15 ひとでなし
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:51
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15 ひとでなし
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:52
- 1. 2010年11月7日に関する資料
第3回 SURUGA bank CUP
11/7(日) in キャプテン翼スタジアム
第3回を迎えるスルガバンクカップ フットサルフェスタ!
今回は「フットサルを愛する社会人の夢を応援!」をテーマに開催致します!
第1回より大会に華を添えてきた「Gatas Brilhantes H.P.」に対し
「南葛シューターズ」の参戦も決定し更なる熱い戦いになること間違いなし!
(フットワン より)
2010年APECをめぐる諸情勢
2010年APEC首脳会議の最大の特徴は、
北海道洞爺湖サミットとは異なり、首都圈の都市部で開催されることです。
APECをめぐっては、依然として厳しい国際テロ情勢に加え、
反グローバリズムを掲げる過激な勢力等による大規模な暴動の発生が懸念されること、
21の国と地域から多数の要人が来日すること、
公共交通機関等のソフトターゲットに対するテロや市街地で行われる抗議活動に
周囲の野次馬が突如加わることによる大規模な混乱等が危惧されることなどから、
北海道洞爺湖サミット警備以上に困難な大警備となります。
(平成21年の警備情勢を顧みて 焦点第278号 警視庁 より)
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:53
- 15 :名無し募集中。。。 :2010/11/06(土) 19:30:16.63 0
当日はパシフィコ横浜で日本APEC最終高級実務者会合があるから
怪しい服装でウロウロしてると捕まるよ
首脳会議じゃないから緩めかもしらんが
92 :名無し募集中。。。 :2010/11/07(日) 06:50:47.67 0
さあお前ら今日は誰が一番多く職質もらうか大会の当日だ
夜行バスで横浜着いて朝飯探してただけで早速1ゲットだぜ
しばらくは漫喫に避難しとく
(ハロプロがフットサルPart1663 より)
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:53
- 2. 焼肉店での女性たちの会話
店員が生の肉が盛られた皿を並べ終えると、そそくさと個室から出ていった。
一人の女性は肉を熱した金属の網の上に一枚一枚ていねいに並べ始め、
もう一人の女性はトウガラシをまぶしたキュウリをかじり、ビールのジョッキに手を伸ばした。
「よっすぃ〜、野菜じゃなくてお肉食べようよ」
「梨華ちゃんはお肉大好きだね」
「もう焼けたのあるよ。ほら、あ〜ん」
「あ〜ん。もぐもぐ、おいしいですわ」
「ほんと? よかったわ」
「じゃ、こっちも。はい、あ〜ん」
「あ〜ん。もぐもぐ、うん、おいしい!」
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:54
- いい歳をした女性同士がいちゃついているのではない。
それぞれの横にパンク猫とゴスロリ猫のぬいぐるみがが鎮座していて、
その口の中に焼肉を放り込んでいるのだ。
パンク猫のほうをハングリー、ゴスロリ猫のほうをアングリーという。
ぬいぐるみのくせに、人間のように食べたりしゃべったり踊ったりする面妖な生き物だ。
「Our work is to play with men だよ!」
「Our work is to play by men ですわ」
と公言しているように、人間と(あるいは人間で)遊ぶことがぬいぐるみたちの仕事だ。
吉澤ひとみ、石川梨華とつるむようになった経緯は、また別の物語となる。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:55
- 人間とぬいぐるみは思う存分、牛の肉塊を堪能し、
ひとみとハングリーは焼酎、梨華とアングリーは梅酒で酔いはじめた。
「あの事件、それからどうなったの?」
「事件って、横浜の人殺し?」
「そう、それ。よっすぃ〜は警察にいろいろ話聞かれてたけど、あたしたちは何も聞いてないのよ」
「あれねえ。知らなくていいと思うよ」
「よくない」
梨華の目がすわっているのを見て、ひとみはごまかすことが不可能であると悟った。
「おおまかな話しか聞いてないんだけどね」
「あら、それじゃあ、あたしのほうが詳しいかも」
「どういうこと?」
「ミキティの旦那さんの相方がいろいろ調べたらしいのよ」
「何か下心あるんじゃない、それ」
梨華は藤本美貴から聞いた話を、ひとみに話はじめた。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:55
- 3. ある夫婦の寝物語
(ダブルベッドにて夫婦が会話をしている)
このまえ、変な事件があったんだって?
変な事件?
横浜でフットサルやったんだろ?
そのときに人殺しがあったって
あら、知ってたの
おなかを刺されて殺された人がいたのよ
よく大会が中止にならなかったなあ
大騒ぎになっただろ?
それが、死んでるのがわかったのが、大会が終わってからなの
死んだ人には悪いけど、ラッキーだったわ
でも、終わってからでも警察が調べたんじゃないのか
ええ、あたしたちもいろいろ訊かれたわ
でも、あたしたちはコートの中にいたし、試合に集中してて何も気づかなかったから
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:56
- たしか、殺されたのは男で、フットサルに隣接してる駐車場で体育座りしながらうずくまってた
大きめのバッグが体の脇にあって、刺さったナイフはそれに隠れていて誰も気づかなかった
どうしてそんなことまで知ってるの?
心配だから、いろいろ調べたんだよ
だからって、そこまでふつうわかる?
吉本の情報網をなめたらいかん
そうなの
その駐車場って、客席代わりになってたの
みんなアスファルトの上に座って見てて、なんだか辛そうだったわ
観客がたくさんいる中で刺されたとすると、ずいぶん大胆な犯人だ
犯人の身元はよくわからず、もしかしたら日本人でないかもしれない
ナイフは腹に刺されたままで、死因は腹部大動脈からの出血によるショック死、か
あら、血管を切られたら、血があちこちに流れて、さすがに周りの人も気づくんじゃない?
うずくまっていて、体の前に流れ出ていたらしい、けど
あたりに飛び散るまでは出血しなかった
上着やズボンがかなり血を吸ったようだ
ナイフは腹に刺さったままだ
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:58
- それで死ぬこともあるのね
でも、即死なの?
そうじゃなかったら、悲鳴をあげたり、助けを呼ぶこともできるんじゃない?
何やら変な薬を飲まされていたんだ
どんな薬かまでは、教えてくれなかったんだけど、
横に置いてあった缶コーヒーに混ぜられていた
神経を鈍らせる何かが入っていたのかしら
やっぱり、自殺なんかじゃなさそうね
あんな場所で自殺するやつなんかいないだろうな
大動脈は体の奥深くにあるから、プロの犯行かもしれない
それでも、隣にいて座ったままそんな動作をしたらモロバレだ
それがね、あたしの聞いたところだと、
ちょうどよっちゃんがゴールを決めたときに、その人刺されたそうなの
観客はみんな立ち上がって喜んでたから、騒ぎにまぎれて気づかなかったんじゃないかって
ん、なるほど
でさ、それを話していたのはいったい誰?
まさか警察がそんなこと話さないだろ
ばれた?
じつはよっちゃんがそう言ってたの
警察に呼ばれたときも、よっちゃんが代表して話をしたの
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:58
- ふーん、吉澤さんがね
ますます怪しい
へ、何が?
これは不可能犯罪だからね
入場するときには手荷物検査があるんだろ?
それだと、ナイフの持ち込みすら不可能だ
吉澤さんがゴールを決めたときに刺されたかどうかも、確証はない
刺された人の身元が不明っていうのも、よくわからない
それで?
もしこれが誰かに仕組まれていたものとしたらどうだろう?
ナイフのような凶器を検査なしに入れる人間、
どこの誰だかわからない人を入場させることができる人間、
吹き出る血をどうにかできるような処置ができる人間……
うん、これはかなり怪しい
あのねえ、そうだとして、どうしてよっちゃんが怪しいわけ?
ずっとコートの中でフットサルやってたんだよ?
よっちゃんが人殺しだっていうの?
いくらなんでも、許さないんだから!
いや、待て、美貴、おちつけ
全部これ、品川のやつが推理したことなんだ
俺じゃないんだ、だから引っ掻くな
顔は引っ掻いてもいいけど、体だけはやめて!
(女が男の上半身に爪を立てて暴行している)
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:59
- 4. 再び焼肉店での女性たちの会話
「物理的に、わたしらには無理でしょ」
「そうよねえ。ミキティも怒り狂って、旦那さん、しばらくテレビで上半身の裸を見せられないそうよ」
「しばらくといわず、ずっと見せてほしくないなあ」
横でおちょこに入ったお酒を飲みほしたぬいぐるみたちが、興味津々のふうで二人を眺めている。
「ひとみ様のお話をもっと聞きたいですわ」
「ほら、いつもの作り話を聞かせてよ!」
ひとみはハングリーの脳天めがけ、容赦なくこぶしを振りおろした。
不可解な事件が起こると、適当な作り話をして梨華をからかうのが
ひとみの悪趣味な遊びであることを、ぬいぐるみたちはじゅうぶん知っているのだ。
梨華の機嫌がだんだん悪くなり、灰皿に入れた酒を飲めといわんばかりになってきたので、
ひとみはしかたなく話しはじめた。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/18(土) 23:59
- 「警察はこんなふうに考えてるそうだよ。殺されたのは外国のテロリストとかそのたぐいの人。
APECで外国の偉い人がいっぱい集まってるから、それを狙って横浜にきた。
でも、その人はあちこちで警察官に職務質問されて、びびって逃げちゃったんだ。
逃げてるうちにこの大会の観覧の抽選を待つ列に並んでて、しかも抽選に当たった。
しばらく身を隠そうとして、そのまま会場に入った」
「テロリストなら武器とか危ないもの持ってない?」
「逃げたとき、すぐに捨てたんだろうね。
でもそれを仲間が見ていて、怖気づいたその人を見せしめに刺し殺したんだ。
捕まったりしたら全部白状するかもしれないし。なぜ誰も気づかなかったかは、もういいよね」
「どうしてそんなこと知ってるの?」
「気になったから、ハングリーに調べさせた」
警察の捜査会議のすみっこに、ぬいぐるみが隠れて話を聞いていても誰も気づかない。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:00
- 「警察も見方があまいわ。犯人はどうやってナイフを持ち込んだと思う?」
「ん? と思う、って、その言い方、梨華ちゃんこそほかに話すことがあるんじゃない?」
「へへ。なんと、犯人はバッグとかに凶器を入れたんじゃなくて、体にくっつけてきたのよ」
「服のどこかに隠したってこと? 隠せないこともないのかな」
「服じゃないのよ。体そのものよ。ナイフを刺されても気づかないまま、被害者は入場したわけ。
警察の話と合わせると、刺されたのは外ね。妙な薬入りの缶コーヒー飲まされた後に」
「自分で思いついたの?」
「すごいよ、梨華ちゃん!」
「さすがですわ、梨華様」
「実を言うとね、これを見たのよ」
梨華は最近買ったばかりの黒っぽいノートパソコンを取りだした。
持ち運びしやすいA4型で、CPUはインテルi7モバイル、メモリは8GB、
ドライブはSSD512GBにブルーレイ、OSはWindows7 Ultimate 64ビット、
WiMaxに指紋センサー、Webカメラ、はては表計算ソフトと動画・画像編集ソフトもつけて、
しめて518,200円(税込)という代物だ。
ひと月もしたら絶対ほこりがかぶっているだろうと、ひとみは予測した。
「梨華ちゃん、お金の使い方が間違ってるよ」
「これよ、これ」
梨華は画面を指差した。
ひとみとぬいぐるみたちは、梨華の背後に回って画面をのぞきこんだ。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:01
- 「ねえ、これ何!?」
「何やら小説っぽいですわ」
「ここはあたしたちを登場人物に使った小説を集めた、
肖像権やら何やらを半ば無視した二次小説サイトよ」
「なんだかとんでもないところだなあ」
それがここで、件の話の題名は「その瞬間のために」というものだった。
「はあ。それでこれが?」
「この小説は、あの殺人事件を題材にしてるのよ。作者はのっち」
「知ってる! オバマ大統領の中の人だよね!」
「奥さんが鬼のような人ですわ」
「そっちじゃなくて、能登有沙!」
「なんでのっちが?」
「重度のオタクで、アニメや東方やボカロの同人小説をあちこちに投稿しまくってるのよ」
「東方神起やボレロはともかく、アニメオタクなのは知ってるけど、ハロプロも対象なの?」
「さあ。こっちにも趣味の範囲を広げたんじゃない?」
人間とぬいぐるみは、しばしのあいだ、酔った頭でテキストを眺めていた。
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:01
- 「なんで、途中から難しい言葉づかいに」
「知らないわよ」
「文章の良し悪しはわからないけど、刺されたけど薬のせいで気づかなくて、
抽選の列に並んで入場しました、かあ」
「ありうるわよ。幕張かどこかで、お客さんがガラスに頭打ちつけて、血をだらだら流しながら、
それでもイベントの観覧に執着してた事件なかったっけ? そういう変な人いるのよ」
「でも、今度のは警察に追われて逃走中のテロリストだよ」
「病院行ったら、警察にばれちゃうじゃない。そこまで進退きわまっていたのよ」
「うーん。あとこれ、どうしてお台場カップにしたんだろう。
あの無性に楽しくてしょうがなかったときを思い出してるのかなあ」
横浜のゲームには、里田まいは出場していない。
ひとみは黙り込んだ。
二匹のぬいぐるみがひとみの肩に乗って、髪を引っぱりはじめた。
「ねえねえ、お話の続き!」
「今、新しいこと思いついたはずですわ」
「おまえらなあ」
ひとみは自分の席に戻って、焼酎をあおった。
ハングリーはひとみにねだって、空のおちょこに酒を注いでもらった。
「ほら、お肉まだ残ってるわよ」
「梨華ちゃん、このサイト、自分で見つけたの?」
「のっち自身に教えてもらったのよ」
「それ、たぶん、のっちなりの告発なんだろうね」
「告発? 誰を?」
「わたしを」
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:01
- ひとみが殺人犯であるという告発ではない。
警察にとっての謎は、誰が殺人犯であるかだが、大会関係者、選手にとっての謎はそうではない。
なぜ大会が中止されなかったか、だ。
能登の物語では、大会途中に謎を解き明かすことで、それを回避したことが匂わされている。
それは虚構の中でだが、実際の殺人事件においても、ひとみがその役割を果たしたというのだ。
「人ひとり死んでるからね。だが、ここにある『永遠の刹那』とかいうもののために、
でたらめな解決をして大会を続行させた、それは人間としてどうなのか、
ってのっちは言いたいんだろうね」
「でも、あの一瞬をもっと味わいたい、って気持ちはすごくわかるわ」
「この話、ちょっと無理なところがあるね。
推理の最初のほうで衆人環視での殺人は可能だってしながら、
結局被害者はどこかで刺されて中に入ってきたんだ、ってしてる。
そうなると、衆人環視の話がどこかに飛んじゃってるよ」
「言われてみればそうね」
「だいいち、実際では死んでるのが見つかったのは、大会が終わってからだし」
「そのあたり辻褄が合わないから、舞台を横浜じゃなくてお台場に変えたのね」
「犯人が凶器を持ってどうやって会場に入ったか、ってのも難しく考えることはないと思うよ。
どこかの柵を乗り越えたのかもしれないし、堂々と正面から入ったのかもしれない。
スポンサーの偉い人の振りするとかさ」
「じゃあ、のっちの推理や告発は、的外れなわけか」
「ところが、告発のほうはそうでもないからややこしくて」
「え?」
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:01
- ひとみはあのとき、ゴールを決めてみんなと喜びをわかちあった。
梨華や美貴、ベンチにいた有沙たち、
そして注視し続けた観客も、『永遠の刹那』に身をゆだねた。
そこでは、時が永遠に止まる。すべてが永遠に止まる。
「だけどね、わたしは止まらなかったんだ」
「よっすぃ〜は、『永遠の刹那』を拒否した?」
「そんなことはないんだけど、同時にもう一人の冷めた自分が出てくるんだよね。
止まっているみんなを冷静に観察して、けして一緒に楽しもうとはしないんだ。
楽しんでるのに楽しんでない。止まっているのに止まっていない。
そのとき、おそらくわたしだけが見ることができたんだ」
「何を見たの?」
「あの人が隣の人に刺される瞬間を。
ナイフがじわじわと服を裂いて、赤い肉にのめりこんでいって、
根元までずっぽり入っていくところを」
「ひとみ、グロいよもぐもぐ!」
「お食事中ですわもぐもぐ」
あまった肉をほおばりながら、ぬいぐるみたちは説得力のない抗議をした。
ひとみは、それを軽く無視した。
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:02
- 「警察に嘘の解決を教えたわけじゃないけど、人が刺されたのを目撃して知ってたんだ。
でも黙ってた。だから、のっちの告発は半分あってる」
「どうしてすぐに知らせなかったの?」
「助からなさそうなのはすぐにわかった、ってのは言い訳だよね。
やっぱり、大会が中止になって『永遠の刹那』を味わえないことが、怖かったんだろうなあ」
「ひとごとみたいに」
「多分、わたしは人でなしだから。こいつらみたいに」
ひとみはハングリーとアングリーの首ねっこをつまみあげた。
「だって、ぬいぐるみだもん!」
「ひとみ様、ぬいぐるみは人間と違って根っからの人情家ですわ」
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:02
- 「被害者が助からなさそう、ってのがなんでわかったと思う?
こいつらが観客席に紛れ込んで、うなだれている被害者に刺さってたナイフを引っこ抜いたんだ。
血が流れ出るのを見てびっくりして、あわてて元に戻したもんだから、助かるわけがない」
「だから、思ったほど血が流れ出なくて、誰も気づかなかったわけね」
「まさかぬいぐるみがやったとは、警察も信じちゃくれないだろうね。
まあ、大量出血しなくても内臓も傷ついてたから、どのみち助からなかったそうだけど」
「見てたんだ!」
「ばれましたわ」
「ずっと被害者のほうが気になってたからね。どうしてそんなことをした?」
「人殺しの場面、見てたもん!」
「いちはやく現場検証しましたわ」
「ああ、こいつらも『永遠の刹那』とはいっさい無縁だろうなあ」
「首をはねられても生きてるもんね」
このたびは、ぬいぐるみだけでなく、ひとみも非人間的な所業におよんだということで、
恒例となっているぬいぐるみたちへのおしおきはなかった。
ただ、このような一人の人間と二匹のぬいぐるみを見ながら、
いっしょにつるんでいていいものかどうか、一抹の不安が梨華をよぎった。
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
-
Y.H
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
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- 22 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
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- 23 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
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- 24 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
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- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
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- 26 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/12/19(日) 00:03
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