9 なごり雪
- 1 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/25(日) 23:51
- 9 なごり雪
- 2 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:00
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2004年1月25日 横浜アリーナ
- 3 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:00
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はい、え〜、美貴はですね──
(ミキたん、MCで泣いちゃうのかな。)
美貴が安倍の正面に立ち、まっすぐに見据えている。
亜弥は舞台裏のモニターで、ステージの様子を固唾を飲んで見守っていた。
- 4 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:01
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◇
亜弥ははっきり覚えている。
一年前の元旦、美貴と二人でHello!Projectライブのリハに向かう途中だった。
初春の東京は寒波に見舞われ、鈍色の街に雪がチラチラ舞っていた。
「あのさ、美貴、モーニング娘。に入ることになった」
無表情に言葉を吹き荒ぶ風に乗せ、美貴が呟いた。
亜弥は、何を真顔で間抜けたことを言うのだ、と笑って流そうと思った。
だが、美貴の顔は真剣そのもので、本当にモーニング娘。になるのだろう、と思い直す。
美貴がどうしようもなく遠くに行ってしまいそうで怖かった。
「そっかぁ。じゃあ、ミキたんと見る雪もこれで最後だね」
そうおどけることでしか、亜弥は美貴に言葉を返すことができなかった。
美貴とは逆の頬を強く噛み締め、もう片方はできるだけ悪戯っぽくに緩ませた。
「は?なぁに言ってんの。最後なわけないじゃん。それに、なに変な顔してんの」
そう笑いながら、美貴は先に進む。
その背中が遠く感じた。
- 5 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:03
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◇
なんかスゴイどんどん安倍さんが大好きになってったんで──
亜弥には見せない表情の美貴が多くなってきた。
二人の関係は、以前と変わらない。
美貴が少し変わっただけなのだ。
亜弥は、去年の自分と美貴に、今を重ねてみた。
ステージでは美貴が安倍から離れ、新垣が歩み寄る。
泣き咽ぶ新垣は、なかなか言葉を出せない。
その様子に、隣にいた里田がほろりと涙を零す。
(綺麗になったね、たん。去年よりも、ずっと。)
いつの間にか、亜弥の頬に涙が伝っていた。
美貴の映らないモニターを、ただ眺めているだけだった。
- 6 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:03
- おしまい
- 7 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:03
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- 8 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:03
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- 9 名前:9 なごり雪 投稿日:2004/04/26(月) 00:03
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