02 Snow of downfall

1 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:11
02 Snow of downfall
2 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:12
薄れ行く意識の中、私は窓の外を見ている。
鉛色の空からは雪が降り続いていた。
決して溶ける事の無い雪が大地を覆い尽くして行く。

「・・・・・・海」

遠くで波の音が聞こえる。
それが風の音で、たまに消えてしまう。
限りなく清潔な水を湛えた海。
生命は海から生まれた。
だから海は生物の故郷。
3 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:13
 医師や看護師が来なくなって、もうどのくらい経つのだろう。
点滴はとっくに無くなってしまい、私は自分で針を抜いた。
食べ物が無くなってからは、ウトウトとする事が多くなる。
夢か現実か判らない世界を、私は全て受け入れていた。

「・・・・・・私は・・・・・・ミキティ」

猫のキャラクターが好きだったから、友達からそう呼ばれてた。
そう、私はアイドルグループのメンバー。・・・・・・だった。
でも、それがいつの事だったのか、もう思い出す事は出来ない。
4 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:13
 無機質な風景。ここからは無機質な風景しか見えない。
別に無機質が嫌いなわけじゃない。そんな余裕なんて無い。
こんなところで、鳥でも見たら怖くて仕方ない。

「・・・・・・私が最後? ・・・・・・私で最後?」

そんな事は、もう重要な問題じゃない。
今となってしまっては。
5 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:14
 昼夜問わずに振り続ける灰色の雪。
遠くで聞こえる海は限りなく清潔な水を湛える。
聞こえて来るのは波と風の音だけ。

「・・・・・・私で最後なら・・・・・・見届けたよ」

ニューヨークもモスクワも、あの時で終わった。
ヨーロッパも東京も北京も紫の炎で消えた。
オーストラリアもアフリカも黒い雨に染まった。
窓の外に降る季節外れの雪を見ながら、
私は今、人生から開放されようとしている。
6 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:14
7 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:15
8 名前:02 Snow of downfall 投稿日:2006/01/01(日) 22:15

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