25 YUKI
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:26
- 25 YUKI
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:27
- 楽屋の前に絵里がいた。
いつも以上のニヤケ顔。
こいつはいつもロクでもないことをやらかしてくれる。
嫌な予感がする。
「なんしとうと?」
あたしの問いにも答えずニヤニヤしとる。
ますます嫌な予感。
黙ってドアを開ける絵里に促され、楽屋に入ったあたしはその光景に絶句した。
部屋の中は一面が雪で覆われていたから。
「…な、なん…」
呆然としてるあたしを追い越し、なぜか中央に配置してあるコタツに座る絵里。
「れーな、ここ」
それはひどく不気味で気持ち悪い笑顔の誘いだったが、ヘタレなあたしが断れるわけもなく、
おとなしく絵里の横に腰掛けた。
「あの、みんなは…」
「んー?いるじゃん」
「は?どこ?」
必死でみんなの姿を探す。
こんなわけのわからん絵里と二人きりの空間なんて耐えられん。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:27
- 「ねえ、絵里、どこに………あ…」
一人、見つけた。
恐らくロッカーだったと思われる物体の中で、必死に雪景色が描かれているスクリーンを
支えている、吉澤さん。
「よ、吉澤さん、なにしと………あ…」
もう一人、発見。
その吉澤さんの上で人工太陽と思われる照明を持っている藤本さん。
よくよく周りを見渡してみると、娘。のメンバーが部屋中のあちこちでこの雪景色を作る
手助けをしている。
ロッカーとは反対側の壁には愛ちゃんが、窓側の壁には新垣さんが、それぞれスクリーンを
支えているし、さっきからどこからか風が吹いてくるなと思ったら、小春ちゃんがでっかい
うちわで扇いでいる。
部屋の隅にあるやけにリアルな雪ダルマはどうやらさゆらしい。
左手に手鏡を持ってウサちゃんピースなんてやってるから間違いないだろう。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:28
- 「みんな、絵里に協力してくれたんだよー」
「きょ、協力って…」
「あのね、『雪』って童謡知ってるでしょ?」
「ああ、確か、雪やこんこん、あられやこんこん、とかって奴やろ?」
「うん。最後、どうなるか知ってる?」
最後、最後…。
確か、犬は喜んで駆けずり回って、猫は…ね、猫?
まさか…?
「うへへ」
今までで一番気持ち悪い笑顔を見せた絵里は、あたしに向かって猫のコスプレ衣装を差し出した。
「ねーこはこたつで丸くなるー♪」
「ちょ、絵里、待って!」
冗談じゃない。
あんな衣装、テレビ以外で着れない。
あたしは必死に打開策を探す。
「あ!い、犬がおらんちゃろ?やけん、猫もいらんて!!」
「…ちっ、うぜーな」
今、こころなしか、小春ちゃんの方から恐ろしい声が聞こえたような。
でも、小春ちゃんはいつも通りニコニコ。
…気のせいか。
「犬いるじゃん」
「はあ!?」
絵里が指をさした方を見ると、そこには…。
「ワンワン」
「ま、まこっちゃん…」
「クウーン」
いや、そんなかわいらしい声出しても、ちっともかわいくないけん…。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:28
- 「ねえ、早く着替えてよー。ねーこはこたつで丸くなるー♪はい、ご一緒に♪」
「ねーこはこたつで丸くなるー♪」
絵里の音頭に合わせて巻き起こる合唱。
敵は一枚も二枚も上手だった。
あたし程度の頭では到底叶いようがないのだ。
これ以上逆らうと何されるかわからん。
あたしはおとなしく猫のコスプレに袖を通した。
「…これでいいと?」
「ねーこはこたつで丸くなるー♪ねーこはこたつで丸くなるー♪」
止まない大合唱。
どうやら、こたつで丸くならなければ気が済まないらしい。
あたしはおとなしくそれに従った。
その瞬間、わっと沸き起こる歓声。
「良かったね、絵里!」
「亀ちゃん、よく頑張った!」
「一生懸命練習したもんねー」
どうやら、こんなくだらないことをさせるために、みんなはかなり綿密なリハーサルを
重ねたらしい。
「絵里、れいなのかわいい姿が見たかったんだー」
絵里はとんでもなくおバカさんだけど、あたしのことをそこまで思ってくれてることは
素直に嬉しかった。
そう思うと、いつもの気持ち悪い笑顔も可愛く思えてくるから不思議だ。
こたつで丸まるあたしの頭を優しく撫でる絵里。
あまりの気持ち良さにウトウトしてしまう。
あたしはどうあがいても絵里には勝てん。
まあ、それでもいいか。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:29
- 「あ、そういえば…」
「んー?」
さっきは気が動転してて気付かなかったけど、よくよく考えてみると足りない。
「ポンちゃんは?」
もう一度部屋を見渡すけど、何度確認しても、ポンちゃんの姿は見当たらない。
「あのねー、もう一回初めから歌ってみて」
絵里に促されるまま、あたしはあの歌を繰り返す。
「ゆーきはこんこん、あられはこんこん…」
「ストップ、もう一度」
「ゆーきはこんこん、あられはこ………こ、こんこん?」
その瞬間、絵里はいつもと同じ笑顔で天井を指差した。
「ごめん、れいな!」
「ふ、ふにゃあああああああああああああああああ!!」
そ し て 、 あ た し は 何 か に 潰 さ れ た 。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:29
- ・
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遠のく意識の中で耳に入るのは、絵里とさゆの会話。
「作戦通りなの、絵里」
「うん、みんなのおかげだよ、ありがとう」
「でも、一つだけ納得いかないことがあるの」
「んー?」
「あの歌、『雪はこんこん』じゃなくて、『雪はこんこ』だと思うの」
「あー、そうなんだー。まあ、いっかあ」
…おい!
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- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:30
- 大
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:30
- 成
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/06(金) 22:30
- 功
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