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45 絆
- 1 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時03分34秒
- 45 絆
- 2 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時04分33秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
- 3 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時06分09秒
「どうする、まこっちゃん、里沙ちゃん」
「どうするって、本当のことかもわからないのに」
「飯田さんやマネージャーに伝えておいたほうがいいんじゃない?」
「でも、これが嘘だったら私たちめちゃめちゃ怒られるよね?」
「そうだけどさあ・・」
「だって、何も起きてないんだよ!」
「う〜〜ん・・」
愛、麻琴、里沙は頭を悩ませていた。
あさ美に見せてもらった一通の手紙が発端だった。封筒にはあさ美の名だけで
手紙には1文しかなかった。手紙が届いた日のうちに何か起こるかと心配して
いたが10日過ぎても何も起きないでいた。あさ美は単なるいたずらじゃない
かと思って気にしていないようだった。しかし、手紙を見せられたものとして
は黙っているのも我慢ならない。しかも、あさ美が何かを隠しているかもしれ
ない。同期の身としては放っておくわけにはいかなかった。
- 4 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時07分20秒
「一つだけ方法があるよ」
口を開いたのは里沙だった。愛と麻琴は里沙の方に耳を傾けた。
「今度のオフに私たち4人でどこかに泊まりにいくのはどう?」
「私やまこっちゃんはいいけど、里沙ちゃんは学校やろ?」
「かまわないよ!それよりもあさ美ちゃんのことが大事だよ」
「でもさ、高校生以下だけでホテルの予約とか大丈夫かな?」
「それだったら、私がお母さんに頼んでみる。ついでに実家にも寄りたいし」
「お願いね、まこっちゃん」
「頼んだよ」
愛と里沙は麻琴の意見にのった。
よく考えれば無謀なことだった。“モーニング娘。”のメンバーが大人も連れ
ずに外泊するなど無茶なことだった。ただでさえ、ストーカー的なファンまで
いるのに、そんな奴等にすれば格好の餌食といってもいい。しかし、3人にそ
こまで考える余裕はなかった。
- 5 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時09分19秒
問題のオフの日となった。
愛、麻琴、里沙は新潟の番神堂へと来ていた。この番神堂から柏崎港をはじめ
柏崎市が一望でき、北に佐渡の山脈、弥彦の山が眺めることができる。その眺
めに一瞬目を輝かせるがその輝きは失せてしまう。
「あさ美ちゃん、大丈夫かなあ?」
「ちゃんと来るはずだよ」
「まぁ、なんかあればすぐ電話してくるって」
3人は別の意味での不安を隠せない。あさ美と約束したにもかかわらず、当日
の朝になってもあさ美と会うことはなかった。携帯で連絡をとると先に行って
欲しいとのことだった。愛たちにすれば待つことも考えたが多くの人々が行き
かう中では先に行かざるをえないのが現実だった。無事にここに来られただけ
でもよかったことだった。
- 6 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時10分52秒
3人はいろいろな話に夢中になっていた。たわいのないことばかりだがそれで
もいいものだった。しばし、あさ美のことを忘れて語り合っていた。里沙が中
学生とあって、平日でもここまで語り合うことない。いくら話しても話題が尽
きることもなかった。時間は経っていくがあさ美は来る気配もない。何度とな
く携帯にメールしてみると返事は来るものの何時に着くかは書いてない。おま
けに肝心の電話はつながらない。いつまでも姿を見せないあさ美に3人は苛立
ちをかくせない。気づけば日が暮れて、周りは暗くなっていた。
- 7 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時13分02秒
3人はホテルの前に来ていた。
「ねぇ、まこっちゃん、ここなの?」
「うん」
愛の質問に麻琴がすまなそうな声で返事をした。
ホテルはホテルなのだが見た目も古くお客さんなんてほとんどいないような感
じだった。人目につく部分はしっかりと掃除や手入れもされているが、一歩奥
に入れば伸び放題の草やくもの巣が目につく。3人は最上階の部屋に案内され
た。そこは、最初に受けたホテルの印象とはまったく違った。外見とは違って
部屋の中はきれいで明るく、窓からは海や街のネオンが見えた。予想以上の環
境に3人は満足の表情を浮かべていた。
「ふぅーー」
「面白かった」
「あさ美ちゃん、遅いね」
3人でお風呂に入った後、食事となった。肝心のあさ美はまだ来ない。いつも
のにぎやかさはわずかな間しか続かずに淡々とした時間が過ぎていく。しつこ
く連絡をとろうとするが肝心のあさ美には繋がらない。そのまま、夜は更けて
いく。
- 8 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時14分17秒
時計は夜中の12時を回ろうとしていた。
コンコン、コンコン
部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「やっと来た」
「あさ美ちゃん、待って」
「よかった」
飛び起きてドアの方へ向かう里沙。
愛と麻琴は顔を見合わせて、大きく息で息をする。あさ美のために布団を端に
寄せて、テーブルを中央へと持ってくる。
- 9 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時15分26秒
「あさ美ちゃん!」
里沙のひときわ大きな声が響くと同時に里沙が飛んで戻ってきた。
「どうしたんや?」
愛は小刻みに震える里沙の肩を抱いた。
「あれ・・」
里沙は震える指でドアを指差した。
「きゃーーーー」
「ちょっと待ってーーー」
「いやぁーーー」
3者3様の叫び声が響く。
目の前には額から血を流し、右まぶたが大きく腫れて、衣服がぼろぼろのあさ
美がいた。
- 10 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時16分30秒
「どうして、助けてくれなかったの?」
上目遣いで少し寂しげな表情を浮かべながら近づいてくる。
「あさ美ちゃんを助けようとこの旅行に誘ったでしょう」
「そうだよ、一人遅れたのが行けないんだよ」
「先に行てって言ったのはあさ美ちゃんでしょう」
「私、そんなこと言ってないよ」
静かな口調で答えるあさ美。
冷たく光る視線に3人はだんだんと隅に追いやられていく。
- 11 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時17分42秒
「あさ美ちゃん、何があったの?」
「そうだよ、私たち心配してたのに」
「こんな風に恨まれることなんてないよ」
3人は震えながらも必死に説得を試みようとしていた。
「うそつき・・」
あさ美に聞く耳はない。目がだんだんとつりあがっていく。
「本当にあさ美ちゃん?」
麻琴が震える声でたずねる。
「そうだよ・・私のこと疑っているの?」
あさ美はにたりと笑った。
「ねぇ、麻琴・・」
あさ美の顔が急に崩れていく。そこにあさ美の面影はない。
この世とも思えないほど陰気で狂気に満ちたおぞましい顔があった。
「うわぁーーーー」
麻琴は絶叫とともに腰が抜けてうごけない。
「ぎゃーーー」
愛は顔をひきつらせたまま、壁沿いに這いつくばって移動していく。
「来ないで!」
里沙は布団の中に包まった。
3人の記憶はそこで途絶えた。
- 12 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時18分43秒
―あぁ〜、面白かった―
あさ美はDVDをストップした。
ゆっくりとDVDの入った箱を開ける。
―今度は誰にしようかな・・―
あさ美は箱の中にあるDVDを眺めながら、あるメンバーを思い浮かべていた。
―新しいDVDに録画しなきゃ!―
自然と口元が緩む。
「フフフフ・・・」
あさ美は手紙を右手に動きだした。
- 13 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時19分08秒
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- 14 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時19分29秒
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- 15 名前:45 絆 投稿日:2003年09月22日(月)15時19分50秒
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