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55 コンセンと

1 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月23日(火)00時09分25秒
55 コンセンと
2 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時10分07秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」

飯田はいつものように交信したかと思うとおよそ有機物とは思えない金属音のようなノイズを立てて、ネゴシエーションに成功するとまるで宇宙意思を伝えるかのようにその言葉を吐き出した。飯田自身は記憶にないらしいが、彼女自身の声ではなかったことは間違いない。騒然とする楽屋の中で、安倍だけが冷静だった。とうとうやってきてしまったのだこの日が。胸のうちで安倍はそう呟いていた。
矢口が無線をとり、スクランブルを告げる。見る間にサイレンが鳴り響き、総員配備の体制がとられた。まだ、陽は射している。
「センシュボウエイ!センシュボウエイ!」矢口はそう繰り返していた。

コンサート前にオムライスを三枚平らげた後藤は原因不明の腹痛に襲われていた。脂汗をかきながら、「抱いてよプリーズゴーオン」をパフォーマンスしているさなかにそのその原因をはっきりと悟る。轄然大悟する。今何かが起ころうとしているのだ。後藤の脂汗は冷や汗に変わった。血中のヘモグロビンが普段の十倍の酸素を取り込み始める。爆発用のエネルギーを貯蔵するために。後藤のパフォーマンスはいまだかつてない素晴らしいものとなり、後年奇跡と評された。ラストの「愛のバカヤロウ」を唄い終わると、ステージ裏に引っ込んだ後藤はそのまま、スタッフの制止を振り切り時速70Kmに達すると空中に飛び上がった。いつの間にか背中に生えた羽にブルーの衣装。その姿を目撃した中米インディアは、その後300年近く空飛ぶ少女を信仰し続けた。

「モーニング娘。の紺野が攫われる」そのニュースは、約2時間で全世界を駆け巡った。
全世界60億人が知るところになったその事実の及ぼす影響がいかなるものであるか不明のまま、世界の警察を自認する北米の大統領は非常事態を宣言し、「テロを超える脅威」と声明を発表した。
3 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時11分27秒
自衛官が見守る中で、さくら組、おとめ組の歌収録が行われ、その後全指揮権を与えられた矢口は、富士山の火口付近に精鋭3000人を配置した。飯田は電波を一切排除する原子炉のような部屋自ら入り、大きく目を見開いたまま交信を行っている。安倍は静かに、紺野のそばにいる。辻と加護は、来るべき時に備えブリンコ○ンコの練習に余念がない。石川、吉澤は浜辺で夕日を眺めている。石川は吉澤にささやく。「実は私たち、姉妹だったって、知ってた?」「知ってるよ。梨華ちゃん」「久しぶりに梨華ちゃんって呼んでくれたね」「……」「ちょっとうれしい」「♪〜オー!オー!オー!オー!はーんしーんたいがーす ふれー!ふれふれふれー!〜♪」「携帯の電源切っておいてよ、梨華ちゃん」「ちょっとまって、矢口さんだわ。はい、もしもし、えっ?そ、そんな……わ、わかりました」石川は吉澤の手を引いて立ち上がる、服についた砂を払うと、夕日に紅く頬を染めた二人は頷きあい、明日にむかって走り出した。「塾長!」三人は敢えてそう呼んだ。自慢の眉を右側だけ、ヒクリ痙攣させ新垣が振り返る。「残念だが、君たちに出来ることはない。それほど、君たちの力はまだ、微弱だ。いや脆弱だ、いや桂雀々……」言葉に詰まった新垣が右手で何かをつまむ様なそぶりを見せると、道重が即座にカバンから何かを取り出す。「マユゲ、ビーーーム!!」照射!!道重はオオキナテカガミでそれをはじき返した。新垣はMPを50ポイント消費した!道重は経験値が3ポイント上がった!「腕を上げたね」新垣がうれしそうに言うのを見て三人は少し不安になる。それを悟った新垣がいつもの決め台詞を叫んだ。「ワタシガニイガキジュクジュクチョウニイガキリサデアール!」
4 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時12分59秒
高橋は小川の車椅子を押していた。小川はまだ、腰に不安を抱えている、とか高尚な但し書きは着かない。たんに甘えたがりなだけである。車椅子につけられたのぼりには「あいとまこと」と墨書されている。それを高橋は至極うれしそうに押している。「…ちゃん!…ちゃん!」高橋が我に返ると、周りの様相は一変していた「あいちゃん」「しんぱいせんでええよ、まこっちゃん」「ほっ!」「その手は何やの?」「んー、表現してみたんですよぉ、ほっほっ」高橋は、車椅子から手を離すと「オラ!!」と叫ぶ。「どーせ、柳生のもんやろぉ、はよでてこいやぁ」その声を聞き、物陰から六人の僧形の男たちが錫杖を鳴らしながら二人を取り囲んだ。「…ちゃん!」無造作に抜刀した高橋が袈裟懸け、逆袈裟と続け様に二人ぶった切ると男たちは輪を錫杖を高橋に向ける。底には穴が開いている。どうやら仕込み鉄砲らしい。高橋は、血振りして納刀すると、車椅子に再び手をかけた。「あいちゃん…」と、不安そうに目を向ける小川の頭を優しくなでると、「ちょっと、めぇまわるかもしれへんけど我慢してやぁ」と高橋は言う。小川はこっくりと頷く。それを潮に、高橋はブレーキの下に仕込んであるスイッチを押したまま、車椅子を360度回転させた。その間わずか一秒あっただろうか。バララララという機関銃の銃声がまだ耳に残る中、柳生の男達は地に臥していた。高橋は何事もなかったかのようにまた車椅子を押し始める。「この分だとあさ美ちゃん、大変だね」小川の台詞が沈みゆく夕日に溶けていった。藤本はダンスレッスンをしていた。「ローマンティック こーいーのー♪」。紺野には五十畳の広間が用意され、台座の前には御簾が下げられる。十二単をまとい、紺野はすべるように歩くと御簾の中へ消えていった。
5 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時13分32秒
飯田の警護に付いていたノラクロ三等兵は、「中からね、声が聞こえてくるんですよ、ディアーって、でそうすると建物全体が振動するんですよ。日本の未来を守ろうと思いましたね」と後日証言した。ともかく、飯田は天啓を得た。急いで矢口に伝えると矢口は苦渋の表情を浮かべた。「時間が足りないよ」「日が沈めば、紺野は攫われる」「もって後、一時間」「いまごろそんな事いったってどうするのよ」八つ当たりのようにまくし立てる。飯田はいたって冷静に「のんちゃんを呼んで」といった。呼ばれた辻はテヘテヘと飯田のひざの上にのる。「のんちゃん、日が沈むと紺野がさらわれちゃうの、どうすればいいと思う?」「んーー、わかんないのれす」「もー、そんなことじゃいけないぞ(はぁと)、十回考えなさい」「わかったのれす。……一回。……二回。……三回。……四回。……五回。……六回。……七回。……八回。……九回。……十回、あ、わかったのれす。日が沈まなきゃいいんれすよね、いいらさん」「そう!!正解よのんちゃん!えらーい」「わからん、説明しろカオリ」「だからー、日が沈むからいけないんでしょ、沈まなきゃいいのよ」「やっぱりわからん」「つまり辻さんは、太陽が地平線に消えるのを防げばいいと言っているのではないでしょうか、何も時間を止める必要はありません、物理的に日本から太陽が見れればいいわけですから、ここで発想の転換が必要です。太陽が沈むのは太陽が沈んでるからではありません。地球が自転しているから太陽が見えなくなるだけです。つまり地球の自転を止めれば、太陽は沈まないのです。完璧ですっ!」「いつの間に来てたの?紺野?」「矢口さんに呼ばれた気がしたので」
6 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時14分04秒
光速で飛行を続ける後藤の携帯が鳴る。「もしもし、こちらごっちん、こちらごっちん」「あー、ごっつぁん?竜の首の玉探して来て」「んぁー、りょーかい」後藤は竜を探し始めた。

高速でキーボードをたたき続ける保田のPCにメッセンジャーが入る。「けいちゃん、あんた蓬莱の玉の枝とってきて」「( `.∀´)<わかったわよ」保田は大船団を率いて蓬莱山を目指し始めた。

高速で老け始める中澤の携帯が鳴る。「おーいポロリ成人」「何や矢口かー、ゆーちゃんなーいま飲んでんねん、矢口もけーへんかー」「裕ちゃん、火鼠の皮衣とって来て」「あとで、吸わせてなぁ」「……石川でいい?」「ええよ」中澤は悔し涙ポロリするのをやめて、星に連絡を取り始めた。

校則に縛られるのを嫌う福田の携帯が鳴る。「久しぶり、明日香、仏の御石の鉢とって来て」「オリコン一位がすべてじゃないわ」「この状況で誤解を招くようなこといわないで」福田は来るべき困難に備え滋養を取るために銀杏を炒め始めた。

拘束された結婚生活もまた良しと子供をあやしていた石黒の携帯が鳴る。「燕の子安貝とってきて、あやっぺ」「ここにあるわよ、だってあたし母親じゃん」「あんた、燕かい」石黒は品物を届けるべく、子供を負って歩き始めた。
7 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時15分41秒
厳重に警戒されている司令部に現れたひとつの影があった。青いパーカーを来たどうってことのない少女。彼女が手をかざすと警戒に当たっている自衛官たちは面白いように吹っ飛び、気を失う。騒ぎを聞きつけた矢口がそこに向かうと、背後に大きな闇をまとった少女がひとり立っていた。パーカーのフードの中で、久しぶりだね、矢口と呟く。矢口は口角だけで苦笑をうかべ、あんたの出番はないわよと挑発する。ちっ、と舌打ちが聞こえる。「そっち側に堕ちたのね、紗耶香」矢口がそういうと、少女はフードを脱いだ。それは市井紗耶香だった。「あんたに仕事があるわ」
8 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時16分08秒
モーニング娘。一同は司令室前に集められた。ベレーを被った矢口が壇上から声を張る。
「いい?カオリが得た天啓を全うする為、いま、へたれの紗耶香が地球の自転を止めてる間に卒業生達ががんばってるけどこれで紺野が攫われるのを絶対に防げるとは限らない。へたれの紗耶香が力尽きれば、すぐに敵はやってくる。五種類の品物だっていまだ何をどうするためのものかもわからない、みんなで紺野を守るのよ、北面の武士となるのよ!」矢口の号令でモーニング娘。たちが散開する。吉澤をトップに置いたミスタームーンライトシフト。矢口がそうだ!ウィアライブシフトを強行に主張する中、飯田の一声でこちらが採用された。紺野の座す、茅葺の屋敷の周りにはまだ陽があるうちから(市井が地球の自転を止めている)篝火がたかれ、一種騒然としていた。「わたしは、大丈夫でしょうか?」「だいじょうぶれすよ、ののがいるのれす、なっちもいるのれす、みんないるのれす」
9 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時16分36秒
矢口の読みどおり、へたれの市井が地球の自転を止めきれなくなった頃、卒業メンバたちが続々と帰還してきた。後藤が「ドラゴンさん強かったぁ〜」と言えば、保田は「蓬莱山で徐福を見たわよ!」といきりたち、中澤は「ええなぁー、矢口」というやらいわずの内に石川に吸い付き、福田が勉強を始めると、石黒は赤子のオムツを変え始めた。
10 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時17分03秒
「で、どうすんの、カオリ?」「えーっと、フクロウさんのいうことにゃ、角の桶屋でねずみがチュウ、あ、チュウチュウチュウ」「矢口が無言で飯田の頭をたたく、たたく度にダイアルアップモデムの音がする。四回ぐらいでやっとつながる。時計を見れば11時、まだ薄明るいのに時間はテレホタイム。「で、どうすんの、カオリ?」繰り返す質問。「えーっと、キュウコンするの」「チューリップ?」「キュウコン」酒が残っている中澤が泣き崩れる。「えーんやー、もーえーんやー、矢口ー結婚してーーー」「あ、求婚。」「正解」卒業メンバ五人が紺野の前に座り、宝物を掲げるとそれぞれに紺野に求婚する。「紺野、結婚する」「紺野、結婚しなさい」「結婚してぇやぁ」「紺野さん、結婚します?」「紺野ちゃん、あたしけっこんしてる」頬を赤らめる紺野。「んで?カオリ、次は?」「んーと、でもその宝物贋物なの」「はぁ?」「うわぁぁぁああ」「へっ?」見ると安倍が野良着を来て泣いている。どうした安倍。実は、じつはね、と安倍がポツリポツリと語り始める。「実はね、紺野はなっちが昔、芝刈りに行った時(略」「じゃあ、私、かぐや姫だったんですか?」紺野が陶然とした目で宙を見ると安倍は怒ったように、紺野は紺野だべさと言う。「紺野はモーニング娘。の紺野だべさ、13人がかりでクリスマスやったべさ。完璧だべさ。うたばんの収録で足怪我したべさ、のんちゃんのファンなんです。だべさ」マザーシップ安倍の天使の微笑みは紺野を心胆寒からしめる。もう日は暮れていた。へたれた市井のその後は誰も知らない。
11 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時18分48秒
日が没したことに気付いた矢口が、外に出て天上を仰ぐとそこには未知との遭遇が待っていた。UFOからUFAへと続々と意味不明な異星体が送り込まれ始める。「総員戦闘配置に付け!!」矢口が叫ぶ。最終戦争が始まった。ミスムン衣装の吉澤がバズーカで砲撃を始めると、どこからともなく降って来たチャーミーが滅びの呪文を唱え、錯乱した藤本はひとりピンクレディーとなりUFOを熱唱する。「ほら、ののもいってくるべさ」と安倍に促された辻は加護と合流しブリンコ○ンコ唯一の持ち歌、「27」を唄い始める。
「(前略)ブリンコ○ンコが輝いて(中略)ナーナーナーナーナーナーナー!(後略)」辻加護の寸分たがわぬフィニッシュが決まった瞬間、二人の体は一個の球体となって光に包まれる。それが薄れたとき、モーニング娘。たちの目の前にはブリンコ○ンコ融合体「ツジカゴ」が誕生していた。「ろうや、これが史上最強のがったいわらやのれす」この技の唯一の弱点は言語が理解不能になることと三年後モーニング娘。時代を振り返って中澤がいったらしい。聞いた話である。小川は相変わらず車椅子に乗って「…ちゃん!…ちゃん!」と連呼すれば、高橋は「おのれ柳生めぇ〜〜〜」と異星体をぶった切る。塾長は相変わらずマユゲビームを照射してMPを浪費しているが相手のHPはそれほど減らない。その後ろで辻加護の合体を目撃した道重が必死になって「シャボン玉ー!シャボン玉ー!シャボン玉ー!」ポーズとともに繰り返している。どうやら何かを呼び出そうとしているらしい。矢口がスペースビーナスに乗ってセクシービームを連射すると、だんだんと弱ってくる。連射は利かないらしい。死力を尽くした消耗戦も、辻加護のフュージョン(ネタバレ)が解ける頃になるとすでに敗色濃厚となっていた。「ごめんなさい、わたしのために。もう、月へ帰ります」紺野はそういうとすっと浮かび上がった。UFOから光の帯が照射され、紺野はその筋に沿って天井へと上っていく。「こんの〜〜〜!!!」娘。たちの叫びをもむなしく、紺野はどんどんと上っていく。振り返って手を振る紺野の目には涙が浮かんでいた。
12 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時19分34秒
安倍と飯田に手を引かれ立ち上がった辻に「しかたないべさ、のの、あれやって」と安倍は言う。「ハンソクれすよ」辻は恥ずかしそうな顔をしながら立ち上がった。大きく息を吸い込み、吐き出す。三度ほどそれを繰り返した後、頬が膨らむほど空気を吸い込んだ。「!」辻の喉、いや体中から、音波を超えた空間の超振動が起こり、じりじりと何かが焦げていくにおいが伝わる。見ると辻の目の前には帯電飽和した空間が青白い稲光にも似た電光が走っている。「もうちょっとだべさ、のの、がんばって」安倍の励ましにこたえるかのように辻は、最後の気力を振り絞り、いっそうに声を出す。その拍子に臨界点を超えたのだろう、耳鳴りするような低音が響いたかと思うと、こぶし大の小さな「穴」が出来、瞬間、2メートル位の大きさに広がった。高橋が「なんですかぁ、これ」と覗き込む。辻の前にはぽっかりと時空の穴が開いていた。「じゃ、ちょっと神様に話しつけてくるべさ」天使のわっかを頭上に浮かべた安倍がそういって「穴」の中に入っていった。二三分もすると紺野はこっぱずかしそうな顔をして降りてきた。安倍もほぼ同時に穴から出てくる。安倍が語ったところによるとむこうっかわのモーニング娘。の紺野が怪我をしたので、代打としてこっち側の紺野を攫おうとむこうっかわのモーニング娘。一同がたくらんだってことらしいと神様が言ってたとのこと。こっちがわのかおりとむこうっかわのカオリはたまにコンセンするとのこと。それにしてもつじはハンソクだってこと。なっち天使。なっち最高。なっちありがとう。ってこと。
13 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時20分07秒
それを聞いた飯田がむっとした顔で呟く。「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」コンセンしてるに違いない。
14 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時21分00秒
15 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時21分11秒
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16 名前:55 コンセンと 投稿日:2003年09月23日(火)00時21分27秒

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