12　それ行け！ガスタンク

1 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/19(日) 06:59

12　それ行け！ガスタンク

2 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/19(日) 07:03

やっぱ秋といえば食欲の秋だよね！
そんなことを言いながら、舞美ちゃんが芋を頬張っている。
たしかに秋は食欲の秋。
芸術の秋とか読書の秋とか言いたいけれど、やっぱり基本人間は食欲の
魅力には勝てないのだ。舞美ちゃんの豪快な食べっぷりに思わずわたし
のおなかもぐぅ。

にしてもちょっと食べすぎなんじゃないだろうか。
さっきからもりもり音が出そうなくらいに芋を食べてるけれど、最初に
わたしが見たのはお皿に山のように積まれた焼き芋。それがもう、なく
なりかけている。

もう舞美ちゃんってば。食べすぎだから。
んーん、そんなことないって。ここのところずっとお芋ばっか食べてる
んだよね。そんなことを言いつつ、また芋をガーッと食べ始める。
どこかの田舎で農家のおばちゃんが泣いてるような気がした。

3 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/19(日) 07:08

なっきぃも食べなよ、ほら。
そう言われて差し出される、芋。
わたしは首をぶんぶんと横に振った。
確かにお芋はおいしい。それは認めよう。でも、それは時と場所をわきまえ
なければならない。ここはサンシャイン劇場の舞台裏で、もうすぐ公演がは
じまろうとしている。
もし仮に。うん、もし仮にだ。
お芋を食べたときの生理現象が、演劇中に襲い掛かったとしたら。
どこかの掲示板が「ｎｋｓｋ大噴射」「ブースカがブーとか笑えない」とい
う心ない内容で溢れるのは間違いない。
そういうことを恐れず芋をがばがば食べている舞美ちゃんというのは、
やっぱり凄い人なのかもしれない。

4 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/19(日) 23:35

舞美ちゃんはなおも芋を食べ続ける。
ふははと笑いながら芋をぼりぼり食べ続ける舞美ちゃん。おそらく何かの
スイッチが入ってしまったのかもしれない。
そのうち千聖と舞ちゃんが物珍しげな顔をして舞美ちゃんに近づいてきた。
舞美ちゃん、そんなにたくさん食べたらおなら止まらなくなるよ、ははは、
大丈夫大丈夫。そんなやりとりをしていた。
舞ちゃんが人はおならで空が飛べるかな、と言い千聖が舞美ちゃんなら飛
べるかもね、と自分の発言でぎゃははと笑い出した。きっと今は自由に空
も飛べるはず。草野マサムネもそんな意味で歌ったんじゃないはずだ。

突然、舞美ちゃんの口と手が止まる。
ようやく食欲がおさまったのかと思いきや、そうではないようだった。
ううう、おなかいたい。顔を青くして呻く舞美ちゃん。自業自得、そん
な四字熟語が頭を駆け抜けるけれど、苦しそうな舞美ちゃんを見ていた
らなんだか可哀想になってきた。

5 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/19(日) 23:43

もー、早くトイレに行ってきなよー。ほっとけなくてついそんな言葉をかけてしまう。
でも舞美ちゃんは首が千切れそうなくらいに横に振って拒否した。大きいほうをした
いわけじゃなくて、ただガスを出したいだけらしい。いいじゃん、出しちゃいなよ。
においを調べたいという理由だけじゃ片付けられないほどの眼力を湛えて、栞菜が言
った。でも舞美ちゃんはしない、アイドルの名にかけて絶対にしないよと断言した。
何を石川さんみたいなことを、と思ったら彼女の口からキッズに入った頃に石川さん
にそう教えられて以来ただの一度もしてないのだと言い切った。
石川さんだってブピーブピーしてるよとか、６年もおなら我慢してたら破裂しちゃう
よとか、そもそもおならとそうじゃないほうをどうやって分けてするんだとか、言い
たいことは山ほどあったけど、うんうん唸っている舞美ちゃんを見てるとそんなこと
を聞くのが酷になってきたのでやめた。

6 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/19(日) 23:50

とにもかくにも、嫌がる彼女を説得して何とかトイレに連れて行かないと。
大事な台詞の途中で放たれたりしたら、大変なことになってしまう。
そうなったらうちらは℃-uteじゃなくてＰ-uteに改名だ。えりか・舞美・
早貴・愛理・千聖・舞・栞菜、七人揃って別なものが弾けちゃう。それだ
けは絶対に避けなければならない。自称・サブリーダーの名にかけて。
そんなことを考えながらわたしがブースカ顔をキリリとさせていると、
本番５分前の声がかかる。なんてこったい。

これはとんでもないことになった。
恐る恐る舞美ちゃんのほうを見ると、脂汗を垂らしながら、なっきぃ、私は
大丈夫だから、という頼もしい言葉。言葉自体は頼もしいけれど、夏ドキリ
ップスティックの１００分の１くらいの声量しか出てなかった。
がんばれ、舞美ちゃんの括約筋。そう祈らずにはいられなかった。

7 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/20(月) 00:01

劇には奇跡的にも何の支障もなかった。
むしろ適度な緊張感が、舞美ちゃんの台詞に張りを持たせていた。
おなかを突き出して声を出すといい声が出るらしいが、今の舞美
ちゃんはまさにその状態だった。きっと今レコーディングしたら
ソロデビューできるに違いない。
わたしがほっとしたのもつかの間だった。
劇が終わり、ミニコンサートの時間。
よりによって歌う曲が「涙の色」だなんて。わたしは真っ先に舞
美ちゃんが噴射してしまうであろう振りの部分に気づいてしまう。
あんなに足を上げたら、さすがの舞美ちゃんでも。
いやでもそこはえりかちゃん級の省エネダンスをすれば、あるいは。

そんなことはわたしが一番よくわかっていた。
いついかなる時も、舞美ちゃんは全力投球。手抜きな踊りを披露する
くらいなら派手に放屁して死を選ぶ。それが舞美ちゃんの生き方だった。
ならばわたしも、覚悟を決めなければならない。

8 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/20(月) 00:02

舞美ちゃんが豪快に開脚する振りに合わせ、わたしはいざという時のために
用意した１００円ライターに指をかけた。

9 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/20(月) 00:03

池袋

10 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/20(月) 00:06

シ　也　イ　弋
　　　　　衣

11 名前：12　それ行け！ガスタンク 投稿日：2008/10/20(月) 00:10

　"　　　　ノ　　ー？、
ノ　L？　　　1亠
　　　　　　　チ　　卜