24 銀行強盗

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 22:51
24 銀行強盗
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 22:53
「金を出せ!」
濁った声が、店内に響く。
眼鏡をかけた七三の銀行員に、銃口が向けられる。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 22:55
差し出された札束を古びたバッグに詰め込み、脱兎のごとく男は逃げ出した。
男の背をしばらく見送っていた銀行員だが、やがて机の下の赤いボタンを押した。

男の運命は、終わりを告げた。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 22:56
何でこんなことになったんだろう。
男は車を走らせながら、後悔の念に駆られる。
それもこれも、全部茶色いあいつがいけないんだ。
そう思わずにはいられなかった。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:00
男は30をゆうに越えた、二次小説を趣味とするごくごく平凡な中年だった。
その創作趣味は作品の中にはとどまらず、いくつもの自分を作り出した。
病弱な姉、その弟でギターの好きな青年、神主の息子。
同じ趣味を共有する仲間たちのチャットに日参し、日ごとに別々のキャラクターを演じることが好きだった。
ただ、それだけだった。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:02
そんな平和な日々が終わりを告げる。
なぜか周りの人間が男のことを叩きはじめた。
理由はわからない。男の才能を妬むものが煽動したのかもしれない。
とにかく、男は不本意ながらもその場から消えることにした。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:04
チャットでは去った男の背後から石を投げつけるような行為が続いた。
特に茶色い男と呼ばれる人物は、辛らつな言葉を男に投げ続ける。
ついに、堪忍袋の緒が切れた。もともと彼の堪忍袋は切れやすいものだったけど。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:07
「お前を潰してやる。このチャットも削除してやる」
ついに男は大言壮語をぶちあげた。本気だった。
けれど茶色い男とその取り巻きの黒い鼻くそのような人々は彼を相手にしなかった。
必ずやってやる、そう誓いつつ男は実行に移す。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:08
でもそれには大量の金が必要だった。
男はしがない公務員で、妻には頭が上がらなかった。
こうなったら。男はもっとも選んではいけない道を選ぶ。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:09
金のたくさんあるところは彼には2箇所しか思いつかなかった。
けれど、彼の職場と同じ業種は避けたかった。
というわけで銀行強盗。
バイセコー大成功だったはずが、バックミラーにはパトカーの姿。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:11
ヤグチ、みうな、ヤグチ、みうな、マサオケツ!!
今まで彼が愛した女の名を叫ぶ。そこには妻の名はなかった。
あいつさえ、あいつさえ俺の言うことを聞いていればこんなことには。

急カーブを切り損ね、ガードレールが目前に迫る。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:12
断崖からダイブした男の車が、太陽に重なる。

その瞬間、間違いなく男は光になった。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:13
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:13
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 23:13

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