08 クソスマスは中止となりました

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:04
08 クソスマスは中止となりました
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:04
12月24日
PM ○○:××
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:06
保田はとある人物を待っていた。
ショーウィンドウに自分の姿を映し、前髪を整えていると…。

「けいちゃ〜ん」
約束の時間ピッタリに、彼女がキャピキャピした声で走り寄って来た。
「お、可愛いカッコしてんじゃん」
「でっしょ〜?」
大きなサングラスをかけているのを除けば、いかにもデートです!というような服装をしている。
思わずスンスン鼻を鳴らして嗅いでみると、とても良い匂いがする。
女二人で会うのにやけに気合い入ってるなと保田は思った。
そして、ああ、そうかそうか、これは私の為なんだなと勝手に納得する。

「まずどこ行く?」
「とりあえず適当にそこらで買い物しようよ、クリスマスセールやってるだろうし」
買い物してケーキ食べて、その後は。
ピンクの妄想を頭の中で巡らせる。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:07
そう、今日のイブは石川と過ごすことになったのだ。
相手が今更石川なのは少々新鮮味に欠けるが、まあ良しとしよう。
一人よりずっといいに決まってる。
グフフと保田はブキミに笑った。

二人はしばしショッピングを楽しみ、おそろいのストラップをゲットした。
そのストラップを石川はスマホのカメラで写している。
「はい圭ちゃん笑って」
そして今度はスマホをこちら側に向けて構えると、自分と保田の並んだ姿をパシャリと撮る。
梨華ちゃんったら、今そんなにパシャパシャ撮らなくってもまだ時間はたっぷりあるのに。

まだ夜にもなっていない。
そして冬の夜は長い。
まだまだこれからなのだ。
保田は下心見え見えの表情でほくそ笑む。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:08
「ねえ梨華ちゃん、このあと…」
保田がこれからへの期待を含ませた声色を出した時だった。

「アリバイゲット。じゃ、圭ちゃんこれから私用事があるから」

「ハ?」

呆気に取られ、幾つもの疑問符を頭に浮かべる保田。
そんな保田に苛立ったように石川が告げた。
「だから、これからデートだから。画像送るから、圭ちゃんのブログにも上げといてよね。
今日は梨華ちゃんと過ごしましたってちゃんと書いてよ?」
「…」
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:08
保田の中で、今夜のイブのプランがガラガラと音を立てて崩壊する。
そうか、全て繋がった。
そんなにめかし込んでるのも、自分の為でなく。
むしろ自分は本命とのデートの時間までの暇つぶし、アリバイ工作に利用されたのだと、保田はそこでようやく気付いた。

「圭ちゃん、返事」
「…ワカリマシタ」
頬が引き攣っていたが、保田はどうにか笑顔を作り固い声で返事をする。

「じゃ、バイバーイ」
その場に自分を残し、上機嫌で去って行く石川を、保田はただ呆然と見送るしかなかった。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:09
クリスマスなんてクソスマスだ。

嗚呼。
今の自分はなんてみじめなのだろうか。
くそう。
いつか本命の子とクリスマスを過ごして、「メリークリトリス」ってお祝いしてやるんだから。

いちゃつくバカップルが行き交う路で保田は一人、早くも次のクリスマスに向けて熱い野望を抱いていた。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:09
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:10
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:10
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/24(土) 00:10

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