46 しあわせの予感
- 1 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:36
- 46 しあわせの予感
- 2 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:41
- 今日はわたしが作るんだと梨華ちゃんは息巻いていたものの、
その余りにも行き過ぎた自己流調理法に見ていられなくなったごっちんが
結局は夕食のすべてを手がけた。
「もー、できたのにさー」
「いや、ムリだから」
ごっちんはパスタを器用にフォークを駆使して口に運ぶ。
「できるもん、わたしにだって」
口をとんがらせて、梨華ちゃんは言った。
「だからー、できると思ってるうちは、できないって。やりたいけど、
自分にまだできないんだって自覚して始めていろいろ学ぶわけでしょ、
人間って。梨華ちゃんさー、そもそも、料理に興味あるわけ?」
「んーとねえ、ごっちんがすごく上手に料理とかお菓子作るじゃん、
だからわたしも上手に作りたいって思ったわけ」
「うん、まあ、そう思うのは別にいいんだけどね」
ごっちんは皿に視線を移す。
「あーごっちん今照れてるでしょー。また鼻がぴくぴくしたよ」
梨華ちゃんはごっちんの鼻を指差した。
「照れてないから、マジで。梨華ちゃんだって鼻がぴくぴくするとき
あんじゃん。梨華ちゃんの場合、それってもうわたし寝るからおやすみー
っていう合図なんだけどね」
「わたし鼻ぴくぴくなんてしないからー」
「するよ、梨華ちゃんだって」
「しないよー」
- 3 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:45
- ふたりはかつてないほど親交を深めていた。
時間が合えば、ごっちんが梨華ちゃんの部屋へ寄り、食事したりDVDを
見たりして時間を過ごした。
きっかけは、ごっちんとよっすぃの仲がうまくいかなくなったためだった。
- 4 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:47
- 娘。を卒業し、ソロ活動が始まり、後藤真希の名を冠したコンサートや
ミュージカルが開かれ、多くの観客を集めた。それは、モーニング娘。
在籍時よりも何倍もの喜びをもたらすと同時に、それ相応のストレスを
ごっちんに与えた。
ごっちんはよっすぃに救いを求めた。仕事が終わるとごっちんはよっすぃ
に電話をかけ、嫌なことをすべてぶちまけた。そうすることで、ストレスは
解消された。
- 5 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:52
- しかし、よっすぃは次第にごっちんを避けるようになった。ごっちんは
ある日思いきって訊ねた。
最近よっすぃわたしのこと避けてない、どうして?
よっすぃは、ぽつりぽつりと答えた。
今のわたしには、ごっちんのそういう悩みごととかって重すぎるんだよ、
ごっちんもたしかにたいへんかもしれないけどさ、わたしだってきついこと
あるんだよ、でもさ、ごっちんはいつも自分のことばっかじゃん。わたしは
今自分のことで精一杯なの。悪いけど、ごっちんの役にはこれ以上たてそうにない、
だから、しばらく会わないでおこう、連絡もしないでおこう、悪いけど、
そういうことだから……。
- 6 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:56
- ごっちんはこれによって体調を崩し、痩せ細っていった。ごっちんの変調
はメンバー内でも噂になっていた。歌番組に出演したごっちんの痩身は、
痛々しいほどだった。
そんなとき、梨華ちゃんはごっちんに連絡を取り、相談に乗るようになった。
ごっちんは正直驚いた。けして仲が悪いわけではないが、梨華ちゃんとはあまり
プライベートで会ったり連絡を取るような仲ではなかったからだ。梨華ちゃんは
しばらく雑談したあと、こう言った。
- 7 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 21:59
- わたしはよっすぃみたいに頼りにならないし、ごっちんを慰めてあげられ
るような気のきいたことも言えないけど、わたしでよかったらなんでも話してね、
話を聞いてあげることぐらいしかできないけどさ。
わたしがまだモーニング入ったばかりのころ、ヘマばっかしてわたしがヘコんでたとき、
ごっちんが傍に来て「どんまい、梨華ちゃん」って声かけてくれたり、落ち込んでるときに
ケータイに「元気出して! チャーミー石川!」ってショートメールくれたこととか、
わたしすごく嬉しかったんだよ。すごく励みになったんだよ。恩返しなんておこがましいけどさ、
ごっちんちょっと元気ないみたいだから相談に乗ってあげられたらなあと思って。
余計なお世話だったらごめんね。
- 8 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 22:01
- ごっちんは梨華ちゃんの言葉を聞き、泣いた。
からからに渇いていた心に水を注がれ、それが目から溢れるかのように、泣いた。
ごっちんが泣き終わるまで、梨華ちゃんは電話を切らずに待ち続けた。
「……ありがとう、梨華ちゃん」
ごっちんは声を震わせ、梨華ちゃんに礼を言った。
こうして、ごっちんと梨華ちゃんの交遊が始まった。一一
- 9 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 22:06
- 「もうすぐだね」
食事を終え、ふたりで食器を洗い、片付け、ごっちんが実家で作った
プリンを向かい合って食べながら、ごっちんは言った。梨華ちゃんの仲介で、
よっすぃを交えた3人で食事に行く約束をした日が近づいていた。梨華ちゃんが
このことを話したとき、よっすぃも「楽しみにしてっから」と快諾した。
「そうだね、楽しみ?」
「うん、でも、久しぶりだから緊張するかも」
「会ったら、まずなに話す?」
「とりあえず、謝ろうと思う。よっすぃに悩みごとを押し付けてばかりで、わたし、
よっすぃの話全然聞いてあげられなかった。今考えれば、よっすぃ自身も話を聞いて
ほしいかったんだと思う。当たり前なんだけどね、よっすぃだって忙しいわけだし。
でも、わたしはそうしなかった。よっすぃの気持ち考えてあげられなかった。
そんなの、友だちじゃないもんね。よっすぃが怒るのも無理ないよ」
「わたしはそれに関してはなにも言える立場じゃないから、なにも言わない。
お互い思っていることを打ち明ければいいと思うよ」
「うん、ありがと、梨華ちゃん」
「ううん、こちらこそ、ごはん作ってもらったり、デザート作ってもらったり」
目を合わせ、ふたりは笑いあった。
- 10 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 22:11
- 「あーわたしもすごく楽しみ。だって、3人でごはん食べるなんてさー、
何年かぶりじゃない?」
「うん、そうだね、3人だけってあったっけ? ホテルで集まったことは
あったかもしれないけど、ごはん食べに行くのは初めてかも」
「なに食べに行く?」
梨華ちゃんがごっちんに訊ねた。
「わたしはなんでもいいよ。よっすぃは、なにがいいんだろ?」
「あ、ちょっと聞いてみよっか?」
梨華ちゃんは傍らに置いてあったケータイを手にし、コールした。
ごっちんはケータイを耳にあてる梨華ちゃんを見つめながら、
よっすぃが電話に出るのをどきどきしながら待っていた。
- 11 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 22:12
- ヽ(0^〜^)人( ^▽^ )人(´ Д ` )ノ
- 12 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 22:13
- ヽ(0^〜^)人( ^▽^ )人(´ Д ` )ノ
- 13 名前:46 しあわせの予感 投稿日:2004/10/02(土) 22:13
- ヽ(0^〜^)人( ^▽^ )人(´ Д ` )ノ
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