の隣に居たのは実は同じ髪型の三好という女性だった。

そしていまだに手つかずのまま残っている謎がある。
何者かによって光井の下着は剥ぎ取られ行方不明になっているのだ。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:47
「あの…込み入った事をお聞きしますが。被害者の光井さんは
どんな風な下着を好まれていたのでしょうか?」
「ど、どうしてそんな事に答えなきゃいけないんですか?」
確かにそうだ。吉澤だって別に光井の下着には興味はない。
だがここでノーパンで居る事を好んでいたという趣旨の
回答を得られたならば三好と光井の関係が深いものだとわかるし
黒のレースで股間が透けているのを好んでいるなど情報を得られたならば
光井は普段は下着を着用しているとわかるし逆に言えば
光井の下着は犯人によって持ち去られたと考える事ができる。
「確か…普通の下着だったように思います」
「なるほど…ありがとうございます」

それにしても謎なのは光井の股間から伸びる太くて大きなうんこである。
まるで男根のように立派でこれほど見事なものはなかなか見られない。
これは死後、肛門が緩んで漏れたようなものではない。
被害者は死の直前にうんこをしていたのだ。何のために?
ひょっとするとこれはダイイングメッセージというやつなのか?
「なるほどな…そういう事か」
「吉澤刑事、何かわかったんですか?」
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:47
「三好さんちょっとお尋ねします」
「なんでしょうか」
「あなたは光井さんとこのしまむらに来たんですよね」
「そうです。デートをしていました」
「なのにどうして一緒に帰るなり、お店に行くなりしなかったのですか?」
「…そ、それは。ちょっと目を離した隙に…」
「目を離した?まさか顔を変えるために整形ですか?」
「ちょっちょっと吉澤刑事!いい加減にしてください」
吉澤の度が過ぎた質問に石川が止めにはいった。
失礼すぎる。まるで三好が整形をしているみたいじゃないか。
「どうしたんですか?変な事言って三好さんの気分を害したら
言ってくれる事も言わなくなりますよ」
石川の言い分はもっともだ。しかし吉澤はわかっていた。
この事件の犯人が!
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:48
「はっきり言いましょう。犯人は…保田さん。あなたです!」
吉澤の言葉に保田は動揺を隠せなかった。
「ふふふ。いきなりそう言われても納得できないでしょう。
いいですか?まず最初に。あなたはレズビアンですね?」
そう言いながら吉澤は保田の瞳を覗き込んだ。
その美しさを受け止めるには保田は汚れすぎていた。
いやひょっとすると純粋過ぎたのだろうか?
思わず顔を赤く染めて目をそらしてしまった。
「素敵な反応ですよ保田さん。順を追っていきましょう。
あなたは被害者である光井とデートしていました。そうですね?」
「ま、待ってください。デートしていたのは三好さんのはずですよ」
石川が驚くのも無理はない。わざわざそう証言して三好が出てきたのだから。

「いや、違うんだよ。光井と居たのは保田なんだ。
三好は保田の身代わりになろうとしていたんだ。
さっきちょっと物陰で三好さんの髪を撫でてちょっと愛撫してみた」
「ちょwwわたしという人が居るのに何やってるんですか」
「これも解決のためだ。見てごらんこの手に付いたものを」
吉澤の手についたものは愛液などではなかった。
短く切られた髪の毛が無数に付着していた。
「これだけ髪の毛が残っているという事は恐らくQBハウス。
格安理髪店で三好は保田さんのフリをするために髪の毛を切ったのだよ。
そうだね三好さん」
「…ぐぬぬ」
「恐らく保田さんと三好さんは恋人で性的な関係にある。
だから今日、被害者の光井と保田がデートする事になって
不安になって後ろから追いかけてきたんだろう。そして事件は起こった」
「そしてそれをごまかすために大事な自分の毛を切るなんて…」
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:48
石川は三好の胸の内を思うと胸が熱くなった。
クリスマスに大事な恋人を置いてどこの馬の骨かわからないブサイクと
デートしているのにそれを助けるために髪の毛を切るなんて…。

「おそらく保田は光井に更衣室に呼ばれて入った。
そこでうんこを漏らす光井を見て男根と間違えてしまった。
忌み嫌う男性と勘違いした保田は思わず被害者を殺してしまった。そうだね?」
「全然違います」
「えー。じゃあどうだったの?」
「みーよと遊びたいのに光井の介護なんて変な仕事を頼まれて
そしたらうんこを漏らしたんでパンツを洗いに行ったら
光井は頭を打って死んでました」
「もうそれでいいや。辻褄があった」
「え?なんの辻褄ですか?」
「さっき保田さんに出会った時になぜか握手を拒まれた。
レズビアンがわたしと肉体的な接触を拒むのはおかしいと思ったんだ。
おそらく自分の手が光井の糞尿で汚れているからですね」
「さすが名探偵。なんでもわかっているのね。
でももう大丈夫。さっきしっかり洗ってきたから」

って事でクリスマスに4人でデートしました。
楽しかったです。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:48
おわり
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:48
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:48
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/31(土) 22:48

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