12 ひよこた探索隊
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:32
- 12 ひよこた探索隊
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:33
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「佐藤がいなくなったから探しに行ってくれないか?」
「えっ?私がですか?」
「あぁ。飯窪も一緒につけるから頼むよ」
「いや、そういうお得セットみたいなの正直いらないんですけど・・・」
申し訳なさそうな顔をして手を合わせると、マネージャーさんは軽く頭を下げて
遥に頼み込んできた。
なんでそんなことを自分がしないといけないんだよと遥は思う。
同期だからかそれともしっかりしているからか、いや単に自分が暇をしていたから
だろうなと思って苦笑する。
それにしても面倒なことになった。
元はといえば撮影中にどこかに消えた優樹がいけないわけなのだが、いない本人に
文句を言っても仕方がない。
だから優樹が戻ってきたらいっぱい文句を言ってやろうと遥は心に決めた。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:33
- どうやらマネージャーがふと目を離した隙に、優揮はいなくなってしまったらしい。
あのひよこの格好をしたまま。
でも今は野外で写真撮影をしていて、まだ他の子達が終わっていないためマネージャー
さんは手が離せない。
そこで既に撮影を終えた遥とついでに春菜にお声がかかった。
ちなみに同期の亜祐美はもうすぐで撮影が終わるらしいので、終わり次第捜索隊に
加えるとマネージャーさんが言っていった。
「まぁ暇なんでいいですけど・・・でもその前に、私服に着替えてもいいですか?」
このヒヨコみたいな恰好したまま街中を歩くなんて、それこそ罰ゲーム以外の何物でもない。
その遥の願いは当然のように受け入れられた。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:34
- 私服に着替えると、遥と春菜は同期の優樹を探すため撮影場所から離れて、近くの繁華街にやってきていた。
あんまり遠出はしていないだろうということで2人の意見は一致した、そして優樹は
かなり目立つ格好をしているので、人に聞けばすぐに目撃情報が得られると思った。
だから遥達は片っ端から人に聞きまくった。
すると5人に1人は優樹を目撃した人がいたので、情報だけを頼りに町を彷徨う。
そんなとき突然春菜がちょっと休憩しない?と言ってくる。
どれくらい時間が経ったのかは分からないが、遥的にはまだ早すぎでしょと思う時間だった。
「よし、決定!あそこのクレープ屋さんで休憩しよう」
「ちょ、ちょっと春菜?!」
遥の意見を聞く前に春菜は少し先に見えるクレープ屋さんに駆け寄る。
その様子を見て何だよ、元気じゃんと遥は思ったが、甘い物の誘惑に負けてそれは言わない
でおくことにした。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:35
- 遥が店の前に行くと、春菜がちょうどタピオカが入った茶色の飲み物を店員さんから
受け取っていた。
飲み物まで茶色なんだなと思うと、不意に笑いが込み上げてきて遥はぷっと吹き出す。
すると春菜が不思議そうな顔をしてこちらを見つめてくる。
「どうかしたの?」
「いや、その・・・・・・春菜はやっぱりそういうの飲むんだなぁと思ってさ」
「どういうこと?もしかして私のことで笑ったの?」
「いやなんていうか・・・春菜は飲み物まで茶色なんだなぁって思っただけだよ」
春菜はもうっ!ひどーいと言って笑いながら怒る。
その後で、これは茶色じゃなくて本当にチョコレートなんだからね、と少し拗ねたような
顔をして文句を言っていた。
はいはい、そうですかと遥はそれを軽く流すと、自分も何か買おうと思って店頭に向かう。
でもメニューを見ながら迷っていると、ふとお財布を持ってきていないことに気がついた。
私服に着替えたたらすぐに優樹探索に出たので、遥は鞄も何も持ってこなかった。
春菜もてっきり手ぶらで来たと思っていたけど、どうやら上着のポケットにお財布を
入れてきたらしい。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:36
- そういうところだけはしっかりしてるなぁなんて思いながら、遥は商品が買えないので
店員さんに苦笑しながら謝ると、店頭から離れようとする。
するとそれを引き留めるように後ろから肩を掴まれた。
遥が首だけ後ろに振り返ると春菜が笑いながら奢るよと言ってきた。
「えっ?いいよ、別に」
「小学生が遠慮なんてしないの。早く選んで?お店の人も待ってるよ」
「えー!・・・わ、分かったよ。それなら一番高いの選ぶから」
遥は少し悩んだ末に生クリームチョコバナナクレープを頼んだ。
店員さんからクレープを受け取ると、とりあえず歩きながらそれを食べることにした。
でもクレープ片手に歩いていると、本来の目的である優樹探索を忘れそうになる。
「あっ、あの服ちょっと可愛いかも」
と春菜がショップのウインドーを指差しながらテンション高めに叫ぶ。
それから先程のクレープ屋のとき同様に遥を置いて、1人その店に向かって小走りで
行ってしまう。
どうやら春菜は完全に本来の目的を忘れているようだった。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:37
- 春菜を追って仕方なく遥もウィンドーに向かう。
ウィンドーの中のマネキンは暖かそうなコートやジャケットを羽織っている。
春菜はこれなんか遥ちゃんに似合うと思うよと言って、キャメル色のダッフルコートで
フードにファーがついているものを指差す。
確かにそれは遥の好きな感じの服だった。
でも遥は春菜の言葉に同意せずに適当にあしらった。
遥達の目的はあくまでも同期の優樹を探すことであり、普通に街へ遊びに来たわけじゃない。
「あのねぇ、はる達は優樹を探しに来たんですけど」
「えっ?そうだっけ?」
「・・・それ本気で言ってる?」
「あはは、さすがにそれは冗談だよ。でも一度遥ちゃんと遊んでみたかったし、
まーちゃんならそのうちひょこっと見つかるよ」
春菜の楽観的な考えに遥は小さく溜め息を吐き出す。
これじゃどっちが年上か分からないなぁと思っていると、すぐ横から携帯の着メロみたい
なのが聞こえてきた。
すると春菜がコートのポケットを漁って携帯を取り出す。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:38
- 「携帯まで持ってきてたの?」
「うん。だって連絡取れないと困るでしょ?」
「・・・そ、そっか」
メールだったのか携帯の画面をタッチしながら遥と会話する。
遥は私服に着替えただけで何も持ってこなかった。
でも春菜はお財布だけでなく携帯もしっかり持ってきていた。
きっとお財布だって何かあったとき用に持ってきたんだろうし、そう考えるとやっぱり
春菜は大人なんだなと遥は思った。
「メール、マネージャーさんからだった。まーちゃん戻ってきたって」
「えっ?もうっ、何だよ!はる達が探しに来た意味全然ないじゃん」
「それもそうだねぇ・・・それじゃぁ、これからどうしようか?」
「いやどうするも何も戻るに決まってんでしょ」
「えー!どうせだからもうちょっと遊んでいかない?携帯忘れて連絡取れませんでした、
ってことにして」
大人しそうな顔をして意外と春菜は悪知恵が働くらしい。
ただいつもの遥なららバカなこと言ってないで戻るよ、と言っていたかもしれない。
でも今は春菜のその提案に乗ることにした。
それは単純に春菜ともう少し居たい、春菜のことをもっと知りたい、という思いが
あったからだった。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:39
- 「じゃぁ・・・少しだけ。あと少しだけ春菜に付き合ってあげるよ」
「ふふっ、ありがと」
「・・・・・・どういたしまして」
遥は何だか照れくさくなって顔を少しだけ横に向ける。
すると春菜が突然遥の右側から左側に移動する。
どうしたんだろうと思っていると、何を思ったのか春菜が手を握ってきた。
驚いて遥は勢い良く春菜の方に顔を向ける、すると春菜は優しく微笑んでいた。
春菜は普段抜けてるクセに変なところで大人だ、遥はそれが少し気に食わなくて
イジワルして手を思い切り強く握った。
「痛たたたた!!」
「あー、ごめんごめん。はるさぁ、握力ちょー強いんだよね」
「・・・・・・嘘でしょ。絶対」
「まぁそこはご想像にお任せします」
アヒルのように唇を軽く尖らせて遥のことを睨む春菜。
その顔は同級生達と変わらないように見えて、遥が笑っているといきなり結構強い力で
手を握られる。
少し痛かったので春菜に文句を言ったら、澄ました顔で「ごめんなさい。春菜、握力
ちょー強いんです」って言われた。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:39
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おわり
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:40
- 題名ミスった・・・orz
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/26(月) 20:40
- 正しくは、ひよこ探検隊です
- 13 名前:名無し飼育さん 投稿日:2011/12/27(火) 09:15
- 更に間違えた…
探検隊じゃなくて、探索隊です
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