11 懸告記念日

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 16:12
11 懸告記念日
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 16:14
懸垂しながら告白っていいよね、ってきみが言ったから。

8月19日は懸告記念日。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 16:19
そんな馬鹿なことを言う相棒をあたしは冷ややかな目で見つめてやる。

「だめ?」
「だめも何もさ。何のぱくり? ハロプロじゃもう永久にステキなことは
しちゃいけないことは、のんもわかってるよね? って言うか大体今どき
俵万智なんて知ってる人いないから」

あいぼんは知ってんじゃん、と目の前の黒んぼは大げさにふてくされて見
せた。こいつはあほや。ほんまもんのあほや。せいぜいコンコンの前で懸
垂でもしくさって、派手に振られたらええねん。

でも、あたしの心には細かなささくれが立っていたこともまた事実で。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 16:27
のんが「いつか青春を振り向いた時最高の夏、そして一番美しく心に灯したい」
とかアホみたいな発言をしたのは先週の土曜日。それがどういうわけか知らない
けど、いつの間にかコンコンに告白するとかいうわけのわからないイベントにな
っていた。

最初は夏の暑さで脳みそが溶け出して流出したんじゃないかと思って放っておいた。
でも話はあたしの知らない間に具体化していって、ついにはスタジオ近くの公園で
懸垂をしながら告白するというオプションつきの話になってしまった。

そもそも、何で相手がコンコンなのだろう。
マイナーCPヲタの陰謀?旧トロモニ派の亡霊?
もう少しであたしの中のモルダー刑事(顎がアンタッチャブルの山崎)が発動しそ
うになったけど、その前にのん自身が真相を教えてくれた。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 16:34
「コンコンを骨抜きにして、のんがガッタスの正キーパーに返り咲く!」

もうね、こいつの本性見えたわって思った。
らってじまんすんらもんとか、そんな大きいお友達を惑わす言葉じゃこのあいぼんさん
は騙されない。こっちは本池上署でマサノブに近づいて高島ファミリー入りしようと思
ってるくらいなのだ。伊達に寝る前の3000イエーイは欠かしていない。

とにかくそんな邪な理由で仲間をたぶらかすなんて以ての外。
あたしはぶりんこの片割れとして、人と言う字は人と人が支えあって出来ていると言う
話からはじめた。でも、迫真の演技で床を舐めながら「ドラッグを憎め!ドラッグを憎
め!ってそらうちのホンマのおとんやがなっ!!」と乗り突っ込みをかまそうとした矢
先の話だった。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 16:46
「わかった。あいぼんさあ、嫉妬してる?」
「なっ」

思わず絶句だ。
何が悲しくて嫉妬しなければいけないのだ。
あいぼんさんは大人や。ちょっと他の子に話しかけただけで、楽屋の外で殴り合い
の自分らと一緒にすなボケが!と言いそうになるのを堪えてただ顔を真っ赤にして
いた。

「そんな顔真っ赤にしてると、またカゴックって言われちゃうよお?」

もうアカン。さすがのうちも堪忍袋の緒を杉田かおるの私生活ばりにだだ漏らしや。
うちの最後の切り札、太陽拳。これを使えるのは芸能界広しと言えどうちとオヅラ
さんくらいのもの。悪・即・断。そう念じながら自分の頭の上のベレー帽を取ろう
としたけど、なぜかできなかった。
そうこうしているうちに、のんは流れは我にありと思ったのか、こんなことを言っ
てきた。

「じゃあさ。嫉妬してないんだったらのんの邪魔すんなよ」
「あ、あったりまえやないか。せいぜい草葉の陰でのんがハートブレイクショット
食らうのを見てほくそ笑んだるわ!」

喧嘩別れのような形で楽屋を後にするあたしとのん。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:00
家に帰って、考える。

二人がフットサルのゴールキーパーの座を巡って争っていること、
そしてそれが原因で関係が悪化していることはよく知っていた。
けど、だからって何で告白なんか。
胸の中のもやもやが濃くなってゆく。

のんはあたしが嫉妬してるなんてあほなこと、言ってたけど。

戦友みたいな存在の、のん。
親友みたいな存在の、コンコン。

あたしにとっては掛け替えのない二人。
そのどちらに嫉妬してると言うのだ。

頭が混乱してきた。これ以上悩むとベレー帽の中のピクミンが絶滅
しそうだったので、おとなしく寝ることにした。続きは明日、考え
ればいい。

そして、運命の朝がやって来た。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:08
のんはコンコンを朝の10時に公園に呼び出すと言っていた。
現在の時刻は9時55分。なのにあたしはいまだ公園にたどり着け
ずこうやって走ってる。
要するに寝坊したのだ。

のんを、のんを止めないと!

トーストを口にくわえながら走るというお約束のスタイルでさえ
可愛く見えてしまうあたし。なんてことはどうでもよく、とにか
くあの色黒リボンの計画を事前に阻止することがあたしに与えら
れた命題だった。って言うか懸垂しながら告白って何なんだと今
さらながらに思ってしまった。そんなんで落ちるのは漫画の中の
イカレたヒロインくらいのものだ。

そして公園にたどり着く。
あたしが見たのは、鉄棒の真下に立つのんと、それを呆然と見ている
コンコンの姿。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:20
コンコンは果し合いでも行うとでも思ってたのだろうか、空手着
を着込んでいる。おまけに誰もがその存在を忘れつつある茶帯着
用という用意周到さだ。

「こっこっ紺野あさ美ちゃああああん!!!!!」

のんが頭から抜けるような声で叫ぶ。
これはやばい。マジで告白5秒前だ。略するとMK5。ふ、古。
自分で言ってて恥ずかしくなってもうたわ。いや、そんな乙女の
恥じらいを見せてる場合じゃない。
当ののんは女にあるまじき筋力で懸垂を繰り出し始めている。その
顔は正にゴリ…いや一生懸命だ。こんな顔をされて告白でもされよ
うものなら恋に恋するお年頃のコンコンなどあっという間にフォー
リンラブ、だいたいB型女はこういうトリッキーな告白に弱いんだ
って誰かが言ってた( ^▽^)。
もはや一刻の猶予もないのは明らか。あたしは強引な手段を取るこ
とに決めた。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:32
「とおりゃ!!」

のんが懸垂している横で、あたしも並んで懸垂。
日ごろクソ女クソ女と罵られていたあたしが今の今まで何も手を
打たなかったわけじゃない。デューク更家直伝のビデオで培った
筋力が、今爆発する。

「あっあいぼんどうして!」
「あんたのあほな計画を止めるためにはこれしかないから」
「何で邪魔すんだよ!」
「とにかく卑怯な手で相手を引き摺り下ろすなんてのんらしくない」
「うっせえあいぼんのばか!」
「ばか言うな入れ歯」
「ハゲ。魔人ブウ」
「言うたなこの霊長類最強伝説」

そんな中、コンコンが予想もつかない行動に出た。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:43
何とコンコンは、必死こいて懸垂をするあたしのさらに隣の鉄棒
で同じように懸垂をはじめたのだった。

「な、なんでやねん!」

思わず冴え渡る奈良仕込みの突っ込み。
するとコンコンは、はにかみながらこう言うのだった。

「これってあれだよね。あいぼんが私とのんつぁんを仲直りさせる
ために計画したんだよね。懸垂して汗を流すみたいに、何もかも水
に流せ、そういう意味なんだよね?」
「……アホか。これはうちら3人で、SASUKEに出るための朝練や」
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:48
そうとぼけてみたものの、内心はしめたもの。
作者的に落ちも決まって一安心と言ったところなんだろうと思った。

気がつくといつの間にか空は茜色。朝懸垂をやりはじめたはずなの
にあたしたちはいったい何時間懸垂をしつづけていたのだろうか。
まあ何でもいい。これが青春なんだ。青春なんだから色々あっても
いいじゃないか。
隣の鉄棒では懸垂のやり過ぎからかのんとコンコンが泡を吹いて仲
良く並んで寝ていた。仲良きことは美しき哉、と武者小路実篤も言
ってた。そんな中何で一番体力のなさそうなあたしが生き残ってる
かと言うと、あたしの前の鉄棒だけ身長以下の高さしかないからだ。
そんな読者的にも大して興味を引かないネタばらしをやってみた。
要するに。

笑ろとけ、笑ろとけ。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:49


П
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:50


П П
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 11:50


ПпП

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