05 桜の樹の下には死体なんか埋まっていない

1 名前:05 桜の樹の下には死体なんか埋まっていない 投稿日:2008/03/23(日) 02:06
05 桜の樹の下には死体なんか埋まっていない
2 名前:ぱむ 投稿日:2008/03/23(日) 14:56
彼氏が冷たい
最近セックスごぶさた
3 名前:ばむ 投稿日:2008/03/23(日) 23:19
そんなことを美貴が言い出したのは桜も蕾を綻ばせる春の日のことだった。
彼氏、というのはもちろん犬に乳首を舐めさせるくらいしか芸のないあいつのことだ。
あとは駅弁を含めた大道芸的なセックスを好む彼が、ご無沙汰だなんて。
この噂は瞬く間にハローのメンバーたちに伝わっていった。

「藤本さん最近ご無沙汰なんだって」
「もしかしてもう閉経?」
「まさか中澤さんじゃあるまいし」
「あれじゃん、性病でも移されたんじゃない?」
「感じちゃって膣内もカンジター」

そんな噂話がベリキューの楽屋の中ですら飛び交う中、舞美は一人憤慨していた。
あの滝川の田舎者が、性懲りもなく毎日セックス三昧だなんて。許さん。
舞美の怒りは山よりも高く海よりも深かった。
それもそのはず、先日の雑誌のインタビューで「私、まだ恋したことないんです」
という子供だましもいいとこな言葉を吐かされたのだ。まあ恋はしなくてもセック
スなんていくらでもできるけどね、と小汚い小さな大人が言っていたがその言葉に
は妙に信憑性があった。
そんなことはどうでもいい。とにかく舞美は怒り心頭なのだった。
そして舞美は決意する。今夜、美貴を亡き者にしようと。
4 名前:ばむ 投稿日:2008/03/23(日) 23:27
あの三文芝居のインタビューは、舞美を鎖で縛り付けるのと同じことだった。
恋愛しちゃダメよ、という事務所の無言の圧力だった。
何故そんなものを自分が受けなければならないのか。
℃-uteのリーダーだから?16歳だから?スポーツセックスが似合うから?
答えは出なかった。けれど、そもそもどうしてこういう状況にハロー全体が晒されて
るのかはわかった。偉大なる先人たちのせいだ。舞美は彼女たちのことを許すわけに
はいかなかった。
しかしながら美貴だけに怒りの矛先を向けていいものだろうか。本来ならば素敵だな
からパチンコでタバコまで満遍なく殲滅すべきではないのか。
それは舞美の本意ではなかった。アイドルという本流を外れて演歌の道へと転げ落ち
ながらも、必死に芸能界にしがみついている美貴を手にかけることこそ、舞美の煮え
たぎる怒りを鎮める唯一の方法であるように思えたからだ。
5 名前:ばむ 投稿日:2008/03/23(日) 23:33
美貴の転落ぶりは、まさに今のハローを象徴しているように舞美には思えた。
だから、美貴を葬ることによって今ハローが陥っている窮地から脱すること
ができるんじゃないか。単純な考えだったが舞美には恐ろしく馴染んだ。

そして、計画は実行されることになる。
月の綺麗な晩だった。
事務所からさほど離れていない公園の片隅にある桜の樹。
そこに美貴をおびき出していた。
普段は柳原可奈子の声真似しかできない舞美だったが、強い信念が美貴の彼氏の
声色を寸分違わず再現させた。
「美貴…月の綺麗な晩に、桜の樹の下で駅弁をしよう」
言葉はそれだけで十分だった。美貴はベーヤンとの焼肉接待を中座して指定され
た場所へと走っていった。
6 名前:ばむ 投稿日:2008/03/23(日) 23:44
舞美が月明かりの下で佇んでいると、大蒜臭い生ぬるい風が吹いてきた。
美貴がやってきたのだ。
「ハァ…あんなこと急に言い出して、いったい、どういうつもりよ」
と言いつつ美貴の瞳は厭らしく潤んでいた。淫乱な女だ。舞美は美貴を心から軽蔑
した。一方、美貴からは光の加減で舞美が濃い影のシルエットにしか見えない。女
性にしては長身の舞美だからこそ、美貴は彼女を例のダメ芸人と見間違えた。
「春と言えば盛りだろ。駅弁だろ」
舞美が発した智春の声色は、美貴の理性を崩壊させた。ルパンが不二子に飛びつく
時、何故か都合のいいようにパンツ一丁になるがごとく、美貴は走りながら全裸に
なった。そして舞美目がけその乏しい胸をぶつけようとしたその瞬間。
7 名前:ばむ 投稿日:2008/03/23(日) 23:51
がすっ。
舞美の両腕に、鈍い衝撃が走る。
足元には、頭から血を流した美貴が倒れていた。
手にした煉瓦で、転がっている肉を打ち据えた。はじめは激しく蠢いていた
肉も、やがて静かになっていった。それでも舞美は煉瓦を振るうのをやめよ
うとはしない。
その一撃で皮膚が裂かれ、
その一撃で肉が潰され、
その一撃で骨が打ち砕かれた。
桜の樹の下で繰り広げられる惨劇。
手を休め、空を見上げる。
薄い桃色のビロード越しに、淡い月が見えた。
今夜の月は、とりわけ綺麗だ。
そう思いながら、再び煉瓦を振るう。
溢れる血という血が地面に染み込み、肉という肉が土に沈んでいった。
8 名前:ばむ 投稿日:2008/03/23(日) 23:58
「ったく誰だよ、美貴をこんなとこに呼んだのは」
遠くからした声に我に返り、桜の樹の陰に隠れる。不機嫌そうに辺りを見回してる
のは、明らかに美貴だった。
じゃあ、あたしが今まで打ち据えていたのは?
手に握られているはずの煉瓦が、なかった。返り血すら浴びていない。
わけがわからないでいると、いつの間にか美貴はその場を去っていた。
夢。春の夢。しかし、痕跡はなくとも確かにその手にはあの鈍い感覚が。
確かにあたしは、白いヘアバンドをつけた藤本さんを。
咲き始めたばかりの桜から、ひとひらの花びらか零れた。
9 名前:ばむ 投稿日:2008/03/24(月) 00:00
桜の樹には
10 名前:ばむ 投稿日:2008/03/24(月) 00:01
夢が
11 名前:ばむ 投稿日:2008/03/24(月) 00:01
埋まってます

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