23 with a smile on her face

1 名前：23 with a smile on her face 投稿日：2004/09/28(火) 02:13

23 with a smile on her face

2 名前：23 with a smile on her face 投稿日：2004/09/28(火) 02:15

「ちぎれてしまった赤い糸は、もう、結べないんだよ」

ほら、なんか私詩的なこと言ってない？　そう軽口を叩いて微笑む彼女。
その微笑は儚げで、美しかった。
フル稼働する心臓のことも忘れ、思わず見とれそうになる。
同時に、その表情から彼女の意思が十分に理解できた。
理解できてしまった。

「赤い糸は切れたって、私たち、友達だよね？」

私はそう尋ねずにはいられなかった。
彼女は今現在私の中をほとんど覆っていた。
美少女、ヨシザワヒトミという容れ物はゴトウマキで満たされております。
なんて、冗談めかして何度言っただろう。
彼女と縁を切るということは、私の中が空になるということと同義だ。

「…………」

彼女はさっきとは違う笑みを浮かべた。
それがどんな意味を持つのか、私には分かる。
私はまだ、私でいられる。
全速で走ってきたために溢れてくる汗を、シャツの袖で拭う。
思ったよりも多量の水が袖を濡らした。
私が無理に笑ってうなずくと、彼女は自分の行くべき道へと歩き出す。
そんな彼女を私は笑みを浮かべたまま黙って見送る。
涙なら、独りになった後流せばいいんだ。

3 名前：23 with a smile on her face 投稿日：2004/09/28(火) 02:16

了

4 名前：23 with a smile on her face 投稿日：2004/09/28(火) 02:16

　

5 名前：23 with a smile on her face 投稿日：2004/09/28(火) 02:16