16 メロンパン
- 1 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 12:15
- 16 メロンパン
- 2 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 12:27
- 天気のいい午後。
辻、加護、紺野、小川の四人は森の中で森林浴に耽っていました。
比較的有名人な四人ですが、この森は滅多に人が近づくこともなく、人目を
気にする必要などありません。
「あのさあ」
そう言ったのは、加護でした。
「何、あいぼん」
面倒くさそうに訊くのは辻。
「実はね、オレンジ…」
加護の口からよもやの言葉が。三人は顔を真っ青にして慌てふためきました。
「いや、誰しも一度はそういう間違いあるからっ!」
小川は近所のおばさんのように大げさに手を振ります。
「? さっきここに来る途中でオレンジ色の池があった、って言おうと思っ
ただけだけど…」
どうやら三人の思い違いだったようです。緊張感からの開放のためか、辻は
少しだけお漏らしをしてしまいました。
オレンジ色の池とはまた不思議な。
とにかく、見に行ってみよう。そんな紺野の提案によって、四人は加護の言
う池のあった場所まで戻ることにしました。
- 3 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 12:35
- 数分後。
四人は池のほとりに着きました。
目の前には、オレンジ色に染まった水面がゆらゆらと揺れています。
「本当にオレンジ色だ…」
紺野は目を丸くして言います。小川に至っては驚きで普段から開きっぱなし
の口がぽっかりと開いたままです。
「ねえねえ、もしかしたらオレンジジュースの池かもしれないよ?」
「またあんたはそんなアホなことを」
辻の幼稚な発言に、加護は諦めにも似た突っ込みをします。そこへ、
「あはは、のんちゃんは頭が弱いなあ」
という小川の心無い一言。辻の心は海よりも深く山よりも高く傷つきました。
確かに辻は頭の弱い子でしたが、それを言ってしまっては身も蓋もないのです。
「このやろー、おりゃー!」
勇ましい掛け声とともに、小川を池に突き落としてしまったのです。
- 4 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 12:43
- 憐れ海ならぬ池の藻屑に消えてしまった小川さん。
「王大人、死亡確認!」
紺野がマニアックな小ネタを披露してるのを無視して、辻は懐から取り出した
釣竿を池の水に垂らすと、松方弘樹もびっくりの小川麻琴一本釣りを決めたの
でした。
というわけで無事生還した小川でしたが、明らかに池に落ちる前の小川ではあ
りませんでした。と言っても劇的に痩せたわけでは決してなく。
何と言うか、全身きんぴかになっていたのです。
「どうしたのまこっちゃん!」
紺野はそう言って、小川の全身をぺたぺたと触ります。そして身動きのできな
くなった小川を小脇に抱えると、猛ダッシュで森の向こうへと消えてしまいま
した。
一体、何が起こったというのでしょうか。
二人はいっしょうけんめい、考えました。
- 5 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 12:52
- 「あれだよ、あれ!」
加護が何かを思い出したのか、そう言って目の前の辻を揺さぶります。
「あれって何だよ! のんはおめーの女房だから何があれなのかわかんねーよ!」
わけがわからないので、理不尽なことを言いながら辻は切れまくりです。
「だからあ。昔話か何かで、斧を池に落とした木こりに『あなたが落としたのは
金の斧ですかそれとも銀の斧ですか』って女の人が聞くあれだって」
「でも落としたのは斧じゃなくてまこっちゃんだし、女の人なんていないじゃん」
「このバカ女が! そんなんものの例えやんけ! 小川が池に落ちて金になった、
ほんで紺野は貴金属店に走った、これで充分やろっ!!」
目の前のアホに堪忍袋が何とやら、思わず関西弁になってしまいます。
「つまり、この池は落ちたものを何でも金にする魔法の池ってこと?」
「たぶん」
辻はさっき自分が使った釣竿を手にとって眺めます。池の水に浸かった部分が、
金色に染まっていました。
- 6 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:01
- 辻は、邪な視線を加護に投げかけます。
自分がこれから何をされようと感づいた加護は、あせりました。
「うっうち最近ダイエットしててな、あれから大分体重減ってん! もう三倍と
ちゃうねん! 貴金属店に持ってっても大した額で売れへんて!」
説得力ゼロの言葉に、辻はまったく耳を傾けません。
「さよならあいぼん。金になって細木数子のぶっとい指に嵌める指輪になっても、
のんはあいぼんのこと忘れないから」
「そ、そんなん嫌や! 近所のじーさんの金歯になるのと同じくらい嫌や! そ
れよりええ話あるねん! うちを貴金属店で売っ払うよりも、金になる話やで!」
辻の動きが止まりました。
加護は巨神兵が止まったことを知ったババ様のように安堵のため息をもらし、それ
から辻の耳元に囁きかけました。
「今から、あいつを呼べ。方法は任せる」
- 7 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:12
- 「♪すっごいね こおれが恋かっ、気持ちいぃ〜」
変な歌を歌いながら池にやって来たのは、今やダメプロデューサーとして名高
い、つんくでした。
「本当に来た! のん、どうやって呼び出したの?」
「ここにエースがいる、って言ったら『ホンマか! やっぱ俺の睨んだ通りエ
ースはおったんや!!』って言ってた」
そんなのでほいほいやって来るなよ、と思いつつ加護はこれであの計画が実行
できるという喜びに打ち震えています。
「おーい辻ー、エースはどこにおんねん。もし自分がエースやなんてアホなこ
と言うたら、俺がいかに仏のつんくさんでもシバキ倒すでえ」
池のほとりでうろうろするつんく。
「で、これからどうするの?」
「ええからええから。とりあえずのんはそれ持ってて」
所在なさげな辻にそう言い聞かせると、加護はすぅと息を大きく吸い込み、
「ブーメラン屋ーーーーーー!!!!!!!」
と叫びました。
- 8 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:24
- すると、ブーメランパンツを履いただけの男が茂みの中から姿を現し、2m
はあろうかという巨大なブーメランをつんくに向かって投げつけました。
ブーメランはつんくの頭を掠めて遥か彼方へ。ちょうど脳みそが露出した状
態になったつんくはそのまま池のある方向に倒れてしまいました。
「あわわわ、つんくさん死んじゃった…」
目の前の光景の壮絶さに、辻はまたおしっこを漏らしてしまいました。
倒れた拍子に、つんくの頭から何かがころりと転げ落ちます。脳みそ
です。さすが本体の趣味の悪さに比例して、けばけばしい色をしてい
ます。
「あっ! 落ちちゃう!」
つんくの脳みそはおむすびころりん、今まさに池の淵に転がり落ちる
ところでした。
「のん! 脳みそ落ちたら手に持った虫取り網で掬って!」
加護の指示を受け、辻は猛ダッシュで池のほとりまで走ります。
ぽちゃん、と脳みそが落ちてからわずか数秒、見事辻の手によって脳
みそが水揚げされました。池の水の魔力によって、脳みそはぴかぴか
の純金製に変わっていました。
「それをつんくの頭に入れて!」
辻は網の中の脳みそを乱暴に掴んで、つんくの空っぽの頭に詰め込み
ました。そして近くに転がっていた頭の皿を穴に被せました。
- 9 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:32
- 「うーん…俺、何してたんやろ」
つんくが目を覚ましそうな気配を見せたので、二人は慌てて近くの茂みに
姿を隠します。
つんくはむっくり起き上がり、やがて雷に打たれたかのように体を痙攣さ
せました。
「来てるよ、来てるよ! 忘れかけてた作詞のイメージが浮かんできたで
えええええ!! ラブマ再びや! これから忙しくなるでえ!」
スキップをしながら、軽やかにその場を去ってゆくつんく。
「…どういうこと?」
「金の脳になったことで、つんくさんの元はなかった才能が開花したんだ
よ。第二のラブマシーン、いやそれ以上の曲が作れるかもしれない。こん
こんは目先の利益に囚われたけれど、あいぼんたちは間接的に大金を掴む
ことができる…」
不敵な微笑みを見せる加護。しかし、辻はさらにその上を行っていた。
「じゃあさ、のんたちの脳が金になったらさ…もっと凄いことにならない?」
二人はしばらく見詰め合って、それから、
「ブーメラン屋ーーーーーーーーー!!!!!!」
と叫びました。
- 10 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:39
- 再び現れる、ブーメランパンツの男。力強く投げられたブーメランは、辻加護の
頭の皿を仲良く切断していって、空の彼方へと消えていきました。
「…あ、あかん、早よ池まで行かな」
当然と言えば当然ですが、二人には死の危険が迫っていました。ふらふらとした
足取りで池のほとりまで歩くと、その場に跪き倒れました。
ころん、ころんと転がる音二つ。
二人は脳みそが池に落ちる音を確認してから、両手でそれを掬い取ろうとしまし
た。ところが。
「あれ、あれ、うちの脳みそ、うちの脳みそ」
「のんの脳みそが、ないよ…」
二人は両手を懸命に動かしますが、手のひらは水を掻くばかり。
そうです。
彼女たちの脳みそはあまりにも小さすぎて、手のひらで掬うことができなかった
のでした。
- 11 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:40
-
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
- 12 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:45
-
「今日のマイフェイバリットトリビア『ウォークマンのイヤホンを不完全に挿
した状態でハロプロの曲を聴くと、変なおっさんのコーラスだけが聞こえる』
には銀の脳を…って八嶋くん、これ金の脳じゃないか」
「おかしいですね…それにしても今日の金の脳、小さいなあ…」
- 13 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:46
- 。。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/03(木) 13:46
- 。。
- 15 名前:16 メロンパン 投稿日:2005/02/03(木) 13:47
- 。。
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