43 Genetic signal

1 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:02

43 Genetic signal
2 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:03
「あー、それにしてももったいないよな」
「どしたの急に?」

都会のある街。ちょっとおしゃれなカフェでの午後のひと時。

「だってさ、昨日ごっちんに告白した子かわいかったじゃん。なんで断ったの?」
「そのこと?よっすぃーはいっつもいきなりだね」
「で、なんでよ?」
「や、ごとーはさ。運命の出会いってやつを信じてるわけよ。なのに放課後体育館の裏なんてベタベタでしょ」
「そんな理由?意外とロマンチストなんだね。ごっちんは」
「そーなんです。ごとーは意外とロマンチストなのさ」
3 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:04
その時。

――ピリッ――

「ごっちん、どーした?」
「ん。なんでもない」

私は首筋になにか違和感を感じた。ピリッていうかビリッていうかなんかそんな感じの。
そして、ここにいつまでもいちゃいけないような気がして。手は自然に伝票をつかんでた。

「ちょっ。ごっちん!どーしたのさ」

後ろによっすぃーの声が聞こえる。
4 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:04
「それにしても珍しいよね。あさ美ちゃんから誘ってくるなんて」
「ごめんね、急に」
「別にいいよー。私も別に予定とかあるわけじゃなかったし」
「でも、ホント珍しいよね。なんかあったの?」
「なんでもないよ。本当に」

なんでもないのは本当。でも、なにか予感がしたのも事実。

昨日は夜遅くまで勉強してて、起きたら昼過ぎ。
顔を洗って、歯を磨いて朝食兼昼食を食べてたら、急に。

――ピリッ――

気が付いたらまこっちゃんに電話してこの街にいるってワケ。
本当にどうしちゃったんだろ、私。
5 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:05
「どーしたのさ?急に店飛び出して」
「ゴメンゴメン。なんか変な感じが、ね」
「なんだよそれ?で、いまもその変な感じはしてるの?」
「う〜ん。ビミョー」

ホントにビミョー。
さっきより強くなった気がするし弱くなった気もする。
横からよっすぃーのあきれた声が聞こえてくるけどそれどころじゃない。

「これからどーするのさ?もう帰る?」
「ううん。もうちょっと一緒にいよ。この街を探検しよーぜ」

深刻さを出さないため極力明るく言ってみる。
6 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:06
「はぁ?いっつも来てるじゃん。今日はいつにも増して変だよ?」
「いーから、いーから。私についてきなさい」

軽く失礼な発言が聞こえた気がするけどこの際スルー。

「で、どこいくのさ?」

どーしよ?
右?左?

――ビリッ――

右だ。さっきより強くなってる気がする。いや、絶対強くなってる。
確信をもって私は歩を進めた。
7 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:06
――ビリッ――
家にいたときより明らかに強くなってる確信。
病気かな?いやな感じはしないんだけど。

「あさ美ちゃん?どったの?」

いつのまにかまこっちゃんが私の顔を覗き込んでる。

「ふわぁ。な、なんでもないよ」
「いつにも増してボーっとしてるねぇ」
「昨日夜遅くまで勉強してたからじゃない?」
「ふぇー。そんなことしてるの?すごいねー」
〜〜〜〜〜〜
この変な感覚の事、なんとなく言えなくてごまかしちゃう。
こんなんで信じちゃうのがまこっちゃんらしいんだけどね。

「で、どっか行きたいトコないの?」

行きたいトコ?別に………。

――ビリッ――

「左」
「左ぃ?」
「いいから。左に行くの」

私にしては珍しく強引に決める。
まこっちゃんは首をかしげながらもついてきてくれた。

8 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:07
ひたすら右に向かって進む私。
なんかバカっぽくなってきた。あの感覚も弱くなってきたし。
私と一緒でムラがあるんだよね。

「ホントにどーしたの?ごっちんなんか変だよ」

大丈夫?なんてよっすぃーに心配されちゃってる。
私自身もおかしいと思う。
けど、そんな私を肯定しちゃってる自分もいて…。


私って二重人格だっけ?
使い方違うかな?
何も考えられない。
おかしい。変だ。
9 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:07
――ビリッッ――

今までにない大きな感覚に立ち止まる。
一緒によっすぃーも立ち止まる。

「おいおい。今度はどーした?次は左下にでも行くのかい?それとも右上?」
「や、意味わかんないし」

それだけ言うのが精一杯。
その時、正面からよっすぃーを呼ぶ声が聞こえた。

「げっ、あれ麻琴じゃん」

距離にして20mくらい。
人ごみでどんな子かはわかんないけどよっすぃーのセリフの割に口調はやさしい。
きっといい子なんだろう。
10 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:08
ひたすら左に向かって進む私。
バカっぽいと思ったら嫌になっちゃうから思わないように思考をシャットアウト。
そう思ってる時点でバカっぽいと思ってるってことには気付かないフリをする。
あの感覚は弱くなるどころかだんだん強くなってきている。
その先に何があるか分からないけど好奇心の方が今のところ勝ってる。

と、その時。

「吉澤さーーーん!!」

突然まこっちゃんが声をあげた。
11 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:08
吉澤さんってたしかまこっちゃんに中学の時の先パイで今も時々一緒に遊ぶって聞いたことがある。
吉澤さんのことを話す時のまこっちゃんの顔はとても嬉しそうで。
とてもいい先パイなんじゃないかと勝手に思ってる。
そこまで思い出したところであの感覚がきた。

――ビリッッ――

今までの比じゃない大きな感覚。
その大きさに思わず止まりかけたけどそうもいかない。
まこっちゃんがゴシュジンサマに向かう犬のように吉澤さんの方へ進んでる。
立ち止まりたい誘惑に打ち勝ってまこっちゃんの後をついていく。
あの感覚はジワジワ大きくなっていく。
どーしちゃったんだろう。私のカラダ。

12 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:09
よっすぃーを呼ぶ声が聞こえたと思ったらその声の持ち主らしき子がずんずんこっちに向かってくる。
その後ろに一人ちょっと気の弱そうな子が必死についてきてる。
麻琴って子の友達かな?確かに麻琴ちゃんすごい勢いだもんね。
必死になるわ。

「吉澤さん。何してるんですか?」
「なんだっていいだろ。ほら、ごっちん。いこーぜ」
「ひどくないですかー。待ってくださいよぉ」

コントのようなやり取りを繰り返す二人。
見ていて微笑ましい。
程なくしてもう一人の子が私たちのところについた。
ひざに手を置いて息を切らしてる。
やっと一息ついたのかその子が顔をあげた。
その子と目が合う。

――――ゾクッ――――

今までとは種類の違う、でも今までより心地いい感覚が私を包んだ。
13 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:09
まこっちゃん速いよ。全然追いつけない。
もう吉澤さんとなにか話してるし。

少し遅れてまこっちゃんのいるところにつく。
やっとついたよ。疲れたー。
息を整えてから顔をあげる。
すると―――
―――目が合った。

―――ビクッ―――

今までとは種類の違う、でも今までより心地いい感覚が私を包んだ。

14 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:10
「ねえ」          「あの」

「名前なんていうの?」
「名前なんていうんですか?」
15 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:11
Genetic signal is
16 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:11
right?
17 名前:43 Genetic signal 投稿日:2004/10/02(土) 19:12
or wrong?

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