07 茉麻の妄想日記 
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:00
 
-  07 茉麻の妄想日記  
   
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:01
 
-  「あのね・・・・ベリーズ卒業することになっちゃった。」 
 梨沙子は押さえられない悲しみに飲み込まれないように耐えながら無理矢理笑みを作って 
 私達に報告した。 
 その日がいつか来ることは前から何となく予想ができていたし、そういう噂は何回か 
 私も耳にしたことがあった。 
 だから本人の口から聞いたというのにメンバーは一人も驚いていなかった。 
  
  
   
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:02
 
-  16枚目のシングルであるジンギスカンが異例の大ヒットとなり、それに伴って私達 
 ベリーズ工房の知名度と人気はグラフで書くと直角を描くように急上昇した。 
 前までシングルを出してもテレビに出られなかったのが信じられないくらい 
 今は色んな番組に出せてもらっている。 
 中でも梨沙子の活躍は私達の中でも頭一つ抜きに出ていた。 
 元々よくセンターを取ったりメインボカールだったから驚きはしなかったけど、歌だけではなく 
 CMやドラマにも出演していたのは梨沙子だけだった。 
 そしてちょっとした役で出たドラマの演技が認められて今や歌手よりは女優の仕事のほうが 
 多いという状態になっている。 
 ゲキハロとかでやっていたときから上手いなぁとは思っていたし案外女優は天職かもしれない。 
 だから卒業するかもしれないと私も含めてみんな薄々分かっていた。 
  
  
   
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:03
 
-  「大丈夫?もうみんないないんだよ?一人でちゃんとできる?」 
 「大丈夫。しっかりするもん!」 
 「本当に?一人ってことは楽屋を散らかしても誰も片付けてくれないし、衣装だって自分で 
 着替えないといけないし、遅刻したって誰も一緒に謝ってくれないんだよ?」 
 私はまるで子離れできない母親のように梨沙子の顔を心配そうに覗き込んで聞いた。 
  
  
 「もうっ!全部一人でできるよ!」 
 と梨沙子は子ども扱いされたことに不満らしく少しぶっきらぼうに答えた。 
  
  
 「そっか。うちらはさ・・・・・どうなるのかな?」 
 私は意図的に『梨沙子がいなくなったら』という言葉を覗いて呟いた。 
 梨沙子はベリーズの中でも人気NO1だし抜ければ間違いなく人気は落ちると思う。 
 あまり明るいとは言えない未来に私は不安を隠せなかった。 
  
  
   
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:07
 
-  「心配しなくてもNO1の座はうちが貰うから。」 
 「それ桃のセリフなんですけど?」 
 「はぁ?いやぁ、悪いけど負ける気がしないなぁ。」 
 「あのねぇ、ちょっと人気があるからっていい気にならないでよね。ここから千奈美伝説が 
 始まるんですけど。」 
 とみんな梨沙子と私の周りを囲んで口々に自分の言いたいことを言って騒ぎ始める。 
  
  
  
 「梨沙子がいなくても頑張るよ、みんなで力を合わせてベリを今以上に盛り立てていくから」 
 口には出さないけどそういうことを言いたいんだと思う、多分。 
 それでもまだ胸の中に少しだけ不安が残っていてそれが顔に出ていたのか、今まで黙っていた 
 佐紀ちゃんが私の前までやってくる。 
  
  
 そしていつになく真剣な顔で私を見上げていたかと思うと、 
 「ベリーズをなめんな。」 
 と言って額にデコピンされた、そしてイタズラが成功した子どものように歯を見せながら笑う。 
 周りを見るとみんな笑っていた、さっきまでちょっと沈んでいた梨沙子さえ笑っていて 
 「ベリーズ最高じゃん」とゆいたかった。 
 なのに口が開かないっていうか思うようにしゃべれなくてただ目の辺りが熱かった。 
 でも私が言わなくても全員同じ思いだというのが歪んだみんなの顔を見た瞬間に分かった。 
  
   
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:11
 
-  「まあ、何書いてるの?」 
 「ん?秘密の日記。」 
 気がつくと熊井ちゃんが後ろに立っていて私の頭越しにノートを覗こうとする、私はやんわりと 
 手でガードすると、さっきまでペンを走らせていた日記張を閉じる。 
  
  
 「ふーん、そうなんだ。」 
 熊井ちゃんは納得したのか特に見たがる様子もなく桃のところへ行ってしまった。 
 私はこういうところ好きだなぁと思った、ちーとかは絶対に見ようとするだろうけど 
 熊井ちゃんは本人が拒否すると無理矢理とかはしない。 
  
  
 私は軽く溜め息吐き出してから日記張を鞄にしまうとそれと同時ぐらいに 
 外からキュートの掛け声が聞こえてきた。 
 どうやらそろそろ出番らしいな思っていると佐紀ちゃんが椅子から立ち上がって 
 「そろそろ、うちらも行こうか」と軽く促す。 
  
  
   
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:12
 
-  みんなぞろぞろ立ち上がりドアに向かって歩いていくといきなり千奈美が手を出して叫ぶ。 
 「千奈美!」 
 「みや!」 
 「桃子!」 
 「梨沙子?」 
 「熊井・・・じゃなくて友理奈!」 
 「茉麻。」 
 「・・・・佐紀。はぁ、もうっ!7人揃ってはじけるぞ!」 
 佐紀ちゃんは最初ちょっと呆れていたけど最後のほうはもうヤケクソといった感じで叫んだ。 
 外から多分キュートだと思われる甲高い笑い声が聞こえてきて私達もみんな笑っていて、 
 やっぱりベリーズ最高だなと思った。 
  
  
  
  
  
   
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:13
 
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- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:13
 
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- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/23(日) 18:16
 
-  从*´∇`)ヽ <妄想なんてもー、そうはしないよね  
  
   
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