15　さよならオレンジレンジ

1 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:18

15　さよならオレンジレンジ

2 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:18

四十分の通学路の間、約三十分を崖のようなこの道を漕ぐことになる。
ガードレールを突き抜けてしまえば、
三十メートルくらい転落した挙句、海へとダイブ。
幼い頃は近寄らないように言われていた場所を、風と共に走り抜ける。
大人になったような気分、もうそんな心配をしてくれないんだという
切ない気持ちを織り交ぜながら、足に力を込める。

顔を上げたのは、車道を挟んだ向こう側から
自転車が走ってくる気配がしたからだった。
ちょうど斜めに鏡を入れたように、私とその人は、
すれ違う瞬間にお互いの顔をうかがい見るような仕草をする。
それは特別なことではなくて、狭いこの町では制服姿だったら
知り合いの可能性が高かったりするからで。

そう、まさにその予感が当たった。背中からの太陽を受け、
怪訝な顔をしているその女の子は、絶対に私の知っている人だった。

3 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:19

「あい･･･ぼん？」
いやあいぼんのはずがない。
あいぼんは今はニューヨークに居るのだ。
ここは日本のはずだ。だって「落石注意」の看板があるもんね。
じゃあ誰だ？落ち着いて考えてみよう。

まず三十分という長い道のりを頑張る元気と根気がある。
この時点で何人も消える。
順番に考えてみようまだ突き破っていない人物。
これでののたんが消えた。飯田さんも消えた。
転落していない人物。あいぼんの可能性がまたしても消えた。
あいぼんヲタはこれ以上読んでも仕方ないですね。

4 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:19

続いて、幼い頃は近寄らないように言われていた場所か。
おまんまんだな。またののたんが消えた。
いやこれは話者の気持ちだから関係ないのか。
いやそうなるとその前のも関係なくなるのか。
って事は手がかりなしか。
仕方ないのでこの人物をあいぼんに仮定して話を進めようと思う。
恐らくここは奈良だろう。きっとそうだ。

「あい･･･ぼん」
僕がそう呟くとその呟きは風に乗ってあいぼんの耳へ。
でもあいぼんは僕を無視するんだ。そりゃそうか。
あいぼんは色々な事があって傷ついているんだ。
今、あいぼんは失われてしまった青春を取り戻そうとしているのだ。
その証拠に全盛期に忙しくてあまり着れなかった制服を着ている。
それは悪くない事だと思う。だが問題はどんな制服かだ。
学校の制服とは限らない。軍服かも知れないのだ。
そう、あいぼんは今戦っているのだ。腐った世間の目と。
僕はなんだか泣けてきたよ。
あいぼん、君が好きだった。どのくらい好きかは
測定しようもないけどそれなりに好きだった。
君と一緒に戦いたい。今度は戦争だ！
落ち着け。僕は煙草を胸のポケットから取り出した。すると

5 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:20

　　　中略

6 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:20

僕とあいぼんは海を見つめていた。
君の瞳に映る僕を僕は見ていた。
とかそういうのもロマンチックで良いのだが、
それじゃ結局は自分を見ているだけだし
この海の見える崖という設定は生きない。
僕はキラキラと小金色に輝く海を見ながら横目であいぼんを見ていた。
あいぼんは僕の知っているあいぼんより中肉中背だった。
つまり背は少し伸びて痩せた印象だったのだ。
「痩せたね」
僕はそう言おうとして止めた。
痩せたって事は前は太ってたんかい。しばくぞ。
ってあいぼんはこんな怖い言い方はしないけど
女の子はデリケートだからね。圭ちゃんはバリケード。
よし角が立たないように別の言い方をしよう。

7 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:21

「あいぼんはここんところ右肩下がりだね」
言ってからしまったと思った。
体重の話のつもりだったが株価の話のようじゃないか。
僕はあいぼんに詫びるつもりであいぼんのほうを見た。
「あ、あんた何でわての右肩の秘密知ってるんや」

ここでは言えない話をしばらくした。
あいぼんは泣いていた。
僕は黙って煙草を吸うしかなかった。

泣き止んだあいぼんは夕陽を見て「キレイ」と言った。
確かに綺麗だった。オレンジ色の海が本当にオレンジなら
きっと海水浴なんて出来ないなと思った。
僕はあいぼんに笑って貰うために取って置きの話をする事にした。
「オレンジ共済って知ってる？年利がね･･･」
「え？それって出資法違反ちゃうの？」
僕はあいぼんに大人になったね。と言った。
あいぼんはそれには答えないで煙草をねだった。

8 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:22

ｚ

9 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:22

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10 名前：名無飼育さん 投稿日：2007/09/02(日) 08:22

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