ひねくれロボットに憧れて

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/25(月) 23:16


ひねくれロボットに憧れて

2 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:20
「ん・・・・んっ・・・。」
私が目を覚まして上半身を起こすとそこは見た事もない部屋だった。


今まで寝ていたベッドとたくさんの本が詰まっている本棚、そして
小綺麗に整えられている机。
大して広くもない部屋だけど物があまりないせいか簡素な感じがする。
それに壁も天井も全て木でできている山小屋みたいな造りのためか
余計にそういう雰囲気が強い。
私は改めてもう一度辺りを見回してみたれけどやっぱり見覚えがない。
こういう場合はとりあえず記憶のあるとこまでを遡ってみるのが良い、
ってお母さんに言われた事を思い出して実行してみた。


私はお昼前に小銭稼ぎの山菜採りに山までやってきた。
でも街の梺にある山にはシコメって呼ばれている恐ろしい化け物が
いるから、行っちゃいけないと昔から大人達に口煩く言われてた。
でも私はそんな言い付けを守るほど純真な子どもでもないので、
私はいつも通り普通に山を登った。
だって今まで何度か来たけどシコメって奴には会ったことがない。
だからそんな話は全く信じていなかったし、子どもを危険な場所へ
行かせないための親達の作り話だと思っていた。
それはいいとして、でも私は確か調子に乗って緩やかな崖に生えている
山菜を採ろうとして滑って落ちた気がする。
そこで記憶が途切れているということは気を失ったってことで、
そして現在は山小屋の一室で寝かされていた。


ってことは誰かが助けてくれてここまで運んでくれたわけで、
でもこの山に住んでいる人は誰もいないはずだった。
だってこの山は用がない限り近づく人はいないし、木こりの人や狩り
する人もいるけどあまり頻発には来ない。
それじゃ誰が私を助けてくれたのという疑問が生まれるけど答えは
すぐに出た、だって山に住んでいるのは化け物だけだから。
そのとき仕組んでたんじゃないかってくらい、最高のタイミングで
部屋のドアが開いた。



3 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:26
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
私は一生で一番大きな声を出したんじゃないかと思うくらい叫んだ。
そしてとりあえず近くにあった枕をシコメに思いきり投げ付けた、
でもそれはすぐに返ってきて自分の顔面に当り思わず仰け反った。

「いや、いきなり危ないから。」
という少し冷めた声が聞こえたので枕を退かして体を起こすと、
その人は軽く髪を横に流しながら機嫌悪そうな顔をしていた。


細められた瞳と周りに漂う高圧的な雰囲気からちょっと怖い気がした、
でも上手く言葉にできないけどどこか神秘的な感じもした。
こんな女の子は街では一度も見かけたことがなかった、だって会って
いたなら忘れるはずがない。
この人が街でたまに言われている化け物とは信じられなかった。
だって少し乱暴だけどすごく可愛いし、一目惚れってやつだと思うけど
心が惹かれているって既に叫んでる。


「し、し、しめじ!!」
「キノコ?」
私は混乱していてとりあえず指を差して街で大人達が言っている
言葉を言ったけど何か違っていて、言われたその人は顔を顰めた。

「いや、そうじゃなくて・・・・ど忘れしちゃったよ、あれだよ、
あれ!山に住んでる奴!」
私は頭を掻きながら言葉が出ないことがもどかしくて、腿を何回も
手で叩きながら答えが出なくて助けを求める。

「言いたいことは分かるよ、シコメでしょ?あたしがきっとそれだよ。」
その人は深い溜め息を吐き出すと呆れたような口調で知りたかった
答えを教えてくれた。

「あっ、そうそう、シコメだよ、シコメ!」
私はやっと胸の奥に突っかかっていたものが取れたことが嬉しくて
笑いながら陽気な調子で言った。


でも言ってからふと気になって言われた言葉を巻き戻してみた。
あまりにあっさりし過ぎていて聞き流しそうになったけれど、
どうやら噂のシコメは目の前にいるらしい。
そこまで考えが整って私は自分の立場の危うさにようやく気づいた。


4 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:30
「あの・・・・私、やっぱり食べられるんですかねぇ?」
「まずそうだから食べない。」
と私は今更遅いけど機嫌を損ねないように恐る恐る聞いてみたら、
シコメの女の人に速効で傷つく言葉を返された。

「そんなにはっきり言われるとショックなんですけど?」
さすがにそこまで言われる筋合いはないと思って少し強気で反論する。

「こっちだって自分でシコメって言わされてショックなんですが?」
けれど女の人はまた目を細めると感情の籠ってない声で言い返す。

「・・・・・すんません。」
私は完全に威圧されてしまい首を竦めながら反射的に謝った。

「別にいいよ。そういえば足は大丈夫?ちょっと見てもいい?」
でも女の人は別段気にした様子もなく軽く受け流すと、問いかけて
おきながら答えを聞く前に私の前にしゃがみ込んで足首を労るように
そっと持ち上げる。


そして右と左にゆっくりと傾けながら突然真剣な顔つきになって
足を見つめていた。
「腫れは初め見たときより良くなってるね。多分骨は折れてないと
思うし、軽い打撲程度だとは思うけど一応病院行きなよ?」
と女の人は顔を緩めると安堵の溜め息を吐き出しながら立ち上がる。



その柔らかい微笑みはとても綺麗で私は胸の奥が熱くなった。
街の大人達はみんな揃ってシコメは悪くて恐ろしいって言うけれど、
目の前にいる人は少し怖いけど全然悪い人には見えなかった。
だからきっと良いシコメなんだと思った。


5 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:32
「あの・・・・しめじさん?」
「へっ?いや、しめじじゃないから。」
「だってシコメさんって呼ばれるのは嫌ですよね?」
「まぁ、確かにそう呼ばれるのは良い気分にはなれないかな。」
私は名前を知らないから何と呼んでいいか分からなかったので、
試しに適当に呼んだらまた速効で冷静に言葉を返された。


「なら名前教えてくれませんか?しめじさんじゃ変ですから。」
私は頬を掻きながら少しだけ作り笑いしてさり気なく聞いてみた。
本当はただ彼女の名前が知りたいだけだった、でもそんなこと
言えないから上手い具合に探した口実だった。

「・・・・あたしはミキだよ。」
シコメさん、もといミキさんは一瞬顔を顰めて悩んでいたけれど、
少しの沈黙の後で名前を教えてくれた。

「あの、ミキ・・・・・ちゃんって呼んでもいいですか?」
「別に好きに呼んでいいよ。それでそっちは?」
私はかなり勇気を出して言ったのに拍子抜けするくらいあっさりと
了承を得た。
そして社交辞令なのかもしれないけど名前を聞かれた。

「あ、あぁ、はい!おがま、じゃない!小川麻琴です。」
突然だったし予想もしなかったので、私は自分の名前を少し早口で
言いながら見事に噛んでしまった。

「ふふっ、マコトか。良い名前じゃん。」
ミキちゃんは控えめに笑っていたけれど、少ししてから口元を軽く
引き締めて優しい声で言った。


6 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:37
私は怪我した足に響かないように静かに床に下ろすと立ち上がる。
「それじゃそろそろ帰りますね、あんまり遅いと心配かけちゃうんで。」
名残惜しい気もしたけど只でさえ普通より長い時間山の中にいるから、
余計な心配かけたくないので家に帰ることにした。

「ん?あぁ、帰るならこっちだよ。」
ミキちゃんはそう言うと今まで寝ていた部屋のドアを開けて案内
してくれる。
とはいっても出入り口は私が今まで居た部屋の隣で、そこには
テーブルと椅子が2つそれに小さな台所が備え付けられていて、
あと部屋の片隅に真っ黒で細長い冷蔵庫みたいな物が置いてあった。
それが何なのか不思議に思って横目で眺めていたけど、ミキちゃんが
入り口のドアを開けて待っていてくれたので少し急いで向かった。


「今日は助けてくれてありがとうございました!お礼は怪我が治ったら
またここに来てしますね?」
私は外に出ると体を反転させて向き直ると頭を深く下げる、そして
自分としては普通の言葉を付け加えたつもりだった。

「あんたバカ?あたしはシコメなんだよ?なんでまた来るわけ?」
ミキちゃんは思いきり額に眉を寄せると柄悪く問い詰め寄られる。

「いや、その、・・・・と、とにかく!シコメだろうが何だろうが
助けてくれた人にはお礼はちゃんとしないと。それじゃ、また!!」
私はその迫力に押されて言葉を言い及ばせながらも何とか勢いで
捲し立てると、最後にまた来るように告げて走って山を下った。

でもすぐにさっき自分が足をくじいたという現実を思い出し、
「痛ただだだ!!」
と突然やってきた痛みに顔を歪めると一旦止まって、足を引き摺り
ながらゆっくり山を下ることにした。


7 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:46
私の朝は結構早くて5時に起きたら顔を洗って着替える、それから
朝ご飯の支度をして外に飛び出る。
そして街外れに歩いて15分、必死で走って5分のやぐらへと向かう。
木製のやぐらは私の生まれるずっと前からある年代物で一応街の
名物ということらしい。
高さは大体7、8メートルくらいあって、はしごを登るといつも
少しだけ左右に揺れるので色んな意味でとても怖い。
そして上の2メートルに人が2人座れるくらいの狭い小さな小屋があって、
そこに備え付けられている古びた鐘を鳴らすのが私の日課だった。


毎日朝の6時と夜の5時には必ず鳴らさないといけなくて、この仕事は
街に住む子どもの仕事だった。
選ばれたら昔は名誉なことらしいけど今はそうでもなくて、選ぶのも
最近はくじ引きという安易な方法でやっている。


何にしても運悪く当ってしまった私にしてみれば睡眠妨害だった。
私は普通の子どもよりかなり忙しい毎日を送っていて、寝る時間は
とても貴重だったから。
まず普通の子と同様に学校に通って、でも終わったらすぐに近所の
工場で少しだけ働いて家に戻ったら家事手伝う。
そんなに貧しくないから働かなくてもいいんだけど、できるだけ
自分のことは自分の力で何とかしたいと思っていた。



私はやっとやぐらを登って天辺の小屋に辿り着くと溜め息を軽く
吐き出した。
そして眼下に広がるまだ動き出す前の静かに佇む街並みを見渡す。
歩いている人はいるけど街はまだ眠っている状態で、このあまり
見れない景色を見れるのがこの仕事で一番好きなところだった。


「さてと、そろそろ街を起こしますかね。」
私は小屋の中に唯一置いてある物である、置き時計を見て時間を
確かめると、小さく気合いを入れてから鐘から垂れ下がっている
紐を勢い良く引いた。


そして急いで耳を塞ぐけれど街中に響き渡るこの鈍い鐘の音は
いつものように大音量で私の頭を揺らす。
それからしばらくの間は耳の奥が痺れて少し痛いところが、この仕事で
一番嫌いなところだった。


8 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:48
「おし!それじゃ・・・・・シコメさんの住む山に行くとするか。」
私は仕事を終えて高台を降りるとはしごの傍に置いてあった荷物を
持ち、目の前に聳える山に向かって宣言した。


それから軽く飛び跳ねたり足首を回してみるけど痛みは全く感じない。
これなら走ったって飛んだって平気だと私は確信した。
ミキちゃんに会ってから2週間ぶりにやっと会うことができる。
だから本当ならこのまま学校へ行くところだけど今日は休み、
せっかく足が治ったんだからすぐにでも会いに行きたいと思った。


私はお礼を包んだ荷物をしっかりと抱き締めると山に向かって走っていった。





「はよざいます!!」
私はそう叫びながら極度に興奮しているせいで礼儀も弁えずに勢い良く
家のドアを開けた。
もしかたら寝てるかもしれないとか全然考えていない。
とにかくミキちゃんに会いたくて、胸の高鳴りが押えきれなかった。

「来るとは聞いてたけど朝は早過ぎだから。」
ミキちゃんは初めて会ったときから変わらずに冷めた口調で言うけれど、
その顔は少し呆れながらも笑っていた。


9 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:51
「これ食べてください!」
「何?今の常識的な意見はあっさりと無視?」
私は勝手に家の中に入り込んで抱えていた荷物を差し出すと、
ミキちゃんは顔を顰めて不満そうな声を上げる。

「まぁまぁ、料理は結構自信あるんで食べてみてくださいよ。あっ、
あと近所のおばさんからリンゴ貰ったのでついでにどうぞ。」
この間は迫力に押されて言葉を濁していたけど、久しぶりにあった
せいか威圧感も結構平気で私はテーブルの上に勝手に荷物を広げる。

「いや、気持ちはすごく嬉しいんだけどさ・・・・・なんて言うか
食べなくてもあたしは平気って感じだから。」
だけどミキちゃんは困惑した顔つきになって少しの間考え込んでいた、
でも苦笑いしながらやんわりと断わられる。

「そんらこといっふえるとおおくなれらせんよ。う、うん!・・・・
それともご飯嫌いでした?朝は絶対パン派みたいな?」
私は山を走って登ってきたせいか小腹が空いて自作のおにぎりを
食べながら喋った、そして食べ終えると情けないくらい弱気な声で
問いかけた。


10 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:54
「そうじゃなくてさ・・・・う〜ん、まぁいいか。」
ミキちゃんはその言葉に最初はまた困った顔をしていたけど、
頭を軽く掻いてから作ってきたおにぎりを一口だけ食べてくれた。

「お、おいしいじゃん!これ。」
「本当ですか?いやぁ、朝がんばった甲斐がありましたよ!」
そして少しして感想を言ってくれたけど何だかぎこちなくて無理して
いるのは誰が見ても分かる様子だった。
でも無理してまで食べてくれる優しさに胸が熱くなって、私は精一杯の
笑顔と明るい調子で言葉を返した。

「そういえばさ、今更だけどこんな朝早くにここに来てもいいの?
家族の人とかに心配しない?」
ミキちゃんは口角を少しだけ上げて笑っていた、だけど不意に
思い出したように質問してきた。

「大丈夫ですよ。お母さんは・・・・隣の街の病院に入院してるし、
父さんは遠くの街に出稼ぎに行っていて家にいないですから。
まぁ、一緒に暮らしてるおばぁちゃんは心配しそうですけど。」
私は軽い溜め息を吐き出すと顔を俯けてからいつもより低い声で
答えた。

「ふ〜ん、そっか。」
でもミキちゃんは特にそれ以上話を追求することなく頷きながら
興味なさそうな声で相槌を打つ。
普通こういうこと言うと褒められたりするけど、こうして素っ気ない
言葉を返されるのが少し悲しかったけどすごく嬉しかった。


11 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/25(月) 23:56
「・・・・それより山菜の生えてる場所知らないですか?
なかなか良い場所が見つからなくて困ってるんですよねぇ。」
あまりこの話題については話したくないので私は話題をすぐに変える。

「そう言われる気がして探しといたよ。案内するけど今から行く?」
「はい!速効行きます!」
ミキちゃんは照れくさそうに笑いながら家の入り口のほうを親指で
指し示す。
私は断る理由がないので元気良く返事するとドアに向かって走った。




「マコト、顔が泥で真っ黒になってるよ?」
ミキちゃんは木の蔓で編み込まれた籠を下ろすと何気なく私の方を
見ると、笑いながら手で軽く鼻の辺りを拭ってくれる。

「ミキちゃんだって結構汚れてるよ。」
私も籠を地面に置いて木の根っこに腰を下ろしながら指差して笑う。
それから互いに顔を見合わせてから2人して今度は大声で笑った。


そのときやっぱり好きだなって改めて真面目に思って胸が騒いだ。


そして太陽が真上から少し傾いてきたところでお腹も空いてきたし、
山菜もかなりたくさん採れたのでそろそろ帰ることにした。
ミキちゃんが途中まで送ってくれるというので素直に頷いて、
近道を教えてもらいながら山の中腹ぐらいまで一緒に帰った。
本当は梺まで行きたいけどそれが出来ないのは分かってるし、
わがまま言って困らせたくないので言葉を呑み込んだ。


12 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:00
「それじゃ、また。」
私は持ってもらっていた籠を受け取って何とか片手で支えると、
空いたもう一方の手で手を振りながら別れの挨拶を言った。

「また来るつもり?」
ミキちゃんは腰に手を当てると軽く溜め息を吐いて、わざと顔を
顰めて面倒くさそうに言い返す。

「えー、いけないんですかぁ?」
「別に。来たかったら来ればいいんじゃないの?」
私は不満の声を上げるとミキちゃんに平然と素っ気ない言葉で答える。
でも言葉はちょっと冷たいけどその顔は笑ってて、素直じゃないけど
そういうところも好きだった。


「それじゃ、また。」
私は嬉しくって顔の緩みが抑えられずに笑いながら軽く頭を下げてから、
背を向けて歩き出した。
でもちょっと経って後ろに振り返るとミキちゃんは苦笑いしながら
手を振っていて、私も手を振ろうとしてまた片手で籠を持とうとしたら
今度は重さに手が耐えられなくて落としそうになってしまう。
ミキちゃんを見たら腹を抱えながら笑っていて、私もとりあえず
笑っていたけど内心はかなり恥ずかしくってすぐに逃げるように
山を下りた。




でも家に帰ったらおばぁちゃんにすごく怒られて、学校の先生にも
思いきり怒られて、よく分からないけど幼なじみにも怒られた。
怒られ続きでかなり疲れたし落ち込んだけど、遠くに聳え立つ山を
見たら暗い気分が少しだけ和らいだ。


13 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:03
でも学校を無断で休んで行方不明になっていたせいで、私は2週間
の外出禁止になってしまい山へ行けなくなった。
それがようやく解けたのでまた朝に行こうと思ったけど、それじゃ
二の舞になってしまうと寸気づいて今度は夜行くことにした。



そして私は懐中電灯を片手に暗い山道をたまに転びながら登っていた。
夜来たらミキちゃんはどんな顔するかな、なんて考えると自然に足と
鼓動が早まって今すぐ翼が生えて飛んで行けたらいいのにと思った。

そしてやっと山小屋が見えてきたと思ったらどこからか歌声が
聞こえてきて、耳を澄ますとそれはどうやら山の山頂のほうから
だということが分かった。
こんな場所で夜に誰が歌っているのか気になって、陽気なその歌に
導かれるように私は山頂を目指して歩き出した。


それから少しして頂上に着くと歌声ははっきり聞こえるようになり、
黒い2つの人影が見えてきた。
歌の邪魔をしては悪いのでゆっくりと近づくと月の光ははっきりと
2人の姿を照らし出していた。
でもその姿を見て私はかなり驚いて声を出しそうになり慌てて口を
押さえた、だって2人ともよく知っている人だったから。
1人は酒場で働いている亜弥ちゃん、歌が上手くて可愛くてお客さん
から好かれる看板娘。
学校が同じだからよく話すしたまに遊ぶこともある友達の1人だった。
そしてもう1人は私が密かに好意を抱いているミキちゃんだった。
2人がどういう関係か知りたかったけど話し掛ける勇気がなくて、
とりあえず私は近くの岩に身を潜めて2人の様子を伺うことにした。


14 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:07
4、5メートルはある大岩を背にして亜弥ちゃんは陽気な歌を
歌っていた。
でもその歌はよく分からないけど何だかいつもと違う気がした。
そしてミキちゃんはその横でとても楽しそうに笑っていた。
私と話しているときだって笑っているけど、亜弥ちゃんに向けている
ものとは全くの別物だった。
自然と微笑んでしまっているその顔は見たことのない表情だった。
ミキちゃんの目は優しく細められていて、その笑みには愛しさが
込められていた。
どうしたらそんな顔ができるのか答えを出すのはさほど難しくない。


私は下唇を強く噛み締めると足音を立てないように静かに後退りして
その場を後にした。
それから山小屋を過ぎたぐらいで一気に全速力で走り出した。
暗い山道をかなりの早さで駆け下りながら案の定、というべきなのか
途中で石に躓いた。

かなり勢いのあったせいでそのまま地面を体が転がったけど、
進行方向上に木がありそれに当ったお陰でそれ以上転がらずに済んだ。
しばらくそのまま倒れ込んでいたけど、いつまでもそうしているわけに
いかないのでゆっくりと上半身を起こした。
月の光で淡く照らし出された私の体は全身傷だらけで、今になって
ようやく痛みが襲ってきた。
だけど本当に痛くて苦しいのは体の方じゃなかった。


「痛ったいなぁ・・・・・・。」
私は手で目の辺りを覆って熱い雫を押えながら何とか絞り出したような
声で呟いた。
そして軽く目元を擦ってから顔を上げると、何気なく目に入った
丸いはずの月がぼやけて欠けて見えた。


15 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:15
私は何とか家に辿り着くとおばぁちゃんは傷だらけの姿を見て初めは心配してくれだけど、医者から帰ってきたらこの間の倍は怒られた。
怪我のほうは転がって木に突っ込んだのに思ったよりもひどくなくて、擦り傷と右肩の軽い打撲だけだった。
そして再び外出禁止令が発令されて今度は1ケ月と期間が延長された。
でも別にそれでも嫌だとは思わなかった。
だってもう出掛ける必要がなくなったんだから期間が伸びたって関係ない。
シコメが住む山に私はきっと二度と行くことはない。

そう思っていた、亜弥ちゃんが結婚するって幼なじみから聞くまでは。
この13日間はミキちゃんの事を思い出さないようにしてそれなのに、
学校でそれを聞いたら居ても立ってもいられなくなって私は教室を抜け出した。
そしてミキちゃんに教えてもらった近道を通っていつものように走って
山小屋へと向かう。


でもいざ小屋の前に来たら緊張してきて、何度か深呼吸を繰り返して生唾を
呑み込んだ。
考えてみればちゃんと会って話すのは1ケ月ぶりぐらいだった。
何を言っていいか分からないし目を見て話せる自信はなかった、だけど私しかミキちゃんを励ましたり慰めてあげることはできない。
そう思ったら自然と緊張が解れてきて、最後に深い溜め息を吐き出してから
家のドアを3回ノックした。
するとすぐにドアが開けられて中からミキちゃんが顔を覗かせる。

「なんだマコトか、礼儀正しくノックなんてするから誰かと思った。」
一瞬落胆したような顔になったけど、すぐに言葉では悪態をつきながらいつものように顔は笑った。
でもその笑みも今日はどこか物寂しそうに見える。
ここに来てほしいのはお前じゃないって言われたみたいで、胸が少しだけ
締めつけられて痛かった。
16 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:18
私は中に通されてとりあえず椅子に座る、ミキちゃんは台所に立って
お湯を沸かそうとしていた。
そしてやかんを火にかけたら戻ってきて向い合せに置いてある椅子に座る。

でもお互い話し掛けることなく沈黙が部屋を重く支配していた。
時計の針だけが動いて時間だけが無駄に過ぎていく、私はこのまま
黙ってても何も始まらないと思い勇気を出して声を掛けることにした。


「久しぶりですね・・・・・。」
けれどどう切り出していいか分からず当たり障りのない言葉になってしまった。

「そうだね。っていうかもう来ないのかと思ってたよ。」
ミキちゃんは浅く息を吐くと自虐的に笑いながらぶっきらぼうな
口調で言った。

それから沈黙がまた続いてそれに押しつぶされそうになり私は顔を俯けた。
でも何か言わなきゃダメだと思い直してゆっくりと口を開いた。
「来ないつもりでした。でも亜弥ちゃんが結婚するって聞いたら、ミキちゃんどうしてるかなって考えちゃって、そうしたら学校飛び出してここに来てた。」
そして私は言葉の最後に顔を上げて歯を見せて笑った。

「アヤちゃんとは・・・・知り合いなの?」
「友達です。まぁ、それは本人から直接聞いたわけじゃないですけど。」
「そうなんだ。」
ミキちゃんは亜弥ちゃんって言葉を聞いて少し動揺しているようだった。
初めて見るその様子は私を切なくて苦しい気持ちにさせる。
でも言わなきゃダメだ、好きだからこそ言ってあげなきゃと自分を
励まして奮い立たせる。


17 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:19
「好きなら言えばいいじゃないですか。」
と私は深く息を吐き出してから目を逸らさずに見つめてはっきりと言った。

「えっ?」
ミキちゃんが目を見開いて驚きの声を上げたと同時に火にかけていた
やかんが甲高い音で部屋中に鳴り響いた。

それを口実にして逃げるように席を立つと台所に向かい火を止める。
「好きっていうんじゃないよ。それにあたしはシコメだしロボットだし、
そう思ってても言えるはずないしね。」
とミキちゃんは背を向けて作業をしながら感情の籠ってない声で
さっき言ったことに対して答えた。
でも言葉とは裏腹にその背中は何だか寂しげでとても小さく見えた。

「ロボットなんですか?」
でも私は今聞いた台詞を思い出してふと疑問に思ったので聞いてみた。

「つい勢いに任せて言っちゃったけどそうだよ、胸触ってみな。」
ミキちゃんは振り向くと少し気まずそうな顔をしながら自分の方へ
来るように手招きしながら言った。


18 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:21
「・・・・・小さいですね。」
とちょっと緊張しながら右胸を触って素直な感想を言ったら無言で
殴られた。
頭を擦りながら改めて左胸に手を当てると心臓の鼓動を全く感じない。
言われたときはあまり実感がなかったけど手に何の振動も感じないのには
やっぱり驚いたし凄いなと思った。

「そういうこと。こんな奴に好かれて嬉しいはずないじゃん。」
ミキちゃんは軽く溜め息を吐き出してから開き直ったようにあっさりと
言い放つ。

「亜弥ちゃんはそういうの気にしないと思いますよ、多分。
だから例え宇宙人でも男でも関係ないですよ、ミキちゃんはミキちゃん
なんですから。なんていうかぁ、好きならそれが全てじゃないですか!」
上手く伝わっているという自信はあまりないけど一生懸命訴えかけた。

「好きならそれが全て・・・・・。」
ミキちゃんは面喰らったような顔をして私の最後の言葉を復唱する。

「用は形じゃなくて心ですよ!恋はハートが大事なんですよ、そして愛、
っうかラブがあればオールおっくぅけいですって!!」
もう既に自分が何言いたいのか分からなかったけど、最後に親指を
立てながら笑顔で強引に話をまとめた。
でもすぐにやっぱり全然伝えられなかったことに項垂れながら落ち込んだ。


19 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:23
けれどいきなり背中を思いきり叩かれて何かと思って顔を上げる。
「バカって人からよく言われるでしょ?」
とミキちゃんは小馬鹿にするように鼻で笑ってから冷めた口調で言った。
それは私が知っているいつものミキちゃんだった。

「まぁ、よく言われますねぇ。っていうかミキちゃんに初めて
会ったときにあんたバカでしょって言われましたし。」
体を捩って背中を擦りながら少し考えてから思い当たる節があるので
悲しいけど認めた。

「そういえばそっか。でもさ・・・・・嫌いじゃないよ、マコトのこと。」
ミキちゃんはあっさり納得してから急に顔を俯けて、何とか聞き取れる
くらいの小さな声で呟いて言葉を付け加えた。

「あはは、それもよく言われます。」
言われたその言葉がすごく嬉しくて耳たぶが熱を持つのを感じたけど、
私は誤魔化すように冗談を言って茶化した。

「絶対ウソだね、っていうか自信過剰だっうの。」
そうしたらミキちゃんに速効で否定されて額を指で軽く小突かれた。


20 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:26
「本当にひどいこと平気で言うなぁ、ミキちゃんは。」
私は相変わらずの毒舌には慣れたので笑いながら言葉を返した。

「ロボットだからじゃないの。それよりもお茶飲んでいけば?」
ミキちゃんは皮肉を言いながら軽く受け流すと、入れてくれたお茶を
テーブルに運びながら言った。

「そうしたいんですけど工場で働く時間に遅れるわけにはいかないんで、
せっかく入れてもらったのに本当にすいません。」
私は誘いを受けたかったけど首を横に振って断ってから頭を下げる。

「全然気にしなくて良いよ。」
「それじゃ・・・・・その、えっと、がんばってくださいね。」
「うん、よく分からないけどがんばるよ。」
ドアの所まで見送られて最後に良い事を言いたいけどやっぱり無理で、
それでもミキちゃんは少し呆れたように笑いながら頷いてくれた。

「あ、あの!本当は・・・・・・ずっと友達になりたかったです!!」
私は外に一歩足を踏み出してから思い切って告白しようと思って
振り返った、でも色んなことが頭の中を過って直前で言い止めた。
もう幼ければ自分の想いを押し付けたと思うけど、自己中でわがままな
子ども時代は通り過ぎていた。

「ん?その友達って定義がいまいち分からないんだけど、あたし達の
関係ってそうじゃないの?」
それを聞いたミキちゃんは小首を傾げてから不思議そうな顔して言った。

「そうですよね・・・・変なこと言ってすいませんでした。それじゃ、また!」
私は口角を無理矢理上げて笑みを作るとまた頭を下げた、そして大きく手を
振りながら別れの言葉を叫ぶとその場を後にした。
何度も後ろに振り返りたいって思ったけどきっとその顏を見たら
泣いてしまう気がして、私はまっすぐ前だけ見て急いで山を下りた


21 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:29
そのためか工場には何とか間に合うことができて安堵した。
そして仕事が終わったら鐘を鳴らしに行っていつもはそのまま家に
帰宅するけど今日は何だか帰りたくなくて、私は鐘を鳴らし終わっても
まだやぐらの天辺の小屋にいた。
そして柱に寄りかがりながら明かりが灯った街を見つめていた。
白い煙が次々と立ち上り時間が経つにつれて徐々に賑やかさを増していく、でも普段はその雰囲気が好きなのに今日は街の喧噪が少し耳障りだった。
私が呆然とそんな様子を眺めていると1人の酔っぱらいのおじさんの
歌声が聞こえてきた。
それは大して上手くもないけどそれは亜弥ちゃんが歌ってた曲で、それを
とても楽しそうに歌っていた。
それを聞いたら突然目頭が熱くなって視界が歪んで街の明かりが滲んだ。


「う、うっ・・・こんな・・とき・・に・・うたう・・な・よ。」
私はよく分からないけど苛立ちが治まらなくて小屋の柱を思いきり
叩いた、そうしたらすごく痛くてその場にしゃがみ込んだ。
一度涙が溢れて頬を伝ったらもう止まらなくて久しぶりに声を上げて泣いた。



22 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:31
それからどれくらいの時間が経ったのか分からないけど、やっと涙が
止まって目元が腫れて少し痛くなった頃にはもう既に外は暗かった。
私は膝を抱えて座り込むと深い溜め息を吐き出して膝の間に頭を埋めた。
そんなとき地震でもきたように突然高台の小屋が微かに左右に揺れる、
それは誰かが登ってきたという合図だった。

でも立ち上がってその人物を確かめる気力なんてなくて、例えそれが
私を怒りに来た人だとしてもどうでもよかった。
けれど小屋に現れたのは大人じゃなくて女の子だったから予想外の
ことに驚いた。
それも私のよく知っている子で、幼なじみの辻希美ことのんちゃんだった。


「きっとここじゃないかと思ったんだよね。」
のんちゃんは小屋に入ってくるなり軽く溜め息を吐き出すと呆れ顔で言った。
私は言葉を返すことなく顔を上げることなく膝に埋めたまま黙っていた。

「泣いてたの?」
「うん。」
のんちゃんは隣に腰を下ろしてから母親が子どもように諭すように
優しく柔らかな声で問いかけてきた。
そのとき不意にお母さんのことを思い出してしまって、私は幼い子どもに
戻ったように小さく頷いてから一言呟いた。


「麻琴のおばぁちゃんがかなり心配してたよ?」
「うん。」
「でも鬼みたいな顔してすんごい怒ってた。」
「うん。」
「太陽が眩しいね。」
「うん。」
だけどのんちゃんの言葉が聞こえているのに頭が理解してくれなくて、
私は生返事を何度も繰り返していた。


23 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:33
「・・・・気づいてない思うけど、実は麻琴のことずっと好きだった。」
のんちゃんは一旦言葉を止めるとさっきまでと同じような普通の口調で
何気なく言った。

「うん・・・・・・・うえっ!?何それ?本当?」
だから私は思わず聞き逃しそうになったけど、少し経ってから
ようやく頭が働いてきて驚いて目を見開きながら問い詰めた。

「それより何か歌わない?」
「いや、今の言葉どういう意味?本当にそうなの?」
けれどのんちゃんは私の問いを無視して急に立ち上がると伸びをし始めて、
私は尚も問い詰めたけれど全く相手にしてくれない。

「それはいいじゃん。とにかく歌おうよ。歌ってすごいんだよ?
自分の気持ちを相手に飛ばせられるんだから。」
のんちゃんは深い溜め息を吐き出してからまた軽く受け流すと、
勝手に盛り上がって楽しそうに誘ってくる。

「今は歌いたくない!」
けれど私は床に腰を下ろすとで膝を強く抱え込んで断固拒否した。
歌なんてもう聞きたくないし歌いたくもなかった、きっと悲しくて
嫌な気分にしかならないから。


24 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:36
―――みんなで歌おう 心をひとつにして
でものんちゃんはそんな私の気持ちも知らずに1人で突然歌い出した。
その歌は学校で習ったやつだから当然知っている曲だった。
だけど今は歌を聞くとミキちゃんと亜弥ちゃんの楽しそうに歌ってる姿が
思い浮かんで、それは私の胸を締め付けて痛くてまた泣きそうになる。


―――悲しいときも 辛いときも
のんちゃんは背筋をまっすぐ伸ばして前を向きながら真剣に歌ってた。
幼なじみだから歌っているところは聞いたことがあるし、意外に
上手いことも昔から知っている。
いつもなら一緒になって歌っていたけど今の私には歌えない。


―――みんなで歌おう 大きな声を出して
のんちゃんは突然こちらに振り向くと八重歯を見せながら楽しそうに歌う。
初めはその顔が見れなくて目を逸らした、けれど歌に誘われたように
少ししてから視線を向けた。
その顔はあの夜に見たミキちゃんと同じ顔をしていた。


―――恥ずかしがらず 歌おうよ
のんちゃんは中腰になると歌いながら私に向かって手を差し伸べる。
私は最初何だかちょっと怖くてその手を掴もうかどうか迷った。
でも2人が歌っていたみたいに楽しそうに私も歌いたかった、
そして歌なら内に秘めたこの想いも口にできると思った。

25 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:39
私は手を掴んで強く握るとのんちゃんに引き上げられて立ち上がる。
―――心燃える歌が きっと君のもとへ
いきなり歌ったから音程が取れなくて外してちょっと恥ずかしかった。
横を見るとのんちゃんが堪えきれずに笑っていて、そのために歌が
掠れてせっかくのサビなのに全然決まらなかった。


―――きらめけ世界中に 僕の歌を乗せて
それから何とか持ち直してお腹の底から声を出すと、胸の中にある
想いをあるだけ詰め込んで歌う。
そのときちょうど山に向かって風が吹いたからついでにこの歌を
乗せていってほしいと思った。 


 ―――きらめけ世界中に 届け愛のメッセージ
最後のフレーズで2人の声は綺麗に重なって余韻を残しながら空に
溶けていく。
歌い終わると私とのんちゃんは互いに座り込んで長い息を吐き出した、
でもすぐに顔を見合わせて大声で笑った。
それから少しして2人とも笑い疲れたところで、私は1人立ち上がると
山の頂上を見ながらミキちゃんに今の歌が届いたことを願った。


「っていうか絶対に受け取れ。」
と頭を掻きながら苦笑すると少し不安なのでそう呟いて付け足した。





おわり
26 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:39



27 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:40



28 名前:ひねくれロボットに憧れて 投稿日:2005/04/26(火) 00:40


時間内に終わらなくてごめんなさい



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