14 ヒカリ
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:02
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14 ヒカリ
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:02
- ++++++++++++
誰も追い付けない。
キラキラと輝く光のように速く。
+++++++++++
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:03
- 互録(ごろく)高校は3部の最弱チーム。
美貴の高校最後の対戦相手は、早々に来期の1部昇格が決まった余湖(よご)学園だった。
予想どおりボロカスにやられてラストの3セット目も大詰め。
23対12。
最後まで気ぃ抜くなと!と余湖のベンチから激が飛ぶ。
このセットから小さい二人がダブルセッターで入って来た。
格下相手にフォーメーションの実践練習をしている為か、1・2セットのように瞬殺はされていない。
それでもこれ以上の油断はしてくれそうになかった。
副審の笛が鳴り、取られた余湖学園のタイムアウト。
後2点で美貴の高校バレーも終わり。
せめて半分は取って終わりたかった。
いや、終わりたい。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:03
- 「まぁ、現実ってこんなもんだけど・・・、」
「何言ってるんですか、藤本センパイ!最後まで諦めちゃダメですよ!逆転しましょう!」
「バカ重、マジで現実見ろよ。高橋が怪我した今、勝ちに行くのは流石に夢でも奇跡でも起こらないから却下。」
「はぁ・・・い。」
タイムアウト直前。
乱れたサーブレシーブを取りにベンチへダイブした高橋の腕は、遠目でもはっきりと分かるくらいに腫れていた。
「スイマセン。」
「愛ちゃん?もう大丈夫なの?!」
「骨までは行ってないみたいやでな。でも左手OUTです。」
「てーことはやめないんだ?」
「はい、左は足で止めます。」
「バッカ、無理。高橋には居てもらう、けどレシーブはさせない。」
ベンチがざわつく。
勝つつもりはない。しかし負傷のエース高橋は外さない――――じゃ無理もないか。
必然とチーム内に不安が横たわる。
特に高橋と仲がいい2年のガキさんは、あからさまに怪訝な表情をして美貴を見てきた。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:04
- 「先輩っ!?」
「あー!新垣ストップ!ストップ!藤本、何かあんねんやったらちゃんと話し。ただし、後輩潰すのはアカンでぇ。」
「てーかさぁ、センセも皆も美貴を何だと思ってんの?美貴、オニや悪魔じゃないんだよ。高橋には後1点分残ってもらうんだって。」
「1点てっ?!まだ13点もあるが!!」
「お前、さっきいなかったんだっけ?も一回だけ言うから黙れ。」
試合に勝たなくていい。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:04
- 「ウチらのクリア条件を後1点・・・半分の13点取るってのにしたい。」
稲葉に頼んで、高橋の復帰とこのまま2回分のタイムアウトをまとめて取ってもらった。
それでもゆっくり話している時間なんてないけど。
焦るなよ、アタシ。
「なら・・・やっぱり今の状態で余湖と勝負出来るのは重さんの高さと藤本さんしかないと思います。」
「でも普通にやってどうにかなる相手やないで。」
「分かってんじゃん。だから重さんで行く。いい?一回しか言わないからシッカリ聞けよ!」
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:04
-
プァァァアアアン!
「「「「「「ゴロッコー、ファイッ!!」」」」」」
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:05
- タイムアウトが終わり、互録のサーブから試合再開。
全セットラリーポイント制になった今、弱小チームにはサーブ権がむしろ不利になる事も多い。
『ガキさん、職人サーブ1本頼む。』
『はい!』
そう言ってみたもののサービスエースなんて期待してなかった。
少しでも、どっか一つでも崩してくれたらラッキー。
むしろ余湖の攻撃よりサーブの方がまだ拾いやすいから、と、この1点はハナから捨てていた。
ピッ!
ソーレ!!
主審の笛と掛け声が被る。
新垣得意の速攻サーブは狙い過ぎてネットにかかり、よちよちとネットを歩いて何とか相手コートに入った。
「ナイスサーブ!」
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:05
- 新垣は苦笑していたが結果的に最高のサーブになった。
余湖学園はレシーブバカのリベロ小川がいる。
コートの後ろ半分を殆んど一人で守っていると言ってもアナガチ間違いではない。
新垣のよちよち赤ちゃんサーブはネットギリギリに落ちて、場所的にメインセッターの加護が取らざるを得ない形となった。
ついでにサブセッターの辻が出遅れ、小川の二段トスになり、破壊力抜群のエース吉澤の魅力半減。
マジで助かった。
それでも流石は次期1部のエース。ただ返すだけはせずにブロックアウトを狙ってくる。
『レシーブはれいなとガキさんの2人で取れ。れいな、後1本だけキレイなの亀井に戻して。リベロの仕事は分かってるよね?』
『繋がるレシーブっちゃね。』
『よし。』
ブロックに飛んだ重さんの中指に弾かれたボールが大きく弧を描く。
れいなが走る。ひたすら走る。
高校からバレーを始めた一年のれいなにリベロを任せているのは、素人ってのもあるけど、元スプリンクラーのこの俊足があったから。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:11
- 高校からバレーを始めた一年のれいなにリベロを任せているのは、素人ってのもあるけど、元スプリンターのこの俊足があったから。
「へっへっー♪負けんけんねー。カーァメーェ!!」
れいなの声が響く。
調子乗せたら行くとこまで行く奴だよな。ホント。
バカれいな、あの角度じゃレフトに近過ぎるだろ?ったく。
『高橋がバックセンターから飛んだと同時に美貴と重さんが開く。で、新垣・田中それぞれのレシーブフォロー完璧に入って。重さんはクイックに合わせる感じでセンターからレフトにブロード・・・』
『え?愛ちゃんバックからですか?』
『そう。悪いけど高橋飛んで。潰れるなよ。』
『は、・・・はい!』
『重さんフリーにする為の囮だけど、ボール来たら打て。ってーか打つつもりで飛べ。で、重さんも打て。美貴も打つ。』
『『はぁ・・・?』』
『何も考えずに飛んで打て!』
『『は、はいっっ!!』』
れいなの声に合わせて高橋が距離を測りだす。
そう、とにかく打て。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:11
- 『亀井は―――、』
言いかけて亀井を見た時、ちょっと引いた。
なんで笑ってんのコイツ?って。
『絵里はぁ、好きにしたらいいんですかぁ?』
『あ…、うん。そう。今話したのはあくまで美貴のシナリオだから。さっきの1本で向こうは亀井のツーがあるって印象付いてるだろうから、ツーもフェイントも含めて好きにしていい。』
直前の1点は高橋が捨て身で拾ったボールを亀井がまさかのツーで返してもぎ取ったものだった。
敵を欺くには味方から、なのか、サインも声掛けも美貴を指名しておいて自分で打ち斬った。
ラインの内側にボールが落ちた時、美貴はマヌケにもポカンと宙に浮いていた。
何するか分からない。
読めないセッターほど怖いものはない。
味方でも分かんないんだから、相手はもっと分からないだろう 多分。
最後の賭みたいなもんだな、と苦笑いが溢れた。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:12
- 亀井にボールが返る直前に高橋が跳ぶ。
センターの一枚岩・石川を飛ばして引き付ける。
重さんと美貴が開いた瞬間、ライトブロックの紺野がレフトに動いた。
――――読まれた?くそっ。
予想が狂い、美貴はつい焦って踏み込んでしまった。
重さんと一緒に飛んでこその囮。いや、重さんにマーク付いたなら美貴フリーになったのに。
これじゃ速すぎるタイミングのただの垂直飛びにしかならない。
重さんが止められる!
そう思った瞬間、目に飛び込んできた白い影。
美貴の右手がそれを捕えた。
ブロックなしのノーマーク。レシーバーも対応出来ない。
まるで光のような綺麗な残像を残し、ボールはストレートの軌跡を描きながらコートに吸い込まれていった。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:12
-
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:12
-
ピッ、ピィィィーーーーーーッ!!
主審の笛が体育館に響く。
ネット越しに見える線審の右手は、旗をなびかせながら天井に向かって真っ直ぐ伸びていた。
ボールはアウトラインを僅かに超えた。
ネッチしなくなっても入んなきゃ一緒か・・・。
なんとなく見てくれているような気がしたけれど、もし見ていなかったら凹むからベンチは見なかった。
最後はサーブで崩され、ネット近くに上がった甘い二段トスを吉澤にダイレクトで打たれて終了。
あっけないもんだった。
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:13
- 「そしたら、いったん解散してまた5時半に裏門前集合。家遠い子は送るけど、ウチの人には遅なるて言うて来るんやで〜。」
「「「 「「「オツカレっしたーーーっ!」」」 」」」
今日でこのチームは終わり。
来週からは美貴が抜けた新チームが動き出す。
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:13
- 「先輩、帰らないんですかぁ?」
たそがれていたら後ろから声がした。
振り返ると相変わらず分かんない奴がいた。
お前こそ、と聞くと「ウチ近いんです」と返ってきた。
「ふーん、じゃあ丁度いいや対面付き合ってよ。あ…、でも疲れてるか。」
「あー、大丈夫ですよぉ。」
西校舎の裏手にある体育倉庫の脇に、ハーフコートより少し大きめの空き地がある。
やれセンバツだ、やれインターハイだと体育館をバスケやバトミントンに取られて、いつもここがバレー部の練習場になっていた。
使われなくなった万国旗が常時ネットの代わりに張られていて、色あせながらも楽しそうに揺れていた。
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:15
- 「そーいえばさー、なんであんとき美貴に上げたの?」
「え?」
対面パスをしながら適当な話をしていたが、2年も学年が違えばネタもすぐなくなってしまう。
そもそも部活ばかりでドラマの一つも見ていない美貴は話題があんまり豊富じゃない。自然とバレーの、今日の試合の事を話していた。
「確かにブロック外れたけど美貴完全にフライングだったじゃん。てゆーか、あんな速いトス、ちょっとムチャ振り過ぎじゃなかった?」
フ、と息をついて、亀井は笑うとも困るとも言えない微妙な顔をした。
そのまま口を動かさない亀井に少しイラッとしながらもう一度聞いてみる。
「たまたまタイミングあったから良かったものの、普通なら完全にOUT。亀井何がしたかったの?」
別に怒ってるわけじゃない。
何だかんだ言ってもトス回しは亀井の方が巧い。
焦るとつい前にジャンプしてしまいネッチが治らなかった美貴のアタックも、亀井のトスだと嘘みたいにファールしなくなった。
だからこそ、一見試合を投げたとも思えるあのトスが気になっていた。
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:15
- 「最後に、余湖のコーチに・・・ヒカリ見せるんだとばかり思ってたんですけど、違ったんですね。」
「はぁ?、ーーッ!!」
オデコに三角を作ったままでよそ見をしたからボールが顔面ヒットした。
ダイジョーブですかぁ?と言って跳ねたボールを拾うと、亀井は話を続けた。
「滅多にない名前だし。はっきりとは覚えてなかったんですけど、あの人平家さんですよねぇ?」
この状況で出るはずのない名前を聞いて美貴は素で驚いた。
「なんで知ってんの?!」
「だからぁ、ウチ学校からチョー近いんですって。その茶色の、」
亀井が指差したのはさっきボールを取って来た体育倉庫のすぐ後ろらへん。
小さな路地を挟んで建っている茶色の8階立てマンションだった。
「近っ!?何階?」
「6階です。」
「アレ2階位だったらベランダから飛んだら学校入れるよね?」
「いや、道路あるんで。」
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:15
- ++++++++++++
誰も追い付けないんですよ!
確かヒカリ攻撃って名前で。
美貴が小学校くらいかなぁ。漫画で読んだんですけど、とにかく速いんですって。
トスは残像なんです。
バスケのパスみたいな超速の平行トスに気が付いた時には、もう相手コートにアタック決まってるんですよ!これスゴくないですか?
ねぇ、平家さん。
美貴トス出すからヒカリやって下さいよ。
美貴、平家さんのヒカリ見たいんですよ。
アタシ上げよか?
藤本のがよっぽどキレイに打てると思うで。
3年は専門バカばっかしやから経験者の藤本に任せっきりやけど、アンタのフォームはキレイやで打たしてやりたいわ。
そんなことないですよ!
美貴すぐ焦ってネッチやるから背中向けてる方がいいですもん。
ねぇ、平家さん、平家さん、、、、、
++++++++++++
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:16
-
若気の至りが鮮明に蘇って思わず赤面する。
結局、何回練習しても出来なかったアレ、見られてたんだ。ずっと?
「藤本センパイ声大きいんですもん。部屋からでも丸聞こえでしたよ。」
毎回練習終わってから平家さんと残って自主練をしていた。
美貴が1年でコーチに来てくれていたOBの平家さんが大学2年。
楽しくて楽しくて仕方なかったけれど、楽しい時間はそう長くは続かなかった。
平家さんは大学と審判の講習が忙しくなってたまにしか顔を出さなくなり、2年がいなかったので3年が抜けた後、美貴達1年だけ
での練習。
上から押さえるものがなくなるとやっぱりダラケる。
部員間の些細な言い合いが多くなり、部を去る子も増えていった。
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:16
- ――藤本、なんか悩んでるんやったら聞くで。――
誰から聞いたのか平家さんはメールをくれたけど、心配も迷惑もかけたくなくて、コレは現役の問題だからと断り続けていたらだん
だん疎遠になって行った。
意地を張っているのはわかっていたけど止まらなかった。
その内スタメンの6人を切り、試合が組めないまま1年が終わった。
後輩も入っては誰かが辞める、の繰り返しでなかなか紅白戦もまともに出来ない日々が続いていた。
去年の夏の終わり。
結局IH予選には間に合わなかったけどやっと平家さんに見て貰えるくらいには部が落ち着いてきた。
ひと月後の練習試合に向けて、コーチとまではいかなくても一回くらい見て欲しかった。
――久しぶりに会いたいです。――
美貴の素直な、本当に素直な気持ちをメールした。
送信して3秒。速攻で帰って来たのは宛先不明のエラーメッセージだった。
- 22 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:16
- 「絵里も部活したりとかで毎日全部を見てたわけじゃないですけどぉ。でも見た時はいつも、藤本センパイがいたんです。」
全部ココであった事。
そう。美貴の高校生活はずっとこの空き地にあった。
最初は平家さんと、たまに他の部員も来て、一人で来る事が多くなって、最近は亀井とよく残ってたっけ。
「まぁ、ちょっと悪趣味だったのは認めます。でもセンパイとパスしてみたくなったからこのガッコ来たんですよ。ちょっと難しかったけど。」
「あぁ、結構やばいって聞いてる。」
「ひっどーい。これでも部活辞めろって言われないように頑張ってるんですよ。」
「せめて補習で部活休まなくていい程度までなれって。ホラっ」
トーーーン。
やっぱりただ喋っているだけは居心地が悪くて。
構えたら少しも回転してないきれいなボールが返ってきた。
- 23 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:17
- 「余湖学園のコーチっていつからなんですか?」
「そんなの知らない。それにまだ4年だったと思うし。」
「ずっと先生だと思ってたんですよねー。去年も練習見に来てたから、てっきり」
「去年?誰の話してんの?」
「え?平家さんですよね?絵里が入ってからは見てないですけど、ホントしょっちゅう来てましたよ。」
「なんで…?」
「それは絵里にも…。」
もしかして?
すごく都合のいい考えが頭をよぎる。
3セット目、最後の最後までウチのタイムアウトが残ってたのはどうしてだろう?
欲しいと思った時、ブザーを鳴らしてくれたのは?
…違う。
一回目はWセッターの調整、二回目は亀井のツーが決まった時。妥当な取り方だ。
だいたいそんなの、相手チームに都合のいいタイムアウト取るとかあり得ないし。
フェアプレーが好きな平家さんらしくもない。
でも。
- 24 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:17
- 「亀井。ねぇ、こっち見てた?」
「え?」
「平家さん、こっち見てた?」
「あ、あー…。絵里、背中向けてたから…分かんない、です。」
「そっか、そーだよね。あっ、悪ぃ!」
何バカな事考えてんだろう、と自嘲したらついコントロールが鈍った。
亀井はすぐに足を動かしてズレたボールの下に入る。
オーバーで美貴に返した後、亀井の視線が動いて小さく何か呟いた。
「でも、多分…終わってからこっち見てたと思います。それで稲葉先生とちょっと話してたし。あー、アソコ。平家さんいつもあの辺から見てたんですよ。」
亀井は両手を組んだまま右に開いて、ホームランみたいに思いっ切り打ち上げた。
頭上を遥かに越えたボールを追って振り返ると、射すような西日に思わず目を細めた。
ふいに非常階段の隙間から溢れたオレンジ色が揺れて、段々と人の形になっていく。
逆光で見えないけど、もしかして。たぶん、きっと、たぶん。
- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:18
-
「ドワァ〜!なんやねん?アンタらずっとやっとったんか?そろそろ皆集まりだしたから、えぇ加減片付けや〜。」
ちぇ。
危うくボールが直撃しそうになった稲葉を見て亀井はケラケラと笑っていた。
「げ、もうそんな時間?シャワー浴び損ねた…」
「ですね。」
顔を見合わせて苦笑いをする。
もしかして、もしかして。
何だろ?ヤだな。どうしてこんな風に思っちゃうんだろう。
試合前、一瞬だけ目が合った気がした。
その瞳は以前と変わらない優しい光を放っていた気がした。
気がした。
- 26 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:18
- 「コラー!かめぇー!何遊んでんの?」
稲葉の横で亀井が飛ばしたボールを小脇に抱えたガキさんが叫んでる。
「ふぇ?!あ、遊んでなんかないですよー!」
ジャンプサーブで返されて亀井は慌てて構える。
膝のクッションを使ってボールの勢いを殺す。
ぽぉん、と上がって、落ちて来たボールを両手で捕まえた。
悔しいけどやっぱ上手いよね。
ジッと見てたらいつの間にか亀井と目が合ってた。
「あの…っ、絵里。センパイみたいにっ、センパイのヒカリ見てみたかったんです!」
「あぁ、あれセッターの特権だよね。すっごいキレイなんだろうな〜」
「…ちがくて」
「へ?」
「なんでもないです。ボール、片付けて来ますね。」
- 27 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:19
- やっぱり亀井ってよく分かんないな〜と思いながらボンヤリ皆の方を見ていたら、突然目の前に虹が架った。
夕陽に染まったオレンジの光の粒。
キレイ・・・と思った瞬間、後ろから「センパイ!」と声が聞こえて、オレンジが頭から降ってきた。
「絵里が見たヒカリ!こんな感じでしたぁー!!」
「お前っ、最悪っっ!」
まだ追い付いてない。
ボール1個分はみだした美貴のヒカリ。それを口実に会いに行こう。
キラキラと輝く美貴のヒカリに。
- 28 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:19
- end.
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 14:19
- 。..:*・゜ ゜・*:..。 . .。。..:*・゜ ゜・*:..。 . .。。..:*・゜ ゜・*:..。
- 30 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
- このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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